異能学園の用務員   作:バトルマニア(作者)

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休日 後編

 快人が原因の中心点に行くと、山田を挟んでその連れとそれに似た美しい白長髪の美少女が言い争っていた。

 

(これどうすればいいんだ?)

 

 聞き耳を立てながら、困り果てている山田と言い争う美少女たちの様子を覗き見する快人。

 

 

「お姉様を返してください、山田さん!」

「そう言われても……」

「おいしっかりしろ、守ってくれるんじゃなかったのか?」

 

 嫌がる黒髪は山田を盾にしながらそう言い放つ。すると白髪は慌てふためき

 

「な、なんですか!まさかお姉様!山田さんと!?」

「勘違いするな変態女神。まだそこまでやってない」

 

「ハハハ……」

 

 何やら言い合って、山田は苦笑いをするのが限界の様子だ。

 

(あ~確か、黒髪は破壊神だったか?じゃあその妹であの白髪は創造神と)

 

 なんとなく察しがついた快人は、以前聞いた話と照らし合わせて、恐らくこの空間は黒髪であるあの破壊神が妹である創造神から逃れるために作った空間なのかと理解する。それに自分たちが巻き込まれたということも……

 

(ってことはあの破壊神がこっちに来た理由は、妹から逃げるためか?山田は巻き込まれたって言ってたが、姉妹ケンカも大概にしてほしいもんだな)

 

 そこまで仲が悪そうに見えないが、距離を取りたいと思う気持ちもわからんでもない。だがそれが自分たちの世界に悪影響が出るなら、快人は動かざるおえなくなる。

 

(母さん居ないし、他の奴らじゃ止められんだろうな)

 

 世界間の移動で力を使い弱体化しているとは言え相手は神。それも星における最上位の存在だ。こいつらを武力で黙らせれる存在など、この世界では小崎家を除けば数える程度だろう。

 

 

(山田じゃ身が重いだろう。いや、どうにかしそうではあるが心配だし、被害を出されても困る。仕方がない……おい、何やってんだ。ちょっと落ち着け」

 

「「「えっ!?」」」

 

 急に現れた快人に驚く三人は、少し硬直する。

 

「何ですか貴方!」

「この世界で動けるとは、ただものじゃないな」

 

 警戒する二人とは裏腹に、一触即発の状況に諦めかけていた山田は、助け舟が来たと救われたと言った感じだ。

 

「山田の友人で、この世界のお偉いさんってところだ。とりあえず暴れることだけはやめてくれ。お前らが戦ったら被害がデカすぎる」

 

 一応すごい立場ではあるが、それが自分由来でないと思っている快人。だがここでは言い切った方がいいだろうとそうしていた。

 

「……別にこの世界に何かする気はありません。私はお姉様を返していただければそれでいいですから。そしたら素直に元の世界に帰りますよ」

 

 創造神の少女はそう言うと、姉である破壊神の方を見る。

 

「いやだ。私はこいつと一緒にここに残る」

 

「……いや俺を見られても!」

 

 創造神からは怪訝な目で見られ、快人からは懐かれてんなと困った顔をされ、山田はそう叫んだ。

 

「にしても困ったな。暴れないにしても、お前ほどの存在がこの世界にいられても困るんだがな」

「それは存じています。私だって元の世界の事もあるので」

 

 存在が大きすぎると世界を歪めてしまうので、極力長いどころか存在してほしくないのだ。特にこの世界は歪みに歪んでおり、許容限界も近いと来た。破壊神や他の上位存在のように力を抑え、なんなら世界維持のために力を貸してくれないと存在されては困る。

 

「じゃあ一旦帰ってくれないか?今はこれのお陰で世界に影響がないが、これが消えた後はそうもいかない」

「そう言うわけにはいきません。世界移動も簡単にできるわけではないので、ここで帰ったら次がいつになるかわかりません」

 

 正直何度も世界移動されても困るが、このままいられるよりマシだと案を出す。だが創造神は一歩も引かず、破壊神に近づく。

 

「お姉様。貴方がいないとこちらの世界が成り立たなくなります。創造と破壊は表裏一体。片方だけと言うわけにはいきません。あれについては謝りますから、帰ってきてください」

 

 山田を挟んで頭を下げ、謝罪の意を示す創造神。

 

「お前の言うことはわかるが、あれについては許せない。と言うか頼むから姉離れしてくれ」

「それは私に死ねという事ですか。私は、私はお姉様がいないとダメなんです!」

 

 感情を爆発させた創造神のせいで世界が揺れた。

 

「そうは言ってもな。いつまでもあんなにべったりされるのも迷惑だ。元は一つだったとは言えだ」

「そうです!元は一つだったんです!だから惹かれ合ってるんです!これは切れない絆!姉妹愛なんです!だからあれも仕方がないこと!愛がなせる技です!」

 

 山田と快人は、苦笑いとため息を隠せない。どうやら二人の関係は、話に聞いていた以上だった。シスコンすぎるのだ、この創造神は。

 

「だったら役割の一つぐらいちゃんとこなせ。安易に信者を洗脳するな」

「だって!お姉様を悪く言うあの者たちが悪いんです!果てには討伐しようなんて!洗脳で済ませただけ温情があるでしょう!抹消してあげてもよかったぐらいです!」

 

 創造と破壊で役割が分かれているという事は、善と悪に分かれることは珍しくない。勿論それは当人たちの人格を無視してそうなってしまうのだが、創造神はそれを許せなかったのだ。

 

「そうならないことはお前がよくわかってるだろう」

「そうは言っても!万が一があります!召喚された山田さんがいい例です!」

 

 そして世界が歪み、それを治そうとした破壊神だったが、それに失敗し色々あって争った結果、二人は大きく消耗し神々の戦いは一旦終わりを告げる。だが信者は黙っておらず、正義だ悪だと勝手に信者同士での争いが始まり、それは抑え込んでいたものが爆発したように苛烈になり、最終的には打倒破壊神のために召喚されたのが山田だった。

 

「そうです!もういっそあの世界を壊すか作り替えましょう!」

「やめろ!混沌神にでもなる気か!」

 

 創造神とは思えない気配を出し始め、ヤバいと思った破壊神は咄嗟に創造神を抑え込もうとする。

 

 だがそれは罠だったようで――

 

「捕まえた~」

「お前!?」

「ちょっ!?」

 

 創造神は破壊神の腕を掴み、破壊神は反射的に山田の腕を掴む。

 

「あっ……」

 

 そして三人はこの世界から消え失せる。

 

「……まぁ長くても1週間で帰ってくるだろ」

 

 隔離世界が崩れるのを感じながら、昔のことを思い出した快人はそう呟くのだった。

 

 

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