美神の副団長は苦労人   作:金鳥

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 今回もまだザルドは無事です。


こうして彼等の運命は変わった4 

 

 レオンは絶望していた。

 あ、これはもう駄目だ自分には修正出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いかベル。狩った獲物は直ぐに血抜きをしないと不味くなってしまうから常に良く研いだナイフを持っておけ」

「解りました!」

「逆さ吊りで血を抜くのも良いが、近くに綺麗な川があるのならその中に漬けて置くと血が抜けるだけで無く程良く冷えて肉質が悪くなりにくい」

「そうなんですね!」

「そうしたら次は───」

 

 目の前には、楽しそうにモンスターの解体作業を習う推定件の甥っ子。

 好奇心を抑えきれないレフィーヤまでそれに参加している。

 そして彼等にモンスターの解体作業を教えているのは───。

 

 

 

 

 

 

 

「アルテミス様、火起こし終わりました。あと食えそうな山菜も採ってきたので一緒に煮込みませんか?」

「ああ、助かるぞアレン。栄養バランスの良い食事は狩人にとって大事だからな」

「(高潔な女神アルテミス様とは一体誰が言ったのだろうか・・・?)」

 

 なんで女神様が率先してモンスター料理しようとしてるんだよ!?

 ゴブリンみたいな人型じゃなくてニードルラビットなのは良いけど、そもそもモンスターは食べ物じゃないからな!?

 え、狩猟の女神なのだから狩った獲物は食べるのが当たり前?

 ───んな訳あるか!?というか眷属は何処行った止めろよ自分達の主神を!!

 は?全員食中毒で近くの町で入院している?

 

 食わせたのか?眷属にモンスター料理を!?

 

 

 

 

 

「(頭が痛い)」

「どうしたバルドルの眷属よ?何か聞きたいことがありそうだが」

「いえ、その・・・」

 

 言いたい事は色々とあるけど下手にモンスター料理を否定したら「なら1度食べてみろ」とか言われそうだから言えない。

 取りあえず、無難に

 

「何故眷属達から離れてお一人で此処におられるのですか?」

「ん?・・・ああ、確かにそれは気になるか。実はオラリオに救援を求めに向かう途中だったんだ」

「救援?」

 

 アルテミスは言う。

 古代の厄介なモンスターが目覚めたのだが眷属達が動けないうえにそのモンスターというのが中々強そうな為、第1級冒険者を派遣して貰いに行く道中で補給の為にこの村に寄ったのが3日前。

 偶々寄ったこの村に都合良く伝書用の隼が何故かおり、手紙を出すことが出来たので返事が来るまで滞在することに決めたとのこと。

 

「それで泊まる場所を探していたのだが、丁度祖父が用事で暫く旅に出ていて一人で留守番しているというベルの家で世話になることになったんだ」

「成る程・・・」

「それで、世話になった礼に狩りのやり方と仕留めた獲物の料理方法を教えることにしてな」

「成る程・・・?」

 

 高潔な女神らしく礼はしっかりするところは素晴らしいが内容がアウト過ぎる。

 どうツッコんだら良いのか解らないが取り敢えず、一言。

 

「ですがオラリオは多分それどころでは無い状況かもしれないんですよね」

「何?どういう事だ?」

「その、色々と理解し辛いことが多いのですが」

 

 そして、レオンは説明した。

 ベルがアルフィアの甥であり、そんな彼にモンスター食と筋トレを教えた誰かを叩きのめす為にガチ切れのアルフィアがオラリオへ文字通り飛んで行ったことを。

 

「それって、あの時の猪人のお兄さんの事ですか!?」

「(ああ、やっぱりザルドじゃ無かったのか)猪人・・・ということはオッタルか原因は」

「何やってんだあの猪・・・ッ!?」

 

 レオンは何となくだがザルドが原因では無いと薄々察していた。

 自分達を強くする為に理不尽とも思える振る舞いはする男だったが、こんな訳分からない事を幼子に教える男では無かったからだ。

 ・・・オッタルに関しては、諦めよう。

 昔から一応常識はあるのにコミュニケーション能力が不足し過ぎていて空気が読めないどころか伝え方が致命的に下手くそな男だった。

 

