オワタ式な神機使いの生き方   作:つヴぁるnet

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第2話

 

〜 贖罪の街 〜

 

 

 

調査"隊"と言いながらもソロで調査してる俺こと台場マロンだ。

 

しかしぼっちプレイでのミッションなため調査隊ってのは言葉として正しいだろうか?調査兵ってのが表現として当てはまるがそこら辺どうだろうか?

 

まぁこれでも一つの小隊扱いだから調査隊でもオーケーかな。

 

 

まぁ、そんなのはこれからの事に比べたら些細な問題だ。

 

 

 

「なーんでボルグ・カムランが二体もココにいるんですかねぇ!?しかも原種じゃなくて堕天種じゃねーか!!」

 

 

さっきまでは一体だけしかいなかったが急にビルの上からダイナミックエントリーしてきた。

 

お陰で一気に視界内の密度が上がる。

デカすぎんだよテメェら!

 

しかし朝起きてミッション受けたらいきなり大型アラガミと朝の準備体操を始める事になるとかシャレにならない。背筋も尻尾もピーンと伸ばして朝から健康的ですよコイツら。

 

 

「ちょ、あぶねぇ!」

 

 

一体ならともかく二体はいつもよりも気を使うから気を抜いてられない。刺されば一撃死だ。

 

まぁこっちは極東の赤い彗星と呼ばれてる(呼ばれてない)台場マロンだ。

 

カムラン程度の攻撃は当たりやしないさ。

 

でも二体になると少しだけキツイかな。

 

油断はしない。

 

 

 

「てかさりげなく火と雷の堕天種に遭遇しているがこれっねかなりレアだよな?双方揃えば随分と自己主張激しい色合いで、目が痛いぜ」

 

 

街を駆け巡り、瓦礫を高台に、壁まで飛びあがり、神機を変形させながら壁を走って、壁に打ち付けたバレットの爆風で宙高く浮く。

 

カムランから放たれるガトリングは体を捻って回避する。赤い彗星ごっこできる超回避バックラーのお陰でとても身軽だ。触れたら一撃でミンチより酷いことになるが。

 

そしてカムランの届かない場所まで着地する。

 

なんとか撒いたと思ったら…

 

 

 

「げっ、天敵(サリエル)までいるし…」

 

 

高いところに逃げればなんとかなると思ったがそうもいかないようだ。

 

いくつかパターンがあるにしろサリエルのレーザー攻撃の挙動は予測不可能。

 

回避が非常に困難だ。

 

その上サリエル種は目がとても良いから逃げるのも一苦労だ。

 

 

 

え?

戦わないのかって?

 

 

いやいや。

もしものことがあったら俺は死ぬぞ?

 

 

それにコレはあくまで『調査』だ。

 

偵察兵とは違う。

 

分かりやすく言えば、フィールドワーク。

 

未開の土地をこの目で調査する。

 

そこは激しい戦闘に耐えれる地形なのか?

そこは踏み込むには脆い危険域なのか?

そこは荒神が群れを成した区域なのか?

 

戦闘兵が入る、前に偵察兵が入る、前に入るのが調査兵。

 

戦闘外による神機使いの安全を確保するための役割だ。

 

そして戦いは戦いが上手い奴にやらせておけば良い話だ。

 

俺は俺の役目を全うするだけ。

 

とりあえず贖罪の街にはボルグ・カムラン堕天の二属性が存在してることをアナグラに報告しなければならない。そのためには俺が生きて帰る必要がある。

 

 

「ここら辺を拠点に彷徨って三日目か。長いのは慣れたが、食事が薄味なの辛いよなぁ…」

 

 

そろそろ示したポイントに迎えのヘリコプターがくる頃だろう。とっととこんなところおさらばするべきだ。いくら神機使いとは言え肉体は平気でも精神的に病み始める。そうなると判断力が落ちて死につながる。から元気でも良いからメンタルは確保しなければ調査隊なんて務まるわけないのだ。

 

 

「しかしボルグ・カムラン堕天二体と戦ってくれる神機使いなんかいるのか?リンドウさんとソーマぱいせんとサクヤさんの第1部隊ならやってくれるかな?」

 

 

 

良く考えると極東の神機使いは四人以下の小隊を主として行動するが普通に単独戦もしてしまうからな。特にリンドウさんやソーマぱいせんのような強い奴。

 

もしボルグ・カムラン堕天種が極東以外の支部で現れたら他の支部は総力戦、死を覚悟して戦いに望むだろう。

 

 

