インフィニット・ストラトス-落ちてきた歌姫- 作:シャムロック
リアルが本当に忙しくて書く時間とれて無くて……
今後、なるべくペースを上げたいと思います。
気がついた時始めに目にしたのは、白い天井だった。
清潔そうなベッドに仕切りのカーテン。
どうやら気を失った後、私は誰かに保健室に運ばれたみたい。
起きた直後のポーっとした感覚に泳いでいると、誰かが入ってきた。
「あ、起きたか。」
一夏だった。
手には赤く熟れたリンゴと皿に果物ナイフ。
「楪さん……ホント、ごめん!」
一夏がリンゴや皿をテーブルに置くと、いきなり謝ってきた。
「俺が不甲斐ないばかりに…鈴や楪さんまで危険に晒して……ごめん!」
なんで私に謝るのか全く理解出来なかった。
アレは自分が引き寄せたようなモノ。
一夏が謝る道理は無いはず……なのに……。
「どうして……」
「え?」
「どうして私に謝るの?」
「どうしてって……そりゃあ……」
何かを言おうとして、声が途切れた。
「……俺は……力が欲しかった。」
さっきと打って変わって重い声。
一夏の暗い部分だというのが直ぐに分かった。
「俺は、小さいころに誘拐されてね。
奴らの目的は千冬姉のモンド・グロッソ連覇を阻止することだった。
結果、千冬姉は俺を助けるために大会を棄権してまで助けに来てくれた。
俺は……その時悔しかった……。
俺に力があれば連覇も出来たはずなんだって……。
今は、守れる力を手に入れた。
なのに……同い年の女の子一人守れなかった自分が歯痒いんだ……。」
一瞬、その姿勢が集と被った。
守りたい力を求めてる。
集もそんな時があった。
その結果、校条 祭を失い、集は闇に染まった。
考えうる最悪の展開。
私は、無意識のうちに一夏を集と同じ状態にはさせたくないと思えた。
なぜ?
……集が居ないから?
わからない……。
でも、本当に、そう思えた。
「大丈夫……。」
一夏の肩に触れる。
「決意は無駄にはならない……でも、それに実力が追いついてないだけ……。
だから……これからも訓練、がんばろう?
そうして強くなったら……守ってもらおう……かな?」
そう言うと、一夏は少し元気を取り戻したみたいに言った。
「そう……だな。
よし!これからも訓練頼むよ!」
「うん……」
そう言い合った時、また誰か入ってきた。
「起きたか」
「あ、千冬ね(ry」
ドゴッ!!
「織斑先生と言え」
……織斑先生だった。
「……楪、ちょっと来い。
織斑、お前もだ。」
「「え?」」
そう言われるがまま、私達は織斑先生の後を着けて行く。
_______________________________________
エレベーターで地下まで下がり、暫く歩くと、扉が見えてくる。
織斑先生がカードキーを通すと、扉が開き、中が明らかになってくる。
「……これって……っ!?」
私が壊したエンドレイヴ・ゴーチェ。
その残骸が整備台と思われる台に集められ、整理されていた。
「……っ!!」
ゴーチェを見た途端、あの時の状況が脳裏に蘇る。
アポカリプスの能力を模したあの姿。
通常のISでは考えられない形態変化とその威力。
さらに、あの夢の中での声……。
何らかの形であの世界の要素……それもこの世界にマイナスとなるようなモノを持っているのは感づいていた。
それと同時に……自分への恐怖も。
供奉院亞里沙を負傷させた時同様、また誰かを傷つけてしまうかもしれない。
それを恐れるあまり、私の感情は一気に揺らぎ、流れだす。
「あっ……グッ……!?」
痛い。苦しい。
怖い。
それらに襲われ、押しつぶされそうになる。
もういっそ、全て吐き出して逃げてしまいたくなるくらいに。
「楪さん!?」
異変を感じたのか一夏が支える。
「大丈夫か!?」
「はぁっ……はぁっ……」
息が絶え絶えになり、視界がクラクラする。
「織斑、楪を椅子に座らせろ。」
「う、うん」
一夏が椅子まで運び、座らせる。
「楪、これを飲め。」
そうして織斑先生が差し出すのはマグカップに入ったコーヒー。
一口。
苦味が広がり、頭に冴え渡る。
そうして思考を少し確保した私は、コーヒーの苦味に縋る形で飲み干す。
「……ふぅ」
「大丈夫か?」
織斑先生が話しかけてくる。
「はい……すみませんでした……」
「ああ。しかし、あの様子。お前、アレにPTSDをもっているのか?」
「いえ……でも……」
「でも……?」
「アレは……私の世界の兵器なのです。」
「やはりか……」
薄々気付いていたみたい織斑先生は頷く。
「織斑、オルコットと鳳を呼べ。
対策を練る。」
「わ、分かった!」
__________________________________
暫くして、一夏がセシリアと鈴さんを連れて戻ってくる。
「さて、対策会議を始める。
今回の襲撃してきた機体。
解析の結果、この世界には無い技術が使われていた。」
