インフィニット・ストラトス-落ちてきた歌姫-   作:シャムロック

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お待たせしました
今回は日常回です。


14:少女たちの休日

徐々に夏の香りが漂い始めた初夏のある日。

不意にシャルロットから買い物の誘いが来た。

 

「買い物?」

「うん。もうすぐ臨海学校もあるし、いのりさん自分の服はあまり持ってないよね?

だからそれも一緒に買いに行かないかな〜って」

 

そういえば…確かにここに来た時の金魚服以外は学園から支給された制服とジャージ、寝間着しか無かった。

今までは学園に篭もりきりだったから…私服の事をすっかり忘れていた。

 

「いいよ…いつ?」

「次の土曜でいいかな?」

「うん」

 

 

 

その週の土曜。

学園と本土を繋ぐモノレール駅前に向かう。

今は服が無いから制服を着てる。

良いのがあれば向こうで着替えも済ませようかな…。

 

駅にはシャルロットと…ラウラさん?

 

「おはよう!…って二人共制服…」

「コレしか無いのだ。仕方ないだろう。」

「うんまあ…そうなんだけどね…。3人中1人だけ私服っていうのも何かね…」

 

アハハ…と言って苦笑するシャルロット。

まあ…こればかりは仕方ない。

そんな事で私達三人はモノレールに乗り込んだ。

 

______________________________

 

 

IS学園の島からモノレールで本土に行った所にある駅ビル。

そこに入っているファッションショップに向かう。

 

「そういえばいのりさんはどういう服が好みなの?」

「んー…ワンピースとか…かな」

「へえ、良いね。清楚な感じで似合ってそうだよ」

「いのりはこの容姿なのだ。どんな服を着ていようと似合うに決まっている。」

 

そんな他愛もない事を話しながら歩く。

そういえば…元の世界だとこうやって、同性同士で他愛もないこと話して、買い物に行くなんて無かった…ね。

そんな時間も無かったというのもあるけど…。

やっぱり私はこんな幸せ、享受してていいのかな…

 

 

 

 

その日、ファッションショップの店員は目を疑った。

なにせ、三人の美少女達が揃って来店したのだから。

1人は金髪のボーイッシュな子。

デニムとかを履かせれば美少年と間違えるほどに中性的な美形だ。

 

もう一人の銀髪は背は小さいけれど、綺麗な銀髪に眼帯。

属性多すぎてどんな服を着せようか興味が尽きない。

 

そして最後のピンク髪の子はおしとやかで控えめな印象を受けた。

派手目な髪色に対しての性格。

ワンピースや、チェック柄のスカートなどが合いそうな感じだった。

 

金髪の子以外がIS学園の制服で来たことから恐らくファッション関連に疎いと考えた。

 

「い、いらっしゃいませ。本日はどのような服がご希望でしょうか?」

 

努めて平静に対応する辺り、日本人としてのプライドが生きた。

 

「この子の服を決めてくれませんか?」

 

そう言って金髪の子が銀髪の子を押した。

つまり、合う服を好きに決められる。

店員は燃えに燃え上がり、銀髪の子をあれよあれよと着せ替え人形にしていった。

…気がつけば、試着室の回りは他の客で人だかりが出来ててファッションショーになっていたのは仕方ない。

 

 

 

 

 

ラウラが店員によって着せ替え人形にされている間、私とシャルロットは二人で私服を見ていた。

 

「ねえ、こういうのはどう?」

「うーん…ちょっと派手かな…?」

 

シャルロットが色々な服を出しては合わせてくる。

ほとんどは派手だったり、あまり好みじゃないデザインで却下したけど。

そんな中…

 

「あれ…?」

 

ハンガーラックに掛かった服の中からふと気になった服を取る。

それは…あるワンピース。

黒の生地に赤いリボンを正中線と胸の下で十字に組み合わせ、裾に白のレースをあしらったもの。

そう、私がよく着ていたワンピースにそっくりなデザインがそこにあった。

 

「…。」

 

これも…何かの縁だと思い、カゴに入れた。

 

