ストライクウィッチーズ ~蒼空を舞う零の荒鷹~   作:鷹と狼

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第16話 野戦看護婦の慰問

 

 

 

スオムス ヘルシンキ 

 

 

連合軍北部方面総司令部

 

 

 

「以上が、報告です」

 

 

グンドュラ・ラル少佐、エディータ・ロスマン曹長が司令部に訪問、上層部のカールスラント陸軍エアハルト・フォン・マンシュタイン元帥、スオムス軍最高司令官クラウス・マンネルヘイム元帥報告した。

 

 

「うむ、では本題だが、ペテルブルグ軍集団が結成することになった」

 

 

「ペテルブルグ軍集団?」

 

 

「新しい巣『グリゴーリ』を、連合軍総力を挙げて叩くことに決定した。そのための軍集団だ。」

 

 

「ついに反攻作戦ですか」

 

 

「スオムス軍も協力するが、飛行兵力として、君たち502部隊にも協力して貰いたい」

 

 

「我々の部隊に?」

 

 

「そうだ、作戦の詳細は追って連絡する」

 

 

「「 了解! 」」

 

 

「ところで、ブリタニアの防衛、ガリアを解放した男性ウィッチ…いや、ウィザードと、勇猛と噂の扶桑のウィッチ?…えーと…」

 

 

「桜井洋介中尉、雁渕孝美中尉です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雁渕ひかりは基地施設で高い塔に登っていた。先端の軍帽を取りに行く為に。

 

発端は3日前、洋介と直枝の模擬戦の後だった。ひかりはロスマンとサーシャの指示で紫電改の試運転をした。

 

扶桑皇国が開発した新型ユニットと言うものの、ひかりはユニットに回転する数値がなく、十分な魔法力を注ぐことが出来ていなかった。

 

翌日、ひかりはエディータ・ロスマン曹長の指示で射撃場で13ミリ機銃を所持、的先の硬貨を狙い、単発で撃った。だが、外れた。

 

 

「魔法力が弱い…反動吸収ができていないわね。…五歩分前に出なさい」

 

 

「え、はっはい!」

 

 

ロスマンの指示通り、ひかりは五歩分前に移動。

 

 

「構え!撃て!」

 

 

「はい!」

 

 

撃ち、外れた。その繰り返しで的から外れた。そして

 

 

「あと五歩!」

 

 

「はい!」

 

 

その一発で的に命中した。

 

 

「当たった!」

 

 

銃弾が命中した距離は1メートルにも満たない距離であった。

 

 

「まさか、ここまでとは……あなたは絶対的に魔法力が不足しています。私が教える基準に全く達していません」

 

 

「じぁあ、テストは…?」

 

 

ひかりはどよめき、ロスマンからの結果が述べた。

 

 

「不合格!」

 

 

「じゃあ、だったら朝の走り込みを倍に増やします!そしたら魔法力だってきっと強く…」

 

 

「なるわけないでしょ!魔法力は先天的なもので、あとからどうにかなるものじゃないわ!」

 

 

洋介は射撃場の隅で軍刀の鷹狼の手入れをしていながらロスマンの解説を聞いて納得した。

 

 

「(へぇ~そうなのか……魔法力は個人の差によって違うのか~)」

 

 

「まだ、一週間ありますよね!テストを続けさせて下さい!」

 

 

「じゃあ、こっちに来なさい」

 

 

「はい!」

 

 

ロスマンはひかりの諦めない気持ちにより動き、次の試験所に移動する。そして、洋介は二人の後に着いて行くと共にニパと覗いていた。

 

 

「……ん?ニパか…」

 

 

「洋介さん、やっぱり無理かな…」

 

 

「ほらな!」 

 

 

「うわっ…!?」

 

 

「管野か」 

 

 

ニパの後ろから直枝が出てきた。

 

 

「言った通りだろ。洋介、ニパ」

 

 

「管野いつの間にいたの?…って、洋介さん…」

 

 

鷹狼を鞘に納めて、洋介は略帽を被って動いた。移動した場所は基地で一番高い塔だった。ロスマンは軍帽を塔の先に投げ飛ばし、先端に引っ掻けた。

 

 

「あれを取って来なさい」

 

 

「はい!ユニットを持ってきます…」

 

 

「飛んではダメです」

 

 

「えぇっ!?じゃあ、どうやって…?」

 

 

ひかりを制止させ、ロスマンが手本を見せた。

 

 

「魔法力を全身に回して、それを手足に分配。触れている箇所に制御をきちんとすれば登れるわ」

 

 

ロスマンは手足に魔法力を注ぎ、登って行った。洋介も近づいて俄然と見上げていた。

 

 

「そんなの、学校で習いませんでした!」

 

 

「ひかりよ、常に戦場は兵士の命懸けで学んでいく。そんな教本に書かれただけの内容で生きて戦えん」

 

 