「「「え!?」」」
「具体的にはあの機体を遠隔操作かつ、その感覚をダイレクトに伝えるシステム。
いわばラジコンのようなシステムだ。」
「そんなこと……可能なんですの?」
「現に出来ている。
楪、可能な限りでいい。
この三人に話せ。」
「はい。」
落ち着きを取り戻した私は告げる。
「私はこの世界の人じゃないの。」
「「「はあ!?」」」
「あの機体はエンドレイヴ・ゴーチェ。
私の世界での兵器だった……」
そこから、エンドレイヴの事、葬儀社とGHQとの戦い等、私に何があったのかを大まかに話した。
私だけ知っていても怪我のリスクが増えるだけ。
そう思ったから伝える。
失いたくないという思いがあったせいか、次から次へと言葉が出てくる。
「こんな所かな……」
「そんな……信じられませんわね……未来から来た事や、この国がそんな事になっているなんて……」
「まるでSFの世界ね……厄介だわ……」
「一人でそんなになるまで戦って……楪さんはその人と別れることになるなんて……」
話し終わると、三者三様の反応を返す。
ヴォイドの事や集の事はあまり知られたくないから、別れた時は私が庇って死んだ様に話した。
そのせいか、余計に悲壮感が出てしまったけど……仕方ない……かな?
「ふむ。では、エンドレイヴの話だが、アレの対策はあるのか?」
「一応、エンドレイヴレベルの火器か、ある特殊な兵装なら通ると思う……」
「その兵装とは……?」
「この世界じゃ出来ない物……」
「そうか……」
戦車にある徹甲弾ぐらいの威力と貫徹力でないと倒せない。
エンドレイヴとは戦車に代わる兵器として運用されているからそのぐらいの防御力はあった。
「……あ。まだ……ある」
「それは?」
「後ろ首の……配線を斬る。」
ルーカサイト基地攻略時に涯がエンドレイヴの首にある配線を拳銃で切断して倒したと集から聞いたのを思い出した。
ISの機動性なら出来なくはない……かな。
「ほう。ならば決まりだな。
当面の間、対エンドレイヴの戦法として、高機動戦闘が主体になるだろう。
各自、訓練をしておけ。
新しい情報が入り次第、また伝える。
では次だ。」
織斑先生がモニターにデータを呼び出す。
「これは楪のISの戦闘ログとそのデータだ。
あの時、楪のISは形態変化を起こしていた。
その時のデータは大幅な性能変化を示している。」
通常時とあの時の姿……いわば獣形態のデータが出る。
「通常時に比べ、飛行能力は失うが、脚部スラスターと連動してバランサーの大幅な性能向上が見られた。
また、兵装も両腕の剣だけになっているのだが……これが問題だ。」
今度はその解析データが出る。
「シュミレートの結果、その威力は一撃でシールドエネルギーを持っていくものだった。」
「一撃!?」
「ああ。だが、これは通常時でだ。もし、最大限に威力が出た場合……搭乗者も殺害しかねない威力ということがわかった。」
!?
「そんな……なんでそんなに……?」
「原因は分からん。
だから、楪。当面、あの形態になることを禁止する。
もし、なった場合、此方がお前を
それは、殺すかもしれないという暗示。
「……。」
私は正直、戸惑った。
やっぱり、ここでも私はバケモノで、淘汰されていくのか。
そう考え始めて、負の思考ループに入りそうな時、
「させない……っ!楪さんをそんな事にはさせない!」
一夏が声を張り上げた。
「俺が守ってみせる!
たとえ、そうなっても俺が助けだしてみせる!」
「そうですわ。私だって黙って見てるわけにも行きませんわ。」
「エンドレイヴの事だってまた来るかもしれないしね。
来るたびに楪がああなっちゃ困るわ。」
他の二人も同じだった。
「だがお前達、事は生命にかかわる。
お遊びじゃないんだぞ?」
「そんなことは分かってる。
俺はあの時、楪さんに救われた。だったら今度は俺が楪さんを守る!」
その言葉は男だからというプライドのセリフだというのが見て取れる。
でも、そのセリフが不思議と染み入った。
と、織斑先生の目が少し…和らいだ…気がした。
「……分かった。
だが、その言葉嘘にするんじゃないぞ。」
「……はい!!」
「という事だ。
楪、オルコット、鳳。
お前たちも含めて有事に備えて訓練を怠るな。
今後、楪暴走時に備え、織斑を戦力の中心に据えて訓練しろ。いいな?」
「「「はい!」」」
こうして、私の位置がすこし変わって会議は終わった。
「一夏君。」
帰り道、地上の廊下を歩く時、私は一夏を呼び止めた。
「なんだ?」
「ありがとう……正直、嬉しかった。」
「いや、こっちもそう言わなきゃなんか……納得出来ないというか、俺の心が許さなかったんだよね。」
「でも、ああいうの……普通は言えないよ?」
「まあ…そうだな」
そう言って少し笑った。
「一夏君。」
「ん?」
「その……これからは名前で呼んでもいいよ?
