オワタ式な神機使いの生き方   作:つヴぁるnet

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第8話

 

 

 

人の手によって綺麗に整地されたはずの道は無慈悲な存在に手荒れ果てた大地と変わり、何十年も前に沢山の建物が並んでいたその場所は瓦礫として朽ちてしまい、潤いを与えていた水も自然もそこには無い。

 

この世に現れたアラガミと呼ばれし存在によってこの世界は変えられた(食べられた)

 

しかしそんな世界でも生き残るために足を止めない者がまた一人いる。

 

この世のアラガミを殺すために急ぐ青年は幼い頃にとある神機使いから渡されたコンパスの針を目印に進む。

 

そしてもう一人。

 

足を怪我してまともに歩けないひとりの女性。

 

その姉は愛する弟を心配させぬようこの状況に立たされながらもひたすら先頭を歩き、ひたすら南へと進む。

 

しかし…

限界は来た。

 

 

「…ぁ……ぅぁ……レン…カ…っ…」

 

「姉さん!!?」

 

 

 

疲労により地面に崩れる。

 

もう足は進まない。

 

そのかわり獲物を喰らおうとする足音が聞こえる。

 

アラガミだ。

 

 

「!」

 

 

弟はいち早くアラガミに気づくと地面に崩れた姉の腰に腕を通して抱き上げて建物の中に潜む。

 

そして朽ち果てた建物の奥に進む。

 

疲労と怪我に苦しむ姉が咳き込む。その弟は姉を地面に座らせて壁に背中を預けさせて、その足を確認した。

 

 

「っ…」

 

 

数刻前に受けた傷。

 

アラガミに襲われながらも全壊した集落を抜ける際にバイクに乗って逃走を開始したが、その時オウガテイルの牙が姉の足を捉えた。

 

その傷跡は思ったより深く、膿により侵食していた。これでは足がまともに機能しない。

 

今ここで治療を行えばその足を元に戻す事はできるだろう。だがそのような道具はこの状況持ち合わせてる筈もない。あるのは一口分の水とビスケット。

 

あと方角を間違えないコンパスだけ。

 

包帯も消毒液も存在しない。

 

既にこの世界にそんな大層なモノは無い。

 

そのかわり絶望だけはその場にあった。

 

 

 

「レンカ、あなたは…逃げな、さい」

 

「嫌だ! 俺は姉さんを置いてなん___」

 

 

希望を捨てたくないその言葉を続けた次の瞬間だ。

 

建物の天井が崩れる。

 

何かが……

いや、絶望が上から落ちてきた。

 

 

 

「「!?」」

 

 

 

大きな牙と、大きく広い尻尾。

 

この世でよく見られるアラガミ。

 

オウガテイルだ。

 

小型のアラガミだが、力無き一般人からすれば絶望する相手だ。

 

しかもそのオウガテイルは通常のオウガテイルとは異なり、大きな尻尾に電気を纏っている。

 

まるでヴァジュラとのハイブリッドだ。

 

ただのオウガテイルではない。そんな厄災がこの姉弟に追い討ちとばかりに舞い降りる。

 

 

 

「グルル?」

 

 

 

黄色のオウガテイルは周りを見渡すと身を強張らせていた姉弟と目が合う。

 

そしてその目は当然のごとくこう訴える。

 

 

___獲物だ…

 

 

 

「くっ…」

 

 

 

青年は足元に落ちてる鉄パイプを握りしめて、アラガミと対立をする。

 

勝てないのはわかっている。

 

でも逃げることを選べない。

 

後ろにいる姉をアラガミの餌食にはさせない。

 

神に祈ることさえもせず、ただ無力に立ちはだかるだけだ。

 

そんな弟の後ろ姿を見て姉は思った。

 

アラガミから逃げることができないこの足を抱えた自分が最後に役立てる方法。それはアラガミの餌になるだけ。

 

そして【繋ぐ】だけだ。

 

母から、父から、繋げてくれたこの命。

 

それを目の前にいる弟に繋ごう。

 

そう思い姉は手を伸ばしてナイフを取る。

 

 

「もう…仕方ない、弟なんだから…」

 

「!?」

 

