銀ドルマスター~働けプロデューサー!?~   作:ルシフェル

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第5話

 

「ああー疲れたァー」

 

 写真スタジオの控え室に銀時はいた。

 銀時は疲弊しているようで背もたれ椅子に腰を浅くかけており、誰から見てもだらっとした格好で休んでいる。

 

 只今銀時以外は誰もいない。

 全員タイミングよく出払っているようである。

 

「たく、伊織のやつ荷物めちゃくちゃあるじゃねぇか……何がそんなにないからだよ。こうなったらパフェをもう一個奢ってもらわないとな」

 

 銀時の疲れている様子から見るには多くの荷物を撮影所の入り口から運んだようだ。

 どれだけ運んだかというとアニメ二話をみてくれたらわかる。

 

 彼は伊織本人がいないため、気を抜いて愚痴をこぼしている。

 もちろんそんなこと言っていると……  

 

「あら、そんなこと言うなら1つも奢らないわよ」

 

 ガチャリと扉が開き、伊織本人が入ってきた。

 後ろにはやよいや亜美たち双海姉妹もいる。

 噂をすれば影を差すというが、愚痴でもやってくるようだ。

 銀時は伊織の目があった瞬間動いた。

 徐に立ち上がり、伊織たちの目の前につくと彼女たちを見つめてる。

 

「な、何よ……」

 

 伊織は銀時の魚が死んだような目に見つめられ、何を言われるかと心の中ではハラハラしている。

 それがつい口に発してしまった時、銀時は目をカッと見開き言った。

 

「調子乗ってすみませんでしたー!」

 

『……』

 

 いくら愚痴を言っていても、パフェの方が優先。

 そこはやはりいつもの銀時である。

 この光景に彼女たちは目を点になっていたのであった。 

 

 

 

 

 

「全く普段まともに働かないのに文句なんか言うからよ」

 

「まあまあ。銀さんも疲れてるだからゆるしてあげようよ」

 

 先ほどの出来事少し経って。

 銀時と一緒に伊織、やよい、それに亜美、真美は部屋の中に入ってきた。

 伊織がぶつくさ文句言っていて、それをやよいが諌めている。 

 

「てかお前ら写真撮影は終わったのか?」

 

「ううん、私たちに足りなかったものを足しに来たんだよ」

 

「つまり大人の色気を足しに来たんだよ!」

 

 銀時はふと伊織たちが帰ってきたことに疑問に思ったので、聞いてみる。

 その疑問には亜美たちの二人が答えてくれた。

 

「ボンキュッボンの体を作りに来たんですよ、うっうー!」

 

 やよいまでもが乗り気なようで何かがあったとすぐにわかる。

 もちろんその何かの出所があずさにあるとは銀時のあずかり知らぬことだが。

 

「大人の色気ってお前らまだまだ子供だろ。色気ついていいのはもっと大人になってからでも……」

 

「ふっ、甘いわね。今からこういうことをしていかないと後々後悔することになるのよ。それに……」

 

「ああ、わかったわかった。それじゃあ好きなことしとけ。俺はここで寝とくから」

 

 伊織たちの考えは少し無謀だと思ってか伊織に進言するが、銀時の言葉を取り次ごうとしない。

 自分には自分の考えがあると、銀時の言うことは聞かなかった。

 銀時はまだ来たばかりでこの世界をまだまだ知らないことが多く、ファッションなど服装を見る限り自分の方がよく知っていると自負していると思われる。

 皆さんお馴染みのあの格好であるが、銀魂の世界では普通でもアイマスの世界では異常だったりするのだ。

 幸いにしてこちらの人々は寛容であるため、それくらいは気にしていない。

 テレビ局などのしっかりとした公共に写る場ではプロデューサーから借りた背広にネクタイで、それ以外はいつもの服と使い分けている。

 もっともまだ整然とした公共のの場に行ったことはないため、着たことはないが。

 

「むっ、適当な返事ね。いいわよ、いいわよ。私たちが変身した後大人魅力にメロメロになっても知らないからね。じゃあまずはこのキラキラメイクから始めるわよ」

 

『おー!』

 

「んと、これはこうで」

 

「ここはこうして――」

 

 伊織たちは銀時に捨て台詞を吐くと自分たちの用事に取りかかり始める。

 まずはメイクから始めるようであった。

 

「じゃあ俺はちょっと寝るわァ……」

 

