スーパーロボット大戦K ~夜霧とミスト~ (旧題:俺をさんづけで呼ばないで ) 作:トカGE
スーパーロボットたちはお休みです。
アンジェリカと再会した翌日、カガリとアレ……もうめんどいからアスランでいいや。二人はオーブに帰って行った。原作通り、オーブとしてすぐ協力を約束することはカガリの一存で決めることができないためとの事だった。そこはいいんだが、帰り際の『オーブとしては無理だが、誰かが個人的に手伝うとしたら私も止めることができない」という言葉がちょっと引っかかった。何する気だこの姫様。
で、その後ミストさんは議長に連絡を取った。とりあえず、レヴリアスについて色々突っ込まれるであろうことが議長も予想していたらしく、極秘事項で押し切るから気にするなとの事だった。良いのかそれで。で、アンジェリカについては、
『つまり、探していた知りあいとは別の女性が日本に飛ばされて来ていた為、咄嗟にザフトの人間と言うことにしてしまったと』
「すいません、相談も無く勝手な事を……」
『何、仕方あるまい。そう言うことなら彼女の戸籍もこちらで用意しておこう。それで、彼女の機体もそこにあるとの事だったね?』
アンジェリカのセリウスは、普通にビルドベースにあった。何で乗っていたのかと聞かれたら、記憶喪失でごり押したらしい。ごり押し、流行ってんのか? まあ、最初はさすがに怪しまれたらしいが、一年も過ぎるころにはすっかり打ち解けて居たそうな。色々とすごい。
そういや、俺勘違いしてたけどアトリーム滅亡してから本編開始まで、本来『一年』なんだよな。でもこの世界だと『ベザードで一年過ごした後、地球で2か月』過ごしてる。この2か月のずれは何なのか。少しだけ不安だ。でも、問題なく進んでるし気にしなくてもいいのか?
『では其方の機体もザフトの試作機ということにしておこう。後でデータを送って置いてくれたまえ。いろいろ調整が居るのでね』
「すいません、何から何まで」
『何、こちらも色々なデータが手に入って参考になっているから気にしないでくれたまえ。それにこの先、この星の為に力を貸してもらおうと言うんだ。これくらいどうってことないさ』
「はい!俺、全力で地球を守りますよ!」
拳を握って熱く答えるミストさん。守りたくなくなっちまわなきゃいいんだがね。
『頼もしいね。それではまた、今度はゆっくり話したいものだね』
「いえ、お忙しい所ありがとうございました」
そうして通話は終了した。忙しい所態々応じてくれるのはありがたいんだが、やっぱり怪しく思ってしまう。いい加減素直に信用するべきなんかなあ。でもなあ、デスティニープランあるしなあ……
「ふう、議長さん本当良い人だよな」
《……ああ》
良い人のままとは行かないんだろうなあ。ロゴス潰すところくらいまでで決着つくと平和なんだが。
その後、漸くミストさんとアンジェリカはゆっくり情報交換する時間ができた。甲児やボス、剣児は何を勘違いしたのか(まあ気持ちはわかるけど)ゲスい顔してごゆっくり~とか言ってさやかさんや杏奈ちゃんに連行されて行った。あの後ゴオさんやら司馬博士やらにお説教されるんだろうか。いや、ビルドエンジェル隊の方があってるか? この場合は。
ちなみにダイヤ君はなんのこっちゃって顔をしてました。君はそのままでいてください。でもルルちゃん、何で君顔赤くしてたん?
「それで、俺が飛ばされた後アトリームはどうなったんだ?」
「それは……」
その反応で、ミストさんも何が起きたか察したようだ。叫びながら、床に拳を叩き付けた。
「貴方やお父さんの部隊が壊滅した報告を受けた後、奴らは最後通告をしてきたわ」
「それってもしかして10日後ってやつか?」
「え、ええ。そうよ。でも、何で知ってるの?」
「それについては後で話すよ」
やっぱりプラネットクライシスは使われた訳か。ミストさんが飛ばされた時には使われて無かったからもしかしてと思ったんだが、そう甘くも無かったらしい。
「それで私達も何とか抵抗したんだけど、突然の異常気象で思うように戦えなかった。結局10日目に残存部隊全機で敵部隊に強襲をかけたんだけど……その戦いの途中、敵の使ってたゲートが光って、気が付いたら地球に居たの」
「そうだったのか……」
「ねえ、ミスト。お父さんは一緒じゃないの?」
「済まない、俺が飛ばされた時は一人だったんだ」
「そう……」
そこから今度はミストさん側の状況説明となった。途中でシェルディアたちの名前が出た時はアンジェリカの眼がちょっと怖くなったが、気にしない事にした。
「そう、ミストも大変だったのね」
「アトリームもベザードも俺は守れなかった。だから、もし奴らがこの星にまで魔の手を伸ばしてくると言うなら、今度こそ俺はこの星を守るよ」
「ええ。私も協力するわ」
そう言って微笑むアンジェリカ。エルリックの件で少し取り乱すかと思ったが、意外とそうでもなかった。本人曰く、部隊壊滅の報告を受けてから決戦までの間に心の整理は終わったとのこと。それでも貴方が生きていてくれて良かったと言ってミストさんに抱き付いたアンジェリカは、正しくヒロインだった。
さすがのミストさんもアンジェリカの思いには気づいたようだ。
「アンジェリカ、俺は君の事が好き……なんだと思う。でも……」
「解ってる。シェルディアって子の事気になってるんでしょ?」
「ああ。だから、ごめん。彼女たちが見つかるか、そうでなけりゃ完全に諦めがつくまでは……」
「うん、でも今だけ……今だけでいいから」
すがるように言うアンジェリカに観念したのか、ミストさんは小声で俺に外に出ててくれと訴えかけて来た。
《仕方ないか。今回だけだからな? 言っておくけど、これ気軽に出来ないんだぞ? たぶん》
(たぶんかよ。それって俺のプライベートなんて無いって事じゃないか! いや、今更ではあるんだけど)
《まあ、こういう時はなるだけ外に出てやるから気にするな》
結局何かリスクがあるってのも取り越し苦労だったっぽいしなあ。そう思って、ミストさんの体を抜けだした時だった。
「ぐっ!?」
体に、衝撃が走った。あの時、アトリームでル=コボルに出会った時のような。
「きゃ! だ、誰!?」
「え、アンジェリカ、しょーやが見えるの!?」
アンジェリカに俺が見えてるってことが気になるが、それどころじゃない! 体が軋む! 何だこれは!
「ぐ、が、ぎ!」
「っ、しょーや!?」
「一体何がどうなってるの!?」
激痛でかすむ目に、アンジェリカの姿が映る。
ああ――――――――
「あああああああああ!!!!!!!!!!!!」
「しょ、しょーや!? 何を!」
「え!?」
自分の体が自分で無くなるような感覚の中、再会したアンジェリカの事が気になっていた理由がようやく解った気がした。俺の意志を無視して、俺の体がアンジェリカに近づいて行く。
なんて――――――――
「きゃあああああああ!」
「や、やめろ!」
そして、腕を振り上げた所で激痛により俺の意識は飛んで、
《美味しそう》――――――――
「あっ」
「アンジェリカァァァァ!」
『俺』はためらいなく、アンジェリカの体に自分の腕を突き刺した。
何事も無く、とはいかなかったようです。
リスクは踏み倒せませんでした。