全部で3、4話になると思います
ではどうぞ
「全く冗談じゃないわ。この伊織ちゃんに全然そぐわないじゃない」
そんなこと言いながら伊織は階段を上りながら文句を言っていた。
どうやら仕事で何かあったようである。
それには伊織と同じように仕事に行っていたやよいや双海姉妹、そしてプロデューサーも同意見のようで苦笑いをしていた。
「まあ確かにありゃ酷かったな。どれだけ酷いかというとパフェを3週間食べるの禁止されたくらい酷いな」
「それは銀時さんだけだと思うんですけど…」
銀時も伊織の意見に同意しているが、例えが自分中心の例えだったのでやよいは銀時にツッコミを入れる。
もちろんここまでは慣れたものでいつもの光景だったのだが…
『うっ』
伊織がガチャッと扉を開けるととても暗い空間が広がっていた。
文字通り部屋は電気をつけておらず暗いのだが、ここではそういうことではないだろう。
部屋にいる1人――音無 小鳥がとてつもなく暗い雰囲気をかもし出しているのだ。
「はい、はい。ではまたの機会によろしくお願いします」
小鳥はどこかに電話をかけていたようでガチャっと受話器を置くとだんまりとし口を閉ざした。
帰ってきたメンバーも察したようだが、一応とばかりにプロデューサーが小鳥に聞く。
「お、音無さん。もしかしてまたオーディションは……」
「えぇ……全滅です」
『うぁ……』
やっぱりと皆は思っていたがそれでもショックは隠しきれなかった。
なぜなら……
「今月に入ってから誰も1個もオーディションに通ってないんですよー!」
そう小鳥が言うように今月はまだ誰もオーディションに通ってないのだ。
それには小鳥も参ったとばかりに嘆いてしまう。
765プロダクションの事務員である彼女だが、この状況ではいくら何でも参ってしまうであろう。
「もう、納得できないわ! なんでこの伊織ちゃんが落とされなきゃいけないわけ」
伊織もこの状況には納得できないのか文句を言う。
「まあしゃーねぇだろ。向こうが決めることだからな。それだけまだ実力か何かが足りないってことだろ」
伊織の文句に銀時はなだめるように言う。
実際問題まだ経験が足りないのは事実であることは確かだ。
「ふん。審査員の見る目がないのよ。それかあんたが疫病神かどっちかね。死んだ魚のような目して本当に疫病神じゃないかしら」
「あっ? 誰が疫病神だ。人のせいにするんじゃねぇよ。それにこの目はいざという時には、きらめくからいいんだよ」
「きらめくってなんですか……」
「兄ちゃんに、兄さん亜美たちもっとテレビに出たいよー」
プロデューサーは銀時にツッコミを入れるがそれは亜美の声によって消された。
もしツッコミが通っていてもツッコミ力が弱いので銀時には効かない気がするが。
しかし亜美の要望はもっともでこれには真美もやよいもうなずくばかりである。
さらにやよいに至っては弟たちの給食費が必要なためもっと深刻と言えよう。
これには早急に手を打つ必要があった。
だが1つ疑問がある。
「そもそもなんでこんなに落とされるんだ?」
そう落とされる理由である。
単純に実力がないにしてもここまで揃いも揃って落とされるのはどうにも腑に落ちないのである。
これは他に原因があるのでは、とプロデューサーは考えるのだがいまいち思いつかない。
「あのー、プロデューサーさん。そのことなんですけど……」
そこで小鳥が話かけてきた。
何か心当たりがあるようだ。
プロデューサーは藁にもすがる気持ちでその心当たりを確認しに行く。
だがこの後衝撃の事実が発覚するのであった……
「……これが『せんざい』」
プロデューサーは小鳥から渡された写真に嫌な予感を覚えながら机に並べてみた。
するとどうだろうか。
そこには
これを見たプロデューサーもさすがにがっくしと肩を落としてしまう。
「何々? 兄ちゃん洗濯するの?」
「いや軍隊のことだろ?」
「銀時さんのは『
「宣材写真? なんだそりゃ?」
銀時は亜美と同じレベルのボケをするがもちろんそれは否定される。
プロデューサーはこんな構ってる暇などないのだが、どうやら銀時は『宣材』だけでなく『宣材写真』のことを知らないようだ。
「『宣材写真』とは『宣伝材料用写真』のことですよ。その名の通り宣伝用の写真でこれを使ってアピールをして売り出すために使われる写真のことです」
「へぇ、色々あるんだな」
「銀時さんもこれからプロデューサーやるんですから、こういう専門用語も覚えてくださいね……」
銀時もプロデューサーをやっているので、こういう知識も必要なのだが銀時は思いのほかあっさりと聞き流す。
また出てきたときにこの言葉の意味がわからずアイドルたちに聞くはめになる可能性は高いだろう。
「それにしても何で皆こんな感じなんだ?」
思わずプロデューサー呟きがもれるが、意外にもこの答えを伊織たちが教えてくれた。
――――端的に言うと社長が原因だった。
社長がこういう風に撮るように指示したみたいで、この写真を見て社長も褒めていたらしい。
(これは何か違うと思う……)
後ろに控えている小鳥さんも苦笑いを浮かべるばかりで、何も答えないがこれには困っていたのかもしれない。
頼りにはしているがこういう時には困った社長である。
プロデューサーも疲れているため溜め息を漏らすが、ここで怠けていてはダメだと自分を奮い立たせる。