 自分達のファミリアの団長がやらかしたことにアレンは頭を抱えている。

 

「ガキに筋トレさせまくるだけじゃなく、肉一辺倒の偏った飯を覚え込ませるとか何考えてやがる?!背が伸びなくなるだろうが!!」

「いや、そういう問題では無いと思うぞ?」

「背が伸びないって、お兄さんみたいにですか?」

「グハッ!?」

 

 アレン、大ダメージ。

 レフィーヤの悪気の無い無邪気な質問は第1級冒険者の精神に致命的なダメージを与えた。

 揶揄った訳では無い、無垢な少女の何気ない一言は凄まじい切れ味を誇っていた。

 

 これがもう一回り大きい年齢の少女に言われたのならアレンは問答無用で轢き殺していたが相手は幼女と呼ぶべき年齢。

 妹がいる兄として、人としてアレンはそんなレフィーヤに手を出す事は出来ない。

 自分の所の団員達のようにフレイヤ様を僅かにでも害するのであれば幼児だろうと容赦はしない奴等とは違うのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(これ、下手に慰めても逆効果になりそうだな)・・・ん?」

「む、どうした?」

「いえ、先程伺った古代のモンスターというのは今どうしているのかと」

「ああ、それならアフロディーテを代わりに置いて来たから大丈夫だ。美神だし、魅了を使えば足止めは簡単だろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆その頃、アフロの女神。

 

「アルテミスゥゥウウウウーーー!!!次に会ったら覚えておきなさいよあの恋愛音痴アホアホ女神!!!」

「頑張って下さいアフロディーテ様!!」

「貴女が倒れたら下界は終わりです!・・・いや、本当にマジで!!」

 

 アフロディーテは激怒していた。

 メイルストラでいつも通り眷属達と劇団を運営しながら楽しく過ごしていた所に天界以来から全く会っていなかったアルテミスが登場。

 碌な説明もされず、「下界の危機だ、行くぞ!」と連れ出された先にいたのがアンタレスとかいう洒落にならないモンスター。

 

 オラリオから援軍を連れて来るまで魅了で足止めしろと言われて放置されたアフロディーテは意識を天界に飛ばし掛けたがなんとか踏み留まり、自身の権能である魅了を全力で行使してなんとかアンタレスを抑えていたが、長くは持たない。

 

 これはアンタレスが強すぎるからだけでは無い。

 もっと根本的な問題だ。

 

「単位生殖する性別の無い生き物に!そもそも視力が弱い蠍のモンスターに!魅了が効くわけ無いでしょうがあのアンポンタン女神ぃぃいい!!!」 

「「ですよねー!!」」

 

 それでもアフロディーテは頑張った。

 逃げ出したいが逃げたら下界が終わるので一応善神の彼女に逃げるという選択肢は無かった。

 魅了の効きが悪い、視力が弱い敵に効かせる為意地と根性でアンタレスの目と鼻の先まで接近して全力で魅了を行使。

 

 服従させることは出来ないが、未知の感覚を叩き込む事でアンタレスを混乱させることには成功した。

 

「ぜーはー、ぜーはー!!」

「アフロディーテ様、お水です!!」

「消化に良い物もお持ちしました!少しでも良いので召し上がって下さい!!」

 

 そんなアフロディーテを献身的に支える眷属達。

 彼等がいたからこそアフロディーテは三日三晩全く休むこと無く魅了を行使し続ける事が出来ていた。

 

「い、一瞬でも魅了を解いたら終わる・・・あんた達、全力で私を支えなさい!!」

「「了解です、アフロディーテ様!!」」

 

 多分ここまで直接的な意味で下界の為に頑張っている女神はいないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆その頃の恋愛音痴女神

 

「成る程、ではアンタレスで【静寂】の為に料理を拵えよう」

「いや、どういうことですか?」

 

