記憶の継承+増殖=遡る、知能
それは、一つ目の邂逅の少し前。
『――それで?』「......なんだ」『あの娘をどう思う?
って聞いているのだけれど』「別に......、普通に魔女だろう」『そうね。私もそう思うわ。けれどもっとこう......ああもう!』 頭を抱えるような仕草をした魔女に、『......まさか貴様、私に言わせるつもりか?』
転生魔女さんの日常 - 3/9 - ンは考えた! (前話まで含めて全て同一人物なので特に伏線とかそういうわけではない) - ん
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ふー......」
魔法の森での活動を終えてからしばらく経つが、私は未だに人里へ帰れていない。というのも幻想郷は広いのだ。しかも迷いやすい森の中と言えど私が今いる場所は森の端のほうであり、そこから出てしまえばあっという間に人が大勢住む場所に出ることができる。つまり森から出られない限り私の活動範囲はかなり狭められるわけだ。加えて私の正体について考えると人の多い場所が望ましい。しかしそうすると私はどうしても正体を隠しきれないので、必然的に人の少ない場所しか行動できないのである。そのため最近は魔法の森付近を中心に活動しているのだが......
『おいお前またいるのかよ!?』
こんな感じでよく魔理沙さんや他の人間に声をかけられるので気が休まらない。魔理沙さんはまだいいほうだ。だが霊夢さんのように妖怪と知っても態度を変えない人間は本当に珍しいと思う。魔理沙さんが特殊なだけかもしれないが。とにかく、人間にはなるべく関わりたくないのだ。とはいえこのまま森から出て行かなかったら森から出たい理由を説明しなければならないだろうし......
【本編完結】魔法少女奇譚集 - 4/10_魔・理・沙・回想1 - ンッッ!!? ~bgm.
ellege~
「――――む?」
不意に何かの気配を感じ取った。誰か来たのだろうかと思い気配のする方向へ視線を向けると......「あらアリスじゃない」「......」 そこには人形遣いとして知り合い以上友人未満な魔法使い、アリス・マーガトロイドの姿があった。「何してるのこんな場所で」「見ればわかるでしょ。お喋りしてたに決まってるじゃない」 それもそうよねと納得する反面、少し呆れてしまった。確かにここですることと言ったら他愛もない世間話をするくらいしか無いだろうが、わざわざ私の所に来る理由が分からない。というか来て欲しくない。せっかく平穏無事に暮らせていたというのに......「......そういえばこの間は世話になったわね。ありがとう助かったわ」「......別に構わないわよそんなの。ていうかなんで急に礼なんて言ってきたの」 この前というとアレだろう。例のキノコの話に違いない。正直あんなものもう金輪際ごめんである。まあそれのおかげでこうして毎日平和に過ごせているのだが......「ああそうそう!
アンタあの後大丈夫だった?
キノコを食べちゃって大変だったんじゃないかしら」「..................はぁ!?」「えっなにどうしたの」 いやどうしたじゃなくて。一体どこからどこまで見てたんだこの人!? なんかとんでもない勘違いしてるようだけどこれはそういうやつじゃないの!「いやいや!
そういうことじゃなくって!!」「じゃあどういうことなのよ!」「そっそれは――」「――あー、あれか? 結局食ったのか? お仲間みたいに」「......はああああああああああああああっっっ!?」 思わず叫ぶ私に対し、アリスはとても信じられないという表情をしていた。何故私があんなものを食べたことになっているんだ......?
魔法少女奇譚集 - 4/16_恋 - ハーメルンと
「――あ ゙ー......」
魔法の森にある自宅兼店舗――もとい工房にて、私は大口を開けて呻き声をあげる。最近あまりいいことがないせいですっかり気が滅入ってしまいそうだ。今日は珍しく霧雨商会での仕事が入っており、朝早くから準備して出発したのだが、そこで魔理沙さんに出くわし、今まさに愚痴を聞いてもらっているところなのである。「おいおい大丈夫かよ。普段の元気はどこいったんだぜ」
しかし当人の魔理沙さんはといえば、そんなこと知ったこっちゃないといった調子で心配の言葉一つかけてこない。それどころかニヤニヤ笑いながら、こちらを見るばかりで助け舟を出してくれる様子さえ見せないのだ。「......誰のせいだと思ってんのよー......!」「うぐぇえ......いきなり胸ぐら掴むのはやめてくれだぜ」 仕方ないじゃない。どうせ相談するなら同性の方が話しやすいんだから。「大体、悩み事ならもっと早く言ってくれればよかったじゃないか。そうすれば力になってやれたぜ?」 そう言って魔理沙さんが見せてきたものは一冊のノートであった。この黒文字には見覚えがある。確か香霖堂で見つけたものだ。つまりこの中身は......『恋文』!!「こっここれはっ!?」「香霖から借りたやつだぜ。なかなか興味深い内容が書いてあったな」「へぇー......へええぇぇぇーーーー............ッ!?!?」 魔理沙さんの口から飛び出た言葉に、一瞬意識が遠のいた。「ままま待て待て魔理沙さん!
これ読んだのか?」「ん? そりゃあ借りる際に一通り目は通したけど」