ストライクウィッチーズ ~蒼空を舞う零の荒鷹~   作:鷹と狼

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第10話 守りたいもの

 

 

 

ミーナの歌を聞いた後、洋介は報告書を持ちに執務室に向かっていた。

 

 

「失礼します、中佐!報告書を持ってきました」

 

 

執務室にまだ赤いドレスを着たままのミーナがいた。

 

 

「あら、桜井さん。デスクに置いてね」

 

 

「本日の戦闘及び歌手のご活躍、お疲れさまでした!」

 

 

「ありがとう。桜井さんもいい活躍だったわね。」

 

 

「いえ、この状況で希望という灯火を照らす為に飛び、戦い続けます。これにて失礼します」

 

 

洋介は執務室から出た後、坂本美緒とすれ違い、執務室に入った。よくは聞こえなかったが、中から物騒な雰囲気だった。

 

洋介は先にユニットの整備の用事で格納庫に行った。

 

 

「中尉、お疲れさまです!」

 

 

「君達も、いつもウィッチ達のユニットの整備お疲れさまです」

 

 

「中尉、最近ですが、坂本少佐が桜井中尉のユニットを使用しているらしいですね…」

 

 

最近、美緒が洋介のユニットを模擬空戦で使用していた。

 

今日のネウロイ来襲時に洋介のユニットで出動しようとしていた洋介は疑問を感じながら時間が過ぎていった。

 

整備を終えた後、洋介はふと前気になったことを思いだしつつあった。零戦64型が戦闘機からストライカーユニットに変化した後、ユニットの初飛行の時、ミーナに言われた事だ。

 

 

「あの時、…ミーナ中佐から僕の年齢を聞かれたな…二十歳、…ウィッチと二十歳…何か関係が…」

 

 

洋介は自室に入ろうとした時ー

 

 

「ん?……僅かな殺気だ………」

 

 

殺気のオーラを感じ、用心の為にホルスターから南部十四年式拳銃を抜き、拳銃を構え、警戒しながら入った。

 

 

「っ…?ミーナ中佐……」

 

 

すると窓際にミーナがいた。赤いドレスのままで拳銃の銃口を洋介に向けていた。

 

 

「中佐、あなたに何があったのですか?」

 

 

洋介はミーナに聞いた。しかしミーナは首を横に振る。

 

 

「あなたに関係ないわ………今ここで、あなたを始末します…」

 

 

ミーナの言葉を聞いた洋介は、構えていた拳銃と軍刀を床に置いた。

 

 

「………いいでしょう。…僕は太平洋の海戦で同胞を守り切れず、自決しようとした時、戦って死ねとかつての上官の命令を受けており、常に覚悟は出来ています。…ですが、昼間の行動…パ・ド・カレーで何があったかは知りませんが、いや…それ以前に最近の坂本少佐は僕の零式ユニットを使用している事に何か関係しているんじゃないですか?…だからって坂本少佐に飛ぶななんて…」

 

 

「あなたに何がわかるって言うの!!」

 

 

洋介の言葉にミーナは怒鳴る。そこにあった表情は洋介に対する怒気と過去の悲しみを懸命に堪えていた。

 

ミーナは続けて洋介に想いをぶつけた。

 

 

「あなたにだってわかるでしょう!大切な人を失う悲しさが!」

 

 

「…わかりますよ」

 

 

洋介は目を瞑り呟く

 

 

「だったらっ…!」

 

 

「…だが、その想いに共感できません」

 

 

ミーナは洋介に向けて言葉を放とうとしたが、洋介が目を開けて否定をしたため黙る。

 

 

「あなたが悲しみを背負い、二度とそうなって欲しくないという考えはわかります。だが、決意を決めて戦うと言う人に対して、あなたのそれはただの我が儘です。その我が儘で、あなたは相手の気持ちを踏みにじろうとしていることを理解していますか!?」

 

洋介はミーナに向けて強く言い、そして爆発したその炎を少しずつ鎮める。

彼の目には涙が浮かんでおり、その雫が頬を伝っていく。それをミーナは見て、そしてこれ以上言葉を発することは無かった。

洋介だって辛い。仲間が墜ちる姿など想像したいとも思わない。しかし彼はミーナと違い、その人の決意に対して自分自身がとやかく言うことはしない。部屋の中で沈黙が続く。洋介は腕を顔の前に上げ、目元の涙を拭う。