 

弟は見る。

 

震えるその手で握るナイフの先を。

 

 

 

弟は悟る。

 

姉が今から何をしようとしてるのか。

 

 

 

弟は知る。

 

父が逃がしてくれたように姉もそうしようと。

 

 

 

 

「やめろ! 姉さん!」

 

 

 

 

思考が追いついた時にはもう覚悟を決めた姉の姿がそこにあった。

 

伸ばす手は届かないだろう。

 

そして彼女の終わりが喉元に斬り込まれようと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぶち込んでやるゼェ!」

 

 

___斬り込まれようとはしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうもお久しぶりです。

 

甘そうな名前の男、台場マロンです。

 

まあもう、この世に栗なんて無いですが。

 

この世唯一のマロンは俺だけ。

 

まあそこら辺はどうでもいいか。

 

さて、現在この付近を調査しています。

 

半年前に調査済みだと言うのにまたこの場所に飛ばされました。

 

恐らく半年周期で同じところを何度も調査させられるのでしょうね。

 

馬鹿馬鹿しい。どこも廃回していて変わらないと言うのに。

 

あ、この愚痴は調査隊としての目線ね?

 

内緒だぞ?

 

 

 

「んん??……あれは?」

 

 

 

調査記録を刻むために携帯しているメモ用の電子機器から視線を外す。

 

ビルの上から気になる モノ を見つけた。

 

ただし、物ではなく()だ。

 

 

 

「オウガテイル? いや、あれは本当にオウガテイルか?」

 

 

 

毛並みが黄色い。

 

一瞬、ヴァジュラかと思っ………いや、まさか!

 

 

 

「まさかヴァジュラテイルか!?初めて見た!」

 

 

 

この世界に来てから一年が経過する。

 

その間にアラガミは飽きるほど見てきた。

 

しかしオウガテイルの亜種的存在は一度も見ていない。

 

てか今までオウガテイルに別種がいた事すら忘れていた。

 

まぁそれどころじゃなかったゴッドイーター人生だったので細かにアラガミの種類など意識する余裕なかった訳だ。

 

まっ、多少はね?

 

 

 

「建物に入った。随分と気ままで……って、おいおい……嘘だろ?」

 

 

 

ゴッドイーターとしての視力と調査兵として嫌ってほど良く見えるようになってしまったこの目が、地面にこびりつく微かな血痕を見つけてしまう。

 

小さく垂れ落ちただろ血の跡は人間でなければこの世界ではありえない。

 

もしアラガミならもっと鮮烈に撒き散らされてるだろう。

 

 

 

「こりゃ経験則上だと人間の生存者がいることになるな…」

 

 

 

その答えに行き着くと俺はポケットから"強制解放剤"を取り出して神機に突き刺す。

 

すると体がチリチリと焼ける感覚に襲われるが体内が熱くなり身体に力が湧き上がる。

 

ゲームならば体力が下がり耐久面が不安になるが、まあ俺には関係無い。

 

オワタ式に体力(バイタル)は飾りだからな。

 

そのため躊躇することはなかった。

 

 

 

「疑似バーストモードは安定、よし」

 

 

 

バースト状態の確認を終える。

 

それから片目を閉ざす。

 

そして閉ざして無い方の眼に力を入れる。

 

すると視力は片方の目に集中して()()()()()ようになる。

 

微かにだがオラクルが視認できるようになる。

 

地面に視線を向ける。

 

足跡だ。

 

オウガテイルサイズの足跡。

 

重力と引力がある地球だからこそオラクルの塊であるアラガミの体から溢れるオラクルが足跡となって地面に形作ってくれる。しばらくするとそのオラクルと消えてしまうから、まだ新しいと言うことだ。

 

ちなみにコレはユーバーセンスの力では無いらしい。

 

俺個人が持ち合わせている能力。

 

 

「調査兵としての進化、もしくは人としての進化だったりするかもな」

 

 

一応サカキ博士には説明した。

 

適応力の問題らしい。

 

オワタ式だからこそ、アラガミたる神機使いの俺が生き残るために体がそう進化したんだと。

 

