短編集   作:ゲーマーN

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仮面ライダー鎧武 エルデ・オン・ステージ

 気が付けば、見覚えのない建物の中に立っていた。

 黄金樹に導かれるように外に足を踏み出した男を待ち受けていたのは――

 無数の手足を持った蜘蛛にも似た尋常ならざる化け物であった。

 

 男はその名を知らないが、この化け物は”接ぎ木の貴公子”と呼ばれている。

 

 接ぎ木の貴公子から必死に逃げ出した男は、その突撃する勢いを利用して崖下に落とそうと画策し――逆に、地面が崩れたことで谷底に落下してしまう。

 何の幸運か。谷底に落下したはずの男が命を落とすことはなかった。全身を襲う痛みに顔を歪めながら、道なりに進んだ男は明るい場所に辿り着く。

 リムグレイヴ。それが、後に男も知ることになるその土地の名前であった。

 

 老醜のデミゴッド、接ぎ木のゴドリックの居城である断崖の城、ストームヴィル。

 

 ヴァレーを名乗る男に教えられたその城を目指すつもりというわけではないが、草原に足を踏み出した男は接ぎ木の貴公子に次ぐ脅威と遭遇することになる。

 装備に植物や木の根の飾りが施されている黄金の騎士。山のように大きく逞しい馬に跨がり、巨大な斧槍(ハルバード)と円卓の如き大盾を携えた人馬一体の騎士。

 その名をツリーガード。この狭間の地に導かれた多くの褪せ人達の命を奪い、その黄金を褪せ人の血で赤く染め上げてきた血みどろの守護者――

 

 男は、その新たな犠牲者になる――

 

「え……?」

 

 ――はず、だった。

 黄金の騎士はハルバードを振り下ろす。その一撃は、男を挽き肉(ミンチ)にするだけの威力を秘めていた。この狭間の地を訪れたばかりの男には避ける術すらなかった。

 そう、男には……。

 

「――君、は……」

 

 そこには、男を守るように一人の女が立っていた。

 如何にも魔女らしい風体をしたその女はとんがり帽子から色素の薄い黄金の髪を後ろに流しており、その髪は風に棚引いている。

 2本の腕を前に突き出すことで黄金の障壁を展開しているその女は、後ろを振り向き、その青い左目と赤い右目を男に向けると残り2本の腕でソレを男に差し出した。

 

「戦極ドライバー!?」

 

 戦極ドライバー。特撮作品『仮面ライダー鎧武』におけるドライバーの一つであり、同作品に登場するアーマードライダーに変身するための変身ベルト。

 もう一つ、その主人公である葛葉紘汰が最初に手にしたオレンジロックシード。

 この状況で子供の玩具が渡されるはずはない。まさか本物なのか……と信じられないという表情を浮かべる男に、謎の少女は告げる。

 

「使い方は――知っているはず――」

 

 途切れ途切れの声――だが、男には謎の少女の言いたいことは伝わった。

 正直、何が起きているのかはわからない。ただ自分の家で眠っていたはずなのに、どうしてこんなワケの分からないことに巻き込まれているのか……。

 しかし、自分がやらなければならないことは理解できた。

 謎の少女から戦極ドライバーを受け取ると、男は自分の腰にそれを巻き付ける。

 

【オレンジ!】

 

 男の頭上にジッパー状のもので縁取られた扉「クラック」が生成される。

 そのクラックより召喚されるのはオレンジを模した武者鎧。

 男は、戦極ドライバーのバックル中央にオレンジロックシードを嵌め込み――

 最後の工程、カッティングブレードを倒した。

 

【ロック・オン!】

 

「変身!」

 

【ソイヤッ! オレンジアームズ! 花道・オンステージ!】

 

 鎧が、おちる。

 鎧を、まとう。

 

「ここからは俺のステージだ!」

 

 その名は、仮面(アーマード)ライダー鎧武。

 黄金樹の根本に広がる狭間の地に、黄金の果実の欠片を纏う戦士が舞い降りた。

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