美神の副団長は苦労人   作:金鳥

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 フレイヤ・ファミリアの苦労人がアレンならヘルメス・ファミリアの苦労人は間違いなくアスフィ。


美神、砂漠の国へ脱走4 オラリオにて外堀が埋まる

 

 アスフィは激しく後悔していた。

 主神ヘルメスに単独で女神フレイヤを迎えに行くよう指示された時に違和感はあったのに気のせいだと無視してしまった自分をぶん殴りたい。

 暴走したフレイヤ・ファミリア団員達の相手をするのは正直嫌だったが団長として対応せざるを得ないと覚悟を決めたら

 

「ここは俺に任せて行くんだアスフィ!!」

 

 といつに無くやる気を見せたヘルメス。

 てっきり自分と一緒にフレイヤ様を連れ戻しに行くよう命じられると思っていたらまさかのこれ。

 その真剣な姿にやっとまともな対応を・・・!と涙腺が緩んだが

 

「丁度良かったわ。アレンとシャルザードの王女をくっつける為の裏工作手伝って?」

 

 というわけでこれ、今すぐオラリオに届けてね。

 そう言われて渡された手紙を見て察した。

 

 あの主神、絶対にこうなること予期してやがったなと。

 無茶振りの内容までは流石に解らなかっただろうが、少なくともオラリオで暴走した狂信者共を相手にするより大変な事をやらされる事は察していたに違いない。

 

 フレイヤ様がシャルザードの重臣達を魅了してる事とか今から全力でオラリオに戻れと言われてもここに来るのも結構急急いでいて大分キツいのだがとか言いたい事はあったが

 

「よろしくね?(私の息子の恋路の為なんだから全力以上の速さで届けなさい)」

 

 出来ないと言うんなら出来る様にしてあげましょうか?と目が語っていた。

 もし出来ないと口にしていたら恐らくというか絶対に自分は魅了され、過労死するまで死力を尽くさせられることになると察したアスフィは愛飲している自家製ポーションと魔道具をフル活用してオラリオに引き返すしか無かった。

 

 行きの半分未満の時間でオラリオに戻ったアスフィはギルド職員に心配されながらも手紙を渡し、ホームに戻って仮眠を取ろうとしたのだが

 

 

 

 

「あれ、アスフィ。何でこんなに早く戻って来れたんだ?てっきり2日ぐらいはフレイヤ様に振り回されてると思ったんだが・・・」

「は?」

 

 

 そこには何時もの旅装束を脱ぎダボッとした室内着に着替えて呑気に酒とつまみを口にしながら寛ぐヘルメスがいた。

 しかも予想通り自分がフレイヤ様に無茶振りをされる事が解っていたという口調。

 心身ともに限界だったアスフィは自分の中で何かが切れるのを感じた。

 

 

「あの、アスフィ?アスフィさーん?え、ちょっと待って何その手錠とか鎖なんかの拘束具オンパレード待って何する気だごめん謝るから許し「かみころす」え、マジで言ってるちょっ、待って待って待ってアスフィそれ洒落にならないからヤバい大罪だからお願い落ち着いて話を聞いてくれアスフィ───!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1時間後、恐怖の余りガチ泣きしたルルネに呼ばれて突入したファルガーは決意した。

 今度からもっと団長の仕事を手伝おう、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ゴフッ、」

 

「「「「「ぎ、ギルド長ーーーッ!!!」」」」」

 

 

 

 ヘルメスが必死に命乞いをしている頃、ロイマンはアスフィから受け取った手紙を読み血を吐いた。

 

 白目を剥き、泡を吹くその姿は誰が見ても瀕死の重傷だ。少なくとも胃に風穴が空いている事は間違い無いだろう。

 

 

 

 ギルド職員達は即座にディアンケヒト・ファミリアへとロイマンを搬送した。

 

 結果は勿論、ストレス性の胃潰瘍(昇天寸前レベル)。有無を言わさずアミッドによって長期入院が通達された。

 

 

 

 なお、以前のフレイヤ・ファミリア副団長就任事件の時同様にどう処置すれば良いのか解らなかった為ディアンケヒトとミアハが共同で治療に当たる事になる。

 

 

 

「怪我や病、毒に呪いなら私の魔法で治せますよ?けどストレスは無理です!!むしろ治した瞬間にまた胃に穴が空くからダメージが半永久的に続くんですよ!!?」

 