 

洋介自身も戦ったあの戦争は忘れようにも忘れられない。

 

あの戦争で多くの戦友を失ってきた。

 

空母や陸上基地で朝一緒に食事をした仲間が夕方、戦闘から帰ったときにには消え、一緒に並んだ食事の席が空になり、そして日に日に空席が一つ一つと増えていく。

 

そして生き残った仲間は死んでいった仲間の分まで必死に生き必死で戦った。

 

たとえ死にぞこないの卑怯者と言われようとも

 

そして仲間を失うのと同時に自分はあの戦争で多くの命を奪ってきた。

 

時には戦闘機、特には爆撃機、時には艦艇や陸上基地の機銃手を

 

お国のためとはいえ、多くの命をこの手で血に染まったこの手は一生洗い流し、何も無かったことにすることは出来ない。戦争という泥沼の世界に入ったら、もう昔のようには戻れない

 

今もなお、あの出来事は毎晩のように悪夢として現れる

 

だがそれは一生背負わなければいけない罪であり罰だ。

 

そう自分に言い聞かせている。

 

 

「すいません中佐、上官に対して反発を…」

 

 

「いえ…」

 

 

洋介はミーナに謝る。

 

普通なら上官に反発など謝っても許される行為ではないが、ミーナもこの時ばかりはその事を咎めることもなかった。

 

 

「中佐、過去に捕らわれてずっと悲しんでいては、その先には進めません」

 

 

「…あなたも、…私と同じようなことなの…?」

 

 

「僕が戦った戦争が終わった後、緊急の出撃で大空を飛んだ時、お国のために、愛する妻と娘と別れてしまいました。…先の夜間哨戒の報告で、黒い丸状のホールは僕が元の世界に帰れる唯一の道でした。だが、僕がウィッチの世界でいなくなれば…世界が滅る、そのために自ら断ち切りました…僕が生きている限り、最後の一体を倒す為に…」

 

 

「桜井さん…、今晩だけ…今晩だけここで…寝かせて下さい…」

 

 

「…中佐、僕は既婚者です…///」

 

 

「…いいのよ、上官の命令です。私たちは似た者同士かも知れない///」

 

 

洋介はミーナと禁断の一夜を過ごした。洋介は彼女に対して背を向けながら眠り、ミーナは眠りながら一筋の雫が流れた。隊長自ら禁断の事をやったのか、暖かいのか、それは彼女にしかわからなかった。

 

 

翌朝、洋介は思いもよらぬ目を覚ました。

 

 

「…ミーナ中佐、何も着ずに寝るとは…///」

 

 

洋介はこっそりベッドの布団から出て、軍服を着用する。ミーナに毛布を被せたまま横抱きして厳重警戒をとりながら部屋から移動、道中夜間哨戒を終えたサーニャに遭遇するも息を殺し、陰を隠した。

 

冷や汗掻きながら難なくミーナの部屋に入室、ベッドに寝かせてこっそり出た。

 

 

それから時間が経ち、ミーナは何事もなかったかの様に、執務室のデスクで書類整理を行っていた。

 

昨晩、洋介の部屋のベッドで眠り、朝には自室のベッドにいた。洋介の言っていたことを考えている時、執務室の扉を叩く音が聞こえた。

 

 

「ちょっといいか」

 

 

部屋に入ってきたのは坂本美緒だった。そしてその後ろから芳佳と洋介も入ってくる。彼に関しては昨晩の件で赤くなり、目を反らした。三人の手元には様々な資料があった。

 

 

「悪いな、便利に使って」

 

 

「いえ、このくらいへっちゃらです」

 

 

「はい…///」

 

 

坂本がそう二人に声を掛け、芳佳はどういうことないと返事して、洋介は少し赤くなりながらだった。

 

坂本が持って来たのはデータだった。それはつい最近のネウロイの物であった。

 

 

「8月16日、18日に来襲したネウロイだが、奴の出現した時に各地で謎の電波が傍受されている。周波数こそ違うがサーニャの歌っていた声の波形と極めてよく似ている」

 

 

「えぇ」

 

 

「「唄…!?」」

 

 