 アレンが大ダメージを負った後もレオンによる説明は続いた。

 その中には当然、アルフィアの病についてもあったのだがそれを聞いたアルテミスの言葉がこれである。

 

「蠍は滋養強壮に良いからな。上手くいけば彼女の病も癒えるかもしれないだろう?」 

「あの、聞く限りアンタレスというモンスターはかなり強そうなのですが?」 

「第1級冒険者が2人もいれば充分だろう。アフロディーテが魅了で動きを止めるから大丈夫な筈だ」

 

 アフロディーテがこれを聞いていたら「んな訳無いでしょお馬鹿ぁぁああああああ!!!」と叫んでいただろうが残念、この場に彼女はいない。

 

「や、やります!僕の家族を助けられるのなら、何だってやります!!」

「私も、私もアルフィアお義姉様の為に頑張ります!!」

 

 年少組2人はやる気に満ちている。

 出来れば村で待っていて欲しいが昔の自分のように無理矢理戦場に紛れ込んで来そうなので、仕方なく連れて行くことにした。

 

 美神の魅了の威力に関してはフレイヤやイシュタルのそれで把握しているので、如何に太古のモンスターでも相当動きは鈍るだろう。

 万が一の場合は2人を連れて直ぐに離脱すれば良い。

 

 戦力が足りず討伐が難しくても威力偵察は出来るだろう。

 

「チビ・・・」

「アレン、そろそろ正気に返ってくれ」

 

 その為には、まずレフィーヤが致命傷を与えたこの男を復活させなければならない。

 

 

 

 

 

 

 ・・・本当に、大丈夫だろうか?

 

 

 

 

 

 ◆その頃、オラリオのとある医務室

 

「・・・そんな訳で完全にとはいかなかったが、八割方は治った」

「(うわぁ)その、良かったね?」

「(儂は絶対に毒の類に掛からないようにしよう)」

「(煮込まれ?・・・煮込んで治療???)」

 

 ザルド復活。

 それを聞いてホッとしたフィン達だが、そのあまりにも常軌を逸した治療方法に全員顔を引き攣らせざるを得なかった。

 

 完治とまではいかなかったが、数年掛けて治療をすれば完全な解毒も出来る見込みとの事である。

 なお、流石にまた内臓を摘出したり煮られる事は無いらしい。

 

「問題はアルフィアだが、どうするのだフィン?」

「流石にザルドをオラリオから離れた場所に連れて行く訳にはいかんだろう?」

「ああ、それはあまりにも道理に反しているしそもそも真の元凶がオッタルである以上彼女がオラリオに襲撃してくるという事は変わらない」

「・・・本当に、何をやってくれてるんだあの猪は?」

 

 全員が全員、頭を抱えた。

 決して悪い奴では無いのだが、戦闘以外の能力が致命的なまでに不足し過ぎている。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 散々な言われようのオッタル。

 だが今回の件は一応理由がある。

 

 

 ───そもそも、体調が万全であればいくら口下手な彼でもベルに対してあそこまで致命的な言葉遣いをする事は無かった。

 

 フィン達は知らないが、一応団長に就任してから慣れない作業に戸惑いつつも書類仕事をこなしていたオッタル。

 

 しかし、とある事情で最近シル嬢の作る料理のような何かの試食係を任せられることになりほぼ毎日が体調不良の為書類仕事はほぼ手付かずとなっていた。

 

 実を言うと、闇派閥が前触れ無く急に暴れてくれたお陰で期限切れの書類仕事を有耶無耶に出来る!と少し喜んでいたオッタルである。

 

 本来なら彼をサポートする副団長も肝心の候補3人が自分本位な理由で拒否しており、副団長としての仕事はアレン、ヘディン、ヘグニがローテーションで行っているフレイヤ・ファミリア。

 

 もう何というか色々とヤバいフレイヤ・ファミリア。

 

 終わらない仕事。

 我が強すぎて助けてくれない団員達。

 レベル6に大ダメージを与える料理。

 自由奔放に脱出するフレイヤ様。

 

