新作のオリジナルものです。
復讐ものであるため少し暗めのストーリーになりますが、よろしければ読んでいってください。
帝国歴540年
世界の大国である帝国は小国ながら世界有数の戦力を持ち、精霊に愛された王国に対して戦争を仕掛けた。世界を手中に収めようとする帝国にとって、王国は大きな障害であったのだ。
科学の国である帝国と精霊の国である王国。開戦時から長らく、戦力は拮抗していた。
しかし、帝国の科学力の前に徐々に押された王国はそのまま敗れることとなった。
戦争後、王家の男性は全員処刑され女性は捕虜となり、国は帝国の属国となった。
~・~・~
私の目の前で村が燃えていた。
偶々遠くまで遊びに出かけていた私は、いつもよりも村に帰るのが遅くなってしまった。暗くなりつつある景色の中で、辺りを照らしていたのは村を焼く炎だった。
その炎は、村の外にいる私を嘲笑うかのように大きくなっていく。
(なんで……)
住んでいた家などが燃え堕ちていく様が遠くから見えた。
私はその景色を見ながら、その場にうずくまってしまった。
「なんで、村が燃えているの……。お母さん!ジルっ!」
私の叫びをかき消すように村を覆う炎は強さを増していく。私は燃える村から視線を逸らすことが出来ず、その場から動くことも出来なかった。
(……どうして、誰が)
村から目を離せないでいる私の視線の端から、見知った顔がこちらに向かって走ってきていた。
その人物は私のことを見つけると、一瞬安心したような表情を浮かべたが、そのまま担ぎ上げると、まるで何かから逃げるかのようにそのまま走り続けた。
「……ディオスさんっ。なんで他の人達はっ?」
私を担ぎ上げた人物は、私たちの村の村長であったディオスさんだった。
しかし、その横顔ははいつものように穏やかなものではなく、とても強張っている。
「……申し訳ございません」
ディオスさんは一言そう言うと、それ以降なにも言葉を発することもなく私を抱えたまま隣の村まで走り抜けた。
~・~・~
あれから十年。私は五年前まで村長であったディオスさんと共に小さな集落で過ごしていた。
これまで、村が焼かれたあの出来事について私はなにも知ることが出来ずにいた。ディオスさんに助けてもらった後、私は彼を質問攻めしたが彼はただ首を横に振るだけだった。そんな彼も、五年前に流行り病により命を落とした。
死の直前に、「申し訳ございませんでした……」とだけ私に言い残して。
私に対してディオスさんがこのような言葉遣いをしたのは、あの時以来だった。
「ディオスさん、私強くなったかな?これでも、一人で生きてはいけてるんだよ?」
彼のお墓の前で手を合わせる。
彼は生前、毎日のように稽古を私に付けてくれていた。最初は手も足も出なかったが、彼が動くことが難しくなるころには彼からお墨付きをもらえるほどになった。
「……またね、ディオスさん」
何時ものように彼の好きな果実を墓の前に置いて、その場を離れようと立ち上がった。
その時、微かに彼のお墓が赤く光った。
「……これは、ディオスさんの?」
淡く光り輝くそれからは、懐かしいディオスさんの雰囲気を感じた。精霊をもっているという話は彼から聞いたことがあった。しかし、精霊は所有者以外にその姿を見せることはない。所有者が死んだ場合その精霊は自然に戻るというのが通説であった。
また何故、王国の民のみが精霊の所有者となり得るのかは未だにわかっていない。そのため、戦争以後精霊を持つ人は全員帝国に集められ軍隊として監視されている。
(……私を呼んでいる?)
その淡い光は私を誘うように動き出した。
私に付いてこいと言うように、フラフラと動きながらもどこかに向かうように動いている。
「……行ってみよう」
私は、ディオスさんの精霊に誘われるように私は森の中へと入り込んでいった。
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