目指せ813個のスキルすべて活躍! 安心院さんのスキルを使う少女のヒーローアカデミア 作:U.N.とーすた
「失礼します。校長」
「おやどうかしたのかねオールマイト先生」
「品口少女の件で相談があります」
その日の夜、オールマイトは校長室に訪れていた。
「OFAに類似した個性の彼女を雄英高校に入学させても大丈夫かって話だね」
「その話ですが、彼女はOFAとは無関係と断言できます」
「まだ数日しか経っていないけどなにかわかったのかい?」
「ええ、これを見てください」
オールマイトは服を捲り、五年前に大怪我をおった腹部を見せる。
「キミの大怪我がどうしたのだ…ね……、キミの大怪我はどうしたのさ!?」
優雅に飲んでいた紅茶を一滴残さず吹いてしまったのも仕方あるまい。
なんせ一生残るだろうと医者からもわが校が誇るリカバリーガールからも断言されていた、オールマイト自身日頃から痛むとこぼしていた5年前の大怪我は綺麗に治癒していたのだから。
「昼間ヴィランに襲われていた品口少女を助けましてそのときにその、お礼だと怪我を治してくれました」
必要なことだったとはいえキスをしまったことは伏せながら状況を説明する。
「もし、彼女がAFOの手先であればこんなことはしないでしょう。それに今の私であればたとえヤツが復活しても打倒できます」
「ふむ、確かに。でもキミの個性は緑谷くんに譲っちゃったんだろ? いくらキミでも個性なしでアレには勝てない。万が一を考えて不合格にしたほうがいいと思うよ僕はさ!」
「いえそちらも問題ないです。確かに今の私は個性の残り火しかありませんがこの残り火がこれ以上消えることは無くなりましたので」
「ほう、ソレも彼女の個性いやスキルとやらのおかげかい?」
「ええまあ、成長を止めるスキルを譲渡されました」
「付与ではなく譲渡か……なら相手に取られることもないか。うん……キミがそう断言するのならいいだろう品口ハコ、彼女も合格としよう」
「ありがとうございます!」
(ただの器用貧乏かと思ったらなかなか恐ろしい個性じゃないか)
オールマイトが退席したあと吹き出してしまった紅茶を拭き新しい紅茶を入れながら個性『ハイスペック』をもつネズミは考える。
(個性のようで全く違う力を振るう個性。どう考えても厄ネタだが、ヴィラン共の手に渡り第二のAFOになるよりはマシと考えよう。
しかしスキルを与えるだけでなく物理法則を無視した力の並立。育て方を間違えるとAFOより恐ろしいヴィランになりかねないぞ)
他の生徒から数日遅れで品口ハコの元に雄英高校から合格通知が届いた。
◇
「おはよーござまーす」
気の抜ける挨拶とともにハコはクソデカ扉を開けた。
教室の中には実技で一緒になった尾白くんと爆豪くんの姿もある。
「尾白くんチース」
「お、やっぱり君も受かっていたんだね。チース」
「尾白ーそんな美人さんの知り合いオイラに隠してたのかよー」
少し照れくさそうに返してくるノリのいい尾白くん。と小学生とよく間違われるボクより更に背の低いどなたか。
「おっすオイラは尾白とおな中の峰田実。オイラの息子共々よろしくな!っ痛!」
「どうしてお前はそれで行けると思ったんだよ」
「ほらピンクは淫乱って言うだろ?」
「だからなんだよ!品口ちゃんのピンクはそういう感じの色じゃないだろ」
流れるようなセクハラと慣れた手つきの鉄拳制裁によるツッコミから二人の仲の良さが伝わってくる。
確かにボクの髪色はToLOVEるの彼女らや巨乳の発目ちゃんとは違い、白髪が光の当たり加減でピンクく見えるくらいの薄いピンクだがツッコミ方はそうではないと思うぜ尾白くん。
「やっほー爆豪くん」
「えっ、かカッちゃん知り合いなの?」
「ケッしらねえなぁ」
「でも向こうは知ってるみたいだよ?」
「うるせぇぞデク」
シカトされた。実技で十八番の爆破を使ったことを根に持ってるのだろうか?
