美神の副団長は苦労人   作:金鳥

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 あまり睡眠時間を取れていない状態で書いたので色々とおかしい所があったらごめんなさい。

 ついでに、今回はアレンをそんなに苦労させられてなくてごめんなさい


苦労人達のあれこれ

 

 女神フレイヤの脱走から始まった大騒動は紆余曲折しながら神々の予想を斜め遥か上空にぶっ飛んでいくような形で収束した。

 

『・・・いや、何がどうしてそうなったんだよ!?アタシにすら理解出来ねぇって相当だぞ!?』

 

 この事態の成り行きを知ったとある小国の女神のコメントである。

 まぁ、その、そのぐらいとんでもない騒動だった。

 

 騒動の原因となったフレイヤ・ファミリアの幹部達が後始末に奔走するのも自明の理な訳で───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───ゴフッ」

「あ、アレーンッ!?」

「ああ、やっぱり」

「こうなるよなぁ」

「流石の副団長も、耐えられなかったかぁ・・・」 

「それでもヘディンにはきっちり制裁かましてから倒れる辺り、相当ムカついたんだろうな」

 

 

 まぁ当然のようにフレイヤ・ファミリアの実質的な最高責任者であるアレンはこの後の仕事量に加えアポロンとかヘルメスとかによって流布された噂により自分の印象がとんでもないことになりかけた事を想像し、白目を剥いて気絶した。

 

 なお、とんでもないことになったでは無くあくまでなりかけたで済んだのは何故かと言うと

 

 

「・・・ッ!!」

「ヘグニの奴、死線を乗り越えたって顔してるな」

「まぁ、しょうがないだろう。僕らも率先して動いて無ければ今頃ヘディンのように脳天かち割られていただろうし」

「神アポロン著『砂漠の姫と美神の戦車、苦難の果ての恋』とかいう劇物を印刷所ごと破壊して著者アポロンと悪ノリした神々を簀巻きにしてアレンに献上したからな」

「噂は止められなかったが、本が流通するのを防げたのはアレンにとって唯一の救いだな」

 

 うんうん、と頷くガリバー四兄弟。

 そんな彼等の傍らには、アポロンのように簀巻きにされて気絶したザビエル(ヘルメス)が転がっている。

 

 こいつら5人、オラリオに帰還して真っ先にやったことがアレンの名誉を木っ端微塵にしようとした神々を不敬とか関係なくボコって簀巻きにすることだった。

 ヘディンはまず事務仕事を終わらせるべきだと考えていたが、ヘグニとガリバー四兄弟はそれだと制裁されることを直感していたのである。

 

 というか普通に考えて、アレンの結婚を後押しするのも前団長の拳を喰らうのも嫌だからオラリオに帰還しましたよりアレンの名誉を守る為に帰還しましたの方が絶対に怒りを買わない可能性が高い。

 ついでに言えばオラリオを発つ前にシル様作のマグログミ試食会が開かれると聞いていたので豊穣の女主人が営業停止になることは確実で前団長の手が空くのは自明の理。

 何だかんだで面倒が良い彼女がフレイヤ・ファミリアの尻拭いをするのも目に見えていたので今更ノコノコと戻ってきても

 

 

 

「そもそもあんたらがやるべきことだろうがこんのアホンダラァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア---ッ!!!!!」

 

 

 

 

 となる訳だ。

 目の前でフルボッコにされるオッタルと頭のたん瘤を擦りながらシクシクと泣くフレイヤ様(あ、可愛い)を眺めながら自分達の判断は間違っていなかったと5人は胸をなで下ろした。

 

 なお、ヘディンは5人が絶対にやったらあかんと思っていた「今帰った。ファミリア幹部としての今回の騒動の後始末をするから現状を教えろ」をやらかしたというか普通に口にした為ミアの鉄拳を喰らい、今回は地面にめり込んだ。

 一応、ヘディンとしてもミアに対してそんなことを言ってしまえば制裁を喰らうと解っていたのでホームにミアがいないのを慎重に確認してから侍女達(いつもの被害者)に言ったのだが

 

