ストライクウィッチーズ ~蒼空を舞う零の荒鷹~   作:鷹と狼

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第9話 君を忘れない

 

 

 

格納庫

 

 

洋介は幾人の整備員と愛機の零戦64型の魔導エンジンの整備の手伝いと相談をしていた。

 

 

「…いつも手伝ってすみません中尉」

 

「いや、ここも俺にとって大事なところです…(トチローさんとトチコさんにかなりしごかれたからな…)話を変えるが、機体はともかく、この魔導エンジンの量産は可能か…?」

 

「んん…難しいですね…他のウィッチのストライカーユニットと違って、特殊な部品を使っているから、まず部品の生産をしてエンジンを組み立てねば…」

 

 

「そうか…」

 

 

整備員からの言葉をきいて、洋介がエンジンから離れた時、格納庫内に別の声が聞こえてきた。

 

 

「いつもありがとうございます!」

 

 

その声に洋介を含めた整備員たちが振り向く。そこには手にお盆を持った芳佳が立っていた。

 

 

「おっ、芳佳か…」

 

 

「あっ洋介さん。お菓子作ってみたんですけど、皆さん食べて下さい」

 

 

芳佳がそう言って差し出すが、整備員たちはそんな芳佳を余所にユニットの方を再び向いてしまった。

 

 

「あの、これ、扶桑のお菓子で…」

 

 

「芳佳…整備員のみんな、なんで芳佳の手作りの菓子を取らないんだ…?」

 

 

「…洋介さん…」

 

 

洋介は困った反応をする芳佳に声を掛ける。洋介が芳佳の代わりに代弁した。

 

 

「あの…この基地の規制を知っていますか?」

 

 

「え…規制ですか?」

 

 

芳佳は整備員の言った規制について懸命に考え始めた。

 

 

「えっと、…我々ははミーナ中佐から、必要最低限のウィッチ達との会話、及び接触は禁止されているんで…」

 

 

「え、でも洋介さんは…」

 

 

「中尉はウィッチじゃなくてウィザードです…同じ男同士だからミーナ中佐から特に禁止とかありません…詳しいことはわかりませんが…」

 

そんな規制を聞いて洋介と芳佳は驚きと同時に残念な思いになる。

せっかく作ったおはぎを振る舞えないことになった。

 

 

そんな芳佳を見て、洋介は名案を思いつく。

 

 

「おっ…、そうだ芳佳」

 

 

「なんですか?」

 

 

「それ、俺から整備員に渡せば問題ないぞ?」

 

 

「え?」

 

 

そんな提案を言う洋介に芳佳はなんのことかわからず疑問の声を漏らす。

 

「つまり、芳佳が作ったそのお菓子を俺から渡すことができるってわけだ。…まぁ、裏技みたいなものだけど。どうする?」

 

 

「えっと…」

 

 

芳佳は数秒悩んだのち、洋介にそのお盆を差し出した。

 

 

「その、お願いします…」

 

 

「了解、…僕もおはぎが大好きだ、また作ってくれ///」

 

「はいっ!」

 

 

洋介はお盆を受け取り、整備員たちに渡した。

 

 

「へぇ…、そんな事があったの」

 

 

リーネは強い風に扇ぎながら洗濯物を干しながら感想を溢す。内容は先ほど格納庫であった件だ。

 

 

「あの時は洋介さんがいたからよかったけど…なんでミーナ中佐はそんな規制を作ったんだろう…リーネちゃん知ってる?」

 

 

「私も命令があるのは知っていたけど、あまり気にしていなかったから…あっ…」

 

 

「…よっと!」

 

 

一枚のシーツが風に飛ばされ掛けたとき、洋介が助走して魔力を発動、シーツを片手でつかんだ。

 

 

「シーツ危なかったな…ほれ」

 

 

「あ、ありがとうございます///」

 

 

リーネも一応命令の存在を知っていたが、あまり気にしていなかった。

洋介が唯一、彼がウィザードの為に優しくて強く、憧れの存在だった。

 

 

「こんな命令絶対変だよ、変すぎる。リーネちゃんと洋介さんはそう思わない?」

 

 

「?…なにがだ芳佳…?」

 

 

「えっと…、私、姉弟以外の男の人とほとんど話したことなくて…」

 

