転生者の復活記~死にぞこないの物語~   作:バトルマニア(作者)

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戦いだ

 フラフラと草原と森の境界線に近づく古内。

 

「いたいた」

 

 姿は見えないが、力の塊を見ていることを確信する。

 

「じゃあ……死ね」

 

 そう言い地面に手を着き、土魔導を発動させる。すると地面が圧縮され、目的の場所で大爆発が起きる。そして土煙と共に大きな影が現れ

 

「怒ってんのか?」

 

 煙が晴れると、そこには3メートル程度の大きな蜘蛛のような魔物がいた。

 

「やっぱ格上か」

 

・土蜘蛛

・Lv35

・スキル・糸術Lv3・隠蔽Lv3・隠密Lv3・身体強化Lv2・嚙砕Lv2・瞬発Lv2・対毒物Lv1・感知Lv1

 

 

 自分の巣を破壊されて怒りに震える土蜘蛛は、素早く古内へと飛び掛かる。それに短刀を振り風刃を飛ばすが、大したダメージにならず一旦距離を取る古内。

 

「バケモンだな」

 

 風刃と共に乗せた短刀の毒が効いておらず、慎重に動いているのかジリジリと距離を詰めながら隙を伺っていた。

 

「お前みたいな奴は、一瞬の隙で勝負を終わらせるんだろうがッ!」

 

 土蜘蛛に話しかけるように呟く古内だが、返答は土蜘蛛の瞬発による接近により返された。それを受け止め踏ん張ろうとする古内だが、地力で負けているため自動車の衝突事故のように吹き飛ばされる。

 

「……そう簡単に終わると思うなよ?」

 

 キレイに着地でき、地面を操り杭を土蜘蛛の下から生やす。だが杭の強度が負けたのか砕かれ、土蜘蛛の瞬発による攻撃が再度古内へと向かう。

 

 しかし――

 

「よっと」

 

 土蜘蛛の視界から古内が消え、古内のいた場所で探ろうとした途端に腹が突き刺され斬り裂かれる。それに驚いた土蜘蛛は即座にその場を飛び退き、地面に開けられた子供一人分程度の小さな穴から出てくる古内を確認していた。

 

「不意打ちし慣れているくせに慣れてねぇのか。まぁ当然か」

 

 自身が不意打ちされたことに怒りを覚え、再度古内を食い殺そうと瞬発しようとする土蜘蛛。だが体に少しの不調をきたし、思いとどまる。

 

「その程度の対毒物じゃ防げんぜ」

 

 先ほど斬り裂いた短刀の一撃、それは浅く薄い傷だったが、土蜘蛛を確実に弱らせていた。だがまだ足りない。この程度ではこの圧倒的なレベルの差は埋まらない。だから古内は……

 

 

「ゴリ押しじゃ!」

 

 

 そう言って攻めあぐねていた土蜘蛛に、溜めていた火炎放射を食らわせた。毒で弱らせ徹底的に弱点を突く。それ以外に勝つ方法はなく、一撃でもまともにくらうとその場でゲームオーバーだ。

 

「クソッ!そのまま焼き死んどけよ!」

 

 炎の中から土蜘蛛が突進してくるのを感知し、ギリギリで避ける。そして反撃に弱った関節部分に短刀を食らわせるが、軽く体液が出るだけで大したダメージにならない。

 

「毒使うな!」

 

 即座に火炎放射をしようとする古内へ向かって、土蜘蛛は毒を吐く。古内にとってこの毒物は大したことないが、牽制で言えば十分だった。それの対処のために魔導を風の防御へと切り替え、嫌がらせ程度の意味しかない風刃をまき散らす結果となったのだから。

 

「ふぅ~……やっぱ風は消費がきついな」

 

 発動の速さではずば抜けている風属性だが、出力が弱くそれを補うために効果を高め消耗が激しくなる。用意していてそれなのだから、咄嗟に出たのであればなおさらそのコストは増大するのだ。

 

「さて、どうかかってくる?噛みつきか?引っ掻きか?それとも跳びつッ!?」

 

 素早く跳びつく振りをし、糸を出す土蜘蛛。それに引っ掛かり身動きが鈍くなる古内へ、得意の毒液をぶっかけ弱るのを待つ土蜘蛛。

 

「あがぁ!!?」

 

 もがき苦しみ弱っていく古内。そしてしばらくして動かなくなった古内へ再度毒液をかけ、無反応を確かめた土蜘蛛は、獲物を持って帰ろうと古内へと近づく。

 

 

 そして――

 

 

「かかったな!」

 

 土蜘蛛を取り囲むように土のドームを作り出し、即座に火炎を浴びせる。

 

「逃がさん!俺の魔力なくなるまで燃えとけぇっ!!」

 

 逃げ場を失った土蜘蛛は必死に逃げようとするが、囲まれ逃げ場を塞がれた挙句に炎で体が上手く動かない。

 

「ど、どうだ!魔導だけなら通じるんだよ!どれだけ鍛えたと思ってやがる!」

 

 更に無慈悲に火炎を注ぎ込む古内。ここで手加減すればやられるのは自分だとわかっているのか、確実に仕留めた感覚があるまで限界を尽くす気らしい。

 

「ん?これは……」

 

 そしてそれが功を奏したのか、力の流入を感じ取り魔導を止め確認をする。するとそこにはなんと、焦げ臭い匂いと共にこんがりと焼け焦げた土蜘蛛の姿があった。

 

「か、勝った?勝ったぞ!!なんだ大したことねぇじゃん!レベルも……30超えて31だ!」

 

 思った以上の成果に大喜びの古内。この喜びの前にはレベルアップ酔いをも意味をなさず、湧き上がる活力がすべてを押し流していく。

 

「これならいける!あの龍を倒せるぞ!」

 

 目標である龍の撃破に現実味を帯び始めるのだった。

 

 




~おまけ~
・土蜘蛛
 大きな蜘蛛。体長は最大で2~3メートルぐらい。地中に巣を作り、そこからの不意打ちによる狩りを得意とする。毒を持っておりそれで獲物を弱らせたり、その他糸で拘束や移動をする。
 正面戦は苦手なので、基本的に巣に攻撃して誘い出すやら叩きだして戦おう。上手くやれれば巣に攻撃した時点で終わったりする。人間界では初心者狩りで恐れられているが、対処法を知っていればそれなりに鍛えている一般人でも倒せる。
 なお古内が戦った土蜘蛛は人間界の3倍は強いし、一回り大きい。搦手を使われずに直接殴りに来られたら古内は重傷を負っていた。
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