インフィニット・ストラトス-落ちてきた歌姫- 作:シャムロック
今回はサントラのΒασιλευζ辺りを聴きながら呼んでいただけるといいかもしれません(筆者の偏見セレクト)
夢中で書いたからおかしな点はご都合主義と流してください(切実)
数日後
ドイツ国内のとある森林地帯。
そこにVTシステムを開発した研究所があった。
真っ白い建物が多く並ぶ研究所。
表面上は製薬会社と言う事になっており、時折薬品を運び込むトラックが入っていく。
だが、束の調査で実態は地下にあるVTシステムの開発がメインとなっていた事が判明。
離れた丘から研究所を観察する。
ここまでは飛行機と徒歩で来た。
流石にISで飛ぼうものなら直ぐにドイツ軍が迎撃に来るからね。
そこに通信が入る。
「しゅーくん、様子は?」
「今のところ、問題はありません」
「じゃあ、作戦に変更は無し。
しゅーくんが設置した束さん特製ジャマーで周囲一帯の通信網を遮断して突入。
内部で地下施設の構造をスキャンもしくは構造データを入手後、地下施設に突入。
VTシステムに関するデータを入手後、全て破壊して脱出」
「了解」
「地下施設は完全な電波暗室だから気をつけてね」
そう言って通信が切れた。
ISの拡張領域からジャマーを取り出し、設置する。
ちなみに僕のISは待機時には右腕の義手を取っている。
一見、生身の腕と遜色無い出来に最初は驚いた。
ジャマーを設置完了。
これを起動した瞬間から作戦開始となる。
…そういえば単独での作戦ってこれが初めてだ。
いのりもヴォイドゲノム奪取作戦の時…つまり僕と初めて会ったあの時も単独でやっていた。
孤立無援な作戦。
失敗すれば死は見えている作戦をいのりはこなしていた。
正直、尊敬する。
僕は…いくら作戦をこなしていても単独での作戦は怖い。
でも…これは僕がやらなきゃならない。
このぐらい乗り越えなきゃいのりは守れない。
…やってやるさ。
「ロストクラウン、全身装甲形態で起動」
その瞬間、義手が消えてISが展開される。
黒を基調としたカラーリングで所々に青緑のラインが走る。
背にはマントの様に広がる展開装甲。
そして右腕は…あのヴォイドがそこに収まっていた。
束さんが設定したのか、コア自身がそうしたのかは分からない。
でも、僕はまだ守れる力があるという追い風になってくれた気がした。
「…作戦開始」
ジャマーを起動し、周囲一帯の通信を遮断。
展開装甲からエネルギーを放出して一気に研究所に突入する。
まずは研究所の見取り図の取得。
なら地上部の中心でハイパーセンサーを使い、スキャンが最適。
そう結論づけ、本部らしい大きな建物に向かう。
立ちはだかるは堅牢な鉄の扉。
「颯太!」
右手に呼び出す武装。
それは颯太のカメラ型ヴォイドそっくりな形をしていた。
それを扉に向け、トリガーを引く。
扉は円形な穴が開き、突入口を開く。
そこをノンストップで通過し、中心部を目指す。
侵入を告げるサイレンが鳴り響く中、目標地点に向かう。
…そう。
僕のIS、ロストクラウンはヴォイドを象った武装が占めていた。
ほとんどは効果が違ったけど、颯太のみたいにほぼ同じ機能のもあり、驚いた。
でも…いのりやハレのヴォイドはここには無かった…。
そんなことを考える内にほぼ中心に到達したのでスキャンを開始する。
ハイパーセンサーが高速で建造物を走査し、それをマップに3D表示してくれる。
構造的には地下へのメインシャフトがさっき入ってきた入り口の反対側にあって、そこから地下に試験場らしき大型の部屋に大小の研究室?が広がっていた。
「よし…」
次は地下に降下、情報を収集後に破壊…と考えていると、警備員が慌てて追いかけてくるのが見えるけど…かまっている暇はない。
すぐにスラスターを吹かし、シャフトの入り口に向かう。
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シャフトの入り口を見つけ、颯太のヴォイドで扉を破壊し、降下する。
ここからが本番。
非合法ゆえにどんな抵抗を示すかわかったものじゃない。
と、ここでこの施設に流れる独自回線を拾い始めたから録音を開始する。
『ISだと!?ドイツ軍にしては早過ぎる!』
『いえ、ドイツ軍じゃありません!』
『だったら何だというのだ!』
『分かりませんよ!ですが、あの形は見たことがありません!』
『ええい!とにかくメインコンピューターのデリート作業急がせろ!
