目指せ813個のスキルすべて活躍! 安心院さんのスキルを使う少女のヒーローアカデミア 作:U.N.とーすた
雄英高校第一会議室。
「今年も無事実技試験を終えることができました。皆さんお疲れ様でした」
「初めに今年の総評ですが大型ヴィランの破壊が2件、総破壊ヴィラン数が6328機、怪我人が37名内重傷者1名、全員リカバリーガールによって治療済みです。そして、実技総合成績はこの通りです」
「1位はやはり彼か『爆破』凄かったもんな」
「ヴィランポイント0でトップ10入りは快挙だろ」
等々
会議室正面にある液晶とそれぞれに配られているタブレットに成績表が表示され、個々が感想を口にする。
「。ヴィランポイント77、レスキューポイント3。で爆豪勝己くんが1位だね。レスキューポイントが低いのが気になるけど学科も1位で結果は文句なしの合格だ」
「後半、他が鈍っていく中、派手な個性で敵を寄せ付け迎撃し続けた。タフネスの賜物だな」
「うむ、あのガッツは我々も見習うべきところがある」
「対照的にヴィランポイント0、レスキューポイント60で7位なのは緑谷出久くん。彼も合格だね」
「ポイントこそ0だが、彼の個性の強さは折り紙付きだしな」
画面に表示された大きくひしゃげた大型ヴィランの残骸が彼の強さを示している。
「やっぱり気になるのは彼の個性だな、個性の使用後はまるで個性が発現したての子供のような惨状だったそうじゃないか」
「個性届けには『超パワー』とあるが実際には代償を必要とする個性なのかもな」
「もしそうなら安心を届けるヒーローには向いてないと言わざるを得ないな」
「まあ、アレに立ち向かったのは過去にも居たけど…ブッ飛ばしちゃったのは久しく見てないね」
そして話題は品口ハコに移る。
「0ポイントヴィランを倒したといえば彼女もだな」
「品口ハコちゃんはヴィランポイント35、レスキューポイント18で総合12位だね」
「刀を降らせ、爆破させ、更には刀からビームを出す。どんな個性なんだ?」
「『スキルズホルダー』だそうです」
「刀を降らせるスキル、爆破するスキル、ビームを出すスキルってか? いくつ使えるかにもよるが器用貧乏だな」
「……もしや走り方が不自然なのもスキルによるものなのか?」
「そう言われてみると一度目と二度目で刀の振り方も別人のようだな」
一度違和感に気付くとそこからは早かった。現役プロヒーローの目は素晴らしく、15分ほどで試験中にハコが意識的、無意識的問わず使ったスキルをほとんど当ててしまった。
「たった10分の間にいくつのスキルを使ったと言うのだ……」
「学科の方はどうだ?全問正解とかおかしなところはないか?」
「全体的に高得点で特におかしなところは...しいて言うのでしたらケアレスミスが多かったことと数学のあのトラップを完答しているくらいです」
「学科も高得点、実技も底知れない成績彼女も充分合格ラインですね」
サイゼの間違い探しのような盛り上がりをみせる先生たちを見ながらオールマイトはいくつもの異能を扱うという存在の再来に不安が渦巻いていた。
◇
回想終了。
それは実技試験から数日たった日ある日、オールマイトがいつものように散歩《パトロール》をしていると人目のない駐車場で異形系の個性を活発化させ暴れる男とその攻撃を紙一重で避け続ける少女の姿があった。
(あれは、品口少女!もしあの男の関係者なら助けはいらないはず……しかし私の生徒に何かがあったら……)
すぐに割り込もうと思っていたオールマイトだが襲われているのが疑惑の人物の品口ハコだと知り、しばらく悩んだあげく様子を窺うことにした。
「あーもう鬱陶しい!」
避けることに専念していたハコが攻勢に転じる。
――威嚇のスキル
一喝。それだけで暴れていた大の大人の男の動きが恐怖によりとまる。
こんないきなり襲いかかってきたこの男はさて、何を企んでいるのだろう?
――情報を司るスキル
他の仲間が隠れている可能性を考え、範囲は周囲100メートル以内にいる人全員。
「ふーんなるほど名前は蟹切コウラ。個性は『毛ガニ』家族構成は母親との二人暮らし。職業は無し。目的は間違った世界を正すため?ヤク中かよ。で住所が――」
次々と述べられる個人情報にクスリで狂った頭が冷えていくのを感じる。この少女はなぜそんなことを知っているのだ?威嚇による恐慌状態から復帰する前に得体の知れない少女という恐怖に襲われる。
……殺さなきゃ……オレの安全のために、オレの未来のために……
「アぁあぁぁぁ!!」
「グッァ」
唐突な体当たりによる反撃にぶっ飛ばされるハコ。
「アぁあぁぁぁ!!」
「ッ……」
次いで怒りに呼応し先ほどまでの数倍凶悪なハサミがハコを刺さんと襲いかかる。
「――もう大丈夫。私が来た!!」
今にも殺されるハコと蟹切の間に割って入る男がいた。オールマイトだ。
片手でハサミを抑えこみ、もう片方の腕でみぞおちを抉るような拳を放つ。
全身を覆う甲殻なんて障子紙のように砕き、ふっとばす。
「大丈夫か?品口少女」
男の沈黙を確認するとオールマイトは振り返りハコの安否を問う。
「そっちこそ大丈夫なのか?オールマイト。胃袋全摘、呼吸器系半壊、総手術回数30回以上、後遺症複数、個性は残り火状態。生きてるのが不思議な有り様じゃないか」
「…………どこでそれを知った?」
先ほどまでの明るい雰囲気は霧散し冷たい殺意を含んだシリアスな空気が辺りを支配する。
「さっきアイツの情報をスキル『情報操査』で抜いたときに一緒にな。驚いたぜNo.1ヒーロー様がこんな有り様なんて」
「……ぐっ……そうか、どうか他の人には秘密にしてくれると助かる。立てるかい品口少女?」
オールマイトは実際聞いた先ほどのやり取りと長年の勘からハコの言葉に嘘がないとわかり、少し安堵する。
「ゴホッ、もちろん秘密にしますよ。ん」
咳き込みながらもオールマイトの手を借りて立ち上がる。そして、手をオールマイトの首の後ろに回し背伸びをして口づけをする。
「なっ! 自分を大切にしなさい! 品口少女!」
「そしてコレは助けてくれたお礼だぜ」
――スキルを授受するスキル
――成長停止のスキル
「オールマイトあなたに成長停止のスキルを譲渡したぜ。コレで残り火がそれ以上弱まったり消えることはないはずさ。更に」
――傷病を司るスキル
「これで大怪我と後遺症も治ったはずだぜ」
「いやまて!なぜ治せるんだ!?ヴィランの個性のせいで名医でも治せなかったんだぞ?」
「ハッ、スキルと個性は根本から違う力だからそんなの関係ねえぜ。まあ残り火状態は取り除けなかったがな」
「む、そうか……本当にありがとう」
5年振りに不自由のない体に感動を覚え、涙ぐむオールマイト。
「そういえばオールマイト。どうしてボクの名前を知ってたんだ?」
「ん、ああ、もう隠さなくてもいいよな、隠し事をしないでいいとは素晴らしいHAHAHA!
実は私、来年度から雄英高校で先生やるんだよ。だからキミの実技試験での活躍バッチリ見させてもらったとも」
「あ、そうだ雄英高校ヒーロー科合格おめでとうだ! 品口少女! では!」
雄英高校からの手紙は届いていないがどうやらボクは無事雄英高校に合格したらしい。
10+5/813
品口ハコの総強化計画第一の被害者は君だオールマイト。