 それらのストレスや体調不良が積もりに積もり実は割と瀕死の状態でベルを助けたオッタル。

 フレイヤ様を確保したは良い物の、帰った瞬間あの地獄が始まる事が憂鬱過ぎて吐きそうだったのだがオラリオに着いて早々に始まった大抗争のお陰で書類仕事もシル嬢の料理の試食も無くなりむしろ前より休めていた。

 

 

 

 だが、その苦労を知る者は誰もいない。

 故に彼は今日も報われず主神への愛だけを支えに頑張るのである。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆再び、病室

 

「・・・ところで一つ聞いて良いか?」

「構わぬが、どうした?」

「オラリオの状況が状況だから他の奴と病室が一緒になるのは解る。それが年若い小娘達であることもまぁ解る。だが───」

 

 ザルドは、敢えて意識しないようにしていた自分以外の入院患者や明らかに可笑しい人物にに視線を送る。

 

 

 

「───なんでこいつら、全員白目を剥いて泡を吹きながら痙攣してるんだ?俺の感覚だと毒や呪いの類でも無さそうなんだが・・・」

「あー」

「それは」

「なんというか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・そこにいたのは、全員見目麗しい少女達だった。

 すれ違った男が・・・いや、男で無くとも10人中9人が思わず振り返りそうな美少女達。

 

 だがその美貌も、白目を剥いて泡を吹き肌が青ざめているとあれば台無しだ。

 

 彼女達は本来なら今回の大抗争に参戦していた筈の冒険者達。

 その理念からして、絶対に誰よりも積極的に参戦していた筈の少女達だった。

 

 だが

 

 

 

 

 

 

「・・・『私はポンコツです』と書かれた札を首に掛けて石抱きの刑にされているエルフが原因だというのは解るんだが、何やらかしたんだこいつ?」

「「「・・・端的に言うと、劇物を作ったとしか言え(ないんだよね/んな/ないな)」」」

 

 

 

 

 ────1名を除いたアストレア・ファミリア全団員並びに【象神の詩】、全滅。

 

 なお原因は某ポンコツエルフの作った劇物(某酒場の店員監修)による模様。

 

 犯人への事情聴取によると、【大和竜胆】に家事も出来ないポンコツと揶揄われたので見返す為に作った菓子をファミリアの仲間達と親友に振る舞っただけとのこと。

 なお、主神アストレアへの分は責任を感じた【大和竜胆】が気合いで食べたらしい。

 

 大抗争勃発直前の悲劇である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆その頃の邪神

 

「・・・俺が動かなくてもその内オラリオ滅びてたんじゃないか?」

「・・・ちょっと否定出来ないわね」

 

 エレボスは頭を抱えていた。

 今回の大抗争でアストレアにも色々とやろうと考えていた彼だったが、流石にそんな理由で眷属が昏倒している彼女に手出しをするのは理念に反するしそもそも闇派閥の構成員は【静寂】を恐れて殆どがオラリオを離れているので何も出来ない。

 

「・・・まぁ一応レベル7は誕生したしザルドも復帰出来そうだからギリギリ下界救済の目途が立ったと思えば良いか?」

「結果的に言えばそうね」

 

 下界は未知の可能性に溢れていると言ったのはどの神だったか。

 だが言い出しっぺの神であれ、これは全くの予想外だろう。

 

「本命も結局失敗したみたいだし、これはもう完全に無理だなぁ」

「本命?」

「ああ。この際言ってしまうが邪神の1柱にダンジョンの深層で神の力を使って貰って大災悪を地上に放つつもりだったんだ」

「・・・成る程、あの時の神の送還はそれを誤魔化すための囮だった訳ね」

 

 ザルドもアルフィアもいない闇派閥の戦力はオラリオに大きく劣る。

 故に前触れ無く奇襲を仕掛け、神を送還して恩恵が封じられた冒険者達を殺害しその影で本命を調達することは闇派閥が勝利する為の必須条件。

 

 だがその本命も、何故かダンジョン内で神の力が使われなかった為召喚することは出来なかった。

 

 恐らく【勇者】辺りがこちらの狙いを察してダンジョンに戦力を送り込んでいたのだろうとエレボスは考えていた。

 