アレの起動もさせとけ!』
アレ?
何か防衛手段があるというのか?
でも、ISのスピードならそれに間に合う。
研究室の一つ。
ここからでもメインコンピューターへのハックは可能。
コンピューターの一つにケーブルを繋ぎ、束さん手製のハックプログラムを起動。
電子防壁、ファイアウォールを次々突破し、データの奪取を開始する。
(VTシステムに関するデータ…強化素体との適合率上昇…外道だ…っ!)
送られてくるデータに脳内で流し読みしていると反吐が出そうになる。
と…ここで警備兵が到着し、サブマシンガンで撃ってくる。
ISに効くはず無いけど…まあ、圧倒させておきますか。
「亞里沙!」
手に毬型ヴォイドが出現、展開され丸い扁平な盾が作られて銃弾を全て弾く。
供奉院亞里沙のヴォイド。
裏切られ、敵の盾にもなったヴォイド。
その結果も僕の罪の結果なのだから…何も言えないけど…。
(ん?)
頭の傍らで流し読みしていたデータに気になるファイルを見つけた。
強化素体E57に関する処分
ドイツ上層部より提供された素体E57はVTシステムとの適合率低により保存槽にて冬眠処置。
以後、E57はVTシステムの思考制御試験に使用することを決定。
しかし、VTシステムは思考のみで制御出来る事はほぼ不可能との結論に達したため、殺処分とする。
どう考えてもこのE57というのは人間だろう。
それを殺処分なんて…っ!
アンチボディズのような文面に怒りが出る。
でも…この日付、決定したのはつい先日の事のようでまだ処理はさせていない様だ。
なら…次のやることは決まった。
E57を救い、ここを破壊する!
ハックが終わり、証拠となるデータは十分集まった。
すぐにE57が囚われているであろう部屋をサーチする。
(…見つけた!)
この部屋からそんなに離れていない部屋にいる様だ。
盾を展開したまま部屋を出て警備兵をどかし、その部屋に急行する。
部屋に到着すると、そこには円柱状のカプセルに一人の少女が浮かんで眠っていた。
流れるような銀髪。
可憐な少女はそのままでは目覚めることのない眠りについていた。
僕はカプセルに近寄り、躊躇なくそれを殴り割る。
カプセルが砕け、中から保存液と共に少女が倒れる。
それを受け止め、バイタルをスキャンする。
≪脈拍安定、バイタルサイン良好≫
ISからの回答にほっとする。
さて…。
後はここを壊滅させて破壊するのみ。
潜りこませているハックプログラムに付随してあるウイルスを解凍させて電子的にデータを破壊。
後は、持ってきた爆楽を柱に仕掛けて崩壊させよう。
と…この子を持ったままじゃ出来ないな。
「ツグミ!」
今度はツグミのステッキを呼び出し、僕の分身を作る。
この分身、武器はアサルトライフルしか無いけど、展開装甲の防御は使えるから十分守ってくれるだろう。
分身に少女を渡し、随伴飛行させながら柱に爆薬を張り付けていく。
後は脱出して爆破するだけ…と思っていた。
『ダメです!システムの破壊止まりません!E57も奪取されました!』
『クソッ!エンドレイヴはまだか!』
『起動完了して地上で待機しています!』
『よし!ここは現時点をもって破棄、全員脱出しろ!』
(エンドレイヴ!?)
束さんからIS学園にエンドレイヴが襲撃したのは知っている。
でもなんでここに!?
そうこうするうちにメインシャフトを抜け、入り口に到達する。
すると…
(あれは…ジュモウか?)
モスグリーンのくすんだカラーリング。
逆足関節の歪な足。
頭部の上にある傘状のミサイルポッド。
間違いない。エンドレイヴ・ジュモウだ。
でも…僕はここで止まるわけにはいかない。
立ちふさがるなら破壊して進む!
ジュモウは3機編成でこっちを狙っている。
3機ならどうということはなさそうだ。
でも…後方からは警備兵が脱出を兼ねて追ってきている。
悠長に戦闘していれば追いつかれてE57を射殺されかねない。
展開装甲でもそこまではカバーしきれない。
…仕方ない。
「ワンオフアビリティ ヴォイドフルバースト起動」
右腕のラインの光が強まり、ISのリミッターが解かれる。
そして視界に表示される数字。
30秒。
それがこの能力の限界。
十分だ!
