オワタ式な神機使いの生き方   作:てっちゃーんッ

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第4話

 

〜 煉獄の地下街 〜

 

 

「え? 妹さんの誕生日プレゼント?」

 

「何か良い案はないかい?」

 

「そうだな。たとえばエリナちゃんの歳は幾つだっけ? 誕生日を迎えると11歳か?」

 

「そうだね」

 

「なら11歳相応のプレゼントが良いな。帽子とかアクセサリーみたいに可愛らしい物はどうだ?」

 

 

「それもありだけど、エリナは色々持ってるからね」

 

「でも最愛の兄から貰えるなら何だって嬉しいだろ。あまり難しく考えなくて良いんじゃないか?」

 

「…そう…だね。 君の言う通りだ」

 

「あ、でも、そうだな」

 

「?」

 

「エリックが決めかねてるなら、エリナちゃんをショッピングに連れて行って、何か買ってあげるのはどうよ?そして帰りに美味しいご飯でも食べてさ、兄との一日をプレゼントする。これで良くないか?」

 

「ふむ、それはとても素晴らしい案だ。 華麗なる僕からのピッタリなプレゼンツだね」

 

「じゃあシユウ三体なんてチョチョイと葬って華麗に帰ろうか」

 

「同感だね。ってことでソーマ。今回もよろしく頼むよ」

 

「………ちっ」

 

 

 

若干空気になっていたソーマを連れていま現在『煉獄の地下街』って場所までやってきた。

 

マグマ垂れ流しでとても暑い。

 

 

「俺は行く。お前らは一体だけ逸れたシユウに迎え」

 

 

「ソーマは二体同時にかい?」

 

「ソーマぱいせんならシユウ程度は余裕だろうし良いんじゃないか?」

 

 

「……とりあえず、ついてくるな」

 

 

 

冷たく突き放す彼。

 

それは死神のレッテルを貼られてしたい、そして死神のレッテルを受け入れた故に集団行動を嫌うソーマ・シックザールは俺たちから離れようとする。

 

その場からクールに去った… と思いきや、進んだ先の足場が悪いためソーマは運悪く躓いてしまいヨタヨタと少しフラついていた。

 

 

「…」

 

「…」

 

「………」

 

 

 

しばらくの静寂。

 

俺とエリックは横目で視線を合わせ会い。

 

 

「やはり一緒に行こうか?」

 

「今日のソーマぱいせんは調子悪そうだし賛成だ」

 

「うるさい!!いらん!!」

 

 

 

大声で否定する。

 

子供っぽく不機嫌そうに去って行こうとするが俺たちも早足で追いかけてソーマの両側に立ち並んだ。

 

その行動に対してソーマは少しの驚きと戸惑い混じり合わせ、声は怒りを示す。

 

 

「おい!お前ら!!」

 

「違う違う。ただ俺たちの進行方向にソーマぱいせんが向かっているだけで別に追いかけてる訳じゃないゾ」

 

「そうだよ(便乗)」

 

「だからけっッッっして、なんだか寂しそうなソーマのとなりに立って今日もクソッタレな職場でアラガミを食らいつくそうなんて思ってもないから」

 

「そうだよ(肯定)」

 

「エリック! お前もなに便乗してやがる!」

 

 

 

だんだんとソーマのプンスカメーターが上がる最中一体のアラガミがお出ましとなる。

 

 

 

「おっとっ!? これはこれは? 俺たちの進行方向にシユウがいるぞー! これはソーマぱいせんも討伐しなければならないし、見つけた俺とエリックもゴッドイーターとして駆除しなければならない! ああ残念!! これはソーマぱいせんと共闘するしかないな!!」

 

「そうだよ(肯定)」

「ッッ〜! 勝手にしろ!!」

 

 

最近俺のノリに毒されてきたエリックもブラストを構え、半分諦めを見せているソーマの援護を開始する。

 

そんな俺は物陰に隠れて隙を伺うことにした。

 

オワタ式なので慎重にな。

 

しかしあまり心配は無い。

 

ソーマには『存在感』ってスキルがある。

 

アラガミから狙われやすくなるスキル。

 