 

「そっか、学校とかは?」

 

 

「ずっと女子高だったから」

 

 

今やってきた洋介は理解せず、リーネは元々女子高出身で、部隊に入っても話す男の人は洋介だけ、それもいつも一緒にいることの多い芳佳と洋介に比べたら圧倒的に少ない。そのため男性と接する機会があまり無いため、芳佳の言うことをあまり自分で表現できなかった。

 

 

「そうなんだ…あっ、ほらあれ、赤城だよ!」

 

 

リーネの話を聞いて芳佳は少し下を向いたが、前方に見えたある艦艇にその顔を上げた。

 

 

「赤城?」

 

 

「赤城だって!?この世界に…空母赤城が…この目で見られるとは…!」

 

 

洋介は感涙した。

 

彼がいた世界で、戦闘機パイロットになったばかりの洋介が驚いたのは、連合艦隊の機密でミッドウェー海戦で沈められた情報だ。

 

洋介がこの世界に来て赤城を目の当たりした時、意識が朦朧してあの世に来たのかと思った。

 

 

「…私の乗ってきた船。修理しているって聞いたけど、直ったのかな?」

 

 

説明する時、基地の建物の影からシャーリーとルッキーニが出てくる。

 

 

「あっ、いたいた。洋介!芳佳!」

 

 

「2人とも、ミーナ中佐が呼んでたぞ!」

 

 

「はーい」

 

 

「…何だろう?」

 

 

シャーリーから言われた言葉に、洋介と芳佳は首を傾げる。リーネも呼ばれた理由が思いつかず首を傾げ返したのだった。

 

そして呼ばれた洋介と芳佳は部隊隊長室の扉を叩き、入室した。

 

 

「「失礼します!」」

 

 

室内を見渡すと、中には坂本と初老の扶桑軍人がいた。

 

 

「おお、宮藤さん!桜井さん!お会いしたかった!」

 

 

そう言って近づく扶桑軍人の前に、ミーナ中佐が重なった。

 

 

「こちらは赤城の艦長さんよ。ぜひ、あなたたちに会いたいとおっしゃって」

 

 

「杉田です。乗員を代表してあなた方にお礼を言いに来ました!」

 

 

「お礼?」

 

 

「杉田艦長、なぜ私にも…いや、なぜ私の存在を知っているのですか…?」

 

 

芳佳はお礼と言われてオウム返しするが、洋介はなぜウィザードの存在を聞かれたのか疑問に感じた。

 

 

「桜井中尉は世界初のウィザードとして、今は赤城乗組員のみしか伝えられない存在です。我々扶桑人の誇りです。貴方方のおかげで遣欧艦隊の大事な艦を失わずに済みましたし、何より多くの人命が助かりました。本当に感謝しております。」

 

 

そんなことを言われ芳佳は少し縮こまる。

 

 

「いえ、私はなにも。あの時は坂本さんと他の人たちが…」

 

 

「私も同じです。あの時の私はただの戦闘機パイロットであり、意識が朦朧とする中でネウロイと戦いました。それに、私は扶桑人ではありません、日本人です。異世界から来ました。」

 

「そんなことはないぞ、あの時お前たちがいなければ全滅していたかもしれん。誇りに思ってもいいぞ、桜井、宮藤。」

 

謙遜する洋介と芳佳に対して美緒が言う。彼女に言われては2人とも誇りに思っていた。照れ笑い、笑み隠しする。そんな2人に杉田艦長が包みを差し出す。

 

 

「全乗組員で決めました。これを貴方にと」

 

 

「あらあら、よかったわね」

 

 

「ありがたく受け取っておけ、宮藤、桜井。」

 

杉田艦長から包みを渡され、ミーナ中佐と美緒はよかったねと二人に言う。

 

 

「「はい、ありがとうございます!」」

 

 

洋介は異世界の日本軍人に対して敬礼し、包みを受け取った。杉田艦長は少し微笑んだ後、表情を引き締め、ミーナの方向を向いた。

 

 

「反攻作戦の前哨として、我々も出撃が決まりました。」

 

 

「ついにですか…」

 

 

「反攻作戦?」

 

 

