小説版カービィを参考にしつつ、独自の解釈も入れています。それでもよろしければ本文をどうぞ。
※Pixivにも同名小説を連載しています※
ここはプププランド。
誰が言ったか、あきれかえるほど平和な国……なんて呼び名がつくほどの、穏やかな場所。
時々大変な目にあってはいるけど、そのたびになんだかんだで平和に戻る。
そんな日常の約束された場所、プププランド。
その中でも特段平和な草原地帯。
ちょっと高くなった丘の上で、ランチョンマットを広げる2つの影がある。
どちらも同じくらいの背丈で、コロンと丸い。
風に飛ばされないよう、せっせと四隅に物を置いている、青いバンダナを巻いたオレンジ色の子が、カゴをじぃっと見つめるピンク色の子に注意する。
「カービィ、お腹が空いたのはわかるけど、まずは準備を済ませなきゃ!今日はぼく達二人だけじゃないんだよ?」
「わかってるよぅ!でもお腹ぐうぐうで我慢できない………今も正直キツい………」
カービィと呼ばれたピンク玉は、元気なさげにしょぼくれている。
「せめて、メタナイトさんと大王様が来てから………」
「あっ!来たよバンダナ!」
オレンジ玉………バンダナワドルディがカービィの指し示す方を見ると、カゴを両手いっぱいに提げた、カービィ達より一回りは大きな人と、カゴを持って滑空する、カービィ達と同じくらいの背丈の人が来るのが見えた。
「遅いよデデデ!メタナイトも!ボクもうすこしでぜ〜んぶ食べちゃうところだったんだから!」
「遅れてすまなかった、カービィ。準備に手間どってしまってな」
「オレ様もそんなところだな!」
「………君の場合は注文した商品が多すぎるが故の手間だったようだがな」
「いーだろ、全部詰めれたんだから」
ニィっと笑うデデデ大王に、カービィが飛びつく。
「ねえデデデ!これ全部食べ物!?」
「おうよ!カワサキに頼んどいたんだ!本当はオレ様一人で食べつくしたいところだが………」
「ええっずるい!ずるいよ!せっかく今日はみんなでピクニックって言ったのに!」
「人の話は最後まで聞け!今日は特別にお前たちにも分けてやるって言おうとしたんだ!」
デデデ大王のお腹をポコスカ叩いていたカービィの目が途端に輝く。
「ほんと!?やったー!さっすがデデデ!」
「ま、一人で食うよりも楽しいからな!」
「ボクもそう思う!美味しさアップで笑顔も満点でみーんな幸せになるよね〜!」
「みんな揃いましたし、食べ始めませんか?」
大王にそっと聞くバンダナワドルディ。
「そうだな!冷めちまう前に食い尽くしてやる!」
「ちょっとぉ!ボクの分もちゃ〜んと残してくれるんだよね〜〜!?残してくれないならボクがぜ〜んぶ食べつくしちゃうから!」
「ふ、二人とも元気だなあ………」
「ああ、今日も平穏そのものだな」
「本当ですねぇ」
いつもどおり早食い競争を始めたカービィとデデデ大王を見ながら、バンダナワドルディとメタナイトは小さなカゴを開く。
今日も平和そのものな、プププランド。
しかし、平和というのはいつもいつも。
突然にして砕かれる。
ビュオゥと強い風が吹き抜け、バンダナワドルディはカゴを掴む。
「うわっ!?」
「!?………あれを見るんだ」
「へ?何を、って………あれ、は………!」
メタナイトが指し示すのは、先程風が吹いた方向。本来なら、というかついさっきまで、一面の青空が広がっていたはずのその場所には………
空間そのものが星型や丸型に裂かれた、たくさんの穴(ホール)が口を開いていた。
「異空間?に繋がっているとかいう………」
「ああ………異空間ロードだ。しかし、前に私達が見たものとは一部形が異なるようだが………」
「本当ですね、ぼく達が前に見たのは星型のホールばかりで………」
「だが今回は、丸型のものもある。………前の事件よりも、恐ろしいことが起こっているかもしれない」
「ええっ!?そんなぁ!そうだ、大王様!どうし………」
バンダナワドルディは指示を仰ぐようにデデデ大王を見る、が………
「おいカービィ!それはオレ様の大好物じゃないか!」
「ふーんだ!先に食べておかないデデデが悪いんだからねっ!」
「(ええー………)」
何よりも食べることが大好きな二人は、異常事態にも気付かず、早食い競争を続けていた。
そんな中、バンダナワドルディが見ていることに気づいたカービィは、キョトンと首を傾げて、
