転生者の復活記~死にぞこないの物語~ 作:バトルマニア(作者)
気が付くと大海の上にいた古内は、いつも見る顔の見えない女性を見ていた。
(また、この夢?)
時々見る起きたら忘れてしまう程度の夢であり、前後関係もあやふやな夢だったが、それは誰かの人生の物語のようだと直感でわかるものだった。
(なに……)
そう思った瞬間に、影が差し、巨大なドラゴンが女性に向かって飛んできて目の前で止まる。
(なに、はなしてんだろ……)
相変わらず音も色もわからないが、話が進むたびに少しづつ雰囲気だけは伝わってくる。
(怒ってる……?)
交渉が決裂したのか、ドラゴンが先制でブレスを使った。それは単なる炎のように見えたが、その範囲が凄まじく、恐らく宇宙から見てもわかるレベルのものだった。
(効いてない)
だが女性は無傷だ。傷どころかホコリ一つついていない。そして女性には敵意はなく、好意的にドラゴンに話しかける。
(あ……)
だがドラゴンは、ますます怒り先ほどより強力な光線のようなブレスを吐く。
それは女性の体を貫き
(やっぱ、きいてない……)
光線は星の重力を飛び越え遥か彼方へ消えて、女性は光線を透かしたように平然としていた。そこでドラゴンは、更なる力を使い再び女性に向かって攻撃を仕掛けようとする。
(あれは……)
だがその瞬間、女性の体から黒紫のモヤが染み出した。
(なに?でも……)
ドラゴンはそのモヤを目の前で見て、不気味な感覚に襲われたのか気分を悪くしながら慌てている。そんなドラゴンを無視して女性は何かつぶやきながら、少し不機嫌そうにドラゴンを見つめ、モヤを制御するかのように手を振った。
(あ……)
すると突然、上空に巨大な金属球が現れた。それは以前見た宇宙船で、古内はこんなにもデカかったのかとどこか感心したように宇宙船を見る。だがドラゴンは驚くばかりで、その球体の正体を知ることができていなかった。
(すごい……)
次の瞬間、金属球から放たれた衝撃波と暴風が、ドラゴンを吹き飛ばし、近くの海に巨大な水柱を立てながら叩き落とした。女性は金属球を見上げながら、よくやったと微笑む。
(むちゃくちゃな……)
彼女は、ドラゴンに害を加えるつもりはなかったが、自分を排除しようとする敵には、決して手加減をしないことを示したのだ。
(はは、ばけもんめ……)
女性の指示で、金属球は再び大空に姿を消した。そして女性は、海上に浮かぶドラゴンを見つめ、呆れたようにしながら再度要求を突きつける。
(なにも できないのか……)
ドラゴンは圧倒的実力差を見せつけられ、何も言えなくなり、苦渋の決断と言わんばかりにその要求を受け入れるしかなかった。その瞬間、世界を壊さない程度の空間の歪みと、謎の光がネットワークの世界全体に広がり始める。
(これで、おわり……か)
世界が掠れ意識が浮上するのを感じ、見ていたものが薄れていく。現実では何かと戦っていたのだと、夢なんて見てる暇はないのだと、いつものようにキレイさっぱり忘れ――
(は?)
女性が最後にチラリとこちらを見たを感じ、完全にここでの意識が途絶えるのだった。