転生者の復活記~死にぞこないの物語~   作:バトルマニア(作者)

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スライムが、仲間になった……はず

 急いでスライムを引き剝がそうと近づく古内だったが……

 

「どうすりゃいいんだ!」

 

 そもそもどうやって引き剥がそうかと盛大に悩む。ボロボロとは言え、龍の死体はそれなりに使い道があると調べはついている。できるだけ傷つけずに取り返したいが、スライムはべったりと張り付いて引き剥がせそうにない。

 

「やべぇどんどん溶かされていくんだけど!?スライム強すぎだろ!」

 

 無抵抗の死体を取り込むにしたって早すぎる消化速度に更に慌てる古内。そして触れたら自分も溶かされるのではないかと手が出せずに、形が崩れていく風龍の死体を眺めることしかできない。

 

「鱗とか外郭はさて置き、血とか肉とか臓器とかでなんか作れたかもしれねぇのに!骨だって!ああそこまで溶かすのかよ!!」

 

 骨一つ残さない様子で隅々まで溶かされる。そして古内が慌てふためく十数分ですべてがスライムの胃袋に収まり、そこには巨大なスライムだけが残った。

 

「あ、ああ……なんて、ことを……ゆ、許さん!絶対に許さんぞ!貴様っ!!」

 

 怒りに任せ炎魔導を放つために手に力を込める。

 

 しかし――

 

「な!こいっ――!?」

 

 それに反応したスライムが古内へと飛び掛かり、瞬く間に取り込まれてしまった。

 

(や、ヤバい!溶かされる!?)

 

 粘度の高い液体の中で身動きが取れず、回復したとはいえそれは動けるだけの全快ではない状態だ。こうもがっしりと掴まれてはどうしようもない

 

(す、ステータスだ!俺のバカ!慌てててみるの忘れてた!まずは相手の能力を確かめないと!)

 

 いつまでたってもダメージがないことから、生きている相手には消化に時間がかかるのだろうと判断した古内は、一旦冷静になりステータスを確認する。

 

 

粘性生物(スライム)

・Lv22

・能力・完全吸収・緩和収束

・スキル なし

 

・完全吸収……取り込んだ相手のすべてを手にする。それにより最低値が決まり、再現時には自分の実力が上回っている分だけ加算される。ただし取り込んだ部分しか再現できず、スキルやレベルもこれにより吸収され、スキル取得及び素のレベルアップに大きく制限がかかる。

 

・緩和収束……自身の許容量を超えたダメージや負荷を受け付けない。あらゆる不都合は、緩和され収束して消えてなくなる。

 

 

(はぁ!?バケモンやんけ!どうせいちゅうねん!)

 

 風龍なんぞ比べものにならないほどのバケモノ具合に突っ込みを隠せない古内は

 

「おぼあがおぼ……」

 

 誤って口を開けてしまい、中にスライムが中へと流れ込んできていた。

 

(息もできねぇなのに!ふざけんな!)

 

 形は保っているものの、体内は外見よりもボロボロであり、そこを攻撃されてしまえば残り時間を苦しみながら終えることになるだろう。

 

(どうにか、どうにか……ん?苦しくない?)

 

 そこでとあることに気が付き、古内は普通に呼吸のようなことができていることに気付く。

 

(なんで?油断させようとしてる?それとも俺って最初っから呼吸に空気必要なかった?)

 

 種族も能力も不明な古内は、まさかそう言う種族だったのか!?と一瞬希望が見えたが、結局行動できない事には変わらず、冷汗を流す。

 

 

(どうしよう。でもダメージもないんだよな。なんか全身触られてるだけみたいな。まさか俺が窒息するまでまってんのか?)

 

 攻撃能力はホントに無いようで、溶かされている感じもない。全身を触られている感覚はあるようだが、これにどういった意図があるのか古内には分からなかった。

 

(再現ってことは、さっきの風龍とかにもなれるんだよな?死体とはいえ取り込んだんだから。さっさと風龍にでもなって……まさか取り込み中は変身できない?それとも俺の解釈が間違ってる?)

 

 鑑定などの相手の情報を見るものは、実力差が離れていたり、能力だったりすると見れる情報に制限がかかる。特に能力の場合は、システムの解析次第なので、複雑なものは結構いい加減だったりする。

 

(まぁ何でもいい。ともかくこの状態をどうにかしないと。まずは魔力を外に出せるかだ)

 

 仕方がないので一つ一つ試していくことにした古内は、手始めに魔力を体外に放出した。

 

(ダメだ食われる!それどころか流れを辿って……こいつが何もできないのが唯一の救いか……)

 

 流れを把握され内部へと何かを流し込まれる。しかしそれだけで何かをしてくると言うことはない。ただ居座るだけで何もしてこないのだ。

 

(おかしい、いくら攻撃能力がなくてもここまで入り込まれたら簡単に俺を殺すことが出来るはずだ。なのに何もしてこない。何考えてやがるこいつ?)

 

 もうすべて掌握されかけている。すくなくとも古内が自分で感じる部分はだが、それだけでも十分すぎるのだ。

 

(……こうなったらやるっきゃねぇ、こいつと契約して仲間にしてやる)

 

 少しづつ侵食されている。全てを奪い取るかのようにだ。だから古内は、先手必勝として、魔力を操り水ライムの中へと染み込ませる。

 

(抵抗がない?想定外?それとも……いやなんだっていい。こうだ!)

 

 スライムの体内で契約の魔導を使用し、それは抵抗なく行われ契約を済ませる。

 

(なに!?急に動きが!?成功したはず……!?)

 

 契約は滞りなく終わったのだが、その瞬間にスライムは古内のことを満遍なく触りだす。それに驚いたと同時に意識が薄れ

 

(ダメだ、意識が、眠い……)

 

 完全にど切れるのだった。

 

 




 ~おまけ~
・契約について
 契約は魔法や術式、魔導などできる。元はチームを組んだりするときに、情報伝達や結束を高めるために開発された技で、それをより高度に改造したもの。今では契約術式として幅広く使われている。
 内容や強度も様々あり、どれにも共通しているのが、破った際に契約が切れて相手に把握されるというもの。罰などは初期設定次第なので必ずあるわけではないが、約束を破ったことがバレるのでそれだけで十分だろう。
 因みに基本、強制契約とかはできない。契約した後の強度は高いが、契約するまでの過程は、完全なる無抵抗か、相手が同意したり寄り添ってこないとできないレベルで貧弱だからだ。
 おまけに仮に契約ができても、両者が同意又は理解している部分までしか発動しないので、説明不足だったり隠している部分までは効力が発揮されないし、ガバガバだったらその分弱くなる。
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