 

 

 胃に何度も繰り返し風穴が空き続けるという最早拷問。原因となるストレスが除去されない限りロイマンの苦痛は続く。

 

 自分の魔法が患者を救うどころか寧ろ永久地獄に突き落とす一助になってしまったことはアミッドの精神に多大なダメージを与えてしまったのである。

 

 

 

 閑話休題。

 

 とにかくロイマンが使い物にならなくなった以上、事態の収集はウラノスが当たる事になった。

 

 ロイマンの胃に大ダメージを与えた手紙など正直読みたくないが、これも仕事だと意を決して目を通す。

 

 だが───

 

 

「・・・ハァッ?!」

 

「どうした、ウラノス?」

 

 

 

 手紙を読んだウラノスは素っ頓狂な声を上げて目を白黒させる。そのらしくない姿にフェルズは驚きながら理由を尋ねた。

 

 

 

「・・・フェルズ。【女神の戦車】がシャルザードの王女を娶るらしい」

 

「・・・済まない、もう一度言ってくれないか?」

 

「【女神の戦車】がシャルザードの王女を豊満な美女に改造した責任を取って娶るらしい」

 

「───いや、どういうこと!?」

 

え、シャルザードって王子しかいなかったよな。隠し子でもいたの?しかも改造って言った?嘘だろ王女って王族だよな?ナニをしたんだというか嘘だろ【女神の戦車】、お前は常識人であの女神狂い集団唯一の良心だろう何があったんだオイ。

 

 

 

 フェルズは混乱した。

 

 なお、ウラノスは意識を空に飛ばしている。

 

 

 

「・・・」

 

「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・神会開いて丸投げするか」

 

「・・・そうだな」

 

 

 

 二人は深く考えることを辞め、娯楽に飢えている神々へ全てを委ねることにした。

 

 

 

 ◆数時間後。

 

 

 

「えー、という訳でウラノス様(ブラック上司)に洒落にならない案件を丸投げされた私、エイナが司会を務めさせて頂きます。神の皆様方、どうか何時ものように振るって首を突っ込んで下さいませ」

「「「「「いや、ごめん無理」」」」」

 

 

 

 優秀だからという理由でフレイヤ・ファミリアが起こす騒動専門のギルド職員として扱われつつあるエイナ・チュールが死んだ目で告げた内容に神々はドン引きしつつも即答した。

 何とか狂信者を鎮圧したタイミングでの召集に嫌な予感はしていたが、予想以上にヤバい案件だと悟った神々は内容をまだ聞いていないのに速攻で拒否。

 

 普段なら嬉々として首を突っ込む神々だが、過去の経験からロイマン入院=洒落にならない案件と学習している為、巫山戯ることがデフォルトの神々も流石に御免被ると判断したのである。

 

 

 

「そう言わずに、どうか御助力下さい!報酬として強制クエストの拒否権や魔石の買取額UP、都市外への出入り条件緩和等々をお約束致しますので!!」

「確かに報酬は魅力的だけど、つまりそれだけヤバい案件って事だよね?」

「過去にも報酬が魅力的過ぎて参加した奴等がいたけど、全員オラリオか下界を去ってるしな」

「ヘスティア本気出しちゃったよ事件に【万能者】発狂事件・・・正直暗黒期の方がマシだと思った」

「【超凡夫】VS【男殺し】事件もヤバかったな。あいつ、レベルも上がったし神々(俺達)から称賛されたけど大事な物を失ったしな」

「・・・うん、やっぱり無理だな」

「しかも今【女神の戦車】休暇でいないんだろ?」

 

 

 

 むしろ暗黒期の方が平和だったんじゃね?と思う程度にはエグいレベルの騒動の数々。これらの全てがフレイヤ・ファミリアによって起こされている。

 

 あいつら闇派閥だったっけ?と思う神々は多い。

 

 その九割近くを他ならぬ副団長(アレン)が対処しているのでペナルティは大分抑えられているのが実情だ。

 

 

 

「あいつも大概苦労人だよなー」

「団員達がやらかした騒動への対応にオラリオ中の飲食店への商品開発アドバイザー、その上で冒険者として活動して現在第1級冒険者か」

「・・・考えてみたら、あいつも大概スペックおかしくねぇか?バグってる?」

「それこそ今更だろう。何だかんだであいつも回数は少ないとはいえ、やらかす時はフレイヤ様並みにやらかすからな」

 