坂本の説明を聞いていたミーナは小さく返事し、さらに横で聞いていた二人は歌という言葉に反応した。

 

初めての夜間哨戒に出た時に聞こえた、サーニャの歌に似たネウロイの声、黒い丸状のホール。あれを思い出したからだ。

 

 

「あのネウロイはサーニャの再現していたと見て間違いなさそうだな」

 

 

「えぇ」

 

 

美緒がそう結論付けた。

 

 

「分析の規模をもっと広げよう。暫くは忙しくなるぞ」

 

 

「そうね」

 

 

美緒がこれからのネウロイ襲来について話し終わったが、ミーナは終始小さな返事を繰り返すだけだった。

 

 

「バルクホルンやハルトマンにも今のうちに知らせておきたいな。二人をここに…」

 

 

美緒が二人を呼ぼうとした時、芳佳が声を発した。

 

「バルクホルンさんなら今日は非番です。夜明け前に出て行きましたよ?」

 

 

「何処へ?」

 

 

「ロンドンです」

 

 

「ロンドン?」

 

 

芳佳の言葉に美緒が聞き返す。

 

 

「意識不明だった妹さんが目を覚ましたって、バルクホルンさんが慌ててストライカーを履いて出ていくのをみんなで止めたんですよ?いつもはあんな冷静な人なのに!」

 

 

その様子を思い出したのか芳佳は笑い、洋介が笑みを浮かばせた時、ミーナが静かに返した。

 

 

「無理もないわ。バルクホルンにとって、妹は戦う理由そのものだもの。誰だって、自分にとって大切な守りたいものがあるから、勇気をもって戦えるのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

トゥルーデがロンドンで妹のクリスの見舞いで喜ばしい時と、501で模擬戦闘による訓練が行われている最中のロマーニャ、イスキア島のウィッチ診療所にて療養、半引退状態でフェデリカ・N・ドッリオ、ロマーニャ空軍の少佐が日光を浴びながら空を眺めていた。

 

 

 

「ふぅ…さて…っ!!」

 

 

ベンチから立ち上がった時、上空に煙りが吹いた戦闘機が飛来、海岸沿いに墜落した。

 

 

「なんてことなのっ!!」

 

 

墜落したのはリベリオンの戦闘機、P-51ムスタングだった。駆け付けたフェデリカがムスタングに近づき、操縦席からパイロットを引きずり出して救出した。

 

 

「ふぅ…しっかりしなさい、キミ!!」

 

 

「…う…う…ぅ……パウ……ラ……アリ……シア……マ…リ…シャル……兄さん……」

 

 

飛行帽を脱がし、ロングショートヘアで金髪の女性が腹部から出血、フェデリカは彼女を背負い、急いで診療所に運んだ。

 

 

フェデリカが墜落したムスタングを調査した。

 

 

「ふぅ…よかったよかった…しかし、あの娘の機体の国籍マーク…リベリオンと似てるけど、ちょっと違うわね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリタニア501基地

 

 

模擬訓練でシャーリーとルッキーニのペアが敗れ。芳佳、ペリーヌのペアが勝利した。

 

審判をしていたリーネがホイッスルを鳴らし、洋介は見向きもせず、別の方角を見て感じた。

 

 

「ペリーヌ、宮藤ペアの勝ち!凄いよ芳佳ちゃん!凄いね洋介さん!洋介さん…?」

 

 

「ん…?」

 

 

「どうしたのですか洋介さん…?」

 

 

「あっ、リーネごめん!微かだが…気のせいかな…」

 

 

「…ってひゃあ!?」

 

 

芳佳は周りに褒められ照れるが、突如変な声を出した。原因は彼女の後ろについて胸を揉んでいる人物が原因だった。

 

 

「どれどれ~♪どれどれ~♪」

 

 

「な、なにするの!?」

 

 

ルッキーニは芳佳の胸を揉みまくる。芳佳はその手触りにあたふたしながら悲痛な叫びを出す。

 

暫く揉んだのち、ルッキーニは芳佳から離れた。

 

 

「残念、こっちはちっとも変わりない」

 

 

「うん、見りゃ分かる」

 

 

「おいおい…」

 

 

「こらー!」

 

 