銀時はというとこの写真を見て「ほぉ、なかなか綺麗に取れてるじゃねぇか」「でしょでしょ!」と亜美真美の2人から写真を見せられて素直に褒めていた。
アレを見て褒めているが、プロデューサーからしては宣材写真として猿の格好をした写真は問題あるので素直に褒めれないのは悲しいところである。
「ごめーん。ドア開けてー」
肩を落していたプロデューサーだが突然、ドンドンとドアを叩く音とともに律子の声がドアの外から聞こえた。
手が塞がっているのか、入ってこれないようである。
ドアに一番近くにいた銀時は「へいへい」と仕方ないとばかりに近づき、ドアをガチャっと開ける。
律子はありがとーとお礼を言いながら入ってくる。
だが、銀時の顔を見た瞬間律子はビクッとしてしまった。
律子はあの衝撃的で非日常的な出会い方にまだ萎縮していまうようで、顔に緊張が走っているように見える。
銀時は元の世界で訓練させているので平然としているが、律子の方は慣れるまでにまだ少し時間を要すみたいだ。
だが律子もこの道のプロである。
銀時やアイドルたち(小鳥やプロデューサーは気づいているみたいだが)にはこのことに気づかれないように、さっと中央へと大きな荷物とともに移動した。
「じゃーん、お待ちかねのお揃いのステージ衣装です!」
『やったー!』
律子は先ほどの緊張を誤魔化すように持ってきた衣装をバーンと披露した。
ここにいる伊織たちには概ね盛況なようで、とても喜んでいる。
やはりお揃いというのは女の子には良いものかもしれない。
「確かにこれはいいなァ。家(うち)の神楽にでも着せたら馬子にも衣装レベルになるかもしれん」
「そうでしょ、そうでしょ。奮発したんだから」
銀時はさり気なく神楽のことを馬鹿にしているかもしれないが、ここのレベルと比べると悲しいかなどんな人間でもたいてい見劣りしていまう。
銀時の世界ではこれほどまでにレベルの高い人物がそうそういないのである。
律子もドヤ顔で銀時に今回の良い買い物だとアピールする。
うんうんと頷く姿は可愛いが顔は少々うざったい顔でもある。
銀時は全然気にしていなさそうだが。
(その代わり我が765プロの金庫はすっからかんだけどね……)
少々痛い出費でもあったが、満足行く買い物・出来であり今ここにはいないアイドルたちにも満悦してもらえるだろう。
そこから来る笑みからかまたドヤ顔をしてしまっている。
この後プロデューサー及び小鳥からちょっとしたお願いをされるまで続くのであった――――
「えぇ、コンポジットを作り直す!? 無理無理無理、あの衣装でいったいいくら掛かったと思っているんですか……そりゃ、今のままがベストとは言えないですけど……」
「だろ? だからそこは娘のお見合い写真を作り直すような気持ちでさ」
「娘って私そんな歳じゃありません!」
やはりダメかぁっとプロデューサーは気を落とす。
もちろんできない理由もわかっているのでわからないでもない。
だがアイドルのことを思えばどうしても取り直したいのである。
ちなみに「コンポジット」とは芸能人などに使われる業界内部用プロフィールカードである。
※wikipedia参照
「何豆知識を披露してるんだよ……」
「あんたこそ誰に言ってるのよ?」
銀時はなぜか地の文にまで触れてきたが、伊織の言葉に触れてくるのをやめたようだ。
その代わり伊織は不審の念を思い浮かべてしまったが、結果往来である。
「そもそも秋月の年齢、ッテェェェ!」
「女の人に年齢を聞いてはいけません!」
銀時は律子の年齢が気になったのか、歳を聞こうとしたら足を思いっきり踏まれた。
踏んだのはもちろん歳を聞かれた律子であり、腹立ちを覚えている。
「プロデューサーさんもデリカシーのないことを言ってはいけませんよ」
プロデューサーも同じように不用意な失言をやめるようにと小鳥に怒られる。
プロデューサーは「すみません」とすぐ謝ったが、銀時は「なんで俺は踏まれたんだ……」ぶつくさ言っていた。
それは自業自得なので余儀なしである。
話が逸れたが、亜美真美が律子に話かけることによって本筋に戻される。
亜美が撮ろうよと催促するが、律子は新しい写真を撮るためのお金がないと説明する。
だがこちらも引き下がれないのであろう。
真美や伊織、それにやよいまでもが「お願いしますーっ!」と頼んできた。
しかしそれでもまだ律子は折れない。
プロデューサーは諦めたその時、小鳥が律子の耳元で何かを囁いた。
その瞬間には律子は何か換算するような表情を浮かべ、さらに次の時には眼にはお金マークを浮べこういった。
「よし、いっちょやりましょうか!」
それは願いが叶った時であった。
『やったー!!』
それにはもちろんアイドル含め、プロデューサーも大喜び。
ハイタッチまでしていたりしていた。
そしてプロデューサーはそれを聞くと早速とばかりにかばんの中から徐に携帯を取り出し電話を掛け始めた。
何でも彼の嬉しいそうに掛ける姿が事務所の中から見えたとか。
更新しました
ギリギリ一ヶ月…
約束はちゃんと守ってるけど、遅すぎるという事実w
もうちょっと早くかければいいんですけどねぇ…
ちなみに本編では銀さんが来てから数日経ってるという設定です
まあ銀さんが来てすぐの話とか、「プロデューサーの仕事の内容を覚える」くらいしかないですからねぇ
小ネタは別として
それならさっさと進めようと本編にしました
では次回もよろしくお願いします