 

 

 談笑する神々を尻目にエイナはこっそりと合図を送る。それを受けた彼女達が配置に着いた事を確認したエイナは、あえて言うタイミングを遅らせた事を告げた。

 

 

 

「・・・今回の騒動は、そのアレン・フローメル氏とフレイヤ様が起こした物になります」

「「「「「あ、急用を思い出したので帰ります!!」」」」」

 

 

 

 瞬間、目にも留まらぬ速さで席を立ち出口へ突進する神々。こんな所にいられねぇと死力を尽くして走る彼等だが、そうは問屋が卸さない。

 

 エイナの合図を受け、こっそりと出口の前に移動した彼女達───ガネーシャ・ファミリアの団長とその妹が立ち塞がった。

 

 

 

「申し訳ないが、何れかのファミリアが介入を約束してくれるまでこの会場から出すことは許可出来ない」

「あはは・・・そういう訳ですのでその、ごめんね?」

「ガネーシャ謝罪!けどここは通せん!!」

「「「「「ガネーシャ、テメェエエエエエエエエエーーーッ!!!!」」」」」

 

 

 

 オラリオの治安維持が主な仕事のガネーシャ・ファミリア。フレイヤ達が都市でやらかす度に駆り出される彼女達たが今回は都市外での騒動という事と今回の会場警護を引き受ける代わりに参加を免除された。

 

 ガネーシャがエイナと交渉しこの取引を成立させた事を聞かされたガネーシャ・ファミリアの団員達は歓喜に沸いたしシャクティ姉妹に至っては安堵のあまり泣き崩れている。

 

 

 

 レベル5が2人いる以上突破は不可能。

 

 そう判断せざるを得ない神々は渋々と、本当に嫌そうに席に戻った。

 

 逃げられない以上、自分以外の神に押し付けるしか道は無いと悟ったからである。

 

 

 

 最も、ロキを筆頭に何柱かの神々はエイナの合図に気が付いておりこの展開を予測していた。故に他の神々が出口に殺到しているのを尻目に同盟を組み、自分達が参加する事が無いように協力する備えを完了している。

 

 

 

 自分達が出遅れた事を悟った神々は不満を抱くが飲み込まざるを得ず、そのまま神会が再開した。

 

 

 

「まず今回の騒動はフレイヤ達がオラリオを脱走してカイオス砂漠へ向かった事が始まりです」

「あの色ボケ、また脱走したんか」

「そしてとあるオアシスの街で奴隷商人から奴隷を全員買い占めたのですが、どうもその中にシャルザードの王女様がいたらしく事態が大きくなったようです」

「あら?あそこの国は確か跡継ぎがアラム王子しかいないと聞いていたけれど・・・」

「どうやらアラム王子とは件の王女、アリィ様が男装した姿だったようです」

「成る程ねぇ、王子がいないと国の威信に関わるから隠していたって事。可哀想に・・・」

「ん?けどなんで【女神の戦車】が関わってくるんや?そもそもあの子は休暇取ってた筈やろ」

「その、どうやらそのオアシスの街で休暇を楽しんでいたらしく・・・1日で休暇が終わってしまったようです」

「お、おう・・・」

 

 

 

 デメテルはアリィの境遇を憐れむ。

 

 ロキはアレンの不運に同情した。

 

 

 

「けどなんであの子も騒動起こしたん?休暇が無くなった事にキレて八つ当たりでもしたんか」

「いえ、どうやらアリィ王女を一晩で豊満な美女に変えてしまったようです」

「・・・なんて?」

 

 

 

 エイナの返答にロキは聞き返した。

 

 聞いていた神々もエイナの言葉を処理出来ず、宇宙を背負っている。

 

 

 

「本当に、どうやったのかは解らないのですがティオナ氏並みにスレンダーなアリィ王女をティオネ氏並みのグラマラス美女に変えてしまったようです」

「・・・????」

「更にはそのアリィ王女から責任を取れと迫られたようでして、その為にワルサ国とシャルザード国の戦争に参戦するのでよろしくね、との事です。意地でもフローメル氏とアリィ王女を結婚させるので邪魔するようであれば力尽くも辞さないと」

「あー、なるほどなぁ。確かに、そら男として責任取らなあかんわなぁ」

 

 

 

