〜 集落 〜
オペレーション・メテオライト。
アラガミから大量のコアを回収する作戦。
まずアラガミを引き寄せる特別な装置を各ポイントに設置を行い、銃型を使えるゴッドイーター達が『メテオ』と名付けたバレットエディットを放火してアラガミの一掃を行う。その後はプレデターモードを使えるゴッドイーターがアラガミのコアを回収する大規模な作戦だ。そうしてエイジスの完成を早めるらしい。
あとこの作戦はとても重要かつ極東支部を中心としてるため国外からいろんなゴッドイーターがやってくる。
それだけの価値があるのだろう。
その作戦開始もあと3日だ。
ちなみに調査隊の俺も参加することになっている。俺は戦闘兵では無いのだが。
まあ安全にヘリコプターから撃つだけなら危険性は無いので俺も参加は決まった。
そして大規模な作戦だ。それまでに英気を養いたいところだがアラガミを引き寄せる装置を設置する作業があるので俺もその作業に駆り出される。まあ下には降りず、ヘリコプターからアラガミを察知して危険を知らせる役割だ。下では他の神機使いが護衛してくれる。
それから設置作業が数十分くらいで終わり、このまま真っ直ぐ帰投しようと思ったのだが、目に入ったダム湖の集落が気になったので俺はこのままフリーミッションに入った。
ミッション終了後は即座な帰投が厳守されているが、調査隊は追加調査としてミッション終了後も行動が可能である。
その権限を使って俺はヘリコプターから降りてダム湖の集落に向かったのだ…
__ドボンと貯水槽で音がした。
不安そうな難民たちがそう訴える。
俺はアラガミか何かか?と気になったので早速ダム湖まで様子を見に行ったところだ。
「不安要素はこの中かぁ?」
水中のアラガミが現れたのなら駆除と報告が必要だが、強制解放剤をひと舐めして発動したユーバーセンスにはオラクル反応が引っかからない。
アラガミでは無いことがわかった。
だとしたら何もない?
もしかしたら難民の空耳か?
でも一人では無い複数の声が不安を訴える。
なら聞き逃してない音だろう。
中に何かあるのか?
直接視認しようと思い、俺は水中に飛び込んで、水深くまで進む。
ゴッドイーターの身体能力で強引に下へと浸水して、何かが見えた。
「!?」
え?なんだあの装置?
見た目ズッシリとした機材だが…
おい、待て。
これってオペレーション・メテオライトで使う装置じゃないのか?
何でここにあるんだよ?
「…………」
これは誰の判断だ?
いや、ただ一人。
ヨハネス支部長だ。
この集落にアラガミの引き金を投げて何をするつもりだ?
あなたは何を考えてココに投げ入れた?
いや、これは…
「(もし、原作を、なぞるとしたら…)」
リンドウを抹殺するためか??