「(ヘイズ様が血反吐を吐きながら頑張っていたのに労うどころか謝罪も無し?)」

「(いつも私達のこと酷使しておいて今回もこの態度?)」 

「(というか前回のロキ・ファミリアとの全面戦争未遂事件の原因になった挙げ句副団長に色々と迷惑をかけたこの人が団長と副団長を置き去りにして戻って来たってことは)」

「(絶対に今回もやらかしてますね、副団長に迷惑を掛ける形で)」

「(他の幹部の方々は副団長の為に急いで戻って来た様子でしたのに)」

 

「「「「「(((((よし、前団長に告げ口しよう!)))))」」」」」

 

 当然のように顰蹙を買ったのでまぁ当然の結果である。

 

 ちなみにミアの鉄拳を喰らったヘディンは地面に対して杭のように打ち込まれて気絶。

 意識が戻る前に帰ってきたアレンが無言でバックパックから取り出したゴツイ酒瓶2本で本当の杭を打つように頭を連打され、完全に地面へと垂直に埋まることになった。

 

 丁度そのタイミングで戻ってきた5人は慌てて簀巻きにした神々をアレンに献上。

 神々は全員アレンの手で死なない程度に酒瓶制裁を喰らい、5人は一応許された。

 ・・・もしかしたら5人をシバく前に限界を迎えたのかもしれないが、無事に生き延びられたので良しとする。

 

 

 

 

「・・・まぁ団長副団長ついでに眼鏡まで瀕死の現状、僕達が後始末に奔走させられるのは変わらないんだけどね」

「ヘイズはアミッドから絶対安静1週間を言い付けられたしな」

「下の団員達もフレイヤ様が戻ったから一応落ち着くだろうし大体のことはミアがやってくれたから思っていたより仕事が少ないのは幸いだ」

「その数少ない仕事が問題なんだけどな」

 

 

 遠い目をしたガリバー四兄弟は溜息を吐くと、未だ歓喜に打ち震えるヘグニを正気に戻してホームを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、ちょっと待て!少しで良いからこの状況なんとかするの手伝って!?」

「■■■■■■■■■■■ーーー!!!!」

「ほら、このドワーフの人言語を失うレベルで暴走してるしオッタルも死にそうだから!見るからにヤバい感じに痙攣し始めてるから!!」

「───え、エリクサーをくれ。それで胃の穴を塞いだら俺が何とかする・・・!」

「お前は大人しく寝てろアレン!?社畜精神あり過ぎるだろう!過労死するぞ!そしたら私未亡人になるんだぞ!?私を置いて逝くつもりか!!??」

「───俺、は・・・ッロリコンじゃ、ねぇ・・・ゴフッ」

「遺言みたく言うな!?本当に死にそうにしか見えないんだけど本当に大丈夫か!?それが最期に言い残す言葉になっても良いのかお前!!??」

 

 

 

 

 

 

 ・・・背後から聞こえてくる声は無視して5人は走り出した。

 ミアのことだからオッタルをある程度ボコったら落ち着くだろうし、むしろ下手に止めようとしたらこっちまで鉄拳制裁を喰らって仕事が出来なくなる。

 そしたら残った仕事すらもミアがやることになって鉄拳制裁を再び喰らう予感しかしない。

 

 決して、決して言い訳では無い。

 無いったら無いのだと揃って綺麗なフォームで5人は駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

「・・・そういう訳なのでヘスティア様、迷惑掛けたファミリアへの詫び菓子を見繕って頂けないでしょうか?」

「いや、それは良いんだけど・・・君達、それ後が怖くない?」

「確かに怖いと言えば怖いのですが」

「ぶっちゃけ、やる事やっておかないと余計に酷い事になる気しかしないので」

「本当に、どうしてこうなっちゃったんでしょうね・・・」

 

 街外れにある教会に居を構える神ヘスティアをガリバー四兄弟は訪ねていた。

 書類仕事はミアが大体終わらせてくれたが、迷惑を掛けたファミリア達への謝罪は流石に半脱退状態のミアがやる訳にはいかず現役幹部が対応せざるを得ないのである。

 