取り巻きの男の子が吃りながらボクのことを思い出させようとしてくれているが一喝して黙らせる。
すぐに手が出そうな顔をしてるくせに口だけで済ませる辺り根は真面目な彼らしい。
始めましてと挨拶回りをしていると始業時間が迫ってくる。
「お友達ごっこがしたいなら余所へ行け。ここは…ヒーロー科だぞ」
「……はい、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね……担任の相澤消太だ。よろしく」
もぞもぞと動く寝袋という面白生物がどうやら担任らしい。雄英では常識に囚われてはいけないのですね。
「早速だが、体操服に着替えてグラウンドへ集合しろ」
相澤消太と名乗った面白生物はソレだけいうとグラウンドへ向かっていった。
突然のことに呆けるクラスメイトたち。一番最初にフリーズが解けたのは麗日ちゃんだった。
「入学式かな?それともオリエンテーションかな?」
「体操服で入学式はないのではないかしら」
天然気味な発言にツッコミを入れるように八百万ちゃんが再起動し、それに続くように皆動き出す。
初日だと言うのに校内の構造は把握済みだという頼りになる八百万ちゃんに連れられて更衣室に向かい着替える。
ルンルン気分な麗日ちゃんに連れられてグラウンドへ向かうと男子らはすでに揃っていて、ボクらが全員来たことを確認すると相澤せんせは口を開いた。
「……これから体力測定を行う」
「えー入学式は!?オリエンテーションは!?」
「ヒーロー科にそんな猶予はない」
「そんなー」
「ソフトボール投げに立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈。中学の頃からやってるだろ?非合理的な個性禁止の体力テスト
爆豪、中学の時、ソフトボール投げ何mだった?」
「……67」
「じゃあ個性を使ってやってみろ。円からでなきゃ何しても良い。思いっきりな」
ぶっきらぼうに答えていた爆豪くんだか続いた相澤せんせの言葉に凶暴な笑みを浮かべ、腕のストレッチをしながらソフトボール投げの円へ向かった。
「死ねぇ!」
ペタペタと機械の取り付けられたボールを触ったあと独特な掛け声と爆音に乗せてぶん投げる。
『爆破』の個性で勢い良く飛ばされたボールは個性無使用時の67mを優に超えて飛んでいく。がどうも様子がおかしい。妙にフラフラと飛んでいる。
「無回転ですわ……」
八百万ちゃんが『創造』で作り出したオペラグラスを覗きこみながら呟く。
回転させた方がよく飛ぶにも関わらずなぜ高難度の無回転で投げたのか?
その答えは直ぐにわかった。
ボールが突然爆ぜたのだ。
「爆豪お前何をした?」
相澤せんせがボールが急加速したのを手元の機器で確認し問う。
「あ? ボールに俺のニトロをたっぷり付けておいたんだよ。後は少し衝撃でドカンだ。何をしてもいいんだろ?」
なんともなさげに言っているが何と言う即興力恐ろしい。
「おい品口。これでチャラだ」
なんのことだろ?
――心を操るスキル
……ああ、なるほど、実技で爆破を使ったことじゃなく、自分にはできない遠隔爆破をしたことを根に持っていたのか。
「結果は844m個性無しの十倍以上だな」
クラスメイトたちから驚きと歓声。個性が自由に使えるという非日常に面白そうという感想が口々に漏れる。
「面白そう…か。
ハッ、ヒーローになる三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」
盛り上がっていたクラスメイトたちの空気が一気に冷え込む。
相澤はその様子にニヤリと笑みを浮かべながら続けた。
「よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」
「なっ、そんな横暴な!」
「理不尽だ!」
説明会のときに質問していた真面目くんを筆頭にクラスメイトたちからブーイングが巻き起こる。
「生徒の如何は教師の自由。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」
が相澤せんせはソレをバッサリと切り捨てる。
「そういう理不尽を覆していくのがヒーローさ。全力で乗り越えて来い。さあ、本番だ」
そうして体力測定改め個性把握テストは始まった。
……ちなみにこの手のオリ主入りヒロアカあるある。一人ハブられるA組生徒の被害者は口田甲司くんだった。
15+1/813
すまんな口田甲司くん。君を活躍させる未来が見えなんだ。