転生者の復活記~死にぞこないの物語~ 作:バトルマニア(作者)
柔らかな風が顔に当たり、古内は目が覚め周囲を見渡す。
「なにも……いやいる?」
スライムとの繋がりを感じ、立ち上がり周囲を良く見渡す。
「成功したのか……それに調子もいい。まさかあいつがやったのか?」
傷一つもないどころか、今までにないほど調子がいい事に気が付いた古内は、その調子でスライムとの繋がりを辿って探そうとした。だがその必要はなく、ズルズルとあちらから草をかき分けやってくる。
「お前だったのか、スライム……」
一応警戒はしていたが、間違いなくスライムだった。そして返って来た返答が……
「え?くれるの?」
デカい葉っぱと共に何かの肉をポッと吐き出し、目の前に差し出すスライム。一応繋がりができたことで、スライムが伝えたいことが古内にもぼんやりと理解できた。それは友好の印と
「名前が欲しい?まぁそうだな。スライムじゃ味気ないしな」
判別もつきづらいし、この際だから要求通り名前を付けた方がいいだろうと考え込む。
「う~ん?スライムだから……」
気の利いた名前を考えようと頭を悩ますが、いい名前が出て来ない。自分のような前世でよくある名前などではなく、せっかくなので異世界っぽいかっこいい名前にしようとブツブツと呟きスライムの様子を見るが、どれも反応がよくない。
「……ライム?とかどうだ?」
スライムのスを取っただけの簡単な名前。だが響きがよく、かつ探せばいそうな名前なのでどうだ?とスライムの目?を見つめる古内。
「お~受け入れてくれるか!よかったよかった!ついでに俺の苗字もやろう。特に凄いもんじゃないけど」
しばらく経ち、スライムは気に入ったと言う反応を見せ、ステータスでも確認してみるとばっちり『古内 ライム』の文字が書かれていた。
「にしても腹がすいた。せっかくだしお前も一緒に食おうぜ。俺は料理が得意なんだ」
今までにないほどの空腹を感じ、目の前の旨そうな肉を持ち上げる古内。そして魔導で近くにあった大きめの石を切り出し、それを熱し始める。
「スパイスは……まぁ適当に薬草とかでいいだろ」
今までため込んでいた香料になりそうな薬草っぽいものを使って、肉を柔らかくするために叩きながら擦りつけていく。
「調理器具とかも作らなあかんな。生存補正も終わったし、草食ってばっかじゃ栄養失調で死にそうだし」
今までは適当に草を食っておけば腹が膨れていたが、寝ている間に生存補正が切れたこれからはそうもいかない。それに今までまともなものを食べられなかったから、これからは美味いものをたくさん食べたいとも考えていた。
「人間界に行ったら美味いもん一杯食ってやるんだ。この肉みたいな……」
肉を焼いていると、旨そうな肉汁と匂いが漂いよだれが垂れる。前世で一人暮らしで自炊したり、美味そうだな~と見ていた料理動画、そして何より今世で手に入れたスキルでそれなりのものが作れるようになったのだ。
「ん?そういやこの肉、何の肉だ?」
そこで気が付く。この肉は何の肉なのかと?古内は転生してこの方肉など食ったことがない。食わなくてもよかったと言うこともあるが、それらしい食材を見つけられなかったからだ。
「え?オーク?食えんの?」
そこでこの肉がオーク由来だと知る古内。元々こういう肉なのか、それとも特殊な下処理をしたのか、古内は頭を悩ませる。てかそもそも寄生虫とか病原体とか大丈夫だろうかとも思っていた。
「ま、美味そうだし大丈夫だろ」
とは言え古内は、生存補正ありきとは言え、よくわからないものを食いまくって来た経歴がある。なので別に腐ってたわけでもないから火通せば大丈夫だろうし、何より耐性も高いから大丈夫だろうと判断した。
「よしできた。これお前のな」
デカいステーキを二つに切り分け、ライムへと渡す古内。そして思いっきりかぶり付き
「美味い!豚顔っぽかったからもしやとは思ってたけど、まさに豚肉の厚切りステーキだな!」
ムシャムシャと美味そうに肉を頬張る。ライムも一口で取り込み、中で切り分けながら消化して満足そうだ。
「へ~情報系のスキルで分かるんだ。てことは掲示板でも……あ、普通にあったわ。和食再現とかもある。あっち出身の奴もいるんだな~」
食べながらチラッと探してみたら、どうやら魔物は食用にできる種類があるらしく、オークは豚肉そのものだと書かれていた。今まで特に困らなかったし、余裕がなかった古内は見過ごしていたのだ。
「にしても情報系か、一応スキルには入ってるから使えるちゃ使えるけど、ここじゃ本家に劣るんだよな」
これは古内が使い方がイマイチわからないという事だ。技術系は感覚などに働きかけるスキルなので、補助しやすいので古内でも十全に扱える。それに対して情報系は、知識や学などを覚えやすくしたり、違和感のない程度に与えるスキルなので、その知識に触れると言う前提がなければ持っていても大した効果はない。
「へ~所有者はそれなりにいるけど、高レベル保持者は結構少ないんだ。大半は技術系で補えるからかな?まぁ前世でも学者とかは少なかったし、豆知識とか雑学程度じゃこんなもんか。一般人なら最悪なくても困らんだろうし」
感覚が優秀すぎて、それで大半は解決してしまえるので、詳しく深い知識を付けずに終わることが多いらしい。そもそも頭を酷使することなんて少ないだろうし、広く浅くでは大して高レベルにはならない。てか持っていなくても、普通に生活する上で特に困らない者の方が多いのだ。
「っと、ご馳走様!いや~久々の肉は美味かった!ありがとな、ライム」
大満足の古内と、おいしかったですねと同意するライム。そして古内はライムに向き直し
「改めてだが、これからよろしく頼む」
そう言うと、ライムもこちらこそと意志を飛ばして、より強い繋がりができるのだった。
~おまけ~
・情報系スキルについて
その知識分野に関しての記憶の上昇や拡張、アイデアの補助などが詰まったスキル系統。○○知識や○○学、○○叡智など様々な種類がある。
ステータスやシステムがバレないように隠蔽しながら作用しているので、違和感のないように可能性的にありうる範囲の知識しか追加されない。また文明レベルを過度に上げないようにの対策などもされている。
因みに転生者の場合も同じだが、鑑定や解析などで明確に見えるので、そのアドバンテージの高さはそれ以外との比ではない。
なお情報系は、転生者の要望が切っ掛けで生まれたスキル系統である。知識無双したかったらしい。