死神も異世界から来るそうですよ?   作:十刃

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第一話:異世界ってなんかワクワクするよね

 

ある冬の昼下がり、雪が降っているのにもかかわらず、自動販売機の前に立つ赤黒いローブを着た少年。

辺りにはただならぬ空気が漂っている。

沈黙の空間。

少年の耳には音が全く聞こえなかった。

サッと少年は右足を半歩後ろに下げる。

そのまま軽く構えるとこう一言、

 

「・・・金返せよクソ自販機ィ!!!」

 

ドガンッ!と辺りに響いた。

やったことは簡単だ。

少年が自動販売機をキックしただけ。音が少しおかしいが。

それだとあら不思議。

先ほどの重い空気が少年の一連の動作を見るととても和やかに見える。

そんなこんなで自動販売機からは飲み物が出てきたのだがーーー

 

「嘘ォ…マジかよ…こんな時期にアクエリアスって‥‥」

 

出てきたのは冷たい冷た~いアクエリアスだったのだ。

とても雪が降っているときに飲む飲み物ではない。

ガックリ肩を落とした少年はトボトボと帰り道を歩く。

 

なぜ少年が自動販売機をキックしたと言えば、それは少し前に戻る。

 

 

 

 

side:少年

 

「ふィ~・・・寒ッ!」

 

(雪降ってんじゃねぇかクソやろう…俺ァ寒いの苦手なのに‥‥)

 

俺が仕事の為に家から出ると、辺り一面銀世界だった。

流石にこのままじゃ仕事で失敗しかけないと思い、近くの自販機に寄って、コーンポタージュを買おうとしたんだが、

 

「・・・ん?あれ?500円呑まれた?」

 

500円入れて筈なのに何度もボタン押しても一向にコーンポタージュが出てくる気がしない。ってか出てこない。

何度も何度も押してるのに出てこないとイライラしてきた。

 

「オイコーンポタージュ、オイコラコーンポタージュ。さっさと出てこねえと強行手段とるぞコラ」

 

ゆったりと瞳を閉じる。

精神を集中させ、次の動作が完璧に出きるようにする。

時間として1分ぐらい経ったとき、瞳を開ける。

そのまま右足を半歩後ろに下げる。

 

「・・・金返せよクソ自販機ィ!!!」

 

余談だが、その自販機の左側が大きく凹んでいたそうだ。

 

 

少年sideEND

 

 

 

 

 

 

「ハァ‥‥寒い…」

 

テーブルの上に置いた赤黒いローブを見て呟く。

自動販売機にキックした後、部屋で1人虚しく冷たいアクエリアスを飲んでいた。

少年に家族はいない。

その為かどっちかってっと少年は寂しがり屋だ。

 

(1人ってのは辛いなぁコンチクショー……)

 

不意に自分の手帳が目に入る。

 

(あれ?なんか大事なことを忘れているような?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ)

 

「仕事忘れてたァァァ!!!」

 

少年は急いでローブを着ると家の電気を消す。

 

(今日の仕事相手って確か時間にうるさいひとじゃなかったっけ!?ヤベェ!俺の給料が!)

 

そんな金の亡者の頭にポトンッと手紙が落ちた。

少年は辺りを見渡す。

勿論家の中なので誰もいないが。

それでその手紙を見てみると、

 

星宮(ほしみや)神夜(かぐや)様へ』

 

「ん?俺宛?」

 

まさかの自分宛の手紙に少年…もとい星宮神夜は首を傾げる。

自分に手紙を出すものなど、記憶が確かならばいないはず。

そう思い再び神夜は首を傾げる。

 

(見てみる、か)

 

とりあえずその手紙を開けてみることにした。

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる

その才能(ギフト)を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて我らの箱庭に来られたし』

 

(悩みないし、家族いないし、友人もいないし、財産は・・・あるな、うん。ってかこの文章だと・・・)

 

そこまで考えた時だった

急に光に包まれて、星宮神夜は

この世界から消えた。(・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一話:異世界ってなんかワクワクするよね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:神夜

 

まぶしい光が俺を包んだ。

すぐに脱出しようとしたが、すでに遅く、もう落下中だった。

 

・・・ん?落下中?

 

「なんでだァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

落ち着け俺!えっとこんな時は素数を数えて‥‥

1,2,3,5,7,11,13,17,19‥‥っともう大丈夫か。

 

下を見ると、湖のようなものがあった。つまり落ちたところで無事なのだろうが、

 

(いやいや、濡れるよな?このお気に入りの服びっしょりいくよな?)

 

その結果に至った俺は"死神"としての能力を使う。

 

("空気の魂"を足に)

 

そのおかげで俺だけ湖に落ちる寸前で空中に立ち(・・)、濡れるのを防いだ。

 

え?なんで"俺だけ"だって?

だってほら、湖からデッカい水柱が3本も上がってるし。

ひとまず陸地に向かって歩き、ぼんやり空を眺めていると、とある茂みに目が止まった。ってか止まってしまった。

 

(え?何アレ?なんか出てるけど?なんかピョコピョコしてますけど?え、あれ隠れてるつもりなのアレ?嘘ォ!?マジかよ!?あんなの隠れてるって言わな「ーーー私は久遠飛鳥よ。以後気をつけて。それで、そこで猫を抱きかかえている貴方は?」

 

「………春日部耀。以下同文」

 

「そう。よろしく、春日部さん。それでそこの唯一濡れてない貴方は?」

 

ハッと我にかえって周りを見る。

すると、なんと言うことでしょう。

俺を抜いて自己紹介が始まっているではありませんか。

 

(え!?ちょい待ち!!アレ無視ですか!?無視なんですか!?)

