「誰……来て……せんか? ……誰でも……数人連れ……くださ……」
銀時はある女性の声が聞こえた。
だがいまだ覚醒していない状態では聞こえると事実がわかるだけで内容は上手く聞き取れない。
どこかに寝ているようだが、源外の装置で起きた事故以降のことは覚えていない。
どこからか数人の足音とともに声が聞こえてきた。
だが銀時はそこでまたいったん意識を失った――――
「ん……?」
銀時はゆっくりと目を覚ました。
「ここは……どこだ?」
だがそこには見たことのない天井が広がっていた。
ソファーに寝ているようだが天井を見る限り初めての景色。
そこで源外のじじいの実験からどうなったっけ?っと、考えながらゆっくりと体を起こそうとしたが……
「あっ、目を覚ましたか! 大丈夫ですか?」
と女性の声が聞こえた。
女性というよりまだ少女だろうか、まだあどけなさを残した声がする。
銀時は寝起きの顔でその方向にゆっくりと向くと案の定少女がいた。
髪の両側に赤いリボンをつけた可愛らしい子であった。
もちろん銀時はロリコンではないため惚れたりなどしないが同世代から見ると美少女である。
彼女は銀時が大丈夫かどうか案じるように見ていた。
「ああ……ここはどこなんだ?」
銀時はそんな美少女を前にしながらもこの状況からか普通に話しかけた。
元の世界の経験からの賜物か思ったよりも動揺していない。
銀時はこっちを見ている少女に心配させないように返事をしつつ、この場所はどこにいるのか聞く。
如何せんここがどうかわからないとこれからの行動もままならないのである。
「ここですか? ここは765プロダクションの事務所ですよ」
「765プロダクション?」
「765プロダクション、略して765プロとか言うんですよ。簡単に言うとアイドル事務所です。と言ってもまだまだ活躍の少ない小さい事務所なんですけどね」
銀時は聞いたことのない場所に疑問を持っていると先ほどとは違う、口元にホクロがある女性が現れた。
その女性は肩をすくめながら疑問点を解決してくれた。
「ごめんね、説明取っちゃって」
「いえいえ、結構ですよ。むしろ楽できましたから」
2人は仲の良い姉妹にも見えるが、見た目や会話から察するにその線はないであろう。
あらかた仕事仲間か上司などであろうか。
「すみません、急に入ってきて。私は音無 小鳥といいます。ここで事務員をやってます。要するにアイドルである皆さんのサポート係ですね」
彼女――小鳥は微笑みながら銀時に話した。
「あっ、私の自己紹介忘れてましたね。私は天海春香っていいます。ここでアイドルをしてます」
続けるように一番最初に出会った少女、春香も名前を言う。
それこそ一番始めに思うことなのだが春香はうっかりものなのかもしれない。
そして二人の自己紹介を終えるのを見計らい、銀時は頭をかきながら少々めんどくさそうに自分が何者か、なぜ倒れていたかなどここまで経緯を話した。
自分の名前、職業、源外(じじい)の実験によって飛ばされたこと等々。
だが不可解な点もあった。
「歴史が違うだ?」
「はい。えっと、銀さんのいた場所は江戸でしたよね? 江戸って言うのは東京の昔の呼び名なんです。だからてっきり銀さんは過去の人かと思ってたんですが……話を聞いてる限りそれだけじゃないみたいです」
銀時は包み隠さず話した。
そこでわかったのは銀時は過去の人、それも江戸末期。
道理で古風な服装をしてるわけだと、春香と小鳥は思っていた。
しかしその後春香たちにとって聞き覚えのない言葉をたくさん聞かされたのである。
曰く
さらにはよく聞くと名前が微妙に異なる歴史的偉人まで。
ここから推測すると――
「つまり俺はこことは違う、
「たぶんそうなると思います」
「マジか……」
春香から真実を聞かされた銀時。
無論、帰る方法などない。
帰る方法あるとすれば
「さて、どうするか……」
どうするかとはこれからの生活含めどうするかである。
まさかここ(事務所)に長く居座るわけにもいかない。
いくら銀時でもそれくらいの分別はつく。
「当てとかは……ないですよね。住む所も考えないといけないでしょうし……」
小鳥も自分のことのように真剣に考えてくれている。
こっちの世界では万事屋はもちろんない。
となってくるとこっちでの働き口、住まう場所、その他もろもろと必要である。
「その話は聞かせてもらったよ」
銀時はそんなことを思考していると、今度は男性の声が聞こえた。
そちらを振り向くと気前の良さそうな少しふくよかな男性が立っている。
固定観念になるがそこから連想される人物像と言えば……
「「社長、おはようございます」」
「シャチョサン?」
そう社長である。
春香や小鳥までもが言ってるのだから間違いないはずである。
銀時は突然現れた社長になぜか片言になってしまった。
一応言っておくが銀時も万事屋の社長である。