お陰で俺はアラガミに狙われる回数が比較的少なくなる。なので物陰でビクビクする必要はあまり無いのだが、オワタ式を忘れないためにも慎重になってもいいだろう。

 

 

 

「おら、不完全プレデターモードいけぇ!」

 

 

俺は隙をついて神機をプレデターモードに切り替え、ソーマぱいせんと踊っているシユウを狙いつける。

 

そして釣竿のように投げ入れると捕食のために変形したプレデターモードは伸びてシユウ頭にかぶりついた。

 

 

しかしこの武器はオラクルソード。

 

武器の性能故に敵を傷つけるレベルで噛みちぎる事は出来ず、甘噛み程度で食らいつく。

 

まぁそれでも多量のオラクルの回収が完了できるためノーダメージに関してはブラストで取り戻すことができる。

 

神機から手榴弾を生成して声をかける。

 

 

「ソーマ、華麗に射線上を開けてくれ」

 

「ちっ」

 

 

ソーマは舌打ちしながらも大きくシユウから退き、射線上を開けた。

 

エリックに対してはなんだかんだで「素直に聞いてくれるソーマかわいい」

 

 

「テメェ!聞こえてるぞ!」

 

 

どうやら心の声が出ていたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「調査ガバガバやん!」

 

 

どうも、甘そうな名前の男、台場マロンです。

 

エリックとソーマぱいせんと共闘の末、一体目のシユウは難なく撃破完了しました。

 

それで怒ったソーマは単独行動に出ました。

 

エリックもソーマの行動に苦笑いしながらもシユウの散策のため一度別れることに。

 

そして俺は…

 

 

 

「「グォォオ!」」

 

「「ゴボゴボ!!」」

 

 

 

シユウ二体はともかく真っ赤なグボロ・グボロ堕天の二体に追われているところだ。

 

それにしても今回のミッションにグボロ系までいるなんて思いもしなかった。

 

そして遠距離攻撃の嵐である。アスリートのスキルとかなかったら俺なんか既にお陀仏だ。

 

スキル様様です。

 

 

 

「さりげなく堕天種までいるし、地獄かよ。いや、このステージもある意味地獄か。ハハハワロス」

 

 

それにしてもこれは調査報告が疎か過ぎないか?

 

報告だとシユウが二体だけだと聞いていたのにね。

 

 

 

「こんなところだ。凄く暑て仕方ないから調査なんてまともに捗らないかもしれない。でも命賭けて戦うゴッドイーターの事を考えてくれよな本当に」

 

 

人は与えられた情報を信じてそここら対策を立てる。

 

しかしその情報に誤りがあり、立てた対策が無意味と化せば容易く危険を晒される。

 

そんはの論外だ。

 

それ手練れのゴッドイーターすらも失ってしまうことも珍しく無い。

 

ましてやココはアラガミの動物園と言われる極東支部だ。

 

お粗末に左右されては直ぐに死んでしまう。

 

 

 

「その結果としてオワタ式な俺はアラガミ四体のベリーハードモードに突入してる始末。こんなの上級者を超えた超上級者かよ。まだ無印ピルグリムの方がマs… ごめん、無印ピルグリムも正直無理だわ」

 

 

 

生成した手榴弾に小さなアンテナを設置して腕輪に無線を繋ぐ。

 

そして曲がり角の壁に引っ掛ける。

 

 

「くらえよ!」

 

 

俺を追いかけて先行するシユウ二体の後ろにいるグロボ達の目の前にスタングレネードをぶん投げる。光が弾けるとグボロは視界を奪われてフラフラする。

 

次にシユウの斬りはらいが目の前に迫ってくるが背を低く攻撃を回避してそのまま背を向けて再びアラガミから逃走を開始。

 

後ろを見ず適当にブラストの銃口をシユウに向けて放火。ブラストは攻撃範囲が広いので多少ガバガバなエイムでも大丈夫。そして運良くシユウの足に直撃。結合崩壊した。

 

結合崩壊されたアラガミはまるで神の怒り触れたがごとく戦闘力を上昇させる"活性化"を行うようになる。それは当然シユウでもあり活性化を行おうとした。

 

