振り返った先には、二人の女性が快人の方へ来ていた。一人は普通の少女であり、あと一人は体格のいい背の高い女性だ。
「奇遇っすね。こんなところで出会うなんて」
「うむ。お前の事だから親の遊びに付き合わされてると思っていたぞ」
「母さんは魔界の方へ出張中だ。てかそうじゃなくてもどうにか断る」
それを聞いた二人は、少し微妙な顔をしていた。
「魔物だの怪人だの魔族だのこの世界はどうなっているんだか」
「そうっすね。先輩に会ってからどんどん新しいものがででくるっすから」
異能とか最たる例だしと言い合う二人。
「そういやお前たちはなんでここに?」
「ん?ああ、普通に買い物だが?」
「そうっすね。別に忙しいわけじゃないっすよ。最近はむしろおとなしい方だと思うし」
今回はただの買い物のようで、更に言うと最近は結構楽できているようだ。
「そうか、まぁやるとしても俺のいないところでやれよ」
「そう言わずに手伝ってくださいよ。ほら、一般人が被害に合うのは見逃せませんよね?」
「うむ、私たちは戦えても守るのは苦手だからな」
正義感が強い二人は、いつも出会うとこんなことを言ってくる。おまけに少女の方は学生時代の後輩と言うこともあって同じ町の住人だ。今は休日の散歩中ぐらいしか出会わないが、学生時代はそっちゅう絡まれていたぐらいだ。
「それでいいのか……?一応怪人から市民を守る魔法少女ってやつだろ」
「そういう先輩も似たようなものっすよね?」
同じ秩序を守る者同士頑張りましょうという少女。
「うむ。力あるものは弱者を守らねばいけない。隣町の魔法少女もそう言っていたぞ」
「お前は戦いたいだけだろ。てかあの人まだ魔法少女してんの?もう少女って年齢じゃない気がするが……」
女性にも正義感はあるが、実は戦闘できるから魔法少女になったという経緯がある。ただその責任感は本物で、他の魔法少女との関りでそのことを学び、多くの人を助けたいと思っていた。
「どうやらあっちの魔法少女は、契約した瞬間から不老になるらしい。羨ましい限りだ」
「経緯が違うから同然っすよ。でもあんなに魔法少女の種類があるなんて驚いたっすね」
「それだけじゃないが、なにより関りがなかったことに驚きだったな。似て非なるものとは言え」
なった経緯も違えば戦う相手も違う。中には組織的に運営されているものもあるのだ。なぜこんなに種類が豊富なのか謎だが、一番の謎は異能が出始めるまで殆ど関りがなかったところだろう。魔法、能力、陰陽師に限らず、似ていようが似ていまいがも関係なく、あらゆるものが微妙にズレた位置にあり絶妙にかかわらず認知されていなかった。
「ん?」
「なん……こっちか?」
「せっかくの休日なのに……」
そんな話をしていると、空間が揺れ次元が移り変わる。
そして……
「見つけたぞ!ここで会ったが百年目!今日こそ貴様らの命日だ!」
体格のいい大柄な怪人と機械でできた武士のような怪人を引き連れた、軍服のような服を着た女性がそう叫ぶ。
「なんすっか。また性懲りもなく」
「前よりかはマシみたいだがな」
呆れた顔をしながら二人が前に出る。それに合わせて、怪人二体も軍服女を守るように、前に出てきた。
「そう言ってられるのも今の内だ!前回と違いこの二体は我が組織の最高傑作!貴様らごとき簡単に捻り潰してやる!」
(あれ?前にも同じこと聞いたような?てかまだこんなことしてたのか、こいつ)
前回巻き込まれた時も、似たような文言で脅しにかかってきたことを思い出し、ついでに軍服女も学生時代の後輩、それも同じ部活の地味子とも言える子だったことを思い出す快人。因みに両者とも学校では接点がなかったし、絶妙に出会わなかったこともあり、これを知るのは快人だけだ。
「魔法少女も大変だな……」
「そう言うんなら手伝ってほしいっす。気配溶け込ませてないで」
「そうだぞ。お前なら簡単に終わらせられるだろ。まぁ譲る気はないが」
相手に認識されないように気配をぼかしている快人は、軍服女に気付かれていない。これも色々と話が拗れないように配慮した結果なのだ。なので軍服女からすれば、二人の魔法少女が雑談しているように見えるだろう。
「なにをコソコソ話している!ふざけやがって!」
軍服女がイラついたように叫ぶ。
「まぁ何はともあれ世界隔離張られててよかったな。あれは完全に変人だ」
「怪人生み出してる秘密結社っすよ。しかも並行世界が何だかって言ってる。そんな奴らに真面な奴なんているわけないっす。あとこれ私たち関係ないっすよ」
「うむ、その通りだ。流石にこんなことできん。恐らくあいつもな。まぁ今はこっちだ。少し遊んでやるか」
二人はそう言うと、魔法が発動し全身が一瞬光り変身する。
「さぁ、殲滅の時間っす!」
「ふ~さて、貴様らはいつまでもつかな?」
そこには、学生服を着た黒刀を二刀流にして周囲に計四本の黒刀を浮かべた少女と、鍛えられ上げた肉体と膨大なオーラを迸らせる女性が立っていた。
「ふん!今までのように行くと思うなよ!」
(どっちもどっちだな。まぁそれはいいとして……これの原因あいつらだな。仕方がない止めに行くか。じゃなきゃヤバいことになりそうだ)
一斉に動き出した両者の激しい戦いを見ながらそう思った快人は、次元を壊した原因の気配を感じ取り、そっと現場に向かうのだった。