美神の副団長は苦労人   作:金鳥

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 書き上げるのに大分迷走しましたが、一応完成したので投稿します。


美神、砂漠の国へ脱走5 

 

 ラシャプ・ファミリア団長のシールはとある町を訪れていた。

 シャルザードの隠し砦に派遣した団員からの連絡が途絶え、様子を見に行く途中に補給で立ち寄ったのである。

 連絡が途絶えた団員のレベルは2。つまりシャルザードには最低でもそれ以上の恩恵持ちが助力している可能性が高い為レベル4のシールが自ら出向くことにしたのだ。

 

 この町はワルサでもシャルザードでも無い国の領土だが知ったことでは無いと大部隊を率いて堂々と門を潜ったのだが───

 

 

 

 

 

 

 

「なんで・・・なんで私の胸は大きくならないのぉぉおおおおおーーー!?!?!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・なんか、いた。

 町の中央広場で地面に手を付き絶望に満ちた叫びを上げるアマゾネスがいた。

 

 

「?????????」

 

 エルフらしからぬ残虐性、加虐趣味を持つシールですら流石にフリーズせざるを得なかった。

 脳の処理が追い付かない速度でアマゾネス少女、もといティオナの慟哭は続く。

 

 

 

 

「おかしいでしょ!?なんで御飯食べてから少し寝て起きたらアイズの胸がレベルアップしてるの!?成長速度おかしいでしょリヴェリアよりも大きくなってんじゃんというかそれならアマゾネスの私はもっと大きくなっても良いじゃんなのになんでペッタンコのまま!?!?!?」

「お、おう・・・」

 

 

 

 確かにそれはおかしい。

 いや、この状況そのものがおかしいけど確かにその成長速度はおかしい。

 リヴェリア様の名前が出てきたということはアイズという少女はロキ・ファミリアの【剣姫】でまず間違いない。

 実際に会ったことは無いが彼女は確か目の前の少女程では無いがスレンダーな体型ながらも平均サイズは会った筈。

 それが短時間でリヴェリア様のそれを超える成長を遂げるのはおかしい。

 

 ・・・と、シールは内心で呟いているつもりだが実はガッツリ声に出てしまっておりそれを聞いた部下達はなんで会ったことも無い女性のバストサイズを知ってるんだよとドン引きした。

 恐ろしい為誰も聞かないがもしも部下の誰かが質問したらシールは真顔でこう答える。  

 

「───リヴェリア様の身長体重生年月日趣味嗜好好物苦手はエルフの必修科目ですよ?」

 

 リヴェリアは泣いて良い。

 

 

 

 それはさておき、シールはアマゾネス少女の正体がロキ・ファミリアのティオナ・ヒリュテであると理解した。

 第1級冒険者がいた事は予想外だが、これは好機だ。

 状況的に見て彼女がシャルザードに協力あるいは何かの偶然で団員を退けた可能性は高い。

 ならばここで彼女を仕留めるのが得策。

 他のレベル4冒険者ならば逃走もしくは降伏するしか無いだろうがシールは格上殺しに特化した魔術師である。

 

「荒べ!悪疫の幻風!『ハル・レシェフ』!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆5分後

 

 シャルザードの隠し砦から1人脱出し、女神フレイヤがいると思われる町に到着したアーニャ。

 だが何故か響く打撃音と轟く断末魔の叫び。

 町に入る前から聞こえてくるそれに悪寒を感じながらも恐る恐る様子を見に行くと

 

 

「どうやったかは知らないけど分身してその無駄に育った胸を見せ付けてくるなんて良い度胸だねティオネぇぇえええエエエエエエエエエエーーーッ!!!!!!」

「いや、そんなつもりは全く無いというか誰だそれェグォッ!?!?」

「た、退避!総員退避ーーー!!!!」

「逃がすかゴルゥラァァアアアアアアアアッ!!!!」

 

 

 ・・・そこには、何故か勤め先の常連客が軍隊を殲滅している光景が広がっていた。

 理解の出来ないその光景を前に、アーニャは宇宙に放り出されたかのような気分を味わう。

 

