インフィニット・ストラトス-落ちてきた歌姫- 作:シャムロック
ココ最近はずっとFGOやらに逃げてました。
ちょっとイベント最後のアレはズルいです…。
シトナイ引いたからヘラクレス来て(懇願)
人は知らず知らずのうちに定められたルールに則って動くものだ
ゲームだろうが、草野球だろうが、公なレフリーも居ないのにそれらは成り立ち、動いている。
戦争だってそうだ。ハーグ陸戦協定なんて大仰に定めたルールは存在し、それらに則って今日での戦争はABC兵器などは使われていない。……もっとも、僕たちの世界では使われたようなものだけども。
とにかく、人は気が付かぬうちに最低限のルールを守っている。
それを破れるのは訓練を積んだ人か、精神破綻者……あるいは覚悟を持った者だろう。
☆
「獲った……っ!」
IS刀が僕目がけて突き出される。
速度、角度、重量共に文句がない突きだ。食らえば絶対防御作動域まで到達し、シールドエネルギーを空にすることだって出来るだろう。
現にハレは勝ったと確信した声を上げた。
確かにこのままなら間違いなくシールドエネルギー枯渇で僕のISは機能停止するだろう。
……これが
ガギィン!と硬質な音を立ててIS刀が突き刺さる。
しかし、ハレの顔は浮かぬ顔だった。
「なんで……なんで刀が
ハレのIS刀はIS本体には突き刺さらず、手前で静止していた。
スパークを上げてはいるものの、IS自体にはダメージは無い。
「ハレ……やっぱり君は変わってない。僕のISが普通のISだって思ったことがそもそもの間違いだ!」
左手でIS刀の峰を掴んで固定し、右手のハサミでハレを袈裟斬りにする。
その一撃は容易く打金のシールドエネルギーを削り取る。
「きゃあああああああ!」
ISがシールドエネルギー枯渇と絶対防御作動によって解除される。
ハレはその勢いのまま飛ばされた。
「う…く…!」
「僕のISが束さん手製のものだということにもっと気をつけるべきだったんだよ、ハレ。」
そう言いつつIS刀を投げ捨て、ハレに近づく。
僕がやったことは単純だ。相手が絶対防御にまで追い込む攻撃をするのなら、それに耐えるだけのシールドを張ればいい。
つまり、絶対防御に割くエネルギーを攻撃が当たる部位に一極集中展開したんだ。
普通のISならそんなことは出来ないだろう。それをすればIS神話も、ISバトルのルールさえも覆すのだから。
だけど僕のISは束さん手製だ。仕様変更はお手の物である。
僕のISは通常のISバトル用と実戦モードの2通りで出力制御がある。
実戦モードならパイロットの意向に合わせてフレキシブルにコンピューターが出力変更を行う。
GCシステムを起動した時に出力を実戦モードで開始。後はこの通りハレが狙った場所に絶対防御を束ねたバリアを展開したという訳だ。
だけど、これは諸刃の剣だ。しくじったらほぼ間違いなく死が待っている。
そんな賭けを僕は昔のハレを信じて賭けた。
「集……あなたはどこまで自己犠牲なの……!」
「僕は……この手で救えるのならいくらでも手を伸ばすだけだ!
だから今度はハレ、君を救ってみせる!あの時救えなかった君を!」
「集……。」
「それに、この賭けは100%ギャンブルって訳じゃなかったんだ。
ハレ、君の優しさならなるべく苦しまずに一撃で倒す部位を狙ってくる。君の優しさを、僕は信じたんだ。」
「そんな……私は……本気で集を……!」
「だからだよ」
「!」
ハレはどんな時だって僕の側にいてくれた。助けてくれた。
僕はハレに何度救われていたのだろうか。ハレが居なければ涯たちを助けに空港まで向かったのかも分からない。
道中だってハレのヴォイドが無ければ海に落ちていたか、迂回で涯を、いのりを助けられなかったかもしれない。いや、間違いなく間に合わなったのだろう。
そんなハレだから、僕は信じたんだ。
「集……!」
ハレの顔が涙で滲む。
今こそ、ハレを……助ける。
「ハレ……もう一度、僕を王様にして。」
右手を伸ばし、ハレの胸元へ向ける。
右手はヴォイド能力が起動し、光を放ち始める。
「集……もう一度、あなたの側にいてもいいの……?」
「いいに決まってるさ……僕は、君に救われたのだから。」
「集……!」
ヴォイドが彼女のココロを形作り、猛烈な閃光を放った。
☆
「クッ……!」
ゴーチェのパイルを掠めるように回避する。
そこへランスビットを飛ばすものの、装甲で弾かれてしまう。
APウイルス由来であろうビットを。
(このゴーチェ、普通じゃない……!)