 

_____________________________

 

その後、いくつかの服やスカートを買って店を出る。

それから水着店で水着を買ったり、アクセサリーショップなどを回って歩いた。

 

その時間はとても楽しくて、幸せで…今までに経験したことのない1人の女の子としての買い物を楽しんだ。

 

最後にと寄ったカフェで飲み物を頼むとラウラは机に倒れた。

実を言うと、ファッションショップから先の店でも大体着せ替え人形にされてカフェに入るときにはフラフラしてた。

それを見かねたシャルロットが休憩にしようと言って入ったのが顛末。

その原因はシャルロットにあると思うんだけど…。

 

「私ね…男だって嘘言っていたのは父に言われたからなんだ。」

 

運ばれてきた飲み物を飲みながらシャルロットが急に切り出してきた。

 

「…え?」

「僕、デュノア社の社長…つまり父の隠し子なんだ…。

イグニッションプランに乗り遅れていたデュノア社は、一夏のデータ、白式のデータを欲しがった。

そこで僕に白羽…なのかな? とにかく抜擢されたんだ。」

「それなのに…どうして女に戻したの?」

「一夏のお陰。

元々、一夏に僕の…その…女ってバレる事があってね。それから一夏が色々親身に相談に乗ってくれたんだ。」

「そう…」

「だから、僕は父に真っ向から意見を出して、女として居れる事が出来た。一夏には本当、感謝してもしきれないよ。」

 

そんな事が…。

でも、一夏らしいのが笑えてくる。

一夏は、誰にだって優しくて…1人で背負い込もうとする。

今はまだ大した問題じゃないから大丈夫だけど…これが手に負えなくなったら…。

 

「…っ」

 

一瞬、暗い瞳をしていた頃の集が浮かぶ。

怖い…?一夏がもし集と同じ状態になったら…。

ふと湧き出た不安が大きくなって思考のループに入りそうだった時、声が入ってきた。

 

「ねえ…ちょっと良いかな?」

 

我に帰って見上げると、そこには女性店員の姿。

いや…ネームプレートに店長と書いてあるから店長だった。

と、その店長がいきなり手を合わせてきた。

 

「この店でちょっと働かない?」

「「「え!?」」」

 

 

__________________________________

 

「…よしっ」

 

最後のリボンを結んで鏡を見る。

そこには…メイド服を着た私の姿。

とはいえ、派手なフリル等無く、実用的な本当の意味でのメイド服だった。

店長の話だと、数人が風邪で休んでしまい、手が足りなかったそう。

そこに私達に目が止まってスカウトされた…というのが今まで。

今は渡された服に着替えていた。

 

「こ…こんな服を着るなど…」

 

ラウラが顔を真っ赤にしてメイド服を着て、

 

「うーん…僕もメイド服が良かったのに…」

 

シャルロットがしょんぼりしながら執事服を着ていた。

シャルロットは中性的だからと店長からプッシュされ、押し負けたので執事服になった。

 

「じゃあ、行こうか」

「うん」

 

数時間だけのアルバイトが始まった。

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ。ご注文は…お決まりですか?」

 

つつがなくお客から注文を取り、商品を運ぶ。

ここでも葬儀社の頃の経験が生きた。

…こんなので生きたのかはわからないけど。

 

「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」

 

ふと、シャルロットを見ると中性的な美少年と思われているのか女性客のコールが立て続けになっていた。

表面上はにこやかにしているけど…なんとなく引きつっている…気がした。

 

「い、いらっしゃいませ…」

 

一方のラウラは恥ずかしさか、接客に四苦八苦していた。

でも、その愛らしさからか、応援されながら働いていた。

 

その後、どんどん客が増えて、佳境になった頃…事件は起きた。

 

荒々しく入り口のドアが開かれ、3人の男が入ってくる。

その身なりは黒の服で統一され、顔は目出し帽で覆われている。

 

「おらぁ!全員動くな!」

 

1人が天井に持っていた拳銃は発砲。

店内が一瞬鎮まり、パニックに陥る。

 