 手元のコップを掴み、水を一口飲んで一息ついたロキ。

 

 

 

「・・・って、納得出来るかボケェエえええええええーーーーッ!?!?!?」

 

 

 

 そして、盛大にツッコんだ。

 

 

 

「何がどうしてそうなった!ティオナクラスのキュッキュッキュッなボディが一晩でティオネクラスのボンッキュッボンッなボディになるって何をしたらそうなるんや!?責任取るってあれか、ナニか?ナニしたんか!?」

「下品よロキ」

「せやかてファイたん、それ以外に考えられんやろ!?なんでそんなに落ち着いとるんや!デメテルも何で『あらあら、お祝いしなきゃね~』とか祝福する気満々やねん!?国際問題に発展しとるやん!?」

「「責任取ろうとするだけゼウス(下半神)より遥かにマシだからに決まってるでしょ/決まっているでしょ~?」」

「あ、サーセン」

 

 

 

 光を失った目で笑うオリンポス女神達の言葉でロキは落ち着いた。あれが主神とか自分だったら即黄昏、終末戦争待った無しなのは容易に想像出来るので落ち着かざるを得なかった。

 

 

 

 ロキ達のやり取りを見ていた神々もようやっと意識が戻り始める。

 

 

 

「あー、この際なんでそうなったのかは置いといてだ。取り敢えずギルドはこの騒ぎをどう納めたいんだ?」

「フレイヤ・ファミリアを止めて下さい」

「それは無理」

「多分フレイヤ様、ガチで【女神の戦車】を結婚させるつもりだろ。前に眷族が誰も結婚して子供の顔を見せようとしてくれないって愚痴ってたし」

「そもそもレベル7がいるファミリアを武力で止めるのが無理ゲー」

 

 

 

 ロキ・ファミリアを筆頭に上級冒険者を抱えるファミリアで連合を組んでも勝てるとは限らないしその場合そもそも戦場がカイオス砂漠になるので余計にややこしいことになる。

 

 

 

 どうするべきかと悩む神々。

 

 そこに、会場の扉を開け放ち一柱の神が飛び込んできた。

 

 

 

「お困りのようだな、諸君!」

「なんや、ザビエル(ヘルメス)か」

「ザビエル(ヘルメス)、退院して大丈夫なの?」

「とゆうかまた監禁されずによくここまで来れたな、ザビエル(ヘルメス)」

「皆酷くないか!?」

 

 

 

 現れたのはいつも胡散臭い事でお馴染みの神ヘルメス。普段はお洒落な旅衣装に身を包んでいるが、今はオラリオ市民と変わらない服装だ。

 

 ある存在に見つからないように変装しているのである。なお、帽子の下がどうなっているのかツッコんではいけない。

 

 

 

「どうでもいいので考えがあるなら聞かせてくれませんかヘルメス(ザビエル)様?」

「エイナちゃん、副音声おかしくない?」

「気のせいです。良いから話して下さい、アンドロメダ氏呼びますよ?」

「ごめんすぐ話すから勘弁してくれマジで頼む」

 

 

 

 背後を気にしながらヘルメスは話し始めた。

 

 要するにギルドとしてはオラリオが積極的に他国の戦争に手を出すことが問題であり、ならばオラリオが手を出しても他国から納得される理由があれば問題無い。

 

 ワルサはとある神のファミリアを軍に迎え入れておりカイオス砂漠の平穏を脅かしている為、オラリオの貿易に大きな影響を与えている。

 

 カイオス砂漠に存在する国家はいつ侵略されるか解らない恐怖に晒されている為、オラリオが介入することは大歓迎の筈。

 

 また、仮にカイオス砂漠の全国家をワルサが統一してしまった場合は第2のラキアとも呼ぶべき戦争国家が誕生することになる。カイオス砂漠以外の国家もそれは望まない筈だ。

 

 

 

 ヘルメスの話に大多数の神々は納得する。

 

 だが、ロキはそこで疑問を投じた。

 

 

 

「カイオス砂漠の国家ってそんなにオラリオと交易してたか?あとそれらの理由だと結局オラリオの為っちゅう理由が強すぎて納得させるの難しいんやないか?」

「忘れたかロキ。最近オラリオの名物として各国に輸出しているカレー粉の原材料は香辛料、カイオス砂漠産が多くを占めている」

「あー、あれがあったか」

 

 

 