ミーナは杉田の言葉を聞いて覚悟をしたように表情を引き締めるが、芳佳はなんのことだかわからず聞き返した。

 

 

「えぇ、今日はその途中で寄らせて頂いたのです。明日には出港なので是非艦にも来て下さい。皆が喜びます」

 

 

「はい」

 

 

「赤城の見物か、いいなぁ」

 

 

元気に返事をする芳佳と羨ましがる洋介だったが、次の言葉でその思いは消えた。

 

 

「残念ですが、明日は出撃予定がありますので…」

 

 

「そうですか、残念です」

 

 

ミーナにそう言われ、杉田は残念そうにする。芳佳も同じようにがっかりするが、この状況で洋介はある提案をした。

 

 

「ミーナ中佐、杉田艦長、私が宮藤軍曹の警護しながら赤城見物の許可を。1時間だけの有余を下さい。」

 

 

「桜井中尉…」

 

 

「…桜井さん…いいでしょう、1時間だけ見物の許可をします。但し、最低限の接触はいけませんよ」

 

 

洋介の一言で、芳佳の表情が明るくなった。

 

 

「ミーナ中佐、ありがとうございます」

 

 

「感謝します!失礼します」

 

 

二人は隊長室から出た後、赤城を見物した。

 

飛行甲板や艦橋、食堂室など。至るところで乗組員が芳佳に感謝の言葉を送ったり、洋介に握手を申す者やウィッチとの関係を聞かれるか否だった。

 

1時間近くなったころ、洋介は芳佳の身を案じてラッタルを渡って基地に戻ってリーネと照れ笑いをする時、一人の青年が現れ、芳佳は立ち止まる。

 

 

「宮藤さん!」

 

 

「ふぇっ!?」

 

 

「さ、先の戦いでの宮藤さんの勇敢な戦闘には大変敬服しました!艦を守って頂き大変感謝しております!」

 

 

「あ、はい。どういたしまして…」

 

 

「あの、そのですね。これ、受け取って下さい!」

 

 

「えっ?」

 

 

芳佳は青年から渡された封筒を見て驚くが、洋介は笑みを浮かべる。リーネはそれが何か察したようで、芳佳に小声で伝えた。

 

 

「ラブレターじゃない?」

 

 

「え?ラブレター?」

 

 

「戦時で不謹慎!…と言いたいが、艦内で渡しそびれたんだな…青春だねぇ~♪受け取ってもいいじゃないかね」

 

 

リーネは芳佳の持っていた包みを持ち、芳佳の手を開けた。突然ラブレターを貰ったことに驚き、顔を少し赤くした。そして少しずつ手を伸ばし、それを受け取ろうとした時だった。

 

 

 

「「あっ!」」

 

 

そのラブレターは突風で宙を舞った。

 

 

「逃がすか!」

 

 

芳佳と青年は追いかけるが、洋介が魔法力を発動し、跳び上がり掴んだ。

 

 

「よしっ確保………痛っ!?」

 

 

「洋介さん!」

 

 

「中尉!」

 

 

だか、着地で滑ってバランスを崩してラブレターを離したところ。ミーナがそのラブレターを持って立っていた。

 

 

「ミーナ中佐!」

 

 

「…このようなことは厳禁と伝えたはずですが」

 

 

芳佳がミーナを呼ぶが、彼女は青年の方にきつい言葉を向けていた。

 

 

「すみません、是非とも一言お礼が言いたくて」

 

 

「ウィッチーズとの必要以上の接触は厳禁です。従ってこれはお返しします」

 

 

「申し訳ありませんでした…」

 

 

青年は走って行ってしまった。芳佳は光景を見てショックを受け、洋介は鋭く言及した。

 

 

「中佐、自分はこのウィッチとの規制は守りますが…手紙の一枚くらい貰っても、罰はありません…もしくはミーナ中佐、…これ以上に探りませんが何か隠し事を…?」

 

 

「…う…………………………」

 

 

ミーナはなにも言わずにこの場を去った。

 

洋介は自室に戻り、杉田艦長から頂いた包みを開けた。

 

「外套か、僕がいた世界と変わらんデザインだな……ん……これはただの外套ではない…」

 

 

 

 

 

ブリーフィングルームに集められたウィッチーズは、ミーナからの説明を聞いていた。

 