 

まぁそこまで気にしてなかったりするが。

 

見たところ、いかにも"お嬢様"ってのが久遠飛鳥で、無表情な茶髪の子が春日部耀、ねぇ・・・

知らない。まるっきり知らない。

ダレコイツラ?

ってかあの金髪君、なにニヤニヤと「聞いてる?」

 

「へっ?あ、悪ぃ悪ぃ。俺は星宮神夜。神の夜で神夜だ。かぐや姫とかと勘違いするなよ」

 

「「「ツンデレか/だ/ね」」」

 

「ぶっ飛ばされたいのかコノヤロー!」

 

初対面の奴に言うことかそれ?

ってかお前らなに?知り合いなの?なんでそんなに息あってんの?

 

「まぁいいわ。よろしく、星宮君。それで、最後に野蛮で狂暴そうな貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で狂暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽祝儀の三拍子揃った駄目人間なので用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

「そう。取扱い説明書をくれたら考えてあげなくもないわ十六夜君」

 

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

売り言葉に買い言葉ってピッタシあうな。さっきの会話。

それにしてもホントに初対面なんですかこいつら。

 

「おい十六夜君。なんでまだニヤニヤしてんの?なに?ホントにぶっ飛ばされたいんですかコノヤロー」

 

「ヤハハ。気にすんな」

 

「気にするわボケェ!男にニヤニヤ見られるのは趣味じゃねぇんだよホモ!」

 

「あ?誰がホモだとコラ」

 

「テメェだよホモヤロー」

 

俺と十六夜が口喧嘩を始める。

何コイツ!マジでぶっ飛ばされたいの!

 

次第に痺れをきらしたのか、十六夜が苛立ちながら話し始める。

 

「……で、おい。呼び出されたのはいいけど、なんで誰もいねえんだよ。この状況だと招待状に書かれてた箱庭というものの説明する奴ぐらい出て来てもいいんじゃねえか?」

 

(いるけどね、最初から俺ら見てらっしゃるからね)

 

心の中でツッコむ。

あれ?俺の設定だとボケキャラの筈なのになんでツッコミキャラになってんだ?

 

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」と飛鳥。

 

「………この状況で落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」とこれは耀。

 

(ん?あれ?)

 

ここで問題児達の視線の方向を見る。

よく見ると、さっきの俺のごとく、ある茂みに視線がいっている。

いや、気づいてるんだよな?コイツら。

 

すると、十六夜がため息混じりに呟く。

 

「ーーー仕方がねえな。こうなったらそこに隠れてる奴にでも聞くか?」

 

その声が聞こえていたのかいないのか。いや、絶対聞こえてたな。

あいつが呟いたとき、耳動いてたし。あからさまに同様してたし。

俺はその耳のでてる奴に対してため息を吐く。

 

「なんだ、貴方も気づいていたの?」

 

「当たり前だ。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?そっちの猫抱いてる奴とそこのバカも気づいていたんだろ?」

 

「………風上に立たれたら嫌でもわかる」

 

「そっとしてやれよ。そーとーお茶目なんだってきっと。あとテメェ、バカって俺かコラ」

 

「当たり前だバカ」

 

「よろしい。ならば戦争だ」

 

こいつは人を苛つかせる天才かなんかか?

と、まぁこのままじゃ埒が開かねえし、今回だけは見逃すか。

そして茂みが少し揺れたと思うと、青髪のバニーガール少女が出てきた。

 

(バニーガール・・・?なぜにバニーガール?)

 

青髪バニーガール少女は若干震えながら

 

「い、いやですね皆様方。そんな狼みたいな目で見られると黒ウサギは死んでしまいますよ?」

 

黒ウサギってあいつ、別に黒くないよな?

ってかあの耳飾りじゃなかったんだ。

 

「なんだ?バニーガールか?」

 

「ウサギ人間かしら?」

 

「………コスプレ?」

 

「無能」

 

十六夜、飛鳥、耀、俺の順番で感想を言う。

 

「ちょっと待って下さい御四人様方!好き放題言い過ぎです!ってか最後の方は悪口じゃないですか!」

 

青髪バニーガール少女は耳を逆立てて怒っている。

そんな怒ることじゃないだろ。

ってか最後って誰だ?あ、俺だ。

 

「え~、でもさ~お前だろ?俺ら呼んだの。

見てみ?俺以外湖に無様に落ちてびしょびしょだぜ?」

 

「おいコラ、無様ってなんだ無様って」

 

十六夜にツッコまれるが無視無視。

そんな俺の発言に青髪バニーガール少女はたじろぐ。

 

「ま、待って下さい。これは黒ウサギのミスですが、どうか怒らずに穏便に最後まで黒ウサギの御話をーーー」

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「バカ」 

 

「あっは、取り付くシマもないですね。ってか最後の方、また悪口じゃないですか…」

 

青g‥‥なげぇな。

黒ウサギは両手をあげてバンザーイって降伏のポーズとってやがる。

ん?あれ?耀の奴いな‥黒ウサギの横にいやがる・・・いつの間に?

あ、なるほど。ちょっとうるさくなりそうだな。

・・・寝るか。一時間ぐらい。

ゴロンと横になる

そんな俺に気づいたのか、十六夜が聞いてくる。

 

「あ?なんだ?お前寝るのか?」

 

「こちとら仕事で疲れてんだよバカ。動くときになったら起こせよ」

 

「へいへい。どうせならもう起きるなバカ」

 

最後に十六夜がなんか言ってたが、とくに気にせず俺はそのまま意識を手放した。

 

 

 

 

 




基本的亀更新でいきたいと思います。
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