 ・・・まあ、こういう時普通なら対応するべき団長と副団長が動けないので誠意に欠けるのが辛いところなのだが。

 せめて詫びの品だけでも最上級の物を用意しなくてはならない。

 

 故にガリバー四兄弟は神ヘスティアを頼る事にしたのである。

 

「そういう事情なら今月の枠分じゃなくてもっと沢山用意するけど・・・」

「いえ、それは逆に顰蹙を買いかねないので大丈夫です」 

「正直、今月は貴方の作る菓子を食べられないのはキツいのですが」

「それではあまり誠意を見せられないので」

「アレンですら今月は我慢すると言っていましたので」

 

 竈と家内安全の処女神ヘスティア。

 彼女が作る料理は絶品で、特に甘味の類はまさしく天上に昇る程の美味である。

 神ソーマが作る新酒よりも美味だとされるそれを求めてファミリア間で抗争が起きかけるは独り占めしようとした神や冒険者に市民から抗議の声が勃発してギルドが機能しなくなりかけるはで洒落にならなかったので、それぞれに月毎の購入上限数を設定することで何とか騒動を収めたのだった。

 

 

「「「「((((とゆうか、ヘスティア様を必要以上に働かせるのだけは絶対にアカン!!!!))))」」」」

 

 それはそれとしてオラリオにはヘスティアに無駄な労働をさせるのは絶対に駄目だという闇派閥ですら守る暗黙のルールがあるのだが。

 そのルールを破った者はファミリア、闇派閥、市民に至るまで敵に回り殲滅される。

 

 

「別にこれぐらいなら大した負担じゃないのに大袈裟だな~。むしろ最近は休み過ぎて落ち着かないんだよね」

「お願いですから、お願いですから!休んで下さい!!」

「暇だと言うのなら幾らでもお相手しますし行きたい所があるのならお連れ致します!」

「貴方に何かあったら色々と洒落にならないんです!」

「とゆうか医神からも数十年、数百年単位で療養しろと診断されるレベルで重症だと自覚なさって下さい!!」

「お、おう・・」

 

 血涙を流さんばかりの勢いで希うガリバー四兄弟。

 実はこれには訳がある。

 

 

◆遡ること、数年前。

 

 

 本来ならぐーたらな性格で天界でもよく怠けていた女神として神々の間では有名だった。

 だがしかし、数年前地上に降りてきた神ヘスティアは

 

 

 

 

 

「───あ、へふぁいすとすひさしぶりー・・・」

「え、ちょっヘスティアぁぁアアアアアアッ!?!?」

 

 ───なんか、窶れていた。

 ツインテールは艶を失い力無く垂れ下がり、目は光を失い、杖を付いてプルプルと震える身体を支える姿はまさに瀕死。

 

 神友の気配を察知した神ヘファイストスは怠け者のヘスティアはきっと衣食住を自分に頼るだろうなやれやれと思いながらも一向に動く様子が無い気配に何となく嫌な予感を感じた。

 いくら怠け者でもここまで全く動く気配が無いのは可笑しいと思って迎えに来てみればこれである。

 

 慌ててヘスティアをディアンケヒト・ファミリアに引っ張って行き診察して貰うと

 

「過労ですね」

「「過労」」

「しかも、死ぬ寸前です。・・・むしろ何で生きてられるんですかこの状態で?多分あと1時間遅かったら過労で天界に送還されてましたよ」

「「過労で送還」」

 

 アミッドから診察結果を聞いたヘファイストスとディアンケヒトは呆然とした。

 天界一の怠け者が何故過労死寸前!?

