転生者の復活記~死にぞこないの物語~ 作:バトルマニア(作者)
転生者はとある事を考えていた。
(名前どうしようか?)
死なない事がわかり、草を食べたり鍛えられるだけ無茶をしてスキルの練習をしたりと色々やって一週間、ふとそんな事が頭に浮かんでいた。
(名前が無いと不便だ。それに掲示板にだって、名持はいいって書いてあったし)
この世界では、名を持つ事が地味に重要になってくる。なぜなら、名を持つと存在が安定し能力が上がりやすくなるのだ。これは、システムが対象をキチンと認識できるようになり、その恩恵を受けやすくなるなどの理由がある。
(で、どうするかな?前世の名前は覚えてないし……)
転生者は容量欲しさに最適化を行ったせいで、人格に影響が出ない記憶を破棄されてしまっていた。そのせいで名前も含めたほとんどの事を覚えていないのだ。
(大まかな記憶と感覚的にわかる事は多いけど、正確な事柄が思い出せない。まるで最低限だけまとめて残されて、それ以外を全部捨てられた感じだ。実に不思議だ……)
もっと言うと、大量にあった名前付きファイルを“大切な物”という最低限しか入らない一つのファイルにまとめられて、残りを捨てられたようなものだ。だから中身は何となくわかっても、場所や人の名前などが欠如していた。
(まぁ大切だと認識してた単語はあるから、それで適当につなぎ合わせるか。あと掲示板とかも見て参考になりそうなのも探せばいい。魔物の名前とかは当てにならんし……)
そう思い転生者は、いつものように掲示板を見ながら名前を考える。
(いつも思うが、なんだかネットスラングとか中二病っぽいのが多いな。異世界だからか、そういう転生者が多いのか)
掲示板の利用者は、システムに干渉できる転生者や迷宮主と言った世界について理解のある者たちで構成されている。
(質問コーナー?……なんかシステムとか管理者とかいるんだが……)
中には質問コーナーなどもあり、システムや管理者などがバランスや世界観を壊さない程度であればなんでも答えてくれるものまであるのだ。
(ま、まぁ今のところは掲示板は見るだけであまり使わないと決めてるからな。のめりこんだら大変だし、安価とかもっての外だ)
極力掲示板への書き込みはしない事にしている転生者。なぜなら、死なないにしても危ない事態なのには変わりなく、今は兎に角生活基盤を整えなければいけないからだ。そこに人付き合いが苦手なのも合わさり、なかなか手が出ないのだろう。
(そういや今世じゃオレは女か、実感が薄いが相応の名前の方がいいよな)
年齢が低いせいか性別に実感が湧かない転生者は、折角だしと女性らしい名前を考える。
(異世界っぽい名前は……ありきたりな奴ばっかで参考になりそうなのがないな。やっぱ前世と同じ感覚で付けるか)
名づけスレとかいうものを見つけた転生者だったが、ふざけた名前やありきたりな物しか出てこず、カタカナ表記の名前を諦める。というよりそもそも感性に合わなかったようだ。
(じゃあ、え~と、木枯……いや違う。平片……これも違う。古内……これだ!古内 明理にしよう!)
ゴロがよさげなものを思いつき、予定調和の様にそう決める古内。すると体に力がみなぎり……
『名前決めたんですね』
(し、システム!?)
システムが話しかけてきたのであった。
~おまけ~
・名持ちについて
名を持つとシステムに認識されやすくなり、その恩恵が受けやすくなる。更に有名になり異名持ちになると、その効果はさらに高くなる。理由は、名を持つ者を特別な者として認識し、さらに追加で異名を持つ者は世界にとって有益に働く可能性が高いためそうなっている。
・システムについて
明確な形は持っていないが、しいて言うなら世界そのもの。世界の存続のためらな割と何でもするため、敵対すると大変なことになる。