 

 

「どうした猫娘・・・って、何あれ?」

「オッタルが投げた将軍を追って来てみれば・・・」

「なんで【大切断】がここにいる?」

「しかも、ガチギレ&ガチ泣きしてるなあれ」

「・・・どんな状況だこれは」

「なんだろう、何時かの【怒蛇】エルフ殲滅事件を思い出すなぁ・・・」

 

 

 

 いつの間にかヘディン達も到着していた。

 

「あら貴方達、遅かったわね」

「「「「「「「フレイヤ様!?」」」」」」」

 

 訂正、フレイヤ様もいた。

 

「あの、これどういう状況ですか?」

「私もついさっき戻ってきたばかりだからなんでロキの眷属がいるのかは解らないけど、ワルサの軍隊を率いてきたエルフが彼女に魔法を使った瞬間こうなったわ」

「・・・姉の名前を叫びながら暴走してるんだが」

「もしかして幻覚魔法?」

「だとしても実の姉に容赦なく襲い掛かるとは・・・」

「貧乳の僻みは恐ろしいにゃー・・・ミャーも殺意が籠もった目で最近あいつに胸を睨まれてるし」

「実姉<巨乳への僻みか」

「・・・(ヘディンが巨乳って言った!?)」

 

 オラリオの冒険者が他国の軍隊を一方的に殲滅している。

 これはとても不味い事態の為、本来なら同じオラリオの冒険者である彼等が止めなければならない。

 ・・・だが、彼等はとても疲れていた。

 只でさえ疲れているのに下らない理由で暴走する第1級冒険者を止める等面倒臭い。

 もうこのまま放っといて良いんじゃね?

 なんて考えてもいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「・・・ところでオッタル/団長は?」」

「「「「「「・・・・・・あ」」」」」」

「■■■■■■■ーーーッ!!!・・・コンバン(∩・∇・∩)ワァー!」

 

 だがそうは問屋が卸さない。

 フレイヤとアーニャの質問でオッタルの事をすっかり忘れていた事に気付いたフレイヤ・ファミリア幹部達。

 そしてそのタイミングでオッタルがこの場に現れた。

 

 

 

 

「───え、何あれ?」

「お言葉ですがフレイヤ様」

「あれは、貴方の料理を食べて暴走した猪です」

「ちなみにシャルザードの隠し砦にいた兵士を伸しておりました」

「挙げ句の果てに責任者である将軍を武器の如くぶん回した挙げ句どこかに放り投げる始末」

「死人はいませんけど要するに、国際問題です」

「ギルドからのペナルティ待った無しです」

「ニャー」

 

 ティオナ同様暴走してワルサ兵を殲滅し始めるオッタル。

 状況は混沌と化していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、それなら大丈夫よ。アレンとシャルザードの王女を結婚させる為にシャルザードとワルサの戦争に介入する大義名分をギルドからもぎ取ったから、今ワルサを殲滅してる分でチャラにさせるわ」

「「「「「「「・・・いや、どういうことッ!?」」」」」」」 

 

 だが動じないフレイヤ。

 想定外過ぎる爆弾発言に理解が追い付かない眷族達。

 

 

 

 

「・・・ヒック」

「「「「「「ぐわぁぁああああああああッーー!?!?」」」」」」

 

 そこに現れた更なる乱入者。

 

 

 

「今度はなんだ!?」

「あれは・・・まさか、【剣姫】か!?」 

「あいつも来ていたのか!?」

「いや、ちょっと待て・・・え、ホントに待ってあいつもしかしなくても酔っ払ってない?」

「・・・あの子の胸、あんなに大きかったかしら?」

「間違いなく大きくなっておりますね。恐らくリヴェリア様以上に育っているかと」

「(なんでリヴェリア様の胸のサイズ知ってるんだよ!?)」

 

