異能学園の用務員   作:バトルマニア(作者)

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報告

 オーディンに終わったことを伝えて、生徒を保健室に送った後に、母親のいる場所へと向かう小崎。

 

(校長室って、あっちでもなんかあったのか?)

 

 探知で反応があったことと、先ほど連絡が来たことで場所を知った小崎は少し面倒を感じながら廊下を歩く。

 

「ん?」

「あなたでしたか」

 

 校長室が見えてきたところで足を止める小崎。そうすると影の部分から誰かが出てきて、小崎はそいつに話しかけた。

 

「シャドウさんでしたか。ここで警備を?」

「はい。呼び出された者以外は通すなと言われています」

 

 薄っすらと闇を纏い、腰には二丁の拳銃を携えた黒髪を長く結んだのが特徴の少女がそういう。

 

「じゃあ通っていいか?母さんに呼び出されてるんだ」

「はい、どうぞ」

 

 そう言い道を開けるシャドウ。

 

「本人確認とかは?」

「あなたと麻希様は見れば本物かどうかすぐにわかります。それに、偽物でしたらわざわざ姿なんて現しません。今回は一応声をかけただけです」

 

 シャドウは影精霊という種族で、精霊は人よりも色んなものを見て判断している。もちろんそこら辺も偽造する者もいるが、こと小崎家に関しては一目見た瞬間にわかってしまうらしい。

 

「そうか……。あなたも大変ですね」

「いえ、そうでもありません。では」

 

 そう言い切ると、シャドウはまた影の中へと消えていった。それを見終わった後に、小崎はノックをして校長室へと入っていく。

 

 

「おっ、来た来た。そっちも大変だったみたいね」

「オーディン君から話は上がって来ているよ。事が大きくなる前に収めてくれて感謝する」

 

 中へと入ると、学園長と小崎の母親である麻希がそう声をかけてきた。

 

「失礼します。母さんの方でも何かあったんですか?」

「そう弁えなくてもいい。そうだ。麻希さんのところでも襲撃があったみたいだ。しかも都合よく監視カメラの類も破壊させられていたから、状況もよくわからない」

「まんまとしてやられたよ。ピンポイントにあんなことやってくるとは思わなかったな。あれは学園内に主犯がいるよ」

 

 困った要に顔を歪ませる学園長とは違い、麻希は楽し気にしながら椅子に座って机の上に置いてある菓子を食っている。

 

「そこまでわかってて調べないのな」

「相手の正確な情報も目的もわからないし、たぶん今のままじゃ逃れるすべはいくらでもあるだろうからね。ちょっと泳がせるのが吉よ」

「ちょっとで済めばいいが……」

 

 学園長の負荷が増えていくのをよそに、麻希はニコニコで最後の一つのお菓子を食った。

 

「で、一応聞いてるけどそっちの話を聞かせてよ」

「わかった。こっちじゃ……」

 

 軽い説明を二人にする小崎。それに頷きながら静かに聞く二人の態度は、片方は少し安心したようで、もう片方はつまらなそう聞いていた。

 

 

「なんだいつものことか」

「それも見過ごせん事だが、事情が分かってるだけまだマシか」

 

 内部で起こったことに関して、学園長はさっそく改善策を考え始め、麻希はどこまでもつまらなさそうだ。

 

「つまらなそうだね。母さん」

「まぁね。知ってる奴が失敗しただけじゃ面白みに欠けるってだけ。ま、苦情の一つは入れてやるけどね」

 

 麻希は、イベント事には寛容だ。襲撃者や未知の敵となると喜んで戦いに行くし、スパイが部下や生徒の中に入っていても、あとが楽しみだと言って別に積極的に探し出そうとはせずに好きにさせている。だが内部で起きたことに関しては大して関心がなく、最低限のことしかしていない。

 

「そう言わないでくれ。君が仕切ってる組織だろ」

「喧嘩売ってきたから潰して部下にした。管理してるのも暇つぶしで、そっちの言う最低限を守らせてるだけだ。十分だろ?」

 

 おとなしくなり、疑似的にとは言え麻希のいることによって政府の把握できる程度の組織と化した元犯罪組織たち。だがそれもこれも麻希さんあってこそなので、彼女がいなくなった後は混乱と混沌が渦巻くことになるだろう。

 

「……はぁ、君にはどれだけ言っても無駄なようだ」

「そう言うなよ。ため息は幸せが逃げるぞ」

 

 完全に遊ばれている学園長は、ますます疲れた顔になり肩を落とす。

 

「あっ、そうだ。ワタシの清掃エリアもっとこっち側にしてよ」

「あまり君を表に出したくないんだが」

 

 地図を取り出して学園長にそう言う麻希。本人にはまったく自覚はないが、仮とは言え裏世界のトップなので、あまり顔を出してほしくないのだろう。だが麻希にはそんなこと関係ない。

 

「そう言うなよ。これも犯人を誘い出すための罠だと思ってさ。今回は手練れだろうから普通の警備システムじゃ無理だと思うし」

「ほんとに君には何も通じないみたいだな」

 

(本家の異能を体験したいってのもあるんあろうな。ここはいる前は書類ばっかって話だったし……)

 

 組織は無暗に大きくするもんじゃないと言っていたことを思い出し、そう思う小崎。麻希だってはじめは責任感などで頑張っていたが、ひと段落ついたのと遊べなくなったストレスで過度なことをしなくなっただけである。まぁ、遊び相手として見逃されていた者たちも多いが……

 

「まぁ今回の話はこれで終わりだ。何かあれば追って話を通す」

「じゃあお願いね~」

「こっちも残りの仕事に戻ります」

 

 そう話が終わり、三人は各自仕事と後始末に戻るのだった。

 

 




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