そのトリガーとして片目を閉ざして、閉ざした分の視力を片方の眼に集中させて力を発揮する。

 

人間じゃない。まるで化け物だ。

 

いや、ゴッドイーターは化け物だな。

 

ゴッドイーター2でもブラッドが進化してきたんだ。俺はブラッドじゃないがオラクルを投与してアラガミの力を得たゴッドイーターだ。

 

それなら俺だってブラッドじゃ無かろうとも進化もするさ。それだけの話だ。

 

 

「っと、逃すと思うか…!」

 

 

オラクルソードを強く握りしめてヴァジュラテイルを追いかける。

 

途中数体のオウガテイルの群れがいたがその真上を高々と飛び、強引に突破する。

 

見上げれば視認できるほどの堂々とした突破なのにオウガテイルは気付かやい。

 

更に高く降り立った着地の音も無反応。

 

これが【超消音】の力か。

 

気配すら断じている。

 

なんなら声も張り上げ無ければ、独り言呟く程度の音も断殺する。

 

改めてすごい力だと理解する。

 

ゲームなら消音で充分だがリアルが絡むとそうもいかない。

 

見つからないことが生き残る近道だ。

 

リンドウも「死にそうになったら逃げろ」「そんで隠れろ」「隙をついてぶっ殺せ」を多くの新人に教えている。

 

そして「生きていればなんとかなる」が生きる道として正解なら超消音のようなスキルは生存率を大いに高めてくれる。ソーマのように戦える奴だけが()()()を出してアラガミを屠ってくれたらいい。

 

俺は戦闘タイプじゃないので逃げ特化と言うことにしておこう。

 

リッカマジでありがとうな。

 

一応サカキ博士にも感謝はしておく。モルモットにしてくれた恨みはまだ些か消えないが

 

 

「しかも微かに小さな反応が二つある!まさかこの建物の中か!」

 

 

バースト状態だから察知力も高い。

 

これもオワタ式故の進化だ。

 

なんならオラクルではない普通の生物の気配だと言うこともわかってしまう。

 

少し焦りを生みながらもヴァジュラテイルを追跡していると朽ち果てた建物の中に入った。

 

すると二階への階段を登り、奥へ奥へ進む。

 

やけに足取りが軽い。

 

 

 

「っ、そう言うことか!待ちやがれ!」

 

 

 

するとヴァジュラテイルは走り出す。

 

そして床が脆い地面を見つけるとその場所にめがけて力強く踏みつけて真下へ崩れ落ちる。

 

しかもその先はアラガミでは無いよ小さな生物反応が二つある。

 

まるでヴァジュラテイルはそこにいることわかっていての動きだ。

 

なんだよあの知的な行動は。

オウガテイルにしては賢すぎる。

 

 

 

「アラガミが!知力を待とうなど!そのまま人を超えるつもりか!」

 

 

 

ヴァジュラテイルの後を追いかけるごとにだんだんと二つの生命反応も強くなる。

 

神機を変形させながら穴に向かって飛び降りてヴァジュラテイルの背中を確認しながら銃口を下に向けてトリガーに指を引っ掛ける。

 

そして。

 

 

「ぶち込んでやるゼェ!!」

 

「ガアアアア!?」

 

 

流石に大声を消せる超消音では無いが、意識をこちらに向けさせるためだ、問題ない。

 

鉄球のようなモルター砲が脊髄を狙う。

 

 

「ゴ、ゴヒュュゥ…ァ!!!」

 

 

ヴァジュラテイルの脊髄が破壊されるとそのまま首がへし曲がる。ふらつくヴァジュラテイルを上から踏みつけて、折れる骨の音が建物の中で響き渡る。そのまま足に力を入れた潰して首にトドメを刺して、首が千切れる。

 

転がる顔を壁に向かって蹴り飛ばし、打ち付けられたその瞳は焦点が合わない。

 

 

「お前らも死んでしまえ」

 

 

騒ぎを聞きつけて曲がり角から出てきた数体のオウガテイル。

 

そのタイミングと合わせてヴァジュラテイルの頭に向かってトリガーを引き、オラクルが真横に弾け飛ぶ。連鎖爆撃系のバレットでまとめてオウガテイルを消し炭にした。

 

 

「さて、コアは貰うぞ」

 

 

胴体は残っている。

 

それに神機を向けて捕食…しようとして。

 

 

「台場…さん?」

「マ、マロン?」

 

 

 

「んえ?」

 

 

いま俺の名前を読んだ……か?