 

「・・・一体ヘスティアに何があったのだ?」

「あの子が過労死寸前って・・・いや、そもそも下界に降りたばかりでしょうあの子は」

 

 そんな2人にアミッドは気まずそうに告げた。

 

「・・・どうも、天界で働き過ぎたみたいなんですよね」

「「天界で・・・はたらきすぎた?」」

 

 アミッドがヘスティアから聞き出した話を纏めると、こうだ。

 

 元々仕事をサボりがちだった神々だが、その大半が下界へ遊びに降臨。

 宙ぶらりんになった仕事を数少ない真面目な神々や精霊で回して何とかしていたのだが、最悪な事に各勢力の有力者達はおろか主神まで下界に降りた為彼等が担っている特に重要な仕事が滞る始末。

 

 決済したくても神格が足りず出来ないそれらは急いで終わらせないと天界どころか世界そのものが不味い事になる重要案件。

 それらを唯一処理できる神格を持っていたのが、何を隠そうヘスティアである。

 

 自分がやらなくても大丈夫であれば全力で怠けるが、自分がやらなくてはならないのなら全力でやるという両極端な性格なのがヘスティアという神だった。

 

 

「・・・つまり、仕事サボって下界を満喫しているあなた方が原因という訳なのですが、弁明は?」

「わ、私はちゃんと重要な仕事は数百年先まで終わらせたし精霊達だけでも問題ないように引き継いでから下界に降りたわよ!?」

「儂もじゃぞ!?」

 

 アミッドからジトッとした眼で睨まれた神2人は慌てて弁明した。

 実際、この2人を含めて善神達の殆どはちゃんとその辺りを済ませてから下界に降りている。

 

 とはいえ、基本的に面白ければ何でもOKがデフォルトの神々。

 結構ちゃらんぽらんな所もあるので、そういった引き継ぎ云々をやらない神の方が多かった。

 結果、下界を救うより先にまずは天界を救えやと残された真面目かつ責任感が強い神や精霊達が叫ぶほどには天界は絶望的な状況が続いていた。

 

 だが数年前、とある理由によりそれも多少は改善された。

 故に現状1番マズい状態のヘスティアを休ませる為に天界残留組は彼女を下界に送ったというのが、ヘスティア降臨の理由である。

 

 何にせよ兎に角休ませないとヘスティアが過労死する。

 そうなった場合、彼女を慕うかの最恐ヤンデレ女神が何をするのか解ったもんじゃねぇ!

 あと一応、自分達が原因であるという罪悪感もあってオラリオ在住の神々は彼女を休ませる事にしたのである。

 

 だが、 

 

 

 

 

 

 

「・・・休むって、どうすれば良いんだっけ?」

 

 

 

 

 

 

◆現在、ヘスティア在住教会にて

 

「・・・何でかボクが働いてると、皆が泣きながら止めてきたんだよねあの時は。流石にタダで宿泊費や食費を出して貰うのは気が引けたからちょっとだけでも手伝おうとしただけなのに」

「ヘスティア様、お願いですから正気に戻って下さい」

「3日間不眠不休で働くのはちょっとじゃありません」

「しかも常に全力で動くのはおかしいです」

「あなたが全力でじゃが丸くんの屋台を手伝った結果、故郷の家族を想って多くの冒険者が泣きましたし、中にはオギャった奴もいましたからね」

 

 遠い目をするガリバー四兄弟。

 実の両親を知らない自分達ですらヘスティア渾身のじゃが丸くんを食べた結果、彼女をママと呼びそうになったのである。

 冒険者になる為に故郷を離れ、家族を恋しく想っていた連中は耐えられず醜態を晒した者も多い。

 

 ヘスティアの体調とメンタル、冒険者達の尊厳その他諸々を考慮した結果が現在の数量限定お菓子販売というわけだ。

 それだけで彼女は滅茶苦茶稼いでいるし幾つかの孤児院を援助している。

 本当なら彼女自身が運営し、子供達の面倒をみたいのだがまた過労死寸前まで働きそうだし子供達が重度のマザコンになりそうなので却下された。

 

 

 

 

 

 

 

「あー、まぁ昔の話は置いといて取り敢えず幾つか見繕うから待っていておくれよ」

 

 そう言ってヘスティアは教会の奥へと引っ込んで行った。

 残されたガリバー四兄弟はホッと一息吐きつつ、この後の謝罪訪問先を思って頭を抱えた。

 絶対に面倒な事になると解っていたが、やらないわけにもいかないというのが辛いところである。

 

 

 

 

 

 

◆一方、その頃のヘグニ

 

 