「あれ?ねえ、バンダナは食べないの?この唐揚げとか、すっごーく美味しいんだよ!」
「か、カービィ、今はそれどころじゃ………」
「えーっ!せっかくのピクニックなのに食べないなんてもったいないよ!?じゃあボクが食べちゃおっと!いっただっき………」
言い終わらないうちに、先程よりも強い風が4人を襲う。
「な、なんだ!?あんなに強い風、ここいらじゃまず吹かないはずだ!」
「そうだな。そのまま、空に目を配ってほしい」
「う、うおおお………!?」
「うわわわわ!?たっくさんのホールが………見たことない形のものもあるよ!?」
ようやく異常事態を察する二人。
「大王様、どうしましょう………?」
「そうだな………とりあえずホールの中の調査じゃねえか?」
「ええーっ、無茶ですよ………一つ調べるのにも時間がかかりそうな上に、戻ってこられるかもわからないのに………」
「それもそうか」
「そうだ!メタナイトのハルバード、最近改造してワープできるようになったんだよね?」
「惑星間ワープ機能か?………あれは現実的ではない」
「えっ、なんで?」
「そもそもアレは惑星同士が『正しい状態である』ことを前提として位置などを調整している。ホールを通って別の空間に行ったとして、ポップスターがこの有り様では、ワープ先にホールが………ということにもなりかねない」
「つまり………?」
はてなマークを3つくらい浮かべていそうなカービィに、バンダナワドルディがフォローを入れる。
「つまり、調査を終えて帰ろうとしても、ワープしたところにホールが出来てしまっていて、また別の空間に飛ばされるかもしれない………ってことですか?」
「そうだ。それに今はポップスター自体が不安定な状態でもある。もし、この異常事態が発生しているのがポップスターだけではないのだとしたら………」
「考えたくないですね………」
「うーん」
それでもイマイチよくわかってなさそうなカービィは、おもむろに口を開く。
「じゃあ、まずボクが一人で調べに行くよ!」
「なっ………!?」
「大丈夫!どんな場所でもピンピンできるのがボクの強み?だから!」
「そういう問題じゃないよ!」
「そうだそうだ!そのまま帰ってこなくなったらどうするつもりなんだ?」
「うーん、その時は………またのんびり旅を続けようかな?」
「………呑気なものだな」
「カービィ………」
今にも泣き出しそうなバンダナワドルディの声に、カービィは振り返る。
「ぼく、こんなところでカービィとお別れなんて嫌だよ………カービィが行くならぼくも一緒に行く!そして必ず………必ず、プププランドに帰るんだ!」
「おお、よく言った!それでこそオレ様の家来だな!」
バンダナワドルディの頭をワシャワシャとしながら、デデデ大王が続ける。
「ここでお前がいなくなられたら、勝ち逃げみたいで悔しくってたまらねぇ………お前が行くならオレも行くぜ」
胸をドン!と叩くデデデ大王の後に、メタナイトが続く。
「………ならば私も同行しよう。どうなるかは分からない………だからと言って、止まったままでは何も始まらない。それに、君達とならば、必ずここに帰ってこれる………根拠はないが、そう思えてしまうのでな」
「よぅし!それじゃあ早速行こうよ!」
言うが早いか、カービィは駆け出して行く。
かくして4人は、戦艦ハルバードに乗り込み、一番大きな………丸型のホールへと侵入した。
ホールへの侵入に成功した戦艦ハルバードは、暫く何もない宇宙空間を漂っていたが、突如として艦体がガクン、と揺れた。
「あれは………」
操舵室で前方を確認していたメタナイトは、その正体を目敏く見つけていた。
それは、最初に入ったホールと似た形のホール。しかし、内側は白く濁っており中を確認することはできない。どうやらブラックホールのような吸引力を持っているらしく、艦体の揺れはここから来ていた。
「確認したいことがある。ホールを避けて進行してくれ」
「了解ですぞ!」
バル艦長は慣れた手つきでホールを避ける。しかし………
「む、ホールに視界を塞がれて先程は見えなかった………」
「………別のホールがある。それも『複数』、だ」
「ホールの異変は、宇宙空間でも起きて………?」