「こうなるとスキルのユーバセンスが欲しいところだな。未だにプロトタイプの制御ユニットだし腹くくって変更しようか?もしかしたら制御ユニット程度くらい… いや、やはり俺のオラクル細胞が関係してあまり弄らない方がいいよな恐らくは…」

 

 

 

バースト状態の恩恵はとても大きく、装備している制御ユニット次第ではアラガミを凌駕する力を得ることが可能。

 

しかし俺のオラクル細胞はあまりにも不安定すぎるため制御ユニットの切り替えは望ましくない。

 

だがそれ抜きにしても俺の神機はスキルに関しては優秀だ。原作キャラと比べると何気にスキルの数は極東支部の中で一番多い。

 

特に超回避バックラーの『アスリート』がなによりも助かる。

 

これのおかげでまったく息切れせずにアラガミから長時間逃げ続けれる。

 

調査隊の中でスタミナと言うのは何気に生命線だから。

 

まぁその前に見つかるなって話だけど。

 

でもサリエルは無理。

 

アイツは本当に目が良い。

 

見つかったら泣きそうになる。

 

 

「ちょ、こっちに追って来やがった!!だぁぁあ!!!このままじゃヘリコプターで帰れなくなるだるぉぉぉ!?!?お前どこまでも追いかけてくるんだからよォォ!!」

 

 

半ギレになりながら殲滅することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 アナグラ 〜

 

 

 

 

「エリック! 上田!」

 

「!!?……お、おっっととと!」

 

 

 

真上から襲いかかる……一つの空き缶。

 

それをなんとか受け止めたり

 

 

「華麗なるナイスキャッチ」

 

「この程度なら華麗に受け止めるけど…ふつうに手渡しできないのかい?」

 

俺の華麗なる先輩は飲み物を受け止めながら苦笑いする。

 

そしてプルタブを開けて飲み出した。

 

 

 

「僕の分も買ってくれたのかい?むしろ先輩の僕が買う側だと思うけどね」

 

「ボタン押したら二つ出てきた。だから一つは近くで見かけた先輩に渡すつもりだった」

 

「そうなのかい?そういえば前も似たようなことも起こってたね。なんだか幸運の女神に愛されてるみたいだ」

 

「アラガミだらけの世界で女神に好かれてるなんて気味が悪いぜ、勘弁してくれ」

 

「でもマロンくんはかなり幸運さんだと思うけどね。このジュースのアタリのように些細な幸運も含めて君はアナグラの中で特に運が良い男だと僕は考えてるよ」

 

「それはあまり嬉しくないことだな。台場姉弟は幸運な二人だとは言われてるけど俺からしたら鬱陶しい」

 

「それは周りの連中がおかしいのさ。君はたまたまアラガミからレア物を引いた。それだけだよ」

 

「だとしてもミッションの同行者が特にうるさいんだよ。例えば台場マロンはなにもしてないくせに死んだアラガミから素材を食らうなんておこがましい…ってさ。 そんでレア物を引いてしまったあかつきには怒りで神機で切り裂いてこようとした。なーんでアラガミだけではなく神機使いからも狙われないとダメなんですかねぇ?」

 

 

俺の苦労を聞いて苦笑いするエリックを横目に飲み干した空き缶を潰してゴミ箱に投げ入れる。

 

 

「ああ、そうだ。幸運で気になると言ったら君のお姉さんである台場カノンは周りに幸運をもたらすようだね。ミッション後の報酬が少し豪華だったりするようだ」

 

「…」

 

 

我が姉と同行するものはミッション後の報酬が多いと言う話は他の神機使いからも時たま聞くことがある。

 

金稼ぎが大好きなカレルとシュンからも「誤射はともかくそんな感じはする」とこの話に共感していた。

 

俺は我が姉。または『台場カノン』との同行によって報酬が多くのる話ってのは少し引っかかっていることがある… と言うよりおかしいからそこらへんの調査を進めていた。

 

 

 

「なぁ、エリック」

 

「ああ、構わないよ。ここ一週間の報酬のデータベースを送ってあげよう」

 

「!」

 

「前から相談してくれていたことだ。だからその上で何も言わなくていい。君は周りの連中と違って意味ある事をしている。なら僕はそのお手伝いを華麗にさせてもらうよ。もう既に僕がデータに書き込んでるから後でアーカイブで華麗に眺めてると良い」

 

「っ! ありがとう!エリック!」

 

「構わないさ。華麗なる僕と同じブラスト使いのよしみだ。そのくらいの手伝いはさせてもらうよ。まあそれ以上に僕が君を手伝うには他の理由があるけどね」

 

「え?」

 

 