「行くよ!」
踏み出すと同時に展開する綾瀬のヴォイド。
飛躍的に飛行能力が上がり、ジュモウの上空まで瞬時に上がる。
「八尋!」
八尋の鋏ヴォイドを呼び、急降下しながら左の一機を縦に斬り裂く。
2機が反応してガトリングを撃つもそこには僕はもう居ない。
「アルゴ!」
急旋回しながらアルゴのペンライトを使って右の一機のセンサー類を一時的にダウンさせる。
そのまま一機のガトリングを展開装甲のシールドビットを使って防御しながら突撃、保持したままの鋏ヴォイドで切り裂いて上昇。
最後は…
「涯!」
鋏ヴォイドの代わりに呼び出したのは涯のライフル。
ライフルを構え、復帰したばかりのジュモウに3発撃つ。
逆関節にと肩に当たるとそれだけで機体はバランスが揺らぐ。
そこに突撃し、右手を構える。
「はあああああああああああっっ!!」
右手に展開されたヴォイドの円陣がジュモウを軽くふっ飛ばし、建物にめり込んで停止する。
そこでタイマーが0を指す。
苦もなく制圧し、分身を呼び戻して少女を回収すると、施設の爆薬に爆破トリガーを送る。
施設は爆破され、窓から火が吹き出す。
任務完了。
そう結論づけて、僕はISのまま飛行し、帰路についた。
…もちろん、どの国にもちょっかい出されにくいルートでね?
その日、一つのニュースが駆け巡った。
ドイツにあったVTシステム研究所が顕になり、そこが謎のISによって破壊されたというもの。
各国はドイツを激しく非難する一方、謎のISが何なのかに奔走した。
だが…どのデータも激しく壊れているか映像にノイズばかりが走り、分かるのはどの国にもないISが居たということだけだった。
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「で、この子が研究所から救ってきた女ってわけね」
「はい」
束さんの研究所に戻って来た後、少女を束さんに渡すと、くまなく検査して寝かせていた。
今はソファに服を着せて眠っている。
しばらくすると少女は目を覚ました。
「ん…」
「起きた…?体は大丈夫?」
「ここは…?」
「ここは篠ノ之博士の研究所」
「確か…私は…」
「貴方の眼の前にいるしゅーくんがVTシステム研究所に突入して破壊するときに貴方を見つけて助けたんだよ」
束さんがコーヒーをもって来た。
「で、貴方の名前は?」
「…クロエ・クロニクルです」
「クーちゃん。いい名前だね」
「…」
いきなりアダ名で呼ぶのってどうかと思うけど…まあ、いつものことだしいいか…。
「大丈夫。私はクーちゃんに酷いことはしないから。
ずっとここに居ていいんだよ?」
「ずっと、ですか?」
「そう。クーちゃんは束さんとしゅーくんが守るからね。」
「はい…」
まだ冬眠処置から目覚めたばかりのせいかあまり状況を把握してないみたいだった。
クロエはそのまままた寝てしまい、僕たちはそのまま寝かせておくことにした。
「で、戦闘ログを見た結論なんだけど…」
「はい…」
ついに来た審判の時。
「…合格。約束通り、いーちゃんのとこに送ってあげる。」
「!!…ありがとうございます!」
「とはいえ、こっちもちょっと準備があるからね…行くのはIS学園が臨海学校の時かな…?
まあ、その時までにISの調整と整備やっておくね」
「はい!」
いのり…やっと会えるよ…。
今度こそ…キミを…。
「ああ、それと」
束さんが一枚のメモリスティックを渡してきた。
「これは?」
「キミが今回頑張った報酬♪」
「?」
疑問符を出しながら携帯に差し込み、ファイルを開く。
そこには…
『…途方にくれる世界の隅っこ
小さなトンネルに閉じこもって
ついたため息 あくびで答える
キミの手を強くぎゅっと握った…』
いのりがIS学園の制服で歌っているのが写っていた。
「これって…!」
「いーちゃん、学園でEGOISTってバンド立ち上げたみたいだね。
で、そのライブ風景をこっそり撮っておいたのさ」
と、束さんが得意げに胸を張る。
「いのり…」
画面の中のいのりはあの頃と変わらず、歌で皆を魅了し、自分を余すところ無く表現していた。
その光景に僕は、安心を覚えていた。
(良かった…いのりは…いのりのままだ…っ!)
変わらない歌姫の光景は僕は安心と決心を与えてくれた。
もう一度与えられたチャンス。
いのりを守り、あの世界に帰る決心は最早揺らぐ事のないものへと変わっていた。
集のISは次の戦闘後に設定を出す予定です。
ご意見お待ちしています。