 

振り向く。

 

そして、そこにいたのは…

 

 

 

 

「……空木(うつぎ)?」

 

 

 

 

つい10日前にお世話になった家族の子供達がそこにいた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて再開を懐かしむ暇もない。

 

アラガミ動物の中で足を止めるのは自殺行為なので空木家の姉弟を連れて調査のために作り上げた拠点まで向かった。

 

向かった先は元々処方せんだった場所であり薬も瓦礫の下に埋もれている。その中でいくつか無事に使える薬が転がっていた。

 

足を怪我してる空木家の長女である『空木イロハ』に薬を使って治療した。

 

 

まあ、しかし…

少し空気が悪い…

 

 

俺は一旦姉弟だけにして外の見回りに向かった。

 

まぁ入り口からアラガミに見つからないよう顔を出していて外を見渡す程度だけどな。

 

すると空木姉弟の穏やかではない揉め事が聞こえる。

 

 

 

「姉さん! なぜあんなことをした!」

 

「っ…それは、あなたを逃がすために…」

 

「俺はそんな事望んでいない!」

 

「…」

 

「俺の家族はもう姉さんだけしかいない。お父さんも… お母さんも、命を捨てて俺たちを生かそうとッ」

 

「違う!!」

 

「!」

 

「捨てた訳じゃない!命を繋いだの!」

 

 

 

普段穏やかな姉から声が上がる。

 

てか、この声拾ってアラガミ来なければ良いが。

 

 

 

「レンカと私のためにお父さんとお母さんは命を繋いでくれた!神に祈れない世界だから!人の力だけで生きる世界だから!人が人を助けて繋いだのよ!だから私も… わたしもっ… わたしは…レンカを繋ごうと思って… ナイフを持ったけど………でもっ、でも…」

 

 

 

歯をくいしばるような声。

 

決めたはずの覚悟が揺らいでる心情。

 

それはまるで…

 

 

 

「わたしはレンカと離れ離れになると思うと……怖くて……苦しくて……」

 

「姉さん…」

 

「ごめんなさいっ…ごめんなさい…レンカ…わたし…ごめんなさい、わたしは…やはり…ごめんなさい……貴方と、別れるなんて…ぅぅ」

 

 

 

 

わからないことはない。

 

むしろイロハは賢明な判断を下した。

 

そして……その覚悟も俺はよくわかる。

 

よく知っている。

 

だって俺の姉さんも、そうしてくれたから。

 

死を目の前にして尚弟を救おうとしたその強さを良く知っている。

 

 

 

「神に祈れない世界……か」

 

 

それはつまり天に向かって救いを求めれないこと。そうなると無力な人間にそれはどれほど苦しいことか?

 

いや、俺には分かるはずもない。

 

何せアラガミを殺せる力を得てしまった俺だ。

 

だからその言葉はどれほど重いのかもわからないのは確かな話だ。

 

 

 

「レンカ………れんか………れんかぁ……」

 

「もう、いい。 ここは…… 安全だから…」

 

「レンカ……置いていかな、いで…レンカ……」

 

 

 

魘されるように呟かれる。

 

そして救われた事実を受け止めた体は一気に脱力感に襲われたのか安心と不安を矛盾させながら微睡みに落とされていった。

 

そろそろ見回りから戻るかな。

 

聞き耳立てていた雰囲気もなく自然と戻る。

 

 

 

「ただいま。 イロハの調子は……寝たのか?」

 

「あ、ああ」

 

「相当疲れてるみたいだし」

 

「あぁ…」

 

 

レンカにもたれかかるように眠りついたイロハ。

 

そして離れたくないその両腕がレンカの腰に回されていた。

 

 

 

「とりあえずそんな地面じゃ冷たくて仕方ないだろ。すぐそこに布敷いてるからそこで横にさせよう」

 

「わかった。 色々悪いな…」

 

