スーパーロボット大戦K ~夜霧とミスト~ (旧題:俺をさんづけで呼ばないで )   作:トカGE

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 TOD2のほう書いてたら、こっちの方のネタが先に浮かんだので先こちらを


アトリーム防衛隊のミストさん

 どうも、夜霧翔也です。あれから特に何事も無く、ミストさんは防衛隊員になりました。現在、巨大生物の駆除作業中です。

 

「うおおおお! 前にでるんだあああああ!」

《だから冷静になれと言ってるだろ!》

 

 嘘つきました。何事も無くないです。何でかミストさんがミストさんに近づいて来てます。なんかおかしいけど気にするな! 子供のころからずっと見守ってきたのに何でだ? あれか? 歴史の修正力だとでもいうのか。

 ちなみに現在の防衛隊の主力は、原作通り『レヴリアス』と『セリウス』だ。かつて見た時は量産試作一号機が完成したばかりだったレヴリアスも量産体制に入り、今では防衛隊の主力機体として各地で活躍しているらしい。ちなみにしっかりミストさんの機体にはクリスタルハートが搭載されてました。それらしきゲージとかあったし。一応ミストさんにも、半永久機関とだけは伝えられているようだ。

 それにしてもミストさん、やっぱり熱くなりやすい性格だったようです。空気読まないで正論言い出したり、一人で勝手に悩んでうじうじしだす所は長年矯正したおかげで『少しは』マシになったけど、こればかりはどうしようもなかった。

 いや、いいんだよ? 熱くなること自体は。でもね、熱くなりすぎて周りが見えなくなるのはダメでしょうよ。このままじゃほぼ確実にイスペイル様に特攻しちゃうよね? あれって主人公補正なかったら絶対いい結果にならないって。

 

「ミスト! あんまり熱くならないで! 孤立しそうだったわよ!」

《ほれ、嬢ちゃんも言ってるだろうに》

 

 突出したミストさんのフォローに、アンジェリカが駆けつけてきた。ミストさんより先に入隊していた彼女は、新入りのミストさんのフォローに回ることが多い。ミストさんは少し気にしているみたいだが、本人はむしろ嬉しそうだからいいんじゃないかね?

 ちなみに彼女が乗ってる機体は原作通りセリウスの試験機だ。もちろんクリスタルハート搭載済み。ここら辺原作通りで助かったね。もしこれが通常の機体だったらソルヴリアスの合体フラグがぽっきり行く可能性があったし、アンジェリカが成績優秀で助かった。

 あ、でもシェルディアルートなら問題ないのか? あっちだとソルヴリアスに搭載されるの『神の石』の方だし。

 ただ、正直ミストさんとアンジェリカのラブコメを長年見てた身としては、アンジェリカルートに行って欲しい所ではあるんだよね。何であれでくっつかねえの? ってレベルでした、はい。もう佐藤氏、じゃない砂糖死するかと。そりゃポッと出の少女にミストさん取られたら病むわってくらい。

 いや、それでもやっぱりあれはひどいが。

 

「ぐ、二人に怒られてしまった……」

「二人?」

「何でもないよ」

 

 そうこうしてる間に巨大生物の駆除は完了した。しかし最近こういうのが増えてきている気がする。まだ暴徒鎮圧任務は発生してないが、そろそろコボちゃん……もといル=コボルが来るのだろうか。ちなみに平和なのに暴徒鎮圧に慣れるってどういうこと?って感じだが、一応ル=コボルが自身の欠片を持った生物の心を刺激するせいで、あいつが侵略しようとする星の生物は負の感情が増幅されるって設定があるらしいよ? 本当スパロボKは設定の描写不足が過ぎるってばよ。

 まあ、あくまで原作知識は原作知識。このまま平和に過ぎてくれるのが一番ではあるがね。

 

 

 

 

「71! 72! 73! 74! 75!」

《後25回ねー》

 

 とは言え、何か起こってからでは遅いのでミストさん育成計画は続行中である。健全な精神は健全な肉体に宿るって言うし、きっちりかっちり鍛え上げてさせてもらっている。

 

「100! ふいいい!」

 

 片腕立て伏せを終えてミストさんが大の字になって寝転がった。ちなみにこのミストさん育成計画であるが、実は俺は提案はすれど強制したことは無かったりする。一度やらなくてもいいんだぞと聞いてみたら、

 

「アンジェリカ……いや、大切な人を守れるくらいにはなりたいから」

 

とまるで主人公のような事を言ってくれて、お兄さん感動しましたとも。いや、ミストさん主人公だけどね。

 そんなオッサン臭い感情に浸っていると、アンジェリカの嬢ちゃんがクーラーボックスを持って走ってきた。

 

「お疲れ様、ミスト。はい、ドリンク」

「ありがとう、アンジェリカ。助かるよ」

 

 こういった青春風景を見せられてると、本当原作のミストさん達はどーしてああなった?って思ってしまうね、本当。ちなみにアンジェリカはまだ病んでないよ、まだ。たまにジェラしってるとこ見てるけど。

 そう、このミストさんは地味にもてるのだ。そりゃ顔は悪くないし、基本的に好青年。お調子者な所も可愛げがあるということだろう。一応ヒロイン二人だしなミストさん。でも刺されるのだけは勘弁な! 俺も巻き添えくらうし!

