ストライクウィッチーズ ~蒼空を舞う零の荒鷹~   作:鷹と狼

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第14話 北国の大空に羽ばたけ

 

 

オラーシャ帝国 ペテルブルグ 第502統合戦闘航空団基地

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当基地の隊長、帝政カールスラント空軍少佐、グンドゥラ・ラルが新聞の記事に501の活躍とエーリカ・ハルトマン中尉が写った目を通したところに、カールスラント空軍曹長、エディータ・ロスマンが執務室に入室してきた。

 

 

「私の教え子も活躍したようで、鼻が高いです」

 

 

「次は我々の番だ、そのために孝美を呼んだ。」

 

 

「隊長とは、リバウ撤退戦で一緒だったとか…随分と彼女を買っているんですね」

 

 

「あぁ、それともう一つ」

 

 

ラルはロスマンにある隊員の資料を渡した。

 

 

「この基地に転属する隊員の資料…隊長…これは…!?」

 

 

「桜井洋介、階級は中尉。扶桑海軍第302航空隊の所属、世界初の男性ウィッチ…いや、ウィザードだ」

 

 

ロスマンはウィザードである桜井洋介に疑問点が幾つかある。

 

 

「…ウィザード…でも、彼には謎が多いところもあります。桜井中尉は501以前の所属以外の経歴が全く…彼のユニットは管野さんと下原さんの零式より高性能らしいです。それに…」

 

 

彼女が見た資料の重要事項には『人型ネウロイと接触。何らかの情報を入手…』など、表示されていた。

 

 

「確か、彼は501に所属していたはず…あそこで一体何があったのかしら…」

 

 

第501の最後の戦いについては機密情報になっているため、彼女達は全く知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北極海海上 扶桑海軍第5艦隊及び輸送船船団。早朝、ブリタニアのサウサンプトン港からのオラーシャ帝国のノヴォホルモゴルイ港に到着した。

 

この1週間の航海でネウロイの襲撃は無く、寄港。洋介は例の502のウィッチの出迎えが来るまで積み荷の降ろす作業を手伝っていた。

 

 

「ふぅ…、ここがロシア=オラーシャか。」

 

 

「すいません中尉、あなたまで手伝って貰って…」

 

 

「あぁ、大丈夫です。荷物運びで身体を動かすことは私にとって、いい運動になりますよ」

 

 

その時、重巡足柄の艦橋と電信室で騒ぎが起こっていた。洋介が気になって作業を中断、通信室に行った。

 

 

「どうしたんだ!?」

 

 

「第3艦隊より緊急要請、ネウロイ襲来!ウィッチの援軍要請を求むと!」

 

 

「場所は!?」

 

 

「東北東、距離OOOOです!」

 

 

「くそっ!こんな時に…この距離から俺が近い、出撃する!!カタパルトの準備を!!」

 

 

「「 了解!! 」」

 

 

洋介は足柄のカタパルト付近で装備品の四式半自動小銃と九九式13ミリ機銃、ロケット弾。南部十四年式拳銃をホルスターに入れ、最後に愛用の軍刀鷹狼を帯刀。

 

略帽と飛行ゴーグル、左耳にインカムを装備、零式戦64型のユニットを履き、カタパルトに接続した。

 

 

「カタパルト接続、進路善し!発進どうぞ!」

 

 

「桜井洋介中尉、零戦64型。行きます!!(頼む愛機、間に合ってくれ!!)」

 

 

洋介が発艦、全速力で向かっている中。第3艦隊上空、中型、小型ネウロイの群れが襲来。雁渕孝美中尉の指揮の元で空母瑞鶴の艦載機が発艦した。

 

 

 

 

 

 北極海 

 

 

 

 

 

雁渕孝美はS-18対物ライフルを装備、中型ネウロイを固有魔法の魔眼でコアを狙い、次々と撃墜した。

 

 

「まず一機!」

 

 

激戦の中で護衛の駆逐艦が被弾、戦闘機隊の消耗が激しかった。

 

 

「はぁはぁ…数が多すぎる…!」

 

 

危機を感じた雁渕ひかりは練習用ユニットを履き発進しようとした所、ネウロイのビームが瑞鶴に被弾、ユニットは大破。使用不能になった。

 

 

「あぁっ!!…ユニットが……あっ…ネウロイ…」

 

 

ひかりは初めて目の当たりにする敵、ネウロイに恐怖する。

 

上空ではただ一人、孝美だけが飛行する。彼女は禁断の魔法を使った。

 

 

 

「行かせない!!…もう、…あれしかない…絶対魔眼!!」

 

 

 

瞳と髮が赤く変色、ネウロイのビームを集中的に狙い、孝美は縮小したシールドで防いだところで一本のビームが彼女の胸部に被弾。孝美は激痛に堪えながらも次々と撃墜。全滅させた。

 

 

 

空母瑞鶴

 

 

 

「敵編隊、全て消滅しました!」

 

 

「あの数で一気に…何が起きたんだ…!?」

 

 

「レーダーに反応!ネウロイ第2波編隊接近!!数5!」

 