ルッキーニの感想にシャーリーが便乗して言ったため、洋介がすかさずツッコミを入れた。

 

芳佳はそんな会話を聞いて思わず叫ぶ。

 

 

「もー、二人とも酷いですよ!」

 

 

「でも腕を上げたのは確かだ」

 

 

「本当ですか?」

 

 

すかさずシャーリーが助言する。

 

下げるだけでなく再び上げる彼女の行動はやはりムードメーカーなところだろう。洋介はよく周りを見ているなとシャーリーを評価したのだった。

 

 

模擬訓練が終わり基地に帰還した後、洋介はミーティングルームでお茶を飲んで一休みしていた。

 

 

「訓練後のお茶は旨い」

 

 

「洋介さん、お疲れ様です」

 

 

リーネが入浴の後、洋介の元に来た。

 

 

「リーネか、訓練の後の入浴はいいなぁ…みんなが入浴から出た後、僕も湯槽に入るか…」

 

 

「いいですね。…あの…洋介さん…///」

 

 

「なんだいリーネ…?」

 

 

リーネの顔が赤くモジモジしていた。洋介は気になって彼女に尋ねた。

 

 

「この戦いが終わったら…私の実家に…///」

 

 

格納庫からウィッチが二人、出撃した。気付いた洋介は窓から見た。

 

 

「ん…出撃?…誰が行ったんだ?」

 

 

「あれは芳佳ちゃんとペリーヌさん…」

 

 

「変だな、…午後からの哨戒予定ではないのだが…」

 

 

気になった洋介はリーネと格納庫に向かい、ストライカーユニットが無く訓練用のペイント銃が置いてあった。

 

 

「全く…リーネ!…あの二人でなにか、喧嘩かなにかなかったか!?」

 

 

「ごめんなさい…わかりません、あっそう言えば…芳佳ちゃんとペリーヌさんがなにか揉めていたとか…」

 

 

「うん、発進装置のラックの中に銃がない…まさか!?」

 

 

  ウウウーーゥゥゥーーウウウーー

 

 

洋介が空を見上げた時、突如空襲警報のサイレンが鳴り響いた。

 

 

「警報!?」

 

 

「行くぞリーネ!」

 

 

「はい!!」

 

 

洋介とリーネが緊急出動、その後に美緒たちがペリーヌと合流して、ペリーヌが状況は報告をした。

 

 

「じゃあ宮藤が一人で向かったんだな!?」

 

 

「すみません、元はといえばわたくしが…」

 

 

「その件はネウロイを落としてからだ!(余計な気を起こすなよ、宮藤…)」

 

 

ペリーヌが色々と謝り、状況を説明する。ネウロイが出現、それを受け芳佳が単機先行、美緒や洋介たちは後を追っている。

 

 

そして、基地にいるミーナから連絡が来た。

 

 

「『宮藤さんが、ネウロイと接触したのは間違いないわ。でも、そこから先はサーニャさんにもわからないって』」

 

 

「『「すみません…」』」

 

 

「『まさかあいつ捕まったんじゃ…』」

 

 

ミーナの言葉でサーニャが謝り、エイラが不吉なことで隊員たちを不安にさせる。

 

 

「どういう事だ、離れるように言えないのか!?こっちから呼び掛けているが通じないんだ!」

 

 

「『こちらも駄目、ネウロイが何か、ジャミングの様なものを仕掛けているのかも』」

 

 

「宮藤…」

 

 

「通信妨害電波か……厄介だな……坂本さん!芳佳付近に何やら人…ウィッチらしき影を確認です!」

 

 

「何だと?桜井…一体何が!?…まだ追い付かないのか、ミーナ!」

 

 

「『それが、ネウロイがガリア方面に引き返しているわ。単に戻るつもりじゃ…』」

 

 

「いた!見つけました坂本さん!芳佳の側にもう一人…黒いウィッチ…?」

 

 

美緒たちが全速力で芳佳の元に向かっている時、洋介は波導で遠方にいる目標を捉えた。

 

彼は、更に言葉を続けた。洋介の言葉を聞いて美緒が右目の眼帯を取り、魔法眼で確認。彼女の目にも、芳佳ともう一人の人影が見えた。

 

 

「宮藤の他にウィッチがもう一人いる」

 

 

「何だって!?」

 

 