 酔っ払っているアイズに驚愕するガリバー兄弟。

 カオスが加速した現実から目を背けて別のことに注目するフレイヤとヘディン。

 厨二病エルフは腐れ縁の腹黒眼鏡エルフの発言にキャラを忘れる程驚愕しているが、状況が悪化した事に変わりは無い。

 【大切断】VS【猛者】VS【剣姫】VSワルサ兵の戦いが始まった。

 ・・・なお当然、ワルサ兵は一方的に蹂躙されていっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「ィィイイイイヤッッッフゥウウウウウウウウウウウウウーーー!!!!!」」」」」」」」

「「「「「「「今度はなんだ!?」」」」」」」

 

 

 

 

 そこに更なる乱入者が現れた。

 やけにハイテンションなのは気になるが容姿は至って普通の砂漠の民である男達。

 

 

 

 ・・・だが何故か、輝いていた。

 物理的に、しかも七色に輝いていた。

 しかも何故かこの場にいる全員の脳内になんかこう、星を取って無敵になった感がする音楽が流れ出している。

 ・・・なんだこれ?

 

 

「あ、コック達目が覚めたのね。あれが効いたのかしら?」

「・・・失礼ですがお尋ね致します。あれとはなんでしょうか?」 

「ケーキ用のクリームよ、私特製の」

「ちなみにそれ、材料は?」

「砂糖と生クリームがベースの至って普通のクリームよ?アレンジに肉果実とサンドワームの汁とエリクサーを入れたけど」

「「「「普通って、なんでしたっけ????」」」」

 

 

 輝くコック達。当然そんな目立つ連中に暴走している奴等が襲い掛からない訳が無く、第1級冒険者達の攻撃を喰らっているが

 

「・・・普通に耐えているな」

「というか無傷だな」

「うわぁ・・・常識が崩れる」

「どうする?この状況」

 

 最早ツッコむ事にも疲れたガリバー兄弟。

 幸い、住人の避難は済んでいる様子だがこのまま放置すれば間違いなくこの町は更地になる。

 介入するしか無いよなぁ・・・と諦め渋々と武器を構えるが

 

 

 

 

 

「・・・いや、私達はこのままオラリオへ帰還するぞ」

「「「「「「・・・え」」」」」」

 

 眼鏡エルフがとんでもないことを言い出した。

 

 え、放置?この状況を放置するとか正気かお前?

 混乱するフレイヤ・ファミリア幹部達。

 だがヘディンは疲れた様に眼鏡をクイッと上げて説明する。

 

「私達の目的はあくまでフレイヤ様を連れ戻すことだ。戦争に介入する大義名分は手に入ったのだからここで更に下手な事をしてペナルティを喰らうなど馬鹿らしいにも程がある」

「いやけど、オッタルが・・・」

「あの馬鹿はあれでも都市最強だ、程なくして正気を取り戻すであろうし今戦っているのはワルサ兵と暴走したロキ・ファミリアの幹部2人に光るコック達。大して問題にならん」

「それって、大義名分が無いロキ・ファミリアはペナルティ喰らうんじゃ?」

「ライバル派閥の起こす問題なぞ知ったことか」

 

 ヘディンは疲れていた。

 何よりこのままシャルザードとワルサの戦争に介入するということはつまりアレンの嫁取りを自分達が手伝うという事であり、そんな事に手を貸す等御免被る。

 つまり、

 

「ここまで騒がしくなった以上、あの猫もその内駆けつけるであろう。事態の収拾はあいつに任せる」

「・・・それって、全部あいつに押し付けるってことか?」

「仕方なかろう。そもそも、あのアマゾネスの状態からしてワルサ兵を殲滅し終えるか幻覚魔法が解けたらフレイヤ様と猫娘にも襲い掛かりかねんぞ?2人を守りつつ撃退するのは困難だ、諦めろ」

「いや、そうかもしれないが・・・」

「幸い、オッタルは我々との戦いと獣化の影響で大分消耗している。ロキ・ファミリアの小娘共もこのまま戦えばそれなりに消耗するであろうし、あいつ一人でも充分勝機はある」

「あー、まあそうなのか?」

「そしてなにより、だ」 

 

 心底頭が痛いというように大きく溜息を吐いたヘディン。

 