「■■■■■■■ーーー!!!!!」

「お、落ち着け万能者!常に冷静沈着なのがお前であろう!───いやあのホントに落ち着いて下さいいや本当にうちの主神様がごめんなさい」

 

 アスフィがフレイヤ様に使いっ走りにされたと聞いて賠償金と幾つかの希少なドロップアイテムを持ってヘルメス・ファミリアへ謝罪に訪れたヘグニ。

 だが何故か団員達は1人を除いて泡を吹きながら気絶しておりアスフィは奇声をあげながら暴走していた。

 

「あ、あすふぃが、アスフィが壊れたぁ・・・!」

「【泥犬】、無事だったんだ。どうして彼女はああなっちゃったんだ?」

「そ、それが・・・」 

 

 唯一無事なルルネは話し始めた。

 曰く、ヘルメス様がアレンの恋物語を世界中に送る為に借金してまで用意した印刷機が大破。

 更には、無駄に広い人脈を駆使して世界中の国々にいつの間にか出荷の約束をしていたが肝心の本が出版停止になった為違約金が発生。

 このままだと破産すると慌てたヘルメスが何を思ったのか本の代わりにアスフィの服(マントから靴下まで彼女が1度でも身に付けた物全部)を売りに出すと交渉。

 

 それら全てを、アスフィに何一つ相談はおろか許可すら得ずに行ったというのをつい先程ガリバー四兄弟がヘルメスを連行した後に主神の部屋から契約書を見つけた事で始めて知ったアスフィが暴走し、今に至る。

 

 

「うわぁ・・・」

「うちの主神がごめんなさい・・・」

「いや、こっちもこっちで迷惑掛けてるしなんか、ごめん」

 

 どんよりとしたルルネに対して同情と共感を覚えたヘグニ。

 取り敢えずルルネを連れて避難する。

 

「あの、アスフィのことは・・・」

「あー、アレンも偶にああなるんだけどね?ストレスが限界を超えた事が原因だから正気に戻るまで暴れさせて落ち着いたら好物でも食べさせてゆっくり寝かせるのが結局の所、1番良いんだよね。だから取り敢えず彼女の好物買いに行こう」

「そ、そうなのか?」

 

 

 ルルネは釈然としないものの、ここにいたら自分まで他の団員同様になりそうだったので、大人しくヘグニに付いていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・なお、アスフィが好みそうな物を試食しながらオラリオを男女2人で歩き回った為周囲からはデートをしているのだと盛大に誤解されたのだった。

 主神狂いのフレイヤ・ファミリア団員がフレイヤ様以外に興味を抱く訳が無いと思われていたし実際にその通りだったのでヘグニとルルネもそんな誤解がされるとは思っていなかったのであるが、神ヘルメスのせいでアレンが情熱的な婚約を遂げたという噂がオラリオ中に広まっていたタイミングでのそれは盛大な誤解を招く。

 アレンがそうだったのだからヘグニもそうなのでは?という噂も爆速で広まり、当然のようにフレイヤの耳にも入るまで時間は掛からなかった。

 

 つまり、フレイヤ様歓喜からの大暴走案件フラグ再びである。

 付け加えると、今年76歳のヘグニとルルネの年齢差は一回り二回りどころでは無い。

 アレンに引き続き、ロリコン扱いされるフラグが立ったということをこの時のヘグニは知る由も無かったのであった。

 

 

 

 

 

 

 ◆ガリバー四兄弟、ロキ・ファミリアにて

 

「あれは怪物あれは怪物あれは怪物あれは怪物あれは怪物あれは怪物あれは怪物あれは怪物あれは怪物あれは怪物あれは怪物あれは───」

「ラウルしっかりして!?」

「傷は浅...くは無いな」

「「「「((((なんか【超凡夫】が白くなってるーーー!!??))))」」」」

 

 下部団員達の暴走で迷惑を掛けたロキ・ファミリアへ謝罪に訪れたガリバー四兄弟を迎えたのは燃え尽きたかのように心身疲労困憊状態で何かを呟き続けるラウルと彼を気遣うロキ・ファミリア団員達であった。

 