「気にすんな。 10日前のお返しだ」

 

「そうか……もうそのくらい経つのか」

 

 

 

アレから10日が経過した…

 

それは俺が空木家と別れた日数だ。

 

 

 

「5日間の調査は成功…? で終えたのか?」

 

「ああ、お陰でそこそこ良いデータが取れた」

 

 

 

居住区外で生きる空木家と知り合いなのは、俺がとある調査場所に投げ飛ばされ先で知り合った。

 

 

……少し過去を巡ろう。

 

 

数日分の生活道具を持ち込み、ヘリコプターから降り立った近くにはとある集落があった。

 

ゴーストタウンも含めて今まで見てきた中でおそらく一番大きな集落であり、人もそこそこ多かった。

 

小型アラガミ程度なら襲われ辛い構造をしている場所だった。ただし浮遊するアラガミからの防衛手段は無いようだった。つまり絶対安全とは限らない。

 

俺はその集落付近に拠点を構えようと思ったので、ついでに集落の人々とコンタクトを取ろうとしたが返ってきたのは殺意の眼である。

 

俺はこれがなにかを知っていた。

フェンリルを恨んで、憎しんでいる。

 

それだけで答えが行き着いた。

 

フェンリルの居住区に入れず追い返された放浪人の眼だ。

 

まあ諦め半分だっから恨み込められた眼はそれほどショックは無かった。

 

とりあえず歓迎されてないことはわかったので俺は邪魔にならない場所で拠点を立てようと思い、勝手にどこか住まえないかと散策して、下層にあるボロ屋に行き着いた。

 

それからその拠点を中心に半径20キロメートルを東、西、南、北の順番で数日ほど調査を行った。

 

ちなみに砂漠化している北のほうでは接触禁忌種であるセクメトがいた。めちゃくちゃ熱い場所なのに背筋を凍らせながら砂に潜り込んで身を潜めてやり過ごした。

 

砂漠での戦闘経験なんか無い中で空中を自在に動ける半チート版シユウなんかと戦ったら死あるのみ。数時間は砂の中にいた。かなり辛かった。 一応セクメトは集落と反対の方向をひたすら目指していたから調査記録に刻んで奴は放っておいた。

 

そんな感じにヘロヘロになりながら集落に戻れば、ザイゴートの群れが集落の近くまでやってきていた。それに気づいた難民は緊急信号を出して、難民に避難を呼びかける。

 

俺はゴッドイーターとしての勤めを果たすため神機を変形させてトリガーを引く。

 

流れ作業のように連鎖破壊を起こしてザイゴートを地面に叩き落としてやった。

 

避難信号を出していたひとりの難民は唖然としてこちらを見てたので「倒したぞ」と気怠るげに手を振って返事する。感謝される隙も与えない俺はともかくヘトヘトの体を休めたいと思って拠点に転がった。

 

そして休もうと思った時だ。

 

遠征から戻ってきた青年、空木レンカと初めて出会った。ザイゴートが散り散りになる光景を見て急いで戻ってきた。

 

俺がやった事を知らせたら感謝された。

 

そして、こう聞かれた。

 

 

 

『アラガミと渡り合える方法を知りたい』

 

 

 

この世界に負けぬ、強い瞳。

 

俺はどうしようか考えたが、頭まで下げられたので「わかった」と頷いた。

 

そしてこの日から空木レンカと交流が出来上がった…… と、言うか空木家と交流が出来上がった。

 

ザイゴートの件もあったのか難民から俺の存在を許してくれたらしく、難民キャンプに案内されま。

 

そして何故か空木家が使うテント内で活動させてくれることも許された。

 

食料であるビスケットも分けて貰った。数日は食べなくてもある程度は生きていけるゴッドイーターなので遠慮しようとしたがレンカの姉のイロハに押されて半ば強引に渡された。ビスケットはこっそり戻しておいた。

 

それよりも嬉しかったのは毛布込みで横になれるスペースが提供されたこと。この時は時は涙出そうになった。過去に半壊したカプセルホテルで奇跡的に綺麗な状態で残っていたベッドの拠点も大変快適だったが、ここは人の温かみがある。軽いホームシックを覚えそうになったほどだ。