 

 

 

 

「なんでそんな事態になったのか解らんが、このままだとアレンの奴は王女を娶る以上シャルザードの復興で暫くこの地を離れられんだろう。ならば私達はさっさとオラリオに帰還して今回の騒動の後始末をしないと書類の山の処理や事態の収拾が遅れ前団長がギルドの要請で駆り出される事になるぞ?何せ団長(オッタル)も副団長(アレン)もいないのだからな。そうなれば後はどうなるか、解るだろう?」

「「「「「「よし、後はアレンに任せて帰ろう/帰りましょう!!!」」」」」」

 

 満場一致でこの場はアレンに任せる事が決定した。

 許せアレン、私達/俺達にはやらねばならんことがある。

 ・・・決して、ミアの鉄拳制裁を喰らいたく無いからでは無い。

 ・・・ごめん嘘。あんなのまた喰らったら絶対死ぬ!

 

 

「帰るぞ猫娘・・・って、おーい?」

「あー・・・白目剥いて気絶してるな」

「兄の結婚に加えてこのカオスな状況を受け止めきれなかったか」

「まあ行きと同じで運べば良いか」

「フレイヤ様・・・って、あれ?」

「その筋肉達磨は?」

「こっちで色々と助けてくれた商人よ。丁度良いからアレンへの伝言をお願いしたの」

「左様でしたか・・・あ、なら我々からもあいつへ一言残させて下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆丁度その頃

 

 

 今朝方出発した町の方から立ち上る馬鹿デカい砂埃を見たアレンとアリィ。

 食後のお茶を飲み干したタイミングで起きた異常事態にとうとうその時が来たかとアレンは憂鬱そうに立ち上がりアリィを担いだ。

 すっかり担がれる事に慣れたアリィ。

 それを見た店主と他の客達は2人の事をカップルだと誤解。

 美男美女のカップルは話の種に最適の為、彼等が各地で話を広めた結果2人の外堀は更に埋まっていくのだが当然本人達は知らなかった。

 

 

「大丈夫かアレン?」

「休息は充分取ったし覚悟も決めた。胃のダメージは避けられねぇがなんとか耐えられるだろ」

「(・・・それ、本当に大丈夫かなぁ?あの狂神の事だから予想以上のやらかしが待ってそうなんだけど・・・)」

 

 

 

 

 ◆そして、30分後。

 

「───と、いう訳でございましてフレイヤ様と幹部の方々はお帰りになられました」

「───は?」

「えぇ・・・」

 

 

 

 アリィの予感は正しかった。

 何がどうしてこうなった、というかなんだこのカオスは?

 

 

 アレンは正面右側を見た。

 暴走したティオナが暴れている。

 ワルサ兵が吹き飛んでいる。

 

 アレンは正面左側を見た。

 青いヘドロの様な物を顔面のあらゆる穴から垂れ流しながらオッタルが暴れている。

 ワルサ兵が吹き飛んでいる。

 

 アレンは真正面を見た。

 七色に輝くコック達が暴れている。

 ワルサ兵が吹き飛んでいる。

 

 アレンは正面上を見上げた。

 酔っ払ったアイズが魔法を使いながら暴れている。

 吹き飛ばされたワルサ兵を更に遠くに吹き飛ばしている。

 

 

「それと・・・ですな?フレイヤ様からのお二人の結婚についての伝言とはまた別に妹御を除く幹部の方々より伝言がありまして」

「───」

「『ドンマイ!』・・・との事ですぞ」

 

 

 

 アレンは固まっている。

 そんなアレンを2人は同情した目で見ていた。

 だが暫くするとアレンは再起動し、手にしていた槍をアリィに手渡した。

 

 

「あ、アレン?あれに関わりたく無い気持ちは痛い程解るが止めないと色々と面倒な事にというかこの町が───え?」

「その通りですぞ、微力ながら私も手伝いますの───え?」

 

 

 そして背負っていたバックパックから槍の代わりに取り出したのは

 

 

「「・・・酒、瓶?」」

 

 そう、酒瓶だった。

 両手に1本ずつ握り締めたそれはなんかもう見ただけで殺意が伝わってくる造形をしている。

 酒瓶にあるまじき重厚な光沢は頑丈さが、鋭利な角部分は殺傷能力の高さが伝わってくる。

 

 そんな凶器を無言で素振りするアレン。

 ブンブンブォンブォン、ゴォォオオオオオオオオーーー!!!