そんな他人行儀、私もちょっと息苦しいから……」
「……わかった!
これからも頼むな!いのりさん!」
……やっぱり少し他人行儀だ。
______________________________________
その夜。私室。
私とセシリアが紅茶で雑談をしている時。
「そういえば、楪さん。
貴女、部活はどうしますの?」
「部活?」
「はい。このIS学園は部活も活発なのですよ」
そっか……部活……。
ずっと葬儀社に居たし、天王州高校に居た時も集を見張ることから始まって、殆ど集の近くに居たから部活なんて考えても居なかった……。
「セシリアは……?」
「私はテニス部ですわ。
テニスはイギリス発祥ですし、嗜みですわ。」
「そう……。」
やっぱり、好きなことが出来る部活に入るのがベスト……。
そう考えた私は、この部活に決めた。
「じゃあ……軽音楽部にしようかな?」
「いいですわね。
楪さんが入れば、ステキなライブが出来ると思いますわよ。」
「そうかな……?」
「ええ。絶対。」
「そう……。
じゃあ、明日行ってみるね。」
_________________________________
翌日・放課後
私は軽音楽部が活動している教室に行く。
そこでは何人かの部員がギターなどの準備をしているところだった。
「お?見学かな?」
「え、新入生?」
何人かが気づいてこっちに来る。
「えっと……軽音楽部に入りたいのですが……。」
「いいよいいよ!えっと、所属と名前、教えてくれる?」
「一年一組 楪いのりです。」
「えっ!?あの専用機持ちの!?」
「凄い凄い!
うちに専用機持ちが来るなんて!」
どうやら専用機持ちが来ることに意外だったようで……。
「ゴメンゴメン。ちょっと舞い上がっちゃった。
アタシは部長の井上京子。3年2組ね。」
そう言って一番先に話しかけてくれた人が言う。
「それで、楪さんは何が得意かな?」
「……ボーカルと…作曲です。」
「ほえ~。凄いね! ちょうど固定ボーカル居なかったから助かるよ!
じゃあ、何か今歌えるかな?
あ、無理しない範囲でね?」
「じゃあ……これ、かけてもらえませんか?」
そう言って一枚のCDを渡す。
中身は昨日急ピッチで作ったインストバージョンの曲。
「曲持ち込みとは気合入ってるね!
分かった、ちょっと待っててね。」
京子先輩がプレーヤーまで行く。
私はその間に、教室の壇上まで上がる。
「いくよ~」
「はい」
カチッとボタンが押され、曲が流れ出す。
「……もうあなたから愛されることも
必要とされることもない
そして私はこうして一人ぼっちで…」
Departures ~あなたにおくるアイの歌~
一番最初に作った集宛の歌。
その時、集はヴォイド恐怖症で曲が入った記録媒体ごと私を突き飛ばしたせいで聞いてもらえなかった曲。
昨日、何を入れるか考えた時、直ぐにこれに決まり、譜面もすぐに思い出せた。
思えば、この曲が一番集への思いが一番濃い曲と思いながら打ち込んでいた。
「…もう一度だって笑ってくれないの
あなたの温もりが消えちゃう前に
抱きしめて…」
歌い終わり、部員達の方を見ると、全員の目が見開いていた。
「……す…凄い…」
「なにこれ……本物の歌手?」
「こんな逸材がいたなんて……」
なぜかみんな固まっている。
「えっと……どうですか?」
「……ハッ!?
もちろん!大歓迎だよ!
こんなうまい子が入ってくれたらウチはもう安泰だ!」
「じゃあ、今日は歓迎会しますか?部長?」
「うん!ちょっとジュース買ってきて!
…これからよろしくね!楪さん!」
「…はい!」
こうして、私の歌はこの軽音楽部でまた歌える事になった。
ここで……いっぱい曲作って……帰れた時に集にいっぱい聴かせてあげよう!
いのり、EGOIST復活(違
集のISを考えてると出したくて仕方ないです←
でもまだ先なんだよな……。
ご意見ご感想お待ちしています