「はい?」
『この本によれば、この作品は別世界の日本において活躍した、自称レジスタンスリーダーのイリヤスフィール・フォン・アインツベルンによって書かれたものである』
【本編完結】魔法少女奇譚 - 第3話『ともこのみ』 - ンは語る - ンとも子とも見紛う少女。
「私は、魔法少女。魔法を使う女の子」
その存在は人類史においては異端だった。 しかし同時に、それは紛れもない事実であったという。【本編完結】魔法少女奇譚 - 第4話『ねむろとひまり』- - ンとも子と見紛う少女。 - ジ― - ん~...♪
朝。登校路を歩きながら、俺は鼻歌を口ずさんでいた。
今日は学校が休みで久しぶりの平日だ。そしてそんな休日の午前中でも、俺にとってはいつもと同じ日常が始まるのだと実感できる大切な一日である。(......あぁ...良い匂い...)
それは通学中の出来事だった。通りすがる度に漂う美味しそうな香りが、俺の鼻腔を刺激する。おそらくこれは肉屋のコロッケだろう。朝から揚げたてを提供してくれるなんて実にありがたいことだ。おかげで腹も減ってきてしまったではないか。今日の朝食はなんだろうか?
きっと昨日の夕飯と同じようにカレーライスに違いない。何故ならうちの母さんは料理全般においてとても上手だからなぁ。何といっても、あの大トロのように艶のある鶏肉を使ったカレーはとても美味しいんだ。だがしかし――。「...今日は弁当を作ったのは誰だっけ...?」
俺の脳裏をふとよぎった疑問符。それが何を意味しているのかを理解した途端、俺の身体はその場で崩れ落ちた。そう。今日こそは我が愛する妹に愛妻弁当を作って貰わなければいけないというのに!!(どうしてこうなってしまったのだろう...?) 事の始まりは昨日の夕方にまで遡ることになる――。*
その日は雨だった。ザアザアという音と共に降りしきっていた雨の中を、傘も差さずに走って帰宅したことを覚えている。何故かと言うと、家に帰ったら妹から『おかえりなさいお兄ちゃん!...ところでなんでお兄ちゃんはそんなに濡れてんの?』と聞かれたからだ。そこでようやく俺は、全身びしょ濡れなのに気付いたというわけなのだ。慌てて風呂に入って着替えを済ませると、妹と一緒に夕食を食べ始めたのだった。「まったくお前は...」 そう言いながら、温め直した味噌汁を口に運ぶ俺。ちなみに献立はもちろんカレーライス。しかも妹特製の逸品。「...またお母さんが作ってくれたんでしょ?」 呆れたような口調で呟く妹だったが、俺は敢えてそれをスルーした。というか妹だって人のこと言えないじゃないか。むしろ今俺が着ている服を用意してくれたのは妹の方だというのに...。「そうだよ」 そう答えると、妹の顔が曇った気がした。いや気のせいじゃないだろう。「まったくもう...。いつもいつも私にばっかり頼っちゃいけないんだからね!」 頬を膨らませて怒る妹を宥めながら、俺はふとあることに気付いた。 いつもはもう少し遅い時間に帰ってくるはずの父親の姿が見えない。普段ならもう帰ってきてるはずなのにおかしいな?と思っていると、玄関の方で何か物音がした。不思議に思った俺と妹は思わず顔を見合わせて立ち上がる。とりあえず様子を見に行こうということになった俺たちは台所で待っている母親のところに駆け寄ったのだが――
そこには包丁を持ったまま倒れた母親がいた。
俺たち兄妹は急いで病院に駆けつけ、母親はすぐに緊急搬送された。幸い命に関わる怪我はなかったものの、意識を失ってしまったのでしばらくは入院することになったのだ。結局あの時何があったのか分からず仕舞いでモヤモヤしたまま一夜を明かすことになったのだった。
とじみこ本編を見ていればわかることだが、原作では父親は既に他界していることになっている。つまり、母親の方は父親が死んだショックからか心労によるストレスによって倒れてしまったのだ。だが今回は、母親の精神が不安定になる前に病院に連れて行ったおかげで大事に至ることはなかったようだ。(だけど問題はここからだ) 今回の事件は間違いなく異質だ。母親が倒れたのだって偶々かもしれない。しかしあの後、父親は何があったのか知ることもないまま突然姿を消したのだという。父親に限って自殺なんて考えにくいし、他に原因があるとしか思えない。(......もしかして、これも異次元の魔の手先によるものなのだろうか?) 実は父親だけでなく母親の方にも何かしらの危害を加えている可能性もある。そう思った瞬間俺の心はどす黒く染まりそうになった。(もし本当にあいつの言うとおりなのだとしたら、これ以上好き勝手されてたまるか!)
【琴葉姉妹】 主人公である二人は、父親違いの双子だ。性格は真逆のようでいて結構似ているところもあるらしい。
十咎もかとは従姉同士で昔はよく遊んでおり仲が良かったようだが、今ではお互いに不干渉のようだ。とはいえ、もかの方が一方的に嫌っているだけであり、本当は仲直りしたいと思っている