「もしくは、もとからこの空間はこうである、という可能性もある。前に私達の世界に開いたホールとは、入口の形からして明らかに違うからな、既に異世界にいるのかもしれん」
「一理、ありますな」
その後も、二人は慎重にホールを避けて進んでいく。
一方その頃、『客』として転がり込んだ三人のうち、二人は大食い競争をしていた。
「はははへっへはひふははへひふ!」
「お前は飲み込んでから喋ろ!」
「(ごっくん!)そっちこそ飲み込んでから喋ってよね!さっきから食べカス飛んできて汚いよっ!」
「ぬぁんだとぉ!?」
残る一人は、同族の友人と競争を見守っていた。
「これから長旅になるかもしれないのに、カービィも大王様も………あ、ごめんねハルバードの食糧庫荒らしちゃって」
「いいよいいよ、あとで二人に払ってもらおうよ?ま、あの二人にお金があるようには見えないけどさ」
「いつも一言余計だよね………」
「そう?」
この友人………船員ワドルディは戦艦ハルバードの乗組員である。非戦闘員だが種族特有の器用さを機械いじりに活かして設計やプログラムを行なう結構すごいワドだったりする。一言余計ではあるが。
「あっ、売り切れそう!補充してこよっか」
「そうだね、行こう!」
と、二人が走り出そうとした瞬間、ひときわ大きな揺れが艦体を襲う。
モグモグと食べていた二人はその手を止め、ワドルディ達はバランスを崩してコケてしまった。
「………!!」
カービィは何かを察したのか、操舵室へと駆けだす。
「っ………おい待てカービィ!」
デデデ大王も後に続き、その場には二人のワドルディだけが残された。
「大王のこと心配なんでしょ?行ってきなよ」
「で、でもキミは………」
「ボクはリアクター方面を見に行くから。そんじゃ!」
と言い、船員ワドルディは歩いていく。
(ぼ、ぼくも、行かなくちゃ………!)
悪い予感が渦巻くが、それよりも仲間たちのことのほうがずっと心配だった。
バンダナワドルディは、バンダナを結び直して駆けていく。
「な、なんだか大きくて虹色でぐるぐるして………」
「んなこと言ってる場合か!ハルバードごと吸い込まれかけてるんだぞ!?」
「し、知ってるっ!でも、何したらいいかさすがにわからないよ〜!」
「………おかしい。エンジンは最大出力なのだが、吸収が止まらない………」
「そ、それってヤバイんじゃあ………!?」
操舵室内のひときわ大きなモニターいっぱいに、巨大なホールが口を開いている。
中はカービィの言うとおり虹色に絶えず輝いており、様子を確認することはできない。
「………仕方ないか。抵抗を停止し、着陸準備に取り掛かるように」
「メタナイト様、あのホールの内部を調べる気ですかな?」
「ああ。これ以上抵抗を続けてもいつかは吸い込まれていただろう………艦体や乗組員の安全が優先だ」
「ならば即刻!着陸態勢に切り替えますぞ」
「頼む」
バル艦長はエンジンの勢いを少しずつ弱め、ハルバードは巨大ホールに飲み込まれていく。
虹色のホールは、ハルバードを容易く飲み込み、艦体を眩い光で包んだ。
「ぐっ………!」
クラクラしそうな光に皆が目を瞑る中、仮面で光が軽減され、僅かながら目を開けることのできたメタナイトは、衝撃の光景を目の当たりにする。
なんと、ハルバード内部に小さな丸型のホールが発生し、カービィを飲み込もうとしているではないか。
カービィは目を覆っており、置かれた状況に気づいていない。
「カービィ………っ!?」
とっさにメタナイトはカービィに手を伸ばす。
しかし、虚空しかつかめない。そしてメタナイトは気づく。
カービィの状況に気を取られ、自分自身の置かれた状況に気が付かなかったという事実に。
………自らの背後にも、ぱっくりと空いたホールが発生しているという状況に。
メタナイトのみが艦内の異変に気づいたまま、巨大ホールは生物の意識ごと、余さず全てを飲み込んだ。
ハルバードを飲み込んだ巨大ホールは、そのままシュルシュルと音を立てて縮小し………消える。
それは、捕食するためだけに姿を見せる擬態生物のようだった。
うのざわです。初投稿です。本当に。
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ポケモンだけじゃなくトレーナーもたくさん登場しますが、どちらにせよ一部自己流設定があるのは変わりません。それでも良いと言う方はお付き合いくださいませ。