 徐々に徐々に速度が上がり、音も凶悪な物になっていく。

 引き攣った笑みを浮かべる2人と無表情のアレン。

 

 そして、ついに───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───コロス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆10分後

 

 

「「「「「「「「」」」」」」」」

「(・・・あれ、死んでる?)」

「(い、一応生きているかと)」

 

 そこには、瀕死の状態となった馬鹿共の山が出来上がっていた。

 アイズもティオナもオッタルもシャルザード兵達も皆例外なく頭に幾つもたん瘤を拵え、泡を吹いて気絶している。

 アレンは無感動無表情にその山の前に一人立っていた。

 

 どうしたら良いのか解らない2人。

 だが───。

 

 

 

「・・・取り敢えずワルサの馬鹿共皆殺しにして来るからここで待ってろ。あの方達がやらかした事についてはその後に始末をつける」

「「り、了解・・・」」

 

 そう言い残してアレンは消えた。

 いや、正確には早過ぎて2人の目には消えたようにしか見えなかっただけなのだが。

 緊張から解放された2人は大きく息を吐いてその場に座り込む。

 

 

「あー、怖かった」

「ドゥフフフフ・・・全財産を懸けた大口取引でもここまで緊張しませんでしたぞ」

「だろうな」

「・・・ところであれ、どうします?」

「・・・一応生きてはいるし下手に触れたり治療してまた暴走されても困るから放置で。それより避難していた人達の無事と被害状況の確認を優先しよう・・・ここシャルザードでもワルサでも無いし損害賠償どうしよう?」

「ワルサに押し付ければ良いのでは?軍隊を率いておりましたし最初に手を出したのも向こうですので大丈夫かと」

「あー、そうするか・・・ワルサに賠償金払う能力があれば残ってれば良いけど」

「・・・比喩では無く本当に皆殺しにしそうな雰囲気でしたからな」

 

 

 

 そうして2人はアレンの帰りを待つ間、出来ることをやることにした。

 なお、アレンはワルサの人間を皆殺しにはしなかったが

 

 

 

「───従え、逆らうな、面倒をかけるな。守れない奴は轢き殺す」

「「「「「「「「さ、サー!イエッサーッ!!!!!!!」」」」」」」」

 

 いっそ死んだ方がマシなんじゃね?と思うような恐怖を味合わせたらしくワルサは全面降伏&全面服従した。

 つまり、戦争終結である。

 

 

 ちなみに、神ラシャプは嫌な予感がして真っ先に逃げていた為アレンの制裁を喰らうことは無かったのだが───。

 

 

 

 

 

 

 

「え、待って何あれ?待って待って待ってまさか僕までそんな雑にぐぉろば!?」

 

 

 ・・・オッタルがぶん投げたシャルザードの将軍が空から飛来して来て直撃。

 そのまま天界に送還された。

 ・・・この場合、オッタルと将軍のどちらが神殺しという大罪を犯したことになるのであろうか?

 シャルザードの兵達を伸した件はアレンがワルサを殲滅した功績でチャラになったが、この罪は誰がどう清算するのかは謎である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆3日後。

 

「取り敢えずこれでなんとかなるだろ」

「あはは・・・お疲れ~」

「じゃが丸君食べたい」

 

 アレン、ティオナ、アイズはシャルザード復興の手伝いを一段落させいよいよオラリオに帰る所だった。

 オッタル?いても邪魔なだけだし余計な事を言ったせいで取り返しが付かなくなったので帰らせた。

 

「にしても【女神の戦車】、お金稼ぎも上手だったんだね。フィン達が羨ましがりそう」

「ん、私も羨ましい」

「褒められて悪い気はしねぇが今回のはほぼ運だぞ?」

 