 

「ガリアから敵が進行中との報告です」

 

 

「今回は珍しく予想が当たったな」

 

 

その説明に美緒が感想を溢すが、洋介も同じ意見だった。

 

 

「(敵さんが一定のペースで来るならこっちとしては戦いやすい…)」

 

 

「現在の高度15000、進路は真っ直ぐこの基地を目指してるわ」

 

 

「よし、バルクホルン、ハルトマンは前衛!ペリーヌとリーネが後衛!宮藤は私とミーナの直僚!桜井はいつも通り遊撃!シャーリーとルッキーニ、エイラとサーニャは基地待機だ!」

 

 

「お留守番~お留守番~♪」

 

 

「ユニットのセッティングでもするか~♪」

 

 

基地待機組は色々な反応をするが、出撃組は気を引き締めた。そして、その様子を見て坂本少佐は号令をかける。

 

 

「よし、準備に掛かれ!!」

 

そして出撃組は格納庫に行き、ユニットを履く。洋介もユニットに魔力を流し始めた。最近、洋介は、坂本美緒に疑問を持ち。彼女は洋介の零式64型を練習で使用していたことだった。洋介自身は構わなかったが違和感を持ちながら離陸、滑走路ではシャーリーとルッキーニが見送りをする。

 

 

「行ってらっしゃーい!!」

 

 

そして上空で編隊を組むウィッチ達。しばらく飛んでいるとき、坂本がネウロイを発見する。

 

 

「敵発!!」

 

 

「タイプは!?」

 

 

「確認する!」

 

 

ミーナ中佐がどんな種類か聞きつけ、美緒が眼帯を取り魔眼で確認をする。それを聞いて洋介も波導で坂本の方角を感じ美緒がネウロイを特定した。

 

 

「300m級だ!いつものフォーメーションか!?」

 

 

「そうね」

 

 

「(四角状、…赤い斑点がバラバラに散らばっている?)」

 

 

洋介は疑問に思い、ウィッチ達に通告した。

 

 

「坂本さん、みんな!あのネウロイに対して、いつもより警戒して下さい!!」

 

 

「なに!?…わかった。よし突撃!!」

 

 

そして全員がネウロイに突撃をする。前衛のエーリカとトゥルーデがネウロイを射程に捉えた時、突如ネウロイは小型に分裂した。

 

 

「なに!?」

 

 

「分裂した!?」

 

 

それぞれ驚くが、ミーナが固有魔法の『三次元空間把握能力』を使い、その数を数える。

 

 

「右下方、80中央100、左80」

 

 

「総勢260機分か、勲章の大盤振る舞いになるな!」

 

 

「そうね」

 

 

「で、どうする?」

 

 

美緒がミーナに聞くと、ミーナは直ぐ様フォーメーションを指示した。

 

 

「あなたはコアを探して」

 

 

「了解」

 

 

美緒が返事をする。

 

 

「バルクホルン隊は中央」

 

 

「了解」

 

 

トゥルーデが返事をする。

 

 

「ペリーヌ隊、右を迎撃」

 

 

「了解」

 

 

ペリーヌも返事をする。

 

 

「宮藤さん、あなたは坂本少佐の直僚に入りなさい」

 

 

「了解!」

 

 

「いい、あなたの任務は少佐がコアを見つけるまで敵を近づけないことよ」

 

 

「はい!」

 

 

「桜井さんは私について来て!左を迎撃するわ!」

 

 

「了解!」

 

 

そうして、ウィッチーズ8人対ネウロイ260機の勝負が始まった。

空の乱闘でウィッチ達は次々とネウロイを墜としていき、洋介とミーナ、トゥルーデと個々でネウロイを撃墜していた。

 

洋介は持ち前の格闘戦で両腕に持った四式小銃と99式13ミリ機銃でネウロイを撃墜、洋介は魔力を絞った状態で戦闘している時、ある感覚が出た。

 

 

「…29…(敵の動きが鈍い…)そこっ!!」

 

みんなはふと洋介の闘い方が凄まじく、固唾を飲んだ。

しかし、いくら戦闘をしてもまだコアを撃墜できないでいた。

 

 

「キリが無いよ!」

 

 

「コアは一体どいつなんだ!?」

 

 