 

そして合間を見てレンカにはオウガテイル程度なら鉄パイプでも凌ぎ切れる対アラガミ戦術を教えた。あとついでに対人戦も教えた。

 

姉には簡易スタングレネードの作り方を教えてあげた。そうやって俺は空木家にお礼をした。

 

それから無事に5日間の調査を終えて空木家とは10日前に別れたのだ。

 

これが彼らとの出会いと生活である。

 

そして、彼らから聞いた。

 

その難民キャンプはアラガミの侵攻によって失われた、と。

 

 

 

「レンカ、再開を懐かしむのも良いけど今日はもう寝よう。明日は早く出る」

 

「え?」

 

「俺も丁度極東に戻る途中だからな。そこまでは一緒に行こうか」

 

「いいのか?あ、いや、待て。そういえば検査反応が無ければ入れないのだったな…」

 

 

レンカの言う検査反応とはその人間がゴッドイーターとしての適性能力があるかどうか確かめるための試験だ。

 

俺もカノン同じことをしてゴッドイーターになった。

 

それで引いてる血の関係でゴッドイーターの資格があるかどうか変わる。

 

ちなみに本編GEの3年後に現れるブラッドはその血をより選抜した結果だ。

 

ジュリウスやシエルがそうである。

まあ、それはともかくとして…

 

 

 

「でも極東を目指していたんだろ?ここで留まるよりはマシだ。どれだけ狭い道でも目指すことをやめるなよ、レンカ」

 

「!!……ああ、そうだな。俺は極東を目指していた。なら、留まるなんてできない」

 

「それで良い。じゃあもう寝ておけ。俺はもうしばらく見張ってる」

 

「交代は__」

 

「いや、必要は無い。君はイロハのそばにいてあげてくれ。震える姉を見てあげて」

 

「!……ああ。 感謝する」

 

「ああ、おやすみ」

 

 

 

レンカは横になってるイロハの近くに座り込む。

 

すると疲れが出てきたのレンカもそのまま一気に眠り込んだ。

 

俺は外を見る。

 

 

 

「レンカ、あんたはイロハと血の繋がってない事は知らないで歩んでるのか」

 

 

 

空木家がいた集落の滞在中に俺はイロハから聞かされた。

 

レンカは血が繋がっていない…と。

 

何故これを知ってるかと言うと俺はレンカのバトルセンスを見て「ゴッドイーターになれば充分強くなる」と姉のイロハに言ってしまった。

 

少し浮かれていたとはいえ、これがどれほど酷い言葉なのか俺は気づかなかった。

 

するとイロハは教えてくれた。

レンカは適正検査を合格で終えてる事。

 

しかし血の繋がりがないから極東に行ってもレンカだけが居住区に招かれて救われる事。

 

そして何より……彼と離れたくないこと。

 

 

『愛してるんだな』

 

『え?……ふぇぇええ!?』

 

 

空気が悪くなりそうだからそう茶化して会話を強制的に終えさせた俺はそこそこクズ野郎だと思う。

 

でもイロハの反応からするとレンカが大好きなのは確かである。

 

てか俺も姉さんいるからそこら辺は理解できる。

 

兄弟愛以上のその感情……わからない事はない。

 

素敵だと思うけどな。

 

 

 

『でもあいつの人生はあいつ自身が決めるだろう。 その時はとして尊重してあげなよ』

 

『そう、よ、ね…』

 

『でも女性として引き止めてもいい』

 

『え?』

 

『じゃあ、俺は極東に戻る支度するから』

 

 

 

 

とても、セコイ事を教えた。

 

けれど選ぶのはいつだって 一人 である。

 

それはどの世界でも変わらない。

 

 

 

「んぁ……ぁれ? っと、や、やばい、すこしウトウトしてたか。って、あんなところにサリエルいるのか!?なんでこの地域に徘徊してんだよ。こわー、戸締りしとこ」

 

 

 

だから今はしっかりと眼を開けて選んで(戦って)行こう。

 

そうしなければ、全てが喰われてしまう。

 

そんな世の中だから…

 

 

 

 

つづく

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