 ワルサによって蹂躙されたシャルザード国土。特に首都ソルシャナの被害は甚大で復興にはかなりの時間と費用と人手が必要だった。

 幸い人手は服従したワルサ国人で足りていたが特に問題となったのは費用。

 ワルサから徴収したかったが、そもそも侵略国家であるワルサは貯蓄をしない。

 散財し、足りなくなったら余所から奪うハイエナ国家であるワルサの国庫はほぼ空であり、ソルシャナ占領時にシャルザードの国庫から奪った金銭もワルサの王族が使い果たしていた。

 勝利をした暁にはあらゆる土地、金品、人を奪って売り払い金に変えようと捕らぬ狸の皮算用をして散財した結果がこれである。

 当然これには怒り心頭なアリィだったが

 

「ほぅ・・・なら、働いて稼げや」

 

 それ以上にぶち切れた男がここにいた。

 ブラック労働従事者アレン・フローメルである。

 アイズとティオナに狩らせたモンスターを材料に味は壊滅的だが精力は付き三日三晩不眠不休で働けるヤバい薬膳料理を作らせて食わせ、とにかく働かせた。

 奪うことしかしてこなかったんだから少しは生み出す側の苦労を味わえ、そうすりゃ多少は真っ当になるだろうとのことである。

 

 泣きながら働き続けるワルサ国人達に怒り心頭なアリィも流石に同情した。

 アイズとティオナも自分達自身が武器をよく壊すので借金常習犯だがダンジョンで稼ぐ常識はあるのでドン引きはしたが納得した。

 

 

 とはいえいくらワルサ国人達が馬車馬のように働いても復興費用を賄うには程遠い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つー訳でこの果実自体と乾燥加工した物あるだけ買うから寄越せ。代金はこれぐらいで加えてデメテル・ファミリア産の食糧を送るから安心しろ」

「いや、どういうこと?」

 

 だがこの男が解決策を用意しない訳が無かった。

 きっかけは三日前の休憩時に屋台で飲んだ果実茶である。

 果実の一部と茶葉で淹れただけで砂糖を入れたように甘いそれは長期遠征する冒険者の嗜好品として売れると感じたアレン。

 

 アレンが絶賛した果実だが実はシャルザード産で在庫なら山程ある、何なら腐りそうなぐらい取れるのでドライフルーツに加工して毎年倉庫を増設していた。

 砂漠ではよく汗をかくので塩気が強い物が好まれる。

 甘い物は口直し程度にしか食べない人間が多い為、美味ではあるが消費量が少ないのだ。

 とは言え砂漠に適合した数少ない植物の為伐採する訳にはいかないし放置して熟し切った実はモンスターを呼び寄せる為採取しない訳にもいかない。

 故に、毎年保管費用がかかるだけの悩ましい作物だと頭を抱えていたアリィだったのだが

 

 

 

「ドライフルーツも味見したが美味かったな。甘味が強いが塩を塗せばより保存も効くし塩分も取れて冒険者には丁度良い・・・いや待てよ?それなら鍛冶系や農業系ファミリアでも需要はあるか。取り敢えず来月のフェアで出して反応見てからだな」

「・・・そっちでは需要ありそうなんだなこの甘ったるい果実。いや、私は好きなんだけどまさかこんな高値で売れるとは」

「?何言ってんだ、今回は食糧で支払いを一部賄ってるからもっと値が付くぞ」

「え゛?・・・ちなみにどれくらい?」

「砂船のレンタル料と護衛費・・・は砂漠のモンスターの強さを考えるとレベル3が数人必要だから諸々考えるとこのぐらい?」

「・・・シャルザードの年間予算を軽く超えるんだが」

 

 まさかの利益である。

 復興費用は余裕で賄えるしなんなら復興後に都市を発展させることも出来そうだ。

 

 

 

「ありがたかったのは確かなんだが・・・」

「うん、流石にあたしでも解るよ」

「・・・ドンマイ?」

「言うな、頼むから。いや、俺もやり切った後に気付いたんだが・・・」

 