 

 

「ポチッとな」

 

 

腕輪から無線を飛ばして壁に引っ付いてる手榴弾が反応。壁を崩壊させながらけたたましく光った。

 

爆発に巻き込まれたシユウはうめき声が上げなごら活性化は強制的に押さえつけられ、崩れる壁の瓦礫に押しつぶされていく。

 

そのまま遅れ気味に追いかけてきたもう一体のシユウも瓦礫などに堰き止められる。俺は完全にアラガミから逃げることができた。

 

オワタ式故の逃走力舐めんなよ。

 

 

「マロン!」

 

「おい! 無事か!?」

 

 

戦闘音に聞いて駆けつけた二人。

 

とりあえず合流に成功だ。

 

 

「おお、ソーマぱいせん!大丈夫。この通りぴんぴんしてるぞ!へーきへーき!へーきだから!」

 

 

「…とりあえずその"ぱいせん"ってやらを止めろ」

 

 

 

いまは怒ってないようだ。

 

それよりよりも俺のこと心配してくれて駆けつけてくれた「ソーマぱいせん優しい」

 

 

「いい加減叩き殺されたいらしいな」

 

 

あ、また心の声が口から漏れてたようだ。

 

 

「それより赤くてホットなグボロ・グボロもいたぞ。しかも二体」

 

「それは本当かい?」

 

「本当だぞエリック。いま二体とも仲良くスタングレネードでふらついてる頃だと思う」

 

「本当によく生きてたね」

 

「慣れたよ」

 

「おい、お喋りはここまでだ。くるぞ」

 

 

瓦礫が蠢く。

 

すると瓦礫の隙間可否激おこプンプン丸なシユウと目があった。

 

するとソーマがチャージクラッシュのためにバスターを構えるが…

 

 

「待て待て。ここじゃ狭いから広いところに出よう。ブラスト使いの俺達二人じゃソーマの邪魔にしかならない」

 

「……」

 

「せっかく合流したんだ。 ちゃんと援護させてよ、ソーマ」

 

「……ちっ」

 

 

 

最近わかったことがある。

 

ソーマが諦めたように「ちっ」と舌打ちしたら素直になってくれること。

 

なのでこの舌打ちは俺の提案に頷いてくれた事になる。素直じゃない「ソーマつんでれ」

 

 

 

「わかった。 テメェもシユウごとぶった切られたいことがな」

 

 

 

また心の声が漏れていたようだ。

 

 

 

 

 

それから。

 

わし、18才と。

堕天種のアラガミと。

煉獄の地下街で盛りあった。

 

今日も明日もクソッタレな職場なんで、神機使いシユウとホットなグボロ達も巻き込み、しこたま殺し愛をやりはじめたんや。

 

アラガミはオラクルの塊なもんやから、スタングレネードでヒクヒクするシユウやグボロに多量のブラストをドバァーと出してきた。

 

初見殺しなトラップも兼ねてオラクルで結合崩壊共に、アラガミのオラクルをずるずるっこんでやって、もう狂うほど気持ちいいんじゃ。

 

ああ〜、たまらないぜ。

ブラストはやはり最高やな。

 

極東支部でクソ(ッタレな職場)まみれになりたい奴、至急メールくれや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 整備室 〜

 

 

 

「オラクル手榴弾の調子どう?」

 

「かなりいい。でも使い所さん間違えるとかなり酷いことになりそうだな」

 

 

冷やしカレーをゴクゴク飲み干す彼女の味覚に少し引きながら質問に答える。

 

ちなみに俺が飲んでるモノも冷やしカレーなんだけど、湯煎して少し温めたやつだ。

 

 

 

「あ、マロン。そういや朗報が一つあるよ」

 

「と、言いますと?」

 

「銃にオラクルを貯蔵できるアラガミ素材が全てわかったよ」

 

「情報が早いなオイ!?」

 

 

脳内で『メイン情報来た!これで勝つる!』と騒ぎ出す懐かしき大昔のヴァナディール達の絶賛を受け止めながらも既に次のプランを頭から引っ張りだそうとしていた。

 

 

 

「それでその素材って?」

 