この世界はもうゲームとは程遠い物語で構築されている。
でもこんな世界でもゴッドイーター。
キャラクター1人に対する結末が決められているとしたら、アリサの加入から次に起こる悲劇はおそらく…
「…」
原作ブレイクをしたいとか、そこまでの考えはない。
ただ自分に必死なだけだから、どこかしら俺が余計なことをしてるのかもしれない。まあマロンって人物が存在してる時点でもうおかしいかもしれないが。
まあ、それはまた後で考えるべきだろう。
とりあえずこの装置は引き上げ……
いや、待て。
「(むしろバッテリーを引き抜くか)」
そしてこのまま水の中に沈めておこう。
それで終わってから回収しよう。
もちろん壊したい気持ちはある。
しかし集落に不安を与えてしまう。
なので今しばらく、作戦が終わるまではこのままにしておくことにした。
なーに、見つかっても整備不足ってことにしておけば良いさ。
極東は人手不足だからな。
ガバの一つは起こるさ。
そう言うことにしておこう。
♢
〜 アナグラ 〜
水中でバッテリーの引き抜き作業は面倒だった。
感電するくらいならまだ良い。
オワタ式だろうとゴッドイーターだから耐えれる筈。
だがもし誤作動で装置が起動したらいよいよ本気で破壊するつもりだったが、なんとかなった。
組み立て式なのでそこまで複雑ではなかった。
色々と報告を済ませて、くたくたになりながら廊下を歩いていると。
「君が台場マロンくんか」
「?」
とある人物が接触してきた。
その人は。
「失礼、私はオオグルマダイゴ。君も知っているアリサって子のメンタルカウンセラーの先生として極東までやってきたのだ。まあ… もうカウンセラーの意味は無くなってきたがね」
そりゃ、アリサはもう薬飲んでないからな。
いや、たまに飲んでいるけど、顔付きは柔らかくなって、後輩として可愛らしくなってきた。
そろそろ積み上げてきた黒歴史を彼女の前で笑い話にしてやるか。
とても良い顔で悶えるだろう。
「はい!そうですね!彼女は極東に来たばかりの頃よりもなんだか一層元気になりました!心の不安定もみんなと肩を並べて打ち解けることで乗り越えれそうです!僕も先輩として安心ですよ!彼女の面倒を見てきた先生もさぞかし嬉しいですよね!」
クタクタな表情から一変。
俺は満面の笑みで対応した。
「あ、ああ、そうだな…」
複雑そうな顔をするクルマ。
オオグルマの名前なんだからもっと横浜タイヤの様に嬉しそうな顔しろよ。
おらおら、うれしぃだるぉ??
さて、それはともかく、俺はこの人が何をしているのか知っている。
原作ゲームだとこの人のせいでリンドウはアラガミと永久デートしなければならなくなるからだ。お陰でレン君が激おこぷんぷん丸。
その引き金となるのがアリサなんだけど、しかし彼女はあの一件でトラウマを克服したことにより心身ともに強くなった。
まだ多少は引きずるところはあるけれど少しずつ強かになっている。今日も元気よくインパルスエッジに振り回されている頃だろう。
そんなわけでアリサの引き金によってリンドウはあの運命を進むことは恐らく無い筈…… だよな??
そう簡単に死ぬような男ではないと思うが…
「ところで俺に何かようですか?」
「いや、特に大きな用事はない。ただ、アリサの、その、複雑な精神面を救った人がどんな人なのか気になってね。本職として気になる限りだから」
「ああ、そういう事ですか。別に特別なことはしてませんよ。俺は彼女の力になれる事。それから辛い時は人に寄りかかって良いことを教えただけです。あと味方が周りにいることもね」
「そ、それだけなのかい?」
「そうです。トラウマに打ち勝つとはそういう事なんだと俺は考えてます。しかしそのトラウマに打ち勝つまで支えてくれる人が必要です。 だからアリサにとってオオグルマ先生は恩人でしょう」
「そ、そうか。それは、うむ… 患者の先生として嬉しいことだ…な」
「ええ!だからオオグルマ先生!ここまで可愛い後輩を支えてくださって感謝します!」
「あ、ああ…」
我ながら気味が悪いほどのキャラ作りだ。
そしてオオグルマ先生も複雑そうな顔を見え隠れさせている。
見ていて清々しい気分だ。
「あ、自分は調査報告の整理があるのでこの辺りで失礼します!!」
「う、うむ…」
俺は百点満点なスマイルで猫かぶりながらオオグルマと別れてエレベーターに乗り込む。
「わざわざ俺に接触してきた。その理由はやはり…」
俺の排除か…
または、ただ単に気になっただけなのか。
しかし不利益に思われたらそれまでだ。
少し行動を慎重にするべきかな。
「とりあえずリンドウにはダム湖にあった装置の話くらいはしておくか」
明日は大掛かりなブリーディング。
そして明後日は本格的にオペレーション・メテオライトが始まるだろう。
その日まで備えることにした。
つづく
次がラストです。