 だがここまでシャルザードに貢献した以上、起こって当然の事態が発生。

 即ち、アレンとアリィの結婚である。

 

 女神フレイヤは重臣達を魅了したが国民達にはしていなかった。

 つまり、ぽっと出のしかもシャルザード国民では無い男が唯一残った王族を娶るのは当然反発を食らう。

 そもそも重臣達に掛けられた魅了もアレンとアリィが婚約を結んでいたという物であって既に結婚している訳でも無ければアレンを王配にするという内容でも無いので取り消す事は可能だった。

 アレンもアリィもそう認識していたのでこの問題は復興に目処が付いたタイミングに処理をすれば良いと後回しにしていたのだが

 

 

 

 

「復興に必要な人員、確保したよね」

「加えて資金も確保した」

「そもそも、ワルサを1人で倒した英雄」

 

 ・・・そう、この三大要素が揃っているアレンを王配として認めるかと言うと

 

「「「「「「「「───我々シャルザードの民は、大恩人であるアレン殿とアリィ王女の婚姻を認め祝福します!!」」」」」」」」

 

 まぁ当然こうなる。

 アラム王子が亡くなった事は悲しいが、妹であるアリィ王女には幸せになって欲しいという事で全国民の間で意見が一致した。

 

 アレンとしては正直色恋沙汰に興味はあまり沸かず、そもそもいつ死ぬとも知れぬ冒険者の身で家庭を築く気は毛頭無かったのだがここまで外堀が埋まってしまっては流石にどうしようもない。

 というか自分が埋めてしまったのだから納得せざるを得ない。

 

 むしろこんな状況にしてしまったことでアリィに対して申し訳ない気持ちで一杯であり、実際土下座して謝罪した。

 

 

 

「すまん、俺のせいで・・・ッ!!」

「い、いやそんなに気にしないでくれ。むしろ国を救って貰っておきながら碌な礼を出来ず申し訳ない!」

 

 

 だがアリィとしてもアレンに対して申し訳ない気持ちが強く、お互いが謝罪する始末。

 謝罪合戦は暫く続いたが結局───。

 

 

 

「・・・これでもし結婚しないって言ったらあの狂神がもっととんでもないことやらかしそうだしな」

「だよなぁ・・・我が主神ながら否定できねぇ」

 

 

 

 ・・・女神フレイヤが何をやらかすか解らない、これが決め手だった。

 結婚願望が無い男と世継ぎを産むこと前提で真面な恋愛を諦めていた女の2人。

 それでも結婚するなら気心の知れた相手が良いと無理矢理納得。

 

 アリィはともかくアレンは自分より一回りも年齢が下で尚且つ10代の少女に恋愛感情を抱く事が出来ない為、今は婚約のままにしておきアリィが20歳になった際に改めてお互いの意思を確認して結婚するということでなんとかフレイヤ様とシャルザードの重臣達を説得した。

 問題を先延ばしにしただけとも言えるが・・・

 

「流石に妹よりも若い、しかも10代の奴を伴侶にするのは俺の胃が死ぬから勘弁してくれ!頼む...頼むッ...!」

「あ、うん」

 

 今にも血反吐を吐きそうなアレンの様子に当事者であるアリィは勿論、フレイヤ様とシャルザードの重臣達も認めざるを得なかった。

 【勇者】みたいなロリコン?扱いだけは断じてごめんだ!!

