スーパーロボット大戦K ~夜霧とミスト~ (旧題:俺をさんづけで呼ばないで ) 作:トカGE
唐突だが自己紹介をさせて頂きたい。俺はミスト・レックス。惑星アトリームに住む一般的な少年だ。うん、あいつだよねってすぐわかった貴方は正しい。悪名高きミストさんとは俺の事である。どーだすごいだろーあっはっは。
《って言うんだったら、まだマシだったかもしれねえんだけどなあ》
「何ぼやいてるのさ、しょーや」
正確には俺はミスト・レックスでは無い。入っている体はミストさんだけど。
俺の名前は夜霧翔也。スパロボがゲームとして存在している世界で生まれ育ち、そしてたぶん死んだはずの人間だ。そして現在、子供の頃のミストさんに憑りつき中。
《いや、なんでこんなことになってんだろうってなあ》
「ふーん?」
よくある人格上書きとかじゃなくて、本当に憑りついてます。イメージとしては裏遊戯とか?正直なんでこんな状況になっているか、自分でもわからない。ネット小説にありがちなトラックの一撃も神様との対話も記憶にはない。
と言うか実際は死んだかどうかもあいまいだ。こういう状況ならたぶん死んでるのだろうけど。まあ理由は何であれ、ゲームの登場人物に憑りつくとか中々に面白いものではあると思う。こういう場合、完全に相手の人格を上書きすることが多いけど、元人格を消し去るという展開が苦手な自分としては今の状況自体はむしろ良いと言える。問題は『ここがスパロボKの世界』だということだ。
スパロボK、シナリオ面でいろいろツッコミどころが多かったことで有名なゲームだ。まあ一応最終的にはハッピーエンド?っぽく終わっているが。いや総士を返せとかあるだろうけど一応ハッピーエンドってことにしといてくれ。きっと戻ってきてくれると思うから、劇場版で!
俺が不安なのは、ここがゲームでは無くて現実だということだ。現実はゲームじゃない!とかよく聞く言葉だが、この世界があのゲームのような超絶シナリオ(悪い意味で)をなぞるとはとてもじゃないが思えないのだ。
絶対この世界で原作知識役に立たないと思ってた方がいい。つまりそれはミストさん、ひいては自分が最後まで無事では済まない事も覚悟するということだ。
いくらおばQと化しているとは言え、俺も態々消えたいとは思わない。
《さあ、ランニングに行こうぜ、ミストさん》
「うん、がんばる! 後いつも言ってるけど、俺をさんづけで呼ばないでよ!」
《いやわりい、つい》
そんなわけで、俺はミストさん育成計画を発動中。幸いミストさんは俺の声が聞こえるらしく、最初は驚いていたもののさすが子供の適応力。今ではすっかりなじんでくれて、彼の中で順調にお兄さんポジションを確保している。
ちなみにミストさんと言うのは愛称であって、決して呼び捨てにするほど親しみが持てないからと言うわけではないのだよ?
とりあえず、ミストさんを鍛え上げてそう簡単に死なないようにしたいと、いろいろと訓練をさせている次第だ。
自分の都合でこんな小さい子をいいように扱っている事に罪悪感を覚えないと言えば嘘になるが、将来大切な人を助ける力にもなるのだからよしということにしてほしいとこである。
「ミスト、おはよう!」
「あ、アンジェリカ!」
《嬢ちゃんも来たか》
ミストが走っていると、緑髪の少女が駆け寄ってきた。ミストの幼馴染のアンジェリカ・シャルティールだ。ミストさんが毎日ランニングしていると聞いた彼女は、いつの間にやら一緒に走るようになっていた。ミストさんと二人走っている様は見ていて微笑ましいんじゃなかろうか。俺はミストさんと視線一緒だからわからないけど。
しかし思うんだが、子供の頃とゲーム本編性格違いすぎだろこの二人。ミストさんは割りと空気読めてて、何かで思い悩んでも一人で貯めておくことがないし、アンジェリカもヒステリックな面を見たことは無い。
いや、まあミストさんについては半分は自分のせいじゃないかとは思っている。空気の読み方とか頭の中で説教してたし、相談ごとには乗ってたし。
アンジェリカについては、子供だからだろうとしか言えないのがあれだが、出来ればこのまま健やかに成長してほしい所である。ノーモア優柔不断ルートの真っ黒アンジェリカ。さすがにあれは最低の屑だわ。
ランニングを終えると二人はそのまま防衛隊の本部までやってきた。アンジェリカの父であるエルリックに会うためだ。ちなみに何で平和なのに防衛隊が存在するんだと言うツッコミを聞いたことがあるが、確かにアトリーム人同士での争いは無く、戦争が無いと言う意味ではこの星は平和だ。だが、巨大生物や異星人など脅威は他にも存在しているのだ。それに対して備えるのは当然だろう。また、防衛隊とは言え別に普段から戦っている訳では無い。
この前なんか、ロボットで投網して魚を取ってたし。あれはちょっといいのだろうかと思ってしまったが。
「お父さん!」
「おじさん、こんにちは!」
《エルリックが来たか》
「やあ、アンジェリカにミストくん。よく来たね!」
パイロットスーツ姿のエルリックは二人を出迎えた。この時期レヴリアスはまだ復元している最中らしく、この前ようやく彼が乗っている試作一号機が完成したばかりだ、彼のレヴリアスはK作中のものと比べて配線が一部露出していたりと、設計図を再現しきれていないのが見て取れた。
たぶんこの後、さらに洗練されてミストさんが乗っていたような機体に仕上がり、最終的に量産配備されるのだろう。
ちなみに今日二人がここを訪れたのは、そのレヴリアスを見せてもらうためだ。本来なら一応機密に属する為ダメなのだが、見たいと言ったミストのため、アンジェリカが頼み込んだらエルリックの奴あっさり折れやがった。もうこのころから親バカだったらしい。そんなんでいいのか隊長。
そうしてミストさんがレヴリアスに近づいた時それは起こった。
「えっ!?」
「きゃっ!」
「こ、これは!?」
誰も乗っていないレヴリアスが反応し、そのボディが一瞬光輝いたのだ。慌ててエルリックがコックピットに乗り込んで状態を確認する。
「こ、これは……」
「何かあったの? おじさん!」
「い、いや。何でもないよ」
子供のミストさん達は気付かなかったが、エルリックは明らかに同様していた。詳しいことは解らんが、たぶんミストさんにクリスタルハートが反応したんだと思う。と言うか、そういうイベントでも無かったなら、隊長はともかく新人隊員の機体にクリスタルハートなんて搭載しないと思うんだ。
いや、将来の娘婿だからって理由で詰んだとも考えられるのが恐ろしいんだけどね、あの親バカだと。結局その後は何も起こらず、二人は防衛隊の基地を見学して帰った。
その帰り道、ミストさんとアンジェリカが防衛隊員になる!と大声で夢を宣言していた。やっぱり巨大ロボットはかっこうよかったということだろうか。アンジェリカの方はミストさんに合わせた気もするけれど。
そんな感じで、俺とミストさんの少年時代は過ぎていった。
勢いで書いたから続きとかまったく考えてません。