 銀時はメイクなど少しも興味がないようで椅子にギシと音を立てながら座る。

 そこからは早いもので(まぶた)を閉じるとすぐにいびきをかきはじめた。

 

 しばらく伊織たちは銀時に構うことなく自分たちの用事に集中していた。

 女3人集まれば姦しいと言うように銀時の近くできゃっきゃっと騒いでいる。

 それなのに目を覚めるどころかいびきをかいて寝ているとは素晴らしい精神である。

 もちろん誉めてなどない。

 

 

 

「ちょっと、ごめん。そこに青いブラシが……」

 

『お、おばけっ』

 

 扉がガチャリと開き、すぐにガチャンと閉まる。

 真と雪歩は何か用があったみたいだが、それは凄絶な光景だったようで顔をひきつりつつ扉を閉めたのであった。

 当然伊織たちは気づくことはなかった。

 

 

「次はバストアップだね」

 

「そういえば兄さんがいるけど、どうする?」

 

 メイクが終わり、真美が次の作業に移ることを告げる。

 だが亜美はこの部屋に銀時がいるのをどうしたものかと伊織に聞いた。

 最年少の真美たちだが、さすがに男の前で着替えるのは気恥ずかしいのだろう。

 

「あっ、すっかり忘れてたわ……」

 

 亜美に言われ銀時がいたことを思い出す。

 一応ここの主人公であるはずなのだが、忘れられるとは本人も思わなかったであろう。

 

 伊織はカーテン越しに見える銀時の影を見た。

 今でも椅子でいびきをかきながらぐっすり寝ている。

 

「そうね。今はぐっすり寝てるから……」

 

『寝てるから?』

 

 伊織は銀時の方を向くのをやめると考え始めた。

 真美たちややよいも山彦のように同じことを聞いてくる。

 

 2、3分もしないうちに伊織は顔をあげてやよいたちに向いた。

 何か思いついたようである。

 

「このまま外に出しちゃいましょうか」

 

『OK』

 

 思いついたのは単純明快で銀時の場所を移すということであった。

 当たり前と言えば当たり前だが、見られるなら見られない場所に移せということであろう。

 

 銀時のことなどお構い無しだが、彼が寝ているからこういう方法を取るのであって起こさないようにと配慮である。

 優しさでこういう方法を取ろうとしているが、裏目に出ていることを彼女たちは知らない。

 

「あっ、真美良いこと思いついたよ」

 

「亜美も思いついたよ」

 

「ん? 何するのかしら?」

 

 とここで双子の二人はさらに何か思いついたみたいで案を伊織に持ちかけた。

 

「とりあえず兄さんを……」

 

「うぇ~、私も混ぜて欲しいですぅ~」

 

 真美が伊織に近づき、耳打ちするように話始める。

 やよいはその内容が気になるのか仲間外れになるのが嫌なのかわからないが同じように加わっていった。

 

 

 

「銀時は何で外にいるのだ……?」

 

「しかも変な顔までしてますね」

 

 衣装室の外、廊下には響と貴音がいる。

 その二人の前には未だに寝ている銀時がいた。

 二人は知らないが、やはり銀時は伊織たちによって外に出されたようだ。

 ただ銀時は真美たちに何かされたみたいであったが。

 

「部屋の中からは何か変な声が聞こえるぞ……」

 

 一方部屋の中からは『そう、そう、そう!』『そいや、そいや、そいや!』と響たちからすれば何をしてるか全くわからない声が聞こえる。

 中は見ず扉に聞き耳を立てているだけなのは危険な信号を受け取っているからだろう。

 響たちは巻き込まれないようにと、そのまま大人しく去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところ変わりここは写真を取るためのスタジオ内。

 部屋にカシャカシャと写真を撮る音が鳴り響いている。

 その音源である写真の被写体は765プロのアイドルあずさである。

 

「伊織たち遅いな……」

 

 宣材写真用の撮影が無事に進む中、プロデューサーは未だにスタジオに現れない伊織たちの登場を待ち望んでいた。

 まだ番はきてないが、早めに来ておかないとここでの用意や最終チェックが疎かになってしまう。

 それではまた変な顔写真になる可能性もあるためその状況は回避したかった。

 

「遅くなりましたー!」

 

 そこに新たな声が届いた。

 プロデューサーは声の主を聞いて、無事に来たことに嬉しく思い聞こえた方向に振り向く。

 

「へぇ!?」

 

「あぁ……」

 