 なお、神フレイヤからはアレンの結婚に関することとアスフィを使い走ったことしか聞いていない彼等はラウルに何があったのかを現時点では知らなかった。

 

「ああ、ガリバー兄弟か。騒がしくて済まないな」

 

 混乱する彼等を新たに迎えたのはリヴェリアだった。

 彼女は彼女で疲れが見える。

 

「ラウルに関してはそちらの団員達が原因では無いから安心してくれ。あと、出迎えるのがフィンでは無く私であることを許して欲しい」

「いえ、それは構わないのですが」

「あの、【超凡夫】に何が?」

「フィンにも何かあったのですか?」

「あいつがこういう事を自分で対応しないってらしくないと思うのですが...」

 

 

リヴェリアは珍しい事にあー、うん。と言い辛そうに口をもごもごとさせた後、意を決したように話し始めた。

 

「まずラウルについてなのだが...端的に言うと【男殺し】にアマゾネス特有のあれな目的で襲われた」

「何その地獄」

「で、何も身に付けていない状態で襲ってきた彼女を直視した」

「目が腐るな」

「そのまま発狂して、救助に来たベートごと【万能者】製の爆薬で吹き飛ばした」

「【凶狼】、ドンマイ」

「そしたら何故か新種のモンスターが地下から出て来たので追加の爆薬で彼女とモンスターを歓楽街の半分とベートごと木っ端微塵にした。なお、ベートは一応生きていたが入院している」

「生きてて良かったな、【凶狼】」

「その後、半壊した歓楽街の救助と瓦礫除去でガレスとティオネが派遣されたのだが...」

「あっ(察し)」

「ああいう所で使う薬というか香の類をティオネがうっかり吸ってしまったらしくてだな」

「うわぁ...」

「只でさえ歓楽街への弁償金やギルドからの罰で頭が痛くなっていた所を襲撃された結果、フィンは今入院している」

「あー...」

「一応事情が事情で根本的な原因は【男殺し】にあるので最終的に弁償金は大分減らして貰ったのでそちらは大丈夫だったのだが、今回のティオネは大分強かったらしくてな?半裸にまで追い込まれた挙げ句もつれ合った状態でホームの外に転げ出たらフィンがティオネを押し倒してるような絵面になってしまいそれを大衆に目撃されてしまってな」

「なんか予想よりも斜め上の方に酷くなってるんだが」

 

「あれで一応42歳でティオネとは歳が二回り程離れていることもあって、そういう趣味なのかと誤解されかけたショックを受け止め切れなかったらしい」

「「「「それは酷い」」」」

 

 アレンもアレンで大分アレな状況になってるけどフィンもヤバい。

 とゆうか下部団員達の暴走と関係ない所でそんなことも起きてたのかよ。

 オラリオ、ヤバいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ところで、だ。【女神の戦車】はシャルザードの王女の体型を大分変えたそうだが、うちのアイズの一部分が異様に成長した事に関して何か知っていることは無いか?うん?」

「「「「それに関してはマジでスイマセン!!!!」」」」

 

 それまでの頭が痛い状態から打って変わって凄みを感じさせる笑顔で問い詰めてくるリヴェリアにガリバー四兄弟は即座に土下座謝罪を実行。

 うちの娘にナニをしてくれたんだ貴様等、と暗に告げるその様子はまさしく母親のそれであった。

 なお、最初に疲れた様子を見せていたのはガリバー四兄弟を迎える前に

 

「アイズたんの胸が大きくなったんはええことやし、今回の騒動のけじめはそれと相殺でええんとちゃう?」

「駄目だよ、ロキ。けじめって言うんならアイズの胸を大きくした方法を教えて貰うか私達にやって貰わないと!」

「ああ、確かに!それは大事やな!」

 

 と巫山戯た事を抜かすロキとティオナをシバいていたからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆彼等の様子を一応監視していた賢者

 

 魔道具を介して全てを把握した骨だけの愚者はただ一言、呟いた。

 

 

「・・・何このカオス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 苦労人は、アレンだけでは無いです。
 むしろ、アレンを中心に苦労人の輪は広がっていきます。
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