どう見ても強盗。手に持つバッグから札束が見えていることからも分かった。

 

「うるせえ!静かにしねェと撃つぞ!」

 

また発砲。

今度こそ静かになる。

 

『聞こえる…?』

 

とっさにカウンターに隠れた私はコアネットワークで二人に連絡を取る。

 

『聞こえるよ』

『ああ』

 

二人からの返事に少しホッとする。

 

『敵の武装はどう?』

『2人が拳銃。1人がサブマシンガンで武装』

『OK、サブマシンガンの方をα1、残り二人はα2、3としよう』

 

そこにいるのはメイドと執事ではなく、レジスタンスと軍人のオーラを持つ者だった。

すぐに状況を確認し、プランを練る。

 

『外に警察が多数。銀行強盗でここに立てこもったみたいだね』

『制圧はたやすい。だが、こんなに人質がいるとなると…厄介だな』

 

店内には客が多くいる。

もし、誰かに狙いが行けば…間違いなく被害が出る。

 

「へっ、脱出はたやすいみだいですぜ」

「だな。おい!メイド!喉が渇いた!水持ってこい!」

 

強盗が偉そうに呼んでいる。

 

『チャンスだ。いのり、シャルロット、私が奴らの気を引く。その間にα2、3を制圧してくれ。α1は任せろ』

 

ラウラが動き出す。

お盆にコップいっぱいの…氷?

それを3つ持って行く。

 

「なんだこれは?」

「水だ」

「テメエ…なめてんじゃ」

「黙れ、飲め。…飲めるものならな!」

 

ラウラがお盆を投げる。

氷が空を舞う。

ラウラはその氷を空中で的確に強盗に向けて弾き、額に当ててよろけさせる。

 

「今だ!」

 

すぐに飛び出し、α2に向かってハイキックをかける。

顎を蹴られ、よろめいた所を右腕を取って関節を極めて銃を落とさせる。

 

「α2制圧」

「α3制圧完了。そっちは?」

「問題ない。α1制圧」

 

他に強盗も昏倒するか床に倒されていた。

 

「く…そっ…こうなったら…道連れにしてやる!」

 

α3が何かを持っている。

あれって…起爆装置!?

よく見れば上着の下に見えるのはC4爆弾にその起爆装置。

こんなところで起爆されたら…!

とっさに拳銃を拾う。

全てがスローモーションに見えた。

拳銃を構え、起爆装置に向けて撃つ。

その事がひどく遅く見えていた。

弾丸は起爆装置に向かって飛び、スイッチを壊す。

 

「な!?」

 

すぐにα3の頭に向け、構えた。

 

「次に妙なマネをしたら…撃つ。」

「チェックメイトだ」

 

ラウラやシャルロットも同様に拾った銃で完全に制圧していた。

 

 

___________________________________

 

警察に犯人を引き渡すのは店長に任せ、私達はバレないように逃げ出す。

あのままだったら事情聴取にも捕まるし、IS学園生徒というのもあって逃げるのが得策だった。

 

その夜。

 

「…これって」

 

私室には私とシャルロットにラウラ。

シャルロットがこっそりパジャマを買ったらから着ようという話になって参加したら…

動物を象ったパジャマ。

よくあるツナギの形をしたパジャマでフードまで付いている。

私のは…トラ?

 

「そう!ね、ね。がおーって言ってみて!絶対可愛いから!」

「ぐ…私がこんなのを…」

 

ラウラは黒猫。シャルロットは白猫のパジャマだった。

なんで私だけトラなのかと聞きたかったけど…今のシャルロットには無駄みたい。

 

「が…がおー…」

 

トラのマネをしながら鳴いてみる。

…やっぱり恥ずかしい。

 

「可愛い!!」

 

シャルロットが夢中で抱きついてくる。

今日の夜は…あまり寝れなさそう…。




次回、皆様が待っていた再会の話を予定しています。

いましばらくお待ちください!



以下作者の心境

艦これ、E3がムズいです…
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