 だがプロデューサーはその方に向いて思わず固まってしまった。

 この場には他にも律子やカメラマンなど様々な方がいたが、同じようにぐうの音も出なく固まっている。

 

 皆が固まっているその視線の先には――

 

「あら? 刺激が強すぎたかしら?」

 

「うーん、兄ちゃんたちの気持ちもわかるよぉ」

 

 伊織たちがいた。

 ただし昔風に言うと(かぶ)いた格好、今で言うと奇妙奇天烈な格好でだ。

 この奇抜とすら言えない常識の範疇を超えた格好には固まらざるえなかったのである。

 

「お前たち、何考えてるんだ?」

 

『へぇ?』

 

「早く着替えてこい。遊んでるんじゃないんだぞ!」

 

 いち早くこの場における硬直から解けたのはプロデューサーだ。

 少々言葉強く言っているが、それだけ伊織たちの格好が場違いなのである。 

 

「おいおい、何騒いでるんだよ。こちらは寝起きで大きな声は響くんだぞ……」

 

 プロデューサーが声を張る中、銀時がやってきた。

 頭を掻き、さらには欠伸までもしながらやってくる姿は先ほどまで寝ていたとわかる。

 

「……銀時さんもなんて顔してるんですか!?」

 

「顔? 顔ってなんのことだよ」

 

 「はい……」とプロデューサーが少し吃りながら手鏡を渡してきた。

 いまだになんのことかわかっていない銀時は徐に手鏡を受け取り除きこんだ。

 

「…………は? ハァァァ!?」

 

 そこに写ったのは自分の顔。

 しかしその顔はいつもの顔ではなく、落書きみたいな下手なメイクであった。

 眉毛や唇に塗っるはずの化粧がずれずれ、頬は濃密なピンク、それに対して髪などは何も弄っていないため、男の格好。

 現在伊織たちがしているメイクよりもさらに酷く、こんなメイクなら「パー子」のメイクする方がかなり良いと思えるくらいである。

 

 銀時が驚いて次にアクションを起こしたのは亜美たち、双海姉妹の顔を見ることだった。

 視線の先では目を反らす伊織・やよいに、なぜかこの場からをそろりと忍び足で去ろうとする亜美たち二人である。

 

「完全にてめぇらじゃねぇぇぇかぁぁぁ!!」

 

「違うよ、お兄さん。これは妖精さんの仕業なんだよ」

 

「そうだよ、そうだよ。妖精さんは楽しいことが好きだからさ」

 

 銀時は犯人を見つけた、と大きな声で叫ぶが真美も亜美も自分たちではないと否定的してきた。

 しかし真美たちが言うにその犯人というのは妖精さんだという。

 なんともメルヘンチックだが、ここらへんは子供の感性なのだろうか。

 額に怒りマークをつけながら、銀時は冷静(・・)に聞いた。

 

「ほう……じゃあお前らの顔も妖精か?」

 

『そうそう』

 

「伊織ややよいの顔とかもか?」

 

『そうそう』

 

「妖精はお前らか?」

 

『そうそう……ハッ!?』

 

「やっぱりてめぇらだろうがぁぁぁ!!」

 

 銀時の質問に同じ言葉で応じる亜美・真美姉妹。

 だが銀時に嵌められて、自分たちが犯人だとばれてしまった。

 やはりまだ子供で詰めが甘いのだろう。

 

「ち、違うよ。ね、いおりん」

 

「えぇ、なんでここで私に振るのよ!? わ、私は何も関わってにゃいわよ」

 

「子供の教育にはちゃんとした大人が必要だよな、おい」

 

「ちょっと皆落ち着いて!」

 

「うわー、前が見えないですー」

 

 子供'S4人に銀時、さらにはプロデューサーまでそこは喧騒に包まれた。

 プロデューサーは止めようとしているが、銀時が子供レベルの言い争いしているためなかなか止まらない。

 カメラマンなどのここに勤めている社員は何もできず、ただただ顔をひきつらせながら見るだけだ。

 

「良い加減にしなさーい!」

 

 最終的に律子の声が部屋中に響いたのであった。

 




更新しました
そういえば一ヶ月に1度更新だったらアイドルたちのお祝いとかできないよね、と思い始めた今日この頃

まあそんなことは置いといて←

とりあえず2話は次回で終わると思います
けれども次回はちょっと長くなるので1ヶ月ぎりぎりになるかと…
そこ、今回のも1ヶ月ギリギリだよねとか言わないw
自覚はしてるから(笑)

では次回もよろしくお願いします
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