転生者の復活記~死にぞこないの物語~   作:バトルマニア(作者)

2 / 37
転生できるらしい

 何もない空間に、誰とも知れないヤツがいた。

 

「ここ何処よ?いやマジで……」

 

 そいつは記憶を探りながら考え込む。

 

「え~と、確か……」

『死んだんですよ。バイクで山道を走行中に事故で、です』

 

 急に声が聞こえ、そいつが驚く。

 

『馬鹿みたいにとばしているから、操作を誤って崖下に落っこちたんです。思い出しました?』

「思い出した。でも仕方がないだろ、残業続きで疲労困憊、テンションがおかしくなってたんだ。で、お前誰?と言うか何処?」

 

 そう言い再度見回すが、誰もいない。それどころか、周囲の認識すらできない。

 

『この場に名前なんてないんですよ。私はこの世界に流れ着いてきた魂を転生させるシステムみたいなものです。ってことで転生できますが、しますか?』

「は?マジ?」

 

 システムに転生するか聞かれ、拍子抜けになっていた。

 

「て、転生?できんの?」

『できますよ。で、どうします?ステータスとかもありますが?』

 

 それを聞いた転生者は……

 

 

「や、ヤッター!異世界転生キタコレ!!チート使って無双できるんじゃね!!」

『死んだというのに随分と……。まぁそれは貴方の容量次第ですね。今確認するのでしばしお持ちを……』

 

 その確認の間、転生者は今までの人生を勝手に語りだしていた。

 

「いや~、前世はいいことなんてなかったからな。不運だったと言っても過言じゃない。イジメなんてのはなかったが、友達なんていないし、親兄弟含めて人間関係もいいとは言いがたかった。就職してからもブラック企業に入っちまって苦労と理不尽の連続、そんなオレが転生とは……」

 

『確認終わりました。貴方の残り容量は……』

 

 感慨に浸る転生者を無視して、システムは話を続ける。

 

『300です。まぁ転生者にしては随分と低いですね』

「は?」

 

 呆気にとられ、口をパクパクさせることしかできていない転生者に、システムは説明を開始しようとした。

 

 

「では転生の……」

「いやいやちょっと!説明してくれ!」

 

 転生をさせられる前に声を上げる転生者。

 

『だから転生の説明……』

「そうじゃなくて、なんで低いんだってところだ!」

 

 勢いよく気になっていたとこを質問する。

 

『そうですね。ではこの際ですので、すべて説明しましょう。あとでグチグチ言われてもうるさいだけなので』

「頼む!」

 

 詳しく説明をする気になってくれたようで、転生者はそれに喜ぶ。

 

『貴方の容量は低いです。普通転生者なら、低くても1000は越えてます。この水準は、不便のない人生を送れる程度ですね。それに比べて貴方は300。記憶や自我を保ってられる最低値で、創作物のような高い能力や特別な力などとは無縁の数値です』

 

 どうやら、意識はそのままだが、転生者の思っていた無双やチートとは無縁のようだ。

 

「あの、その……数値を上げる方法とは……?」

『記憶や自我の廃棄ですね。魂の強度は転生するのに十分なので、謎に容量を食っているその部分をどうにかするしかありません。因みに廃棄すれば軽く10倍いや100倍ぐらいになりますよ、多分。まぁ貴方には無理でしょうけど』

 

 どうやら、記憶などが原因で容量が削られているようであった。

 

「波乱万丈だったとは言え、そんなに圧迫してたのか。まだ26だったのに……あと記憶の廃棄は無理だな、普通に。最適化とかできない?」

『表層はできますが、中層以降は情報量が多く複雑すぎてあまり手出しできません。どうしてもと言うなら、廃人覚悟でやってもいいですが?』

 

「いややめてくれ、精神崩壊とか洒落にならん。できる範囲で頼む」

 

 そうして最適化が始まる。すると、転生者は一瞬気分が良くなり。

 

『分かりました……終わりました。500ほどになりました』

「早って、てかひっく!それでも半分かよ!」

 

 一瞬で終わった作業と、それでも大した事のない結果に驚きを隠せない。

 

『仕方がないでしょう。所詮は小手先だけの応急処置です。てかこれでも捨てまくりましたからね、文句言わないでください。適当なスキル付与して問答無用で転生させますよ』

 

 文句を聞いたシステムは、少し苛ついたのか脅しをかけ転生者を黙らせる。

 

「ゴメン!悪かった。許してくれ」

『別にいいですが、一つ。暴力を受けなかったからイジメじゃないとか考えない方がいいですよ。深くは見てませんが、アレは完全にアウトです。貴方が異質でポジティブだったから酷く見えなかっただけですから』

 

 

 酷いものを見たという感じに、システムはそう言った。

 

「そうかな?別に実害は出てないからいいんじゃね?」

『それは貴方が気にしてなかっただけでしょう。それに年並外れた能力の高さと異常な思考回路。すべてが奇跡的な配分で、事態が悪化する前に解決してます。それが貴方の能力では?』

 

 どうやら、持ち前の能力の高さで、序章ですべて終わらせていただけの話しであった。それにしては嫌われ過ぎだろうとシステムは思っていたが、見ていく途中で異常者だからと納得していた。

 

『では転生の説明と準備を始めます』

「よしきた!どんとこい!」

 

 そうして、異常者の転生が始まったのだった。

 

 




 ~おまけ~
 ・転生者容量について
 容量300……自我と記憶が保ってられるギリギリの範囲。それがあるだけマシな方で、大した能力は得られない。

 容量1000台……不便のない人生を送れる程度。初期からそこそこの才能に恵まれており、鍛えれば上位に食い込むことも容易なレベル。

 容量2000台……当たり前のように特殊能力又は、突出した才能を持っているレベルの容量。人生楽しく過ごせそうなライン。

 容量3000台……能力社会でも余裕で上位陣に行く込めるレベルの容量。無双も夢ではないかもしれない。

 容量4000台……人類の領域を超え始める領域。まだギリギリ踏みとどまってる感がある。

 容量5000台……人類の最高値。やりようによっては神みたいな存在になることも可能。

 ・ちょっとした解説
 初期から才能や能力などを持っていた場合。例として、最大2000あるけど、能力か才能の数値引いて残りの空き容量1000ぐらいと言ってくれるのだが、主人公の場合は、解析できない領域があるので、わかる範囲で数値を出しているためやけに低くなっている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。