客室に入り、席に座った三人は、レチアの話を聞き少々呆れていた。
「ってことなんだよ~。だから良かったら泊めて~」
「話を聞く限り、そちらで十分に思うけど?」
「まぁ、こっちも部屋は準備できますけど」
行き当たりばったりなレチアにため息を隠せない二人。挨拶ついでとは言え、ちゃっかりしている。
「でも~。私たちが居たら迷惑じゃない~?快人は?」
「別にホテルはいくらでもあるし、母さんも許可している。特に問題ないけど」
「貴方にもそんな気遣いで来たのね……」
酷評だがその通りでもある。後先は考えないが、気遣いぐらいはできるのだ。まぁそれが身を結ぶかどうかはまた別の話ではあるが。
「とりあえず、こっちはサブとして来たのね?だったらその時は手を貸すわ。貴方には恩もあるし」
「そうだったけ~?」
売った運すら忘れるのがレチアである。昔の記憶を探るが、途中でめんどくさくなり不思議そうな顔をしていた。
「私がこちらに召喚された時に色々手を貸してくれたでしょ?国の方にもね」
「少し失礼します。そうですよ、レチア様。一度寝られる前の、70年ほど前の事です。配属したての最初の大仕事だったので、よく覚えています」
「そうだったけ?レジェンド」
控えていたレジェンドが影から出てきてそう説明する。
「はい、沙麗様が王を辞め、こちらに隠居する手伝いをしろと。そう命を受け、色欲の国の手伝いに行っておりました」
「あ~思い出した~。人間と結婚したから悪魔界にいられないって、相談されたね~。あれかな~?」
他人に説明してもらわないと思い出せない。これがレチアクオリティである。
「沙麗様が召喚されての捜索には関わっておりませんが、その後の事ならお答えできます」
「そうだったね~。急にいなくなった時も大変だったし~」
その昔、ここの当時若社長に召喚された沙麗は、そのまま仕事の手伝いをする傍ら、めでたく結ばれて王を辞めたのだ。そしてレチアがその後始末をしていた。こんなんでも悪魔界のトップなのだ。
そんな感じで雑談をしつつ、挨拶も終え、帰ろうと席を立とうとするが。
「ちょっと二人で話すから先に行ってて~」
「ああ、わかった。外で待ってるよ」
そう言って先に出ていく快人と護衛たち。それを確認した瞬間に、レチアは怠惰とは思えないほどさり気なく、素早く力を行使して、バレないように部屋を隔離した。
「何のつもり?」
「いや~、ちょっとね」
それを見た沙麗はいきなりの事で反応が遅れ、レチアに怪訝な顔を向ける。だがそこにはいつも通りのレチアがおり、何事もなかったかのように口ごもっているだけであった。
「何が言いたいの?」
「あの~え~と、相談なんだけど……恋愛の仕方ってどうやるの?」
恥ずかしそうに、だが真剣なレチアの様子を見て、ため息を呆けた後にため息を吐く。
「一緒にいて楽しくて安心できて助け合えれば勝手に……って、そのために?」
「うん、だって、そう言うの得意そうだし、色欲だし、悪魔だし」
それを聞いた沙麗は、私の色欲はそんなんじゃないし、悪魔なのは同じでしょうがと思いつつ、昔を思い出して懐かしさを覚えながら相談に乗るのだった。
~おまけ~
・悪魔界は実は魔界に統合される可能性が大きかったが、最古で悪魔界の支柱であるレチアが生き残ったことにより、悪魔界として独立出来ている。
各世界は、地球から切り離された者たちは似た者同士で寄り集まって各自の世界を作り出す→世界が出来るが弱い順取り込まれたり壊れたりして、その残骸が地球や他世界に集まる。と言う形で成り立ってる。最終的には、地球以外のすべての世界は滅んでその残骸が地球に住まう事になる。
こうなっているのは、「異能や特殊な存在と言う名の異物が存在しない普通の世界に戻ろうとしたけど無理だったので、仕方がなくその力を使って生き延びようとする世界の仕組み」が原因だったりする。と言うほぼ詰みかけの世界観。