アニメ、映画知識のみで書いています。
1.五条悟は哲学を語らない(愛について)
古代の哲学者に、人間と愛の起源についてこう語った者がいた。
人間はもともと球体で2つの頭を持ち、それぞれ手足が付いていた。そして男同士で一体のアンドロ、女同士で一体のギュノス、男女で一体のアンドロギュノスという3つの性があった。その人間達が神を敬わなくなったため、怒った神がその人間達を真っ二つにしてしまった。それが今の人間だ。今も人間は完全体であったとき姿に戻ろうと、他者を求める。かつてアンドロやギュノスだったものは同性を求め、アンドロギュノスであった者は異性を求めている……
ヒュゥ!ロマンティック!
気になるならプラトンの「饗宴」を読んでみるといい。
もし、魂の片割れに出会うことが出来たならそれは運命だと思わないか。きっと何よりも特別な存在になるだろう。
でもまあ僕はこう思うワケですよ。
愛ほど歪んだ呪いはないってね。
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2.肝試し
乙骨憂奈には秘密がある。
「憂奈〜おねが〜い」
帰り支度をする憂奈の前で、友人の斉藤ハルカがパチンと手を合わせた。
なんでも、先日ナンパされた男と肝試しに行くことになったらしい。
しかし相手はあまり知らない相手。二人きりで肝試しはいささかハードルが高かったらしい。友達も一緒に行ってよいかと聞いたところOKがでたので、こうして憂奈にお鉢が回ってきたのだ。
「今週の土曜日?特に用事はないかな。私でよければ行くよ」
「マジ!?ありがと〜神じゃん!」
ハルカは憂奈の手を握ってブンブン振った。憂奈はされるがままで苦笑した。
「そうだ、場所なんだけどさ、市外に廃病院があるでしょ?あそこ行くんだって」
その週の土曜日、憂奈達は予定通り廃病院に来た。
「此処には出るらしいぜ〜レイプされて殺された女の霊がさ」
「やだ〜コワーイ」
「確かに出るみたいだね……」
この廃病院に入ってから妙な胸騒ぎがする。
憂奈はナニカ良くないものがいると直感的に感じていた。
「ほら、この下のレイアンシツってやつがさ、一番ヤバいんだって」
男の示す地下へ続く階段は不自然なほど暗く、先の見えない暗闇がぽっかり口を開けていた。
「レイアンシツって死んだ人を置いとくとこでしょ?
……さすがにそれは、ねえ?」
ハルカは怖気ついたのか、歩みを遅くした。階段の下から冷たい風が吹き肌を撫でる。
暗闇から伸びた影が天井を侵食してゆく。
影が垂れ下がって男の首に巻き付いてゆく。
背筋が凍るほどの殺気。
「ハルカちゃん下がって!」
憂奈は咄嗟にハルカの腕を引いた。ハルカの足がもつれ尻餅をつく。男の首から鮮血が噴き出した。
首を失った男の躰がハルカの足元にどさりと落ちた。
血溜まりがハルカのスニーカーに触れた時、やっとハルカの本能は危機を察知した。
「キャアアアアアアアアアアアア
キャアアアアアアアアアアアア
キャアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
興奮した猿のように絶叫するハルカを背後に庇った憂奈は、男を殺したバケモノを睨みつけた。
天井を這う長い胴。それは異形の女だった。女の胴にはいくつもの乳房と腕が生えていてムカデのようだ。女は男の首を貪り喰っている。女が憂奈達を見た。すると女は男の首をボトリと落とし、不気味な挙動で二人に襲いかかってきた。
憂奈は咄嗟に、この場で最も頼りになる少女を呼んだ。
「里香ちゃん、お願い」
ぐるりと意識が回る。彼女が、目を覚ます。
「任せて、憂奈」
憂奈は、否、憂奈の体を借りた里香は艶かしく笑った。
「醜いのね、可哀想。―死になさい」
右腕を突き出し、指を鳴らす。
這いずっていた女の体が膨張し、捻れ、破裂した。天井から肉片が落ちて、遅れて血が滴る。蔓延する鉄の匂い。月明かりが冷え切った少女の瞳を照らしていた。
里香は窓の外に目を向けると言った。
「覗き見しているのは誰かしら」
一瞬の静寂の後、里香たちの前に突如男が現れた。
まるで瞬間移動したかのような速さ。だが里香は驚きもせず男を見つめている。
「いやぁすごいね〜2級の呪霊をあっという間に祓っちゃって。手品みたいだったよ」
「BOM!」男は指を鳴らす仕草をしてみせた。
「誰」
「おっと急かすなよお嬢さん。僕は五条悟。スーパーグッドルッキングガイにして最強の呪術師。五条悟、さ」
里香は訝しげに五条と名乗る男を見つめた。全身黒ずくめで目に包帯を巻いていて呪術師を名乗る男。信用できる要素がまるで無い。里香はいつでも動けるように構えた。
「で?その呪術師さんが私達に何の用かしら」
「ま、とりあえず、その子を病院に送ってから詳しい話しようか」
五条は憂奈の足元で震えるハルカを指差した。
乙骨憂奈には秘密がある。
それは、6年前に死んだ親友が彼女の中にいる、というものだった。