猫に囲まれながら
西暦二〇三八年。
冬木市。第三次聖杯戦争が終結して、数日後。一人の少年が目覚めたことから物語は始まる。 少年の名は『間桐(まとう)
雁夜(かりや)』......かつて桜と共に間桐家養子として引き取られた少年だ。しかし五年前に起きた第四次聖杯戦争の最中で、彼は蟲に身体を蝕まれ、魔術によって自らの意思に反して刻印虫を植え付けられる。 そして魔術師としても人としても壊れていった彼は、間桐桜の手により命を絶つことになる......はずだった。 その直前で間桐雁夜から分離したナニカ――『黒い影』が彼と一体化し、新たな存在へと生まれ変わった。 『黒い影』の正体について知る者は誰もいない。 また、『黒い影』と融合していたはずの彼がなぜ突然死したのかもわからないまま、第五次聖杯戦争が始まろうとしている中。 少年は、一つの決断をする――――「俺が......俺が、この手で......!」 次回『fate/steel ball field:第一節 ~開幕~』
fate/stella girls - episode3 "fake hatter a curse, and the reality of dreamer" 2 - ンは笑う。
fate/stella
girls - main
activ:
family and liar. part 1 - ん
1.
十年前、冬の寒さが少し残る初春の季節だったことを覚えている。 間桐家の地下室で目を覚ました俺は、桜ちゃんを護るために戦おうとしたんだけれど失敗して、結局あの場所にいた。 それから六年もの間ずっと夢を見ていた気がする。 けれど、あれは悪夢なんかじゃない。だって俺にはもう家族がいて、守らなくちゃいけないものがあるんだから。だから必ず起きるだろういつかのためにって努力を欠かさなかったのは紛れもなく俺の意志なのだから、これはきっと俺にとって大切な記憶なんだと思う。......ああ。でも、もし本当に俺が死んだ時の記憶があるなら――
【main】
目が覚めた途端、知らない天井を見上げていた私は混乱しながらも自分の置かれている状況に気付きました。「......そっか」
どうやらここは病室のようです。 私はベッドの上で眠っているようでした。 病院服のようなものを着ていますし、腕には点滴の管が刺さっていますので、恐らく間違いではないでしょう。 体を起こすことは出来ますし手足を動かすことも出来るのですが、どうにも動きにくいのです。
まるで身体が麻痺しているかのような違和感がありますね。 それにしても私、なんで病院にいるんでしょうか? それに私の身体はいったいどうなっているのでしょう? もしかして記憶がないだけで本当は何か大変なことになっているのではないでしょうか......? そう思うと少し不安になりましたが......とりあえずはまず現状を知ることが重要です。
私が目を覚ました時に聞いた声は誰の声だったのか、今はわかりません。けれどそれが私の知っている人の声だということだけは覚えています。 ならまずは状況を整理しましょうか。「ここはどこですか?」
そう思って辺りを見渡しても、この部屋には私の他に誰もいません。
部屋に置かれたベッドやテレビなどの家電製品の類を除けば、生活感に溢れた物がありませんからね。
ですがそのおかげで何となくわかりました。 私は事故に遭って入院しているのだということがわかりました。 おそらく意識を失う前の出来事である冬木市で起こった大火災に巻き込まれて生き残った人が私だけだったので、それで私をここに移してくれたのだと思います。 ただ一つわからないことがあるのですよ。「えっと......」 そもそも私には家族はいませんので、何故病院のベッドにいるのかがわからないんですよね。 私は高校生で、しかも女子です。そんな私がなぜ病院の一室にいるのでしょうか。
fate/stella girls - episode3 "fake
hatter a curse and the realanced world!" 3 (幕) - ンッ
それはとても寒い夜のことだった。
その日もいつものように学校から帰宅して家に入ると、リビングの方から明かりとテレビの音が聞こえてきたのだよ。 この家にいるのは俺と桜の二人だけだというのにな、不思議だと思ったんだ。だがリビングの方を覗き込んだ時には理由がわかった。何故ならそこにはソファーの上に座っている桜の姿があったからだ。「......あら慎二君おかえりなさい」「............あぁただいま桜」
この時の俺はまだ知らなかったのだが、その時彼女はこう思ったらしい。『どうして兄さんは帰ってきたばかりのはずなのに疲れている顔をしているんでしょう?』とね。 彼女がそう思うのは無理もないことだ。何せあの大火災では多くの人間を失ったのだ。それも一人の少女を除いて全員ね。だから当時の人々は今も悲しみに浸っているのだろうと思ったんだろうね。 だけど違ったんだよ。 そう、違っていたのはそこではなかった。