転生者の復活記~死にぞこないの物語~ 作:バトルマニア(作者)
なんやかんやで一か月ほど時間をかけて準備を終わらせた一人と一匹は、山脈へと足を踏み入れていた。
「麓の方は森で、上に行けば行くほど動植物が少なくなるか。普通の山脈と変わらないな。頂上に行ったらいい景色が眺められそうだなぁ、ライム」
服の中に入れたライムに話しかけながら、鬱蒼と茂った森の中を歩む古内。その足取りは慎重で、気配も最小まで抑えて周囲に溶け込ませている。独り言も口には出しているが、外には響いていない。
「雲に届くぐらいだもんな。いくら強力な植物でも流石にそこまで繁殖はできないか。それとも……」
詳しくない古内でもわかる程巨大で、低く見積もっても標高3000メートル以上はありそうな山脈だ。きっと頂上かその先に強力な魔物でもいるのだろう。
「まぁいいや。にしてもライム。お前の案は凄いな。自分が防具になるって」
話を変え、ライムを褒める古内。それに好印象を抱いたのか、ライムは少し揺れて古内はくすぐったがる。
「おお、揺れるな揺れるな、くすぐったいって。で、隙間を狙われてもお前のお陰で防げるし、怪我しても覆って回復してくれるなんて至れり尽くせりだな。それに持ち運びにも便利だ」
現在のライムでは、便利でも戦力と言う面ではあまり期待できないし、古内の戦闘に付いていくこともできない。そのためサポートに回ろうと話し合ったのだ。
「しかも邪魔にならないし、重くもない。何なら強化までしてくれるとは、お前俺より魔法使い熟してるな?」
ライムは何でも真似て使い熟す天才だと言っていいだろう。魔法や魔術に限らず、情報さえあれば能力までも思うがままだ。汎用性や万能性で言えば、古内とは比べるのもおこがましいほどの差がある。
「なにより回復してくれるのはホントありがたい。俺も怪我しないように頑張ってるが、どうしても上手く行かなくてな。致命的だからどうにかしたいんだがな……」
今まで練習はしてきたものの、心底では生存補正に頼り切って来た節がある。そのため回避や防御が疎かで、勢いに乗ると強引な攻撃もいとわなくなる癖がついていた。
「幸いタフなのと回復が速いから多少は無茶が効くんだが……ああ、悪い悪い!そういうことは止すから怒んなよ……」
もっと体を大切にしてくれと、ライムから怒りを受け悪い悪いと謝る古内。ライムとしても、折角の仲間を失うのは嫌なのだろう。だから全力で抗議しているようだ。
「そうだな~。お前が守ってくれると安心だな、ライム」
はて?これは、信頼している証か、それとも介護してくれ宣言なのか?ライムにはわからなかったが、頼られている気がして悪くないのか大人しくなるライム。
「ま、それにゆくゆくは俺と肩を並べて一緒に戦おうな。当分先になるだろうが、それまでには俺も立派になってるだろうからさ」
ライムが力を付けるまでの間はこのスタイルで行くと決めている。だが古内は分かっているのだろうか?他者を真似れるライムの成長力と言うものを
「っと、そう言ってたら魔物のお出ましだ。やるぞ」
そして魔物の気配を感じ取った古地は、戦闘態勢に入るのだった。
~おまけ~
・山脈について
安全地帯を除けば一番安定した場所。他の地域に比べて魔物も弱けりゃ、異常に多いわけでもない。これも山脈の先にいる者のお陰なのだろうか?