エーリカに続きトゥルーデも疑問の声を漏らす。ミーナは坂本の下へ行った。

 

 

「コアは見つかったか!?」

 

 

「駄目だ」

 

 

「まさか、また陽動?」

 

 

ミーナがハッとするが、美緒はそれを否定する。

 

 

「コアの気配があるんだ!但し、どうもあの群れの中にはいない…」

 

 

長期戦になるにつれて、一行はだんだんその戦場はガリアに接近してきていた。このままでは誰かがやられてもおかしくない。その時だった。

 

芳佳が何かに気付き振り返った。

 

 

「っ!? 上!!」

 

 

その声を聞き美緒も振り返る。そこに確かにネウロイはいた。太陽を背にして数機のネウロイが隠れていた。

 

美緒は魔眼でネウロイを見る。しかし太陽と被ってしまった。

 

 

「くそっ、見えない…」

 

 

その間にも、ネウロイは急降下を開始する。芳佳が動いた。

 

「行きます!!」

 

芳佳は美緒とミーナの前に立ち、向かって来るネウロイに対して機銃を向ける。

ネウロイはそんな芳佳に対して攻撃をするが、ウィッチの中でも高い魔法を持つ芳佳にシールドをさせられ攻撃が防がれる。

そして芳佳がネウロイに対して攻撃をする。ミーナも後方から援護する。それによって数機のネウロイが破片に変わる。

 

 

「よし、いいぞ!もう少しだ!」

 

 

「はい!」

 

 

そしてさらに攻撃を加えて行く芳佳、ついに坂本はコアを特定した。そのネウロイは急降下したのち美緒達に攻撃せずそのまま離脱していく。

 

 

「あれなの?」

 

 

「ああ」

 

 

「全隊員に通告、敵コアを発見!!私達が叩くから他を近づかせないで!」

 

 

『了解!!』

 

 

すかさずミーナが全体に命令を出す。命令を受けたウィッチ達はコア以外の敵を接近させないように叩き始める。

 

そして芳佳とミーナ、坂本がコアに対して攻撃を開始する。攻撃を受けたネウロイは被弾、回避する。

 

「宮藤、逃がすな!!」

 

 

「はい!」

 

 

芳佳がネウロイのコアを追尾攻撃する。そしてついに芳佳の攻撃が命中、コアが破壊された。

それにより、別の場所で交戦していた洋介達のネウロイも破片に変化した。

芳佳、ミーナ、美緒は破壊されたネウロイの破片をシールドで防ぐ。しかしその時だった。

 

 

「…っ!?」

 

 

「美緒…!?」

 

 

破片の一部が美緒のシールドを突き破り、彼女の髪を少し切り裂いたのだ。その光景を間近で見ていたミーナも驚く。

しかし、他の隊員はそんなことに気づかず芳佳に近づき称賛の声を送る。

 

 

「芳佳ちゃんすっご~い!」

 

 

リーネが芳佳に抱き付く。しかしペリーヌがツンとした感想をするが、トゥルーデがフォローする。そんな光景を見ていた洋介はペリーヌの表情を見てないが、雰囲気から彼女が芳佳を少し称賛しているのでないかと考えていた。

 

 

「宮藤やるじゃ~ん」

 

 

「えへへ、そうかな?」

 

 

そんな会話をしているとき、芳佳は撃墜されたネウロイの破片を見る。破片はキラキラと輝きながら陸上に降り注いでいく。その光景はさながら雪が降っているようだった。

 

 

「綺麗…」

 

 

「ああ、こうなってしまえばな…」

 

 

芳佳の言葉に美緒が加わる。

 

 

「綺麗な花には棘が…って言いますわね」

 

 

「自分のことか?」

 

 

「なっ失礼ですわね!」

 

 

「おいおいハルトマン、失礼だぞ。ペリーヌだって美人なんだから」

 

 

ペリーヌの言葉にエーリカが茶化すが、洋介がここで助言する。

 

しかし、この言葉を聞いていた他のメンバーが洋介の方向を向いた。

 

 

「…ん?どうした?」

 

 

洋介は自分を見ている人全員が意外そうな顔をしていたことに気付き聞く。

 

 

「いや、桜井がそんなことをサラッと言うものだからな…」

 