 肉や魚はおろか野草すらもそれを振りかけることで美味しく食べられるカレー粉。一般家庭は勿論、冒険者にも大人気なそれはオラリオの新たな名物として販売されている。

 

 

 

「それも確か【女神の戦車】が作ったんよなー。あの子ほんまに冒険者?」

「それは俺も思う。で、2つ目の質問に対する返答なんだがロキ。これはあくまでフレイヤ・ファミリアだけが個人的な理由で参戦するということにしてしまえば良いのさ」

「あん?・・・おい待て自分まさかとは思うが」

 

 

 

 愉悦に満ちたヘルメスの顔を見てロキは悟った。

 

 こいつ、碌でもないことを考えてやがると。

 

 そして、その予想は寸分違わず的中した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───いっそこの際だからアレン君は以前からアリィ王女と婚約関係にあって、彼が花嫁を助ける為に参戦しようとしたのをフレイヤ様達が協力しに行ったってことにしよう!!」

「「「「「な、なんだってーーーっ!!??」」」」」

 

 

 

 サムズアップしながら告げられた内容に神々は勿論、ヴェルマ姉妹もエイナも絶句した。

 

 彼等を尻目にヘルメスは続ける。

 

 

 

「カレースパイスの原料輸入の交渉でシャルザードを訪れたアレン君、しかしそこで彼は運命に出会う。そう、それは病弱の為存在を隠されていたアリィ王女!本来なら許されないその関係。だが2人は諦めずフレイヤ様を、王家を説得し遂に婚約を結ぶに至る」

 

 

 

 情感たっぷりに、己の演技力を総動員してヘルメスは語り続ける。

 

 

 

「いよいよ結婚!ああ、だがなんということだろう。暴虐野蛮なワルサ国が突如攻め入りシャルザードの首都は陥落し王家は処刑されてしまう。絶望に陥るシャルザード国民、それを聞き付けた【女神の戦車】は単身カイオス砂漠へ乗り込む。いち早く察知したフレイヤ様も子供の花嫁を心配して手紙だけ残しオラリオを脱走」

 

 

 

 ガネーシャは泣いた。

 

 やさぐれ気味のシャクティとエイナは冷めた目でヘルメスを見つめた。

 

 

 

「そして、そして彼等は奇跡的に再会する!花嫁の無事を何より喜んだ【女神の戦車】。同時に己の最愛を悲しませたワルサを断じて許すまじと憤り、花嫁に誓う」

 

 

 

 アポロンは何かを物凄い勢いで書き始めた。

 

 

 

「『我が最愛の人よ、貴女を苦しませる全てを倒し国を取り戻して見せましょう。そして、どうか私と結婚して欲しい!』。涙を流しながら嬉しそうに微笑むアリィ王女。何時からかその光景を見守っていた女神は2人を祝福し、眷族と共に助力を誓う」

 

 

 

 語りきったヘルメスは一息ついた後、会議室を見渡して笑った。

 

 

 

「───という感じの筋書きでどうだい?これならオラリオという都市が他国の戦争に介入したんじゃなくてアレン・フローメルという1人の男が惚れた女性を救う為に参戦したって誤魔化せるんじゃないかな?」

「「「「「採用!!!」」」」」

「悪魔かお前は」

 

 

 

 唯一、ロキだけはツッコんだが他の神々は全員賛同した。この案なら自分達は対岸の火事だと眺めていられるし何より面白そうだからだ。

 

 ああ、もうこれは止まらないと思ったヘファイストスは頭を抑えながら口を開く。

 

 

 

「あなた達ねぇ、あの子(アレン)に怒られても知らないわよ?」

「何を言うんだヘファイストス、俺達は愛に生きる男を応援してるだけだぜ」

「そうそう。何も悪いことはしていないじゃないかー」

「ところで今アレン君とアリィ王女の恋愛物語を書いたんだが、誰か感想を聞かせてくれないか?大量生産して市場に流せば今回の件は美談として世界中から認知されると思うんだが」

「「「「「アポロン、ナイス!」」」」」

「あー、もうどうにでもなりなさい」

 

 

 

 ヘファイストスは諦めた。

 

 こうして、アレンとアリィ王女の結婚はオラリオ公認で決定事項となったのである。

 

 

 

 

 

「・・・あれ?これもしかしなくても2人を急いで戻さないとアカンのちゃう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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