 

「なに!?」

 

 

 

 

上空で孝美は息切れの中、彼女からもネウロイの編隊を視認した。

 

 

「ネウロイ…もう、これ以上は…」

 

 

ネウロイのビームが孝美を狙い撃った。すると

 

 

一発のロケット弾が飛翔、ビームの攻撃を阻止した。

 

 

「っ!?…なに…!?」

 

 

ロケット弾が飛翔した方向から一人の援軍である桜井洋介が飛来した。

 

 

「やらせるかっ!!そこっ!!」

 

 

彼は小銃と機銃で次々とネウロイを撃墜。最後の一機は軍刀で斬り落とした。

 

 

「…5機、全て撃墜完了!」

 

 

「…援軍…よかった…ひかり…よかっ…」

 

 

孝美は安堵したのか、ユニットが停まって落ちた。

 

 

「お姉ちゃん!!」

 

 

ひかりが孝美を呼んでも気付かない。そのまま海に落下を仕掛けた時、戦っていた洋介が孝美を空中で回収した。

 

 

「君っ!!しっかりしろ!!君!!いかん、血が…」

 

 

洋介は孝美を抱きながら介抱し、左腹部から流血。

 

 

図嚢から三角巾を取り出し、左手で強く圧迫、止血した。

 

 

「こちら、援軍のウィザード!負傷したウィッチを回収、共に緊急着艦されたし!!」

 

 

「『ウィザード!?…了解!!』」

 

 

「お姉ちゃん…」

 

 

ひかりが遠くから姉の孝美の無事を祈った。そして、洋介は彼女と緊急着艦。

 

 

「このウィッチは腹部を負傷している!担架を急げぇ!」

 

 

「はっはい!!」

 

 

「お姉ちゃん!!お姉ちゃん大丈夫!?」

 

 

「お姉ちゃん...君はこのウィッチの妹か。急いで医務室へ連れて行かねば!!…っ!?この反応は…ネウロイの巣!?」

 

 

洋介は波導でネウロイの巣を感じ、次々とネウロイが出現。危険を感じた洋介は急いで小銃と機銃に弾丸を込めロケット弾を装填、瑞鶴から発艦した。

 

 

「ネウ公共、俺が貴様らに地獄を見せてやる…ここで瑞鶴を、これ以上ウィッチと艦隊の犠牲を出してたまるか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、6人のウィッチが第3艦隊が到着するノヴォホルモゴルイに向けて飛行していた。

 

 

「直ちゃん、やけに張り切ってない?」

 

 

「扶桑から知り合いのウィッチが来るんだよね。確か……雁ぶち…」

 

 

「おう!孝美はおれのマブダチだからな!おれたちが着く頃にはネウロイはいねぇかもな!」

 

 

管野直枝少尉はヴァルトルート・クルピンスキー中尉とニッカ・エドワーディン・カタヤイネン曹長の質問にウキウキしていた。

 

 

「へぇ~♪可愛い娘だったらいいなぁ~♪下原ちゃんとジョゼちゃんは隊長から特別な任務を帯びていたんだったね」

 

 

「私は港で補給する物資以外、詳しく知らされていないけど定ちゃんが……」

 

 

「隊長の命令でブリタニアから502に補充する男性ウィッチを、ノヴォホルモゴルイ港へ迎えに行く様に指示を仰ぎました。」

 

 

「「「 男性ウィッチ!? 」」」

 

 

クルピンスキーの質問にジョーゼット・ルマール少尉があたふたする時、下原定子少尉の言葉で皆が反応する中、戦闘隊長のアレクサンドラ・I・ポクルイーシキン(サーシャ)大尉のインカムから無線が入った。

 

 

「えっ!?もう一度お願いします!…………はい、雁渕中尉が戦闘不能…!?」

 

 

「孝美がやられただと!?」

 

 

直枝は孝美が戦闘不能の情報に青ざめた。

 

 

「はい、……ウィザードが単独で艦隊を護衛……!?」

 

 

「「ウィザード!?…もしかして…例の男性ウィッチ…!?」」

 

 

 

 

 

扶桑艦隊上空ー

 

 

 

洋介の目の色が変色し、次々とネウロイを撃墜した。

 

 

瑞鶴 ー

 

 

「…あれが…杉田艦長の報告で、先のブリタニアの防衛とガリアを解放した、ウィザードの桜井洋介か…!?」

 

 

第3艦隊の乗員は士気高揚、ウィザードである彼を対空射撃で援護。

 

 

「これで20…撃墜……ん……瑞鶴からウィッチが…!?」

 

 

ひかりが姉のユニットの試作紫電改チドリで発艦、不安定ながらも飛行。

 

別方向から迫るネウロイのビームでシールドで防ぎ、対して対物ライフルで乱射を行っていた。

 

 

「わわっ!!…お姉ちゃんとあの人も何倍のネウロイと戦っているのに!!」

 

 

「君っ!!うしろだっ!!」

 

 

「え…?きゃっ!!…」

 

 