威厳も雰囲気とどれをとっても社長ぽくはないが。
「ああ、おはよう。……ところで君が坂田君だね?」
「ああ」
「住む所がなくて困ってるようだね。なら
「マジですか、社長!?」
なんと社長は銀時に住む場所を与えてくれた。
銀時もこれには驚く。
銀時と765プロの社長はもちろん赤の他人である。
身知らずの人間に住む場所をいきなり与えてくれるなど、良い人どころかむしろ無用心である。
それでも銀時に提供したということは銀時が信用たる人物だと見抜いたからだろう。
だてに社長をやってはいない。
「ああ、構わないよ。
「いや、それくらい全然構わないですよ!」
銀時はテンションが上がっているのか口調が変な敬語になっている。
彼はそれほど嬉しいのである。
「いいんですか、社長。私も彼を信用はしていますが……」
「構わないよ。夜の管理や警備に不安だからちょうど良かったし。ただし1つ条件があるんだが構わないかね?」
小鳥は心配のようだが、社長は本当に信じているようだ。
しかし社長もただとは言わないようで、銀時に条件を出してきた。
「ああ、住まわせてもらえるんだ。1つくらい構わないぜ」
銀時もそれくらいは予想していたのか条件を出すと言われて軽く引き受ける。
社長は引き受けてくれると聞くと、少し奥に引っ込みある服を持ってきた。
銀時はそれを見て少々顔をしかめるが、社長は間を置かずに銀時に告げる。
「せっかくだからプロデューサーになってくれないかい?」
社長の言葉に銀時はどういうことかと怪訝に思った。
なんせ目の前にいるのはまだ銀時から見ればまだ子供である。
銀魂の世界にも寺門通というアイドルはいるが、マネージャーは寺門通の母親で仕事はしっかりしている。
それに比べこちらは素人同然であり、さらにこちらは何人も受け持ち且つ春香以上に幼い子がいるかもしれない。
そんな自分に任せるのかと、不思議に思ったのだった。
「プロデューサー……? もしかしてここにいる春香みたいなガキたちをアシスタントしろってことか?」
「なっ、私はもうガキなんかじゃありませんよー! 私はもう16です!」
「いや俺から見たらおめぇなんてまだガキだから。でだ、もしかしてだが春香以上に小さいやつもいるのか?」
銀時の言葉に棘があったのか春香は文句を言う。
もちろん銀時からすれば子供なのでそういうのも致し方ないのかもしれない。
銀時は春香に少々反論しつつ、疑問を聞く。
「はい、いますよ。上は大卒から下は小学生6年生まで」
「マジかよ……」
銀時の疑問には社長ではなく今は社長の隣にいる小鳥が答えてくれた。
その答えに銀時は少しうなだれる。
子供相手は嫌いでも苦手でもないが、やはりめんどくさいし大変なのだ。
だが衣食住がない今銀時に選択の余地はない。
銀時は一言「しゃーねぇよな……」と言うと社長に対面して言う。
「わかった、その条件呑むぜ。だが俺は素人なのに本当に構わないのか?」
「ああ、かまわないとも。仕事の内容とか動きはやっていくうちに学んでいくだろうからね。むしろ人手不足だったからね、助かるよ」
社長は苦労かけるどころかどうやらむしろ感謝してるようである。
銀時もそれを聞くと安心し、一息つくように事務所にあるソファーにもたれかかった。
「仕事のことについては明日でいいかな?」
「ああ、別に俺はいつでもかまわないぜ。やることなんて今はないしな」
銀時はこの世界に偶然来たのでやることがないのは事実である。
もっとも銀魂の世界であっても時たま来る依頼を除けばやることなどないのだが。
後はせいぜい娯楽のパチンコくらいだ。
「ハハハ、そういえばそうだったね。さて、一通り必要なことは終わったね。では最後に私の名前を言うのを忘れたから改めて紹介しよう。私はここ765プロダクション代表取締役社長をしている
「……俺は坂田銀時。元の世界では万事屋をしていたな。名前に関しては好きに呼んでくれ」
社長は一通り言うことを終えたのでお互い改めて自己紹介をした。
「では詳しいことは明日に、今日はゆっくり休むとともに他の皆と顔を会わせるといいよ。小鳥君、後はよろしく頼むね?」
「はい、わかりました」
「春香君も頼んでおくよ」
「あっ、はい。了解しました」
「じゃあ私はまた出かけてくるよ」
社長は小鳥と春香に後を任せるとどこか用事ということで事務所から出ていく。
ここの事務所もまだまだ小さいため、社長も忙しいのだろう。
むしろこんなところが潰れずに残っているのも彼の所業が大きいかもしれない。
それに小鳥と春香は感謝しつつ見送るのだった。
2話目です
まだ数人しか出てきてませんが、次から随時出して行こうと思います
ただ自分基本的に読専且つ遅筆なので、次回の投稿は不明です…
最低一ヶ月以内に投稿はしますが…
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