2機を相手取っても私なら圧勝出来る。
そう思ってたのが間違いだった。
このエンドレイヴ、形こそゴーチェだけどその武装と装甲はとんでもなく強化が施されていた。
レールカノンは弾頭に榴弾を使ってるのか、着弾で爆発が起こり、ISのシールドを細かく削る。
パイルは発射機構を改良したのか、初速が早く、威力と利便性が上がっている。
そして極めつけは肩にマウントされたモジュール…。
方やガトリングとサイドにマイクロミサイルポッド。もう一方はレールガン。
弾幕とミサイルで回避機動を制限し、そこに必殺に一撃であるレールガンを叩き込むツーマンセルの戦いを想定した機体だった。
仕留めようにもビットは牽制程度にしかならず、他の武装も無意味。集を戦いに集中させるためにヴォイドは全部集に渡している。
これじゃ……!
(こうなったらワンオフアビリティを使うしか……!)
暴走もありあえるワンオフアビリティの使用を視野に入れた時、アリーナは突然の閃光に包まれた。
「集!?」
そちらに目を向けると、集が祭さんからヴォイドを抜き取ろうとしていた。
システムの中にもなかった祭さんのヴォイド。すべてを癒す包帯のヴォイド。
それが今、集の元へ行こうとしている。
胸元から抜き出されたAP結晶がパキパキを音を立てて砕け散る。
そこにあったのはまさしく包帯のヴォイドだった……でも……。
(色が……!)
そこにあるのは当時あった純白のカラーなどではなく、黒と暗い赤に塗れた包帯だった。
抜き出した集はそれをゴーチェに向ける。
包帯はまっすぐにゴーチェへ飛翔し、2機に絡みついた。
絡みついた包帯は暗く光ると巻き付いた所から装甲を腐食させていく。
次々に機体を腐食させられたゴーチェは為す術もなく崩れ落ちた。
「終わったよ……いのり。」
祭さんを抱えた集が戻ってくる。
「集……アレは…。」
「多分……ハレの心情がすこし変わったせいだと思う。ハレは僕への感情を歪められたようなものだから……。」
そう言った集の顔は俯き、苦い表情だった。
「帰ろう……いのり。」
「うん……。」
☆
ピットから出る時、集は歩きながら言った。
「僕はもう一つ目的が出来たよ。」
「もう一つ……?」
「いのりと、ハレを一緒に連れて帰るんだ。
もう会えないと思った二人に会えたんだ。僕は絶対にいのり達を連れて帰る。」
「集……。」
「だから……いのり、力をおわっ!?」
言いかけた集の顔を無理やりこっちに向かせた。
「そこからなんて言うつもりだったか、当ててあげる。
『力を貸してくれ』……でしょ?」
「う……。」
「そんなこと聞かれるまでも無いよ……私だって、集と帰りたい。またあの部屋で集のおにぎり、食べたいから。」
「いのり……あははっ。」
苦笑しながら集はすっきりした顔を見せた。
「いつのまにか、いのりも言うようになったんだなぁ。」
「集のことを想えば、そうもなるよ…。」
「僕の負けだよ。いのり、一緒に皆で帰ろう。」
「うん……!」
そういえば私が好きになるキャラって大体ピンク髪だなぁと思ったり。
いのりと集がサーヴァントになったFGOSSとか書いてみたい気も
感想、評価お待ちしてます。