転生者の復活記~死にぞこないの物語~ 作:バトルマニア(作者)
ゴブリン退治から半年ほどが経ったある日、古内はとあることを思いついていた。
「魔導使えばもっと楽できんじゃね?」
毎日チマチマ勝てそうな魔物を探しては、死に物狂いで挑んでギリギリの勝利を収める。そしてその割にはレベルの上りは悪く、現在のレベルは23レベだった。そこで楽にレベル上げをするにはどうすればいいのかと考えた結果、手に入って以降戦闘では一切使っていなかった魔導の存在を思い出したのだ。
「風の刃で、こう首をスパッと斬り落とせれば楽なのにな」
そう思い魔導を使って風を起こし、草むらに向かって放つ。
「しょぼ……」
頑張って刃のような形にしても草一つ傷つけることはできず、すぐに拡散してただの風になってしまう。
「いや、練習が足りないだけだ。目指せ風使い!」
自身の知識や掲示板、スキルの力を使いとにかく練習していく。
「え~とまずは制御をちゃんとできるようにして、そっから極限まで圧縮できるようにならないと……」
大抵の現象は、圧力のかけ方で決まる。大きな圧力を、小さな範囲に集中させれば貫通でも切断でもできるようになるのだ。逆に分散できるようにすれば、大抵の攻撃は防げる。攻撃面で問題なのは、その必要圧力と制御のレベルの高さだった。
「ダメだ。桁が違いすぎる……」
全力で集中して放たれた風刃は、草を斬り裂くことができた。だがこれでは割に合わない。と言うか、そもそも動物、それも強化されている魔物には傷すらつけられないし、撃とうと頑張っている間にボコられて殺されるのが落ちだ。
「初心者には厳しかったか」
ガッカリする古内は、他の属性について考えだす。
「やっぱ一番殺傷能力を出しやすいのは炎か?」
適当に火力を出して焼き殺してやればいい炎は楽だ。燃え移りさえすれば、耐性でも持っていない限り大きな効果を狙える。
「土は動かしにくいんだよな。まぁ防御が妥当だろう」
質量物を動かすには大きなエネルギーが必要だ。その分質量での攻撃になるので、比較的に簡単に攻撃を加えやすい。だが他の属性に比べて機動性や俊敏性に欠けているため、攻撃自体には向いていない。初心者は大雑把に防御に回した方がいいだろう。
「水……水って凄いな」
動かしやすく圧力も加えやすい。水辺で使えないと水の生成にコストがかかるが、それを無視すれば使いやすい手ではある。
「てか、この世界の魔法って属性で分けられてないよな?」
そう思いだし、再度スキルと掲示板で調べなおした結果。
・魔法……コストと想像力があれば何でもできる。
・魔術……特定の手順や術式を使えば、一定の効果のある現象を発生させれる。
・魔導……上記の二つを合わせたもの。
「だよな。想像力だ。術式は情報系のスキルから引っ張ってこればいいし」
わかりやすく属性があるだけで、実際のところはその枠を超えたことも普通にできる。
「重力に時空、空間とかも使えるのか」
その他即死や強制、絶対化などマジで何でもできる……が、基本的にそれだけのコストを用意できないため、属性という形にせざる終えない面もある。というか、それができるなら別の方法を使った方が安上がりで効果的だ。
「……あっいた。あのスライムに重力っと」
試しにスライムに対して重力を発生させる。するとスライムの動きが一瞬止まり、少し鈍くなった。
「もっとだ。もっと周りの重力を巻き込む感じに……」
自身の発生させる重力に限界があるのか、周囲の重力を利用しようと操作する。するとスライムは更に潰れ、動かなくなった。しかし倒せたわけではなく動きを封じただけで……
「う、動けん……」
同時に古内も魔力の使い過ぎでその場から動けなくなっていた。それが十数秒続き、古内が魔法を止めてスライムも何事もなかったかのようにまた草を食いだす。
「……修業が必要だな」
そう結論を出して、毎日の日課に魔法の練習を入れるのだった。