ひかりは洋介の言葉に反応して後ろを向いたところネウロイが彼女に衝突。飛行体制を整え、ひかりの目が一瞬ボヤけた時、何かを感じた。

 

 

「あれは!?」

 

 

ひかりは狙い撃った。だが、外れた。

 

ネウロイ2機が急旋回して、彼女に多重攻撃。シールドがビームに耐えきれずひかりが落下。

 

 

「あぁ…」

 

 

「っ!?やらせるか!!」

 

 

洋介はひかりを空中で確保した時、直上からの攻撃でネウロイが爆散した。

 

上空から6人のウィッチが援軍として飛来。もう一機のネウロイを協同で撃破した。

 

 

「…ウィッチの援軍か…助かったゼョ…」

 

 

「はぁはぁ…」

 

 

「君、助かったぞ!」

 

 

「…あ…ありがとうございます!…大丈夫です…私、飛べます…」

 

 

「孝美ーっ!!」

 

 

ひかりが息切れする中、援軍の中の扶桑のウィッチが二人に接近した。

 

 

「やっぱり、孝美がやられる訳…誰だてめぇ…?…もう一人は男…男のウィッチ…」

 

 

第3艦隊はノヴォホルモゴルイ港に到着。

 

 

502JFWの隊長、グンドゥラ・ラル少佐は険しい顔をしながら非常に残念な結果を受けた。

 

派遣予定のウィッチ雁渕孝美中尉は昏睡状態に陥っており、 彼女がいつ目覚めるかは不明であった。

 

 

「まさか、…あれを使ったのか…!?」

 

 

新たなるネウロイの巣が確認された以上、この港からの航路は使用不能。

 

孝美をそのまま扶桑に戻すことを決断した。

 

 

「ちょっと待てよ!孝美は俺たちと戦うためにここに来たんだろ!!」

 

 

「私も残念だ、…だが孝美はもう戦えない」

 

 

「くっ…!」

 

 

扶桑のウィッチ、管野直枝が反発してもなにもできず悔やんだ。その時ー

 

 

「お願いがあります!!」

 

 

502部隊のウィッチたちがひかりの方向を見た。

 

 

「私を、私を502部隊に入れて下さい!!」

 

 

「お前は…?」

 

 

「雁渕ひかりです!」

 

 

その名前にウィッチたちが反応した。

 

 

「私が、お姉ちゃんの代わりに戦います!!」

 

 

「雁渕孝美の妹…」

 

 

「てめぇ、孝美の妹だかなんだか知らねぇが、ろくに戦えねぇ奴が抜かすんじゃねぇ!!」

 

 

沈黙を破ったのは直枝がひかりに怒鳴り翔ばした。

 

 

「戦えます!!私もウィッチです!!」

 

 

「ふざけるな!!俺たちがいなければてめぇ死んでたぞ!!」

 

 

「じゃあ、じゃあっ!死ぬまででいいから戦わせて下さい!!」

 

 

「止せ!!」

 

 

洋介は二人の間に入り、制止した。

 

 

「君たち止すんだ、ウィッチの味方同士で争うのは止めろ!この状態で得するのは敵だ、ネウ公だ!!」

 

 

「「うぅ…」」

 

 

「あなたは…?」

 

 

「にほ…扶桑皇国海軍中尉、桜井洋介であります!」

 

 

「…桜井…?…っ!!あなたが世界初の男性ウィッチ…いえ、ウィザード!?」

 

 

「サーシャ、お前はどう見る?」

 

 

ラルはサーシャに彼ら二人の評価を尋ねた。

 

 

「妹の戦力としての評価はゼロです。ただ、私たちが到着するまで中型ネウロイを二体を相手に五分。彼、ウィザードの戦力は強大です。雁渕中尉に引きを取らないネウロイを撃墜しています。」

 

 

「生き残っていたか、…どう思うんだ先生」

 

 

「もう決めてらっしゃるんでしょ」

 

 

ロスマンはラルに笑みを返した後、二人に近づき宣告した。

 

 

「雁渕ひかり、お前を第502統合戦闘航空団の一員に迎え入れる。」

 

 

「えっ!?」

 

 

「えぇーっ!!」 

 

 

「ただし、戦いたければ強くなるんだ!」

 

 

「はいっ!!」

 

 

洋介がラルの言葉に耳を傾ける中、二人のウィッチが近づいた。

 

 

「桜井洋介中尉、私たちは中尉をお迎えに502基地へご案内します!」

 

 

「あぁ、ありがとう。ご苦労様です!」

 

 

「あの……予定の時刻に遅れて、大変申し訳ありません!!」

 

 

定子が洋介に謝罪する時に、身体が震えていた。

 

 

「構わない……あの緊急時で仕方ないことだ、少尉たちが援軍に来てくれたことは大変感謝しています!」

 

 

 

「………は……はい!!………///」

 

 

 

水平線に沈む夕陽に照らされる中で、定子の頬が赤面した。

 

 

 

 

 

 

 




オラーシャに到着した桜井洋介。

彼が、この空を飛び、地に足を踏んだ時に洋介の運命の歯車が動きだした。
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