 

「ん?なんか変なことだったか?」

 

 

トゥルーデが代表して言ったが、洋介は何か可笑しいことでも言ったかと言う反応をした。その反応に更に全員があり得ない物を見たような反応をした。そんな反応をして洋介はがっくり肩を落とす。

 

 

「そんな反応はないだろ…中佐?」

 

 

洋介は自分をどんな目で見られていたのかを考え若干傷付くが、ミーナがどこか寂しそうな表情をしながら突然降下をしていくのに気付き反応した。その行動に他の隊員達も気づく。

 

 

「ミーナ?」

 

 

「え…おーい、どこに…」

 

 

「待て、…一人にさせてやろう」

 

 

エーリカがミーナについて行こうとするが、美緒がそれを腕で静止する。トゥルーデがこの地に気付いた。

 

 

「…そうか、ここはパ・ド・カレーか」

 

 

「パ・ド・カレー?」

 

 

洋介はトゥルーデに聞くが、彼女は首を横に振るだけで答えなかった。

 

ミーナはそのままパ・ド・カレーの地に降り、そして一台の車の前に来た。そしてそのままミーナは車の扉を開け、助手席にあるものを見て固まった。

 

車の助手席に包みがあった。そしてその包みを開き、そしてその中にあった物を見た。それは赤いドレスと一通の手紙だった。

ミーナはその中身から誰の物なのかを理解し、そして、静かに涙をボロボロと流し始めたのだった。

 

 

空母赤城-

 

 

「やっぱり来なかった…」

 

日が水平線に沈む赤城の甲板上、芳佳に手紙を渡そうとした青年はそう呟いた。あの時ミーナに忠告されていたから来るはずないとは思っていたが、それでも少し寂しく感じたのだろう。

そんな時だった。彼の帽子が宙を舞った。それと同時にウィッチが通り過ぎる。青年はそのウィッチを見た。

 

 

「宮藤さん!」

 

 

「みんなありがとーう!がんばってねー!私も頑張るから!!」

 

 

芳佳が手を振りながら甲板の上に立つ兵士たちに声を張る。その声に反応して兵士たちも「ありがとう」と嬉しそうに口々に言った。

 

 

「芳佳ちゃん、よかったね!」

 

 

「うん!ちゃんとお礼言えた」

 

 

「世話になったからな」

 

 

「はい!」

 

 

そして洋介とリーネが赤城に並行して飛行した後、基地に向けて帰投した時だった。美緒達の耳にあるインカムから音が流れる。それは赤城の艦橋にも届いた。杉田艦長が気付いた。

 

 

「これは…全艦に繋げ!」

 

 

「了解!!」

 

 

そして、その声が流れた。

 

501基地では、ウィッチ達が集まっていた。それだけでなく、何名かの兵士たちもいる。彼らの目線の先にはサーニャの伴奏に合わせて歌うミーナがいた。

 

彼女が歌うのは『リリー・マルレーン』だった。洋介はどことなく懐かしい雰囲気だった。

 

 

「フィリピンのマニラのBARを思い出すな…(いい歌だ…あの戦場で戦った者たちにも聴かせたいな…隊長、沖田さん、虎雄、幸吉、進次郎、トチローさん、トチコさん、晴香さん、澪さん、柚子さん、サン…………姉さん……雪、…亜弥…)」

 

 

そしてミーナが歌い終えると、ミーナはお辞儀をした。周りのみんながミーナに拍手を送る。

 

芳佳が近づいてミーナに感想を言った。

 

 

「とっても素敵な歌でした!」

 

 

「ありがとう」

 

 

ミーナはそんな芳佳に微笑み返す。

その時、芳佳の頬っぺたを後ろから誰かが引っ張る。

犯人はエイラだった。

 

 

「サーニャのピアノはどうした~サーニャの~」

 

 

「ふぉっへもふへひへひは~」

 

 

「え~い、もっと褒めろ~!」

 

 

「ほへへまふっへば~」

 

 

そんな二人の光景を見て周りのみんなが笑い始める。その光景を見て自然とミーナも笑いが漏れる。

 

 

「ははは~♪」

 

 

洋介も壁の所にもたれかかりながらその光景を見て、自然と微笑んだ。

 

 

 

 

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