エリックは背を向けて空き缶をゴミ箱に捨てなからエレベーターへと向かい…

 

 

「君は存じてると思うけど僕にはエリナって名前の可愛い妹がいる。妹の事をいつも大事に思っている。だから兄妹《姉弟》のために何かしてあげたいその気持ちはとても素晴らしい物だと僕は共感するよ」

 

「!」

 

「君の恐れていることが杞憂だとしても些細なことに気にかける姿勢を僕は尊重する。過保護すぎるのは良くないけどね。それでも君の愛しい姉が色々と問題を抱えてるとしたらそれが真っ直ぐ解消されるように検討を祈ってるよ」

 

 

長いセリフを残して去るエリックの後ろ姿は色んなものを背負っているように見えて、とても頼もしく思える。

 

 

「ありがとう、エリック」

 

 

俺は早速自室に戻り、上着をベッドにぶん投げると早速アーカイブを開いた。

 

数分するとエリックから頂いた貴重なデータが届いてたので確認する。

 

台場カノンと同行したミッションクリア時の報酬量と、そうでない時の報酬量を照らし合わせる。

 

そしてエリックのように協力してくれた『橘サクヤ』さんと『ジーナ・ディキンソン』の姉貴からもいただいてくれたデータとも合わせる。

 

最後に受付嬢の『竹田ヒバリ』さんからは台場カノンの出撃データと報酬獲得に因んだデータを受け取った。あまり細かい情報は渡されなかったがヒバリさんに悩みを聞いてもらうと半分は手伝ってくれた。ヒバリさんもカノンを心配していたらしい。

 

 

俺は一体何をやってるかと言うと。

 

 

「これは…」

 

 

台場カノンと同行するこたによりミッション成功時の報酬量が増える話は一体どういう仕組みで動いてるのか確認したかった。

 

もしオカルト的な、または霊的に働いてるなら台場カノンは紛れもなく『レアモノ女神』である。

 

でも俺はそれが本当なのか調べたくて勝手にこんな事をしているのだ。

 

そしてしばらく画面の数字と格闘しながら集計したデータを叩き出して、理解した…

 

 

 

「あのバカ…!!やはりそうか…!!」

 

 

 

結論から。

 

台場カノンに『レアモノ女神』は無い。

 

むしろその逆。

 

台場カノン"だけ"の報酬量が少ない。

 

そして"同行者"の報酬量が多い。

 

 

それはつまり…

 

 

 

「姉さんは同行者に自分が受け取るはずの報酬を分け与えている、そう言うことか!」

 

 

 

俺はアーカイブを閉じて上着を掻っ攫いながら部屋を出る。

 

途中ソーマとすれ違い、焦っている俺に対して不思議そうな視線を向けるが今は関係ない。

 

そしてエントランスまで足を運ぶ。

 

 

 

「っ、姉さん!」

 

「!? …マ、マロン??」

 

 

ピンクの髪の毛に、第一印象はホワホワと柔らかそうなイメージを与えそうな立ち姿をしている我が姉を見つけた。

 

 

そして…

 

急接近して袖を掴み取る。

 

 

 

「!?」

 

「ちょっと面貸してもらうからな!」

 

 

 

ガシッと腕を強く掴み、エレベーターまで強引に連れ去る。

 

後方にいたタツミさんとブレンダンさんは俺の行動に少し固まるが俺に声をかけてこの一連を止めようとするもエレベーターの扉は閉まる。

 

 

 

「マ、マロン…!どうしたの急に!」

 

「反抗期じゃないぞ!純粋に怒ってる!」

 

 

それから姉を屋上に連れ去った。

 

ちょうど誰もいない事を確認する。

 

戸惑っている姉を睨んで…

 

 

 

「おい!バカノン!!」

 

「ふぇ!?」

 

「お前! ミッション時の報酬を他の同行者に分け与えてるな!!」

 

「!!!」

 

 

 

俺の言葉にカノンは目を見開く。

 

それはまるで「何故それを…」と言葉にできるほどの顔だった。

 

 

「誤射や誤爆による罪悪感故に他者へ報酬を流すなど!このアホ!何を考えての行いだ!」

 

「っ!ほ、ほっといてよ!私の報酬だから私が何に使おうと勝手だよね!」

 

「やはりそう言う事で自分が受け取るべき報酬を同行者に流してるのか!それも最大だ3分の2近くを!何でそんなことするんだ!おかしいだろ!」

 

「っ、うるさい! マロンには関係ないよ!それになんでそんなこと知ってるのよ!?どうして!!」

 