 ───という理由だが、アポロン執筆愉快神監修の下出版されたアレンとアリィの恋物語のせいでオラリオどころか世界中からロリコン扱いされる未来が待っているのをこの時のアレンは知らなかった。

 

 

 ちなみにアイズとティオナのお子様2人はそんな理由での結婚もとい婚約にいまいち納得が言っていなかったが

 

 

「男女の仲とは複雑な物だ。物語の様に美しい恋愛を遂げる事は難しく、あの2人はまだ良い方だ」

「あー、まぁ確かに。フィンとティオネを見てるから解るかも」

「・・・納得しました」

 

 

 恋愛経験ゼロの男がなんかそれっぽいこと言って上手く纏めていた。

 この男、女神フレイヤ以外の女に興味は無いが幼い時よりゼウスとヘラのあれこれを見ていたしなんなら巻き込まれたことも多々あるので対応は出来るのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・それはともかく早急な問題は2人は立場上世継ぎを必ず作らなければならないがアレンがレベル6である以上恩恵無しの王女では行為に耐えられんということだろう。早急に恩恵を賜りせめてレベル3にならなければ無理だ。フレイヤ様も孫を抱いてみたいと仰っていたのでなるべく早めに頼む」

 

 

 だがこいつにデリカシーという物は存在しない。

 

 

「な・・・!?」

「はえ・・・?」

「あー・・・」

「おまッ!?」

「「「「た、確かに!?」」」」

「大臣達、何時からそこに!?」

 

 

 例え公共の場であろうとも、垢抜けていない少女達が目の前にいても、なんなら当事者達がいても彼は一切構わずぶちまける。

 

 

 

 

「ふ、ふぇええ・・・」

「あ、王女様が倒れた」

「顔、真っ赤」

「とんでもねぇ事をとんでもねぇタイミングでぶちまけてんじゃねえぞクソ猪ぃぃいいいいーーーッ!!!!」

「「「「「「「至急、お世継ぎ誕生の為の政治運行状態へ態勢を移行致します」」」」」」」」

「テメェらはまずアリィの心配をしやがれっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆次の日、オラリオにて

 

「・・・そういう訳でして」

「そ、その・・・よろしく頼む」

「えぇ勿論歓迎するわ!」

 

 フレイヤ・ファミリアホームにはアレンとアリィの姿があった。

 これには女神フレイヤもにっこり。

 早速アリィの背中に恩恵を刻み、眷族として迎え入れた。

 なお当然他国の王女が冒険者になったことを聞いたロイマンの胃に多大なダメージを与えたのは言うまでも無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あらアレン、おめでとう。レベルアップ出来るわよ」

「・・・はい?」

「(まぁ消耗してるとは言え第1級冒険者達、しかもレベル7を倒したらそうなるわね。オッタルもそうだったし)」

 

 

 

 

 ついでにフレイヤ・ファミリアは3人目のレベル7冒険者が誕生した為、都市最強派閥に躍り出る。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃが丸君食べて昼寝しただけなのに何でこんなに大きくなったんだろう?確かに今まで食べたことの無い味だったけど・・・装備、新調しないと」

「ギルドからのペナルティは痛いけどアイズたんの胸が育ったし結果オーラ「な訳あるか!」ぐほぉっ!?」

 

 一方その頃ロキ・ファミリアでは主神が暴走してハイエルフにしばかれ、アイズが装備の費用に頭を悩ませていた。

 

 皆様お気付きかもしれないが実はこれ、アレンが原因である。

 アリィの朝食として前日の薬膳料理の残りをタネに混ぜて作ったじゃが丸君。

 結局アリィがそれを口にすることは無く手付かずのままだったそれを勿体ないと思ったボフマンが回収。

 その後偶々出会ったアイズが物欲しそうにしていたので渡したのであった。

 なお、ティオナは串焼きの屋台で腹拵えをしていた為それを口にしていない。

 その後長距離移動の疲れを癒やす為仮眠を取り目覚めたら今の体型になっていた。

 ティオナはそれを見て泣きながら外へ。

 少し経ってから目が覚めたアイズは寝ぼけた状態で水と間違えて酒瓶(アレン達の酒盛りの残り)を口にして酔っ払ったのである。

 

 

 

「( º言º)」

「て、ティオナさん?」

「無言で胸を睨むの辞めて下さい!?」

 

 なお、ホームに帰ってから恨み辛み怒りが再発したティオナは一部分が大きい女性へ無言で殺意を向けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 この小説書き始めた当初の予定よりキャラ崩壊しまくってる件について。









 まぁ、自重する気は全く無いんですけどね(笑)
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