 

 

「(あー、考えていた策が何もかも真面に出来なくて俺格好悪いなー)」

 

 気力が物凄く失せたエレボス。

 だが絶対悪として、今回の騒動の元凶として潔く天界へ送還されるつもりではあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、そんな彼に再び未知が訪れる。

 

 

 

 

「見つけたぞ、エレボス!!」

「ん?ヘルメスか」

 

 

 2人の会談に飛び込んで来たのはヘルメスだった。

 久し振りだな親友、と言おうとしたエレボスだが今までに無い程血相を変えたヘルメスの様子に口を閉じる。

 

「どうしたの、ヘルメス?貴方らしくないわよ」

「どうしたもこうしたも無い!あれはお前の仕業だろうエレボス!!」

「あれ?」

 

 何の事だと聞くよりも先にヘルメスが叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギルドから報告があった!ダンジョンの下層から漆黒のモンスターが階層をぶち破りながら上へ上がって来ていると!しかも各階層で倒されたまま放置されたモンスターの魔石を食べながらだ!!」

「え、それって・・・ッ!?」

 

 アストレアは驚愕した。

 だってそれはたった今エレボスから聞いた企みそのもので───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・え?何それ知らん怖っ」

「・・・え?」

「・・・やっぱり?」

 

 

 

 

 神の力使ってない筈なのに何でヤベェモンスター生まれてんだよ。

 しかも地上までの階層に魔石放置するとか俺が考えてたシナリオよりヤバいんだが、誰がやらかしたんだよオイ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆少し前、ダンジョンにて

 

「ニャー・・・そろそろ母ちゃんの料理も恋しくなってきたし帰るかニャ」

 

 新しい環境に慣れ食事量が増えた為か一部分が成長し、衣服や装備を全て買い換え無くてはならなくなったアーニャ。

 

 その資金を稼ぐ為とついでに良い機会だから羽を伸ばしてきなと与えられた長期休暇を利用して彼女は久し振りにダンジョンに潜っていた。

 まず中層で肩慣らしを行い、その後下層でモンスターを狩っていたアーニャ。

 

 だが久し振りに味わう1人の状況に寂しくなり、それを誤魔化す為と同僚に止められていて出来なかったので大声で歌い始めたのであるがこれが色々と不味かった。

 

 幸い他の冒険者はいなかったが彼女の音痴を超えた音痴、破滅的なデスソングにより下層のモンスターを全て気絶或いは発狂死。

 

 何だかよく解らないけど楽に稼げるから良いやと魔石を集めつつ気分が良いので行ける所まで行ってみようと階層を降り続けた彼女はついうっかり37階層、即ち深層に足を踏み入れてしまった。

 

 此処でも上がるテンションの導くままに大絶唱した彼女は歌い終わった後で自分が深層にいることに気が付き、これがバレたら怒られる!!と顔を青ざめさせながら慌てて下層まで引き返したのである。

 

 この時、彼女がいなくなった37階層で異変が起こった。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 ───ダンジョンは激怒した。

 必ずかの邪知暴虐の冒険者を仕留めなければならないと。

 憎き神への憎悪と同等以上にダンジョンは憎んだ。

 

 自らの中で気が狂うような怪音波を10層以上に渡って垂れ流し続けたかの存在は何としても仕留めなければならない。

 

 その為には、強さは勿論あの怪音波への耐性も必要だ。

 幸いと言って良いのか解らないが件の冒険者は倒したモンスターの魔石の多くを放置している。

 

 ならばそれを喰らわせ強くなりながらあの冒険者を追わせるようにしよう。

 

 

 

 

 ここに、音耐性を備えた強化種デルピュネという怪物が誕生したのである。

 

 

 

 

 

 

 

「魔石全部回収は出来なかったけどかなり稼げたしラッキーだニャー♪」

 

 

 

 自分が何をやらかしたか、彼女は何も知らない。

 

 

 

 





 実は寝不足ですけど書きたかったネタが書けて満足してます(笑)
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