美緒の言葉に他の隊員たちも驚く。ブリタニアの防衛を行い、ガリアのネウロイを倒しているのはストライクウィッチーズであり、この周辺に他のウィッチがいることはおかしかった。

 

じっと見ていた洋介は違和感を感じた。

 

 

「違う…!?」

 

 

「コアが見える…あれはネウロイだ!」

 

 

洋介は目の前の存在が人でないことを悟った。そして美緒がその存在に対して答えを出し、周りのウィッチはその答えに体が強張る。

そんな中、芳佳は恐る恐るといった形でネウロイのコアを触ろうとしている。

 

 

「何をしている!宮藤!」

 

 

美緒が怒鳴る、怒鳴り声に気付いたのか芳佳は我に振り返る。

 

 

「坂本さん!」

 

 

「撃て!撃つんだ宮藤!」

 

 

美緒が芳佳に命令をする。しかし、芳佳は撃たなかった。

 

 

「違うんです!このネウロイは!」

 

 

「何をしている!いいから撃て!」

 

 

「駄目です、待って下さい!」

 

 

芳佳はネウロイを背に美緒の方向を向いて両腕を広げる。まるで自分が盾になるように。

 

美緒はそんな芳佳の行動を見て、彼女がウィッチに意識を取り込まれていくのではないかと考え、懸命に芳佳をネウロイから引き離そうとする。

 

 

「惑わされるな!そいつは人じゃない!」

 

 

「違うんです…そんなことじゃ…!」

 

 

「撃たぬなら退け!」

 

 

美緒が何度も芳佳に言うが、芳佳は一向に退かない。それどころか、彼女は立ち止まったまま坂本に向けて何か説得しようとするばかりである。

 

痺れを切らした美緒はついに、芳佳の方向に向けて九九式機銃を構え、芳佳は思わず硬直する。

 

その時、芳佳の後ろにいた人型ネウロイが、芳佳の下を離れた。

 

 

「えっ!?」

 

 

「おのれ!!」

 

 

芳佳は突然の行動に驚くが、美緒はそれを好機と見た。手に持つ機銃の引き金を引き、ネウロイにその弾を浴びせる。

 

しかし、ネウロイはいとも容易く回避すると、反撃とばかりに両腕の部分を前に出し、その先から赤い光線を放った。

 

しかし、今までネウロイと戦ってきた美緒だ。奇襲攻撃だろうと即座に空中停止に移り、光線が来る方向に向けてシールドを張った。

 

誰もがそのシールドで攻撃を防ぐことができると思っていた。しかし、現実は違った。

 

美緒のシールドはネウロイの攻撃を受けたと同時に消えてしまった。まるで、その姿は弾丸が紙を突き破ったように呆気なかった。

そして、その攻撃で彼女の持つ機銃の弾倉に命中。

 

機銃は誘爆を起こし、美緒は爆発に巻き込まれた。

 

 

「あああああ!!」

 

 

「少佐!」

 

 

「坂本さん!!」

 

 

悲鳴を上げて落ちていく美緒、その姿にウィッチたちは美緒を呼ぶ。しかし、美緒の足からユニットが外れてしまい、そのまま立て直すことが出来なくなってしまう。

 

芳佳はその光景を見て真っ先に墜落していく美緒の下に向かい、彼女を空中で支える。遅れる形でペリーヌも美緒の所へ向かい、墜落を阻止する。

 

洋介は墜落していく傷だらけの坂本美緒を見て、かつての仲間が空戦で敵機にやられて落ちていく記憶が過り、そして今度はネウロイの方向を向く。

 

 

背に装備している四式半自動小銃を構えた。

 

 

「坂本さん…くそっ!!」

 

 

「『どうしたの!?何が起きたの!?』」

 

 

「少佐が撃たれた!繰り返す、少佐が撃たれた!救助チームを要請する!グリッド南東第25地区だ!」

 

 

「中佐、くそっ…ネウロイめ!落としてやる!」

 

 

洋介は美緒を落とした人型ネウロイを、全速力で追撃した。

 

 

「ああっ!!桜井!…少佐はシールドを張ったのに…まさか!?」

 

 

 

「『バルクホルン大尉!ネウロイを追いなさい!命令よ!』」

 

 

 

 

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