「どうしてだと? そうか、知りたいかぁ?」

 

 

俺はお望み通りこれまでの事を話した。

 

色んな協力者がいて、カノンの『レアモノ女神』説を調べるために。

 

でもレアモノ女神説なんてあり得ない話であり、実際はカノンが同行者に報酬を半分近く流していた話を伝えた。

 

 

 

「っ、な、なんで……なんで、そんな事を調べて…」

 

「姉さんが心配だからに決まってるだろ!」

 

「!」

 

「いつもいつもゴッドイータとして命賭けて戦ってるのに充分な報酬も無く、神機も満足に強化出来ず自分を苦しめて!そんなこと繰り返してたら母や妹を!そして俺を置いていつか死んでしまうかもしれないだろ!」

 

「ぁ…」

 

 

 

しまった、と…

 

やってしまった、と…

 

姉はやっと理解して、後悔する。

 

 

 

「姉さんはさ。使用してる神機故に周りへ迷惑かけ過ぎる。そうして自分が使われなくなる事を恐れてるんだ。だからそうならないためには周りが勝手に思い込んだ『レアモノ女神説』を利用して、少しでも好かれようとするために身を削ってるだろ?」

 

「……」

 

「やめてよ。そんなの。嫌だよ」

 

「マロン……わたし…」

 

「お願い。もうやめてくれ。俺はそんな姉さん見たくない。俺の姉さんは家族を、そして弱き者の代わりに戦うためにゴッドイータになったんだ。検査では適合率の高さにスカウトされたけど姉さんは人を守りたいその意思を持ってたからこうして毎日戦うことを決めたんだ。俺はそんな姉さんの後ろ姿がかっこいいと思えたんだ」

 

「マロン……」

 

「そりゃ確かに戦いの中での銃撃戦はポンコツだ。援護できない誤射姫だ。総合的にバカノンだ。自分と周りを含めて大変だと思う」

 

「うっ、そ、そこまで言わなくても…」

 

「だが重たい銃を握って人を一撃で喰らうアラガミを駆逐しようと正面から立ち向かう。それは『俺にはできない事』であり、姉さんはできるんだ。そして今まさに出来ているんだよ。だからさ、マスコットのように好かれようとするのやめてくれ… 頼むよ、カノン」

 

 

 

俺は前世も含めて既におっさんの年齢だと思われる。精神年齢はこの世界の同年代の者たちよりも高い。でも一人で放浪していた俺を拾って姉になってくれた台場カノンに感謝している。

 

そして大事に思っている。

 

だから、放って置けないんだ。

 

 

「マロン…ごめんなさい。 ダメなお姉さんで」

 

「!」

 

「マロンにそこまで思われていて、それほどに心配されていることにいますごく恥ずかしく感じてます」

 

 

 

カノンは静かに涙を流しながら謝る。

 

俺はその姿を見て『もう大丈夫』だと言う事を理解した。

 

 

 

「ありがとうね、マロン」

 

「ああ、気にするな。姉さんのそういうところ、今に始まったばかりじゃないから」

 

「もう、あまり意地悪言わないでよ。私はマロンのお姉さんで、歳上としてちゃんとしてないとダメなんだから」

 

 

 

そう言ってギュと抱きしめられる。

 

柔らかな抱擁に対して俺も同じように返す。

 

 

 

 

「マロン…」

 

「?」

 

「ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

「これからもダメなお姉さんをよろしくね?」

 

「ああ、よろしくしてあげるよ」

 

「ふふ、ありがと」

 

 

ミッションから帰ってくる神機使い達のヘリコプターを眺めながら俺はカノンの事を考える。

 

ゴッドイータとして加入したばかりの頃は一ヶ月先に配属したカノンとブラストの練習に付き合ってくれた。

 

荒々しい一撃の数々だった。しかしそれが適合率の高さ表しているからカノンに感心した。

 

俺は彼女が原作キャラだからこそ『大丈夫』と勝手に頷いた。

 

でも大丈夫じゃなかった。

 

彼女は彼女の悩みによって今回のレアモノ女神説の話を利用して自身を苦しめていた。

 

今回はその事を解決したがこれからが大変だ。

 

また彼女が曲がった道に進まぬよう、俺は弟として姉の彼女を支えないとならない。

 

第2部隊さんの二人にも力を借りながらだけどカノンを頼れるゴッドイータにしたいと思う。

 

俺はゴッドイータなカノンに追いつけるよう、オワタ式な苦悩に負けず、強くなろう。

 

それだけの話だ。

 

 

 

つづく






エリックはとても良い奴です。


ではまた
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