 

 

 

 なんてくだらない事を考えていた日の翌日、何も起こらなかったらいいなと言う俺の期待は打ち砕かれることになった。ミストさん達防衛隊員が食堂で飯を食ってるところに、エルリックが駆けこんで来た。

 

「お前ら、緊急任務だ! テイザー地区で暴動が発生! すぐに鎮圧に向かうぞ! 」

「は、はい!」

「解りました!」

「作業用ロボットも何体か確認されている。レヴリアス隊は非殺傷装備に換装の上で出撃。セリウス隊は武器の設定変更で対応だ。切り替え作業が終わり次第出撃しろ!」

 

 エルリックの指令に、食べかけの飯をかっこむ隊員たち。ミストさんも食べかけのカレーを飲み干した。カレーは飲み物です。そうして駆けだしていく隊員たち。だが、ミストさんは食堂の出口で立ち止まってしまった。

 

《どうした?》

「しょーや、暴徒鎮圧だってさ。暴徒って事は……相手は俺たちと同じ人間って事だよな? 俺たち、仲間を相手に戦うのか?」

 

 そう言うミストさんの声は震えていた。これがあの『暴徒鎮圧なら慣れています!』が代迷詞のミストさんだと言うのか!?

 いや、まあ確かにのミストさんは暴徒鎮圧どころか対人戦自体が初だし、至極まっとうな反応ではあるんだが……やっぱ違和感あるなあ。だが俺もミストさんの兄貴分。

 ここはおふざけなしで返さねばなるまい。

 

《戦い前提って訳じゃない。説得して、武装を放棄させる事がメインだろう》

「だ、だよな。だけど、相手がロボットに乗っている以上戦う可能性は高いだろ?」

《そうだったとして、お前はどうするんだ? 誰かがロボで暴れてたら放置するのか》

「そう言う訳じゃない! ただ……」

《人を傷つけるのが怖い、か? だがな、放っておいたら周りの人間はもちろん、ロボで暴れている奴も傷つくんだぞ?》

「え?」

《相手は元々は一般市民だ。今はただ頭に血が上ってるだけの人間が、後で冷静になった時に誰かを傷つけてたとしたら、きっと後悔するだろう。だからこそ、防衛隊はそれを止めるんだ》

 

 生前口下手だった俺じゃこれが精一杯の説得だ。だが、ミストさんは何かを感じ取ってくれたようだ。

 

「解った。出撃する!」

 

 その声からは、覚悟が感じられた。誰も傷つけないと言う覚悟が。

 

 

 

 

 

 暴徒鎮圧任務は、特別怪我人が出ないまま終わった。覚悟を決めたミストさんの実力は凄まじく、ロボットを特に被害も無く制圧してしまった。いや、すげえわ。最後なんか、ステアードぶん投げてロボットの脚止めた瞬間、出力限界まで絞ったグルーヴァイン・バスターで武器だけ撃ち落とすとか。

 

「ありがとうな、しょーや。いつも助けられてばかりだよ」

《いつも言ってるが、お前が俺に礼を言う必要はないんだ。お前が何かを成し遂げられたなら、それはお前ががんばってる結果なんだよ》

 

 戦いを終えたレヴリアスのコックピットでミストさんが言った言葉に、俺はそう答えた。偉そうな事を言っているけど、結局それは俺が『傍観者』に過ぎないからだ。そりゃミストさんが死んだら俺も消える可能性が高いが、結局俺はミストさんを通してこの世界を見ているだけ。言葉以外でこの世界に干渉できないし、干渉もされないから好き勝手言ってるに過ぎない。言うなれば、スポーツの観客が野次を飛ばしているに近い。だからこそミストさんの行動の成果に関して俺がお礼を言われてはいけないのだ。偽善だろうが、自己満足だろーが、こういうのは大事だと思う。

 

「それでも、ありがとう」

《……》

 

 ……自己満足だから、お礼を言われて嬉しくなっても別にいいかねえ?

 




このミストさんは果たして呼び捨てで呼んでもらうことができるのだろうか。
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