「まず全ての属性に適応させるための『オラクル火石』『オラクル輝石』『オラクル氷石』『オラクル雷石』を必要する」

 

「アラガミ素材じゃないな」

 

「これはあくまで神機に溜めすぎたオラクルの暴走を四つの属性で暖和させることが目的なんだよ。あとオラクルの保存料みたいな感じの役割も果たす。何せあらゆるアラガミからごちゃ混ぜにオラクルを吸収するんだからこれは必要なことなんだよ」

 

「ごちゃ混ぜ? ……ああ、そういうことか。なるほど。この話はあくまで"新型"神機使い限定の話で通るのか」

 

「相変わらず話が早くて助かるね。うん、その通り。君は剣と銃の切り替えが可能な神機使いだからアラガミを攻撃することでオラクルを回収して、オラクルポイントに変換してそれを銃撃に使う事になる」

 

「そうだな」

 

「今の世代の神機使い。または今後()()と呼ばれる事になるだろう銃オンリーの神機使いは自動回復ユニットの効果によってオラクルポイントを常に銃の中で生成し続けている。そのオラクルはバンバン使いまわしても神機に負担が掛から無いモノなんだよ。もちろん整備は必要だけどね?しかし適合率が低くても使えるように編み出された銃専用のオラクルなんだ。負担が軽いの」

 

「だけど新型の場合は色んなアラガミからオラクルを喰らい、それをごちゃ混ぜにしながらオラクルポイントを貯蔵することになる。いまはまだアラガミの種類が多くないからそこまで複雑に混ざり合わないけど、今後の事を考えるとオラクルを制御できるようにする必要がある訳だな?そして今後考えている『オラクルリザーブ』ってシステムを導入するならそれはもう必須な訳か」

 

「うん。マロンの言う通り、今後新型神機使いはアラガミからごちゃ混ぜにしながらもオラクルを吸収することになる。それを人間サイズの神機に対して多量に詰め込めてしまうならそれを制御するシステムが必要な訳だね。その近道として『オラクル火石』『オラクル輝石』『オラクル氷石』『オラクル雷石』の四つの属性を管理してくれる素材が必要な訳なんだ」

 

「アラガミにも属性があるからな。それくらいは必要か」

 

「でもその四つの素材さえ集まればあとは簡単に開発は進むことは既に研究済み。あとはアラガミの素材だけよ」

 

「リッカまじ仕事早すぎないか?」

 

「極東のエンジニアだよ?これくらい当然」

 

「うわー、頼もしすぎる。いい人に会えて良かったと心のそこから思ってる」

 

「むしろこのような開発プランを考えてくれる神機使いが居てくれた事に私はすごく嬉しく思うかな?」

 

「まあ… 俺の場合だとオワタ式な事も含めて手段を広げるしか無い。そのためには色々と考えてしまうんだよ」

 

「うん……そっか…」

 

 

 

簡単な話。

 

戦闘が続けば続くほど死亡率は高い。

 

人間のエネルギーは無限じゃない。

 

長い時間の中で常に生と死の駆け引きを行う。

 

そのためには戦闘時間を減らす必要がある。

 

だから俺はブラストの『ワンパン』性能の高さに目をつけた。

 

そしていずれ引き金一つ引くだけで()()()()()ような戦闘が可能なら、それはどれだけ戦闘時間が捗るだろうか。

 

ミッション時間自体は長引くかもしれないけどアラガミと対立してる時間が少ないなら事故率や死亡率も低くなるはず。

 

アラガミの動物園と言われる場所で常にアラガミと駆け引きをするならこれくらいの事はやらないとならない。

 

 

 

「それで? 制御システムのための材料はわかったけどやはりアラガミから素材を必要とする訳だ。そしてそのアラガミとは?なあリッカ、教えて。次は何をすればいい?あと何を殺せばそこに辿り着く?」

 

「セ ク メ ト」

 

「こ ろ す き か」

 

「冗談だよ」

 

「リッカァァッ!!!」

 

 

 

まずセクメトなんかと戦ったら冗談抜きで『キボウノハナー』一直線だろ。

 

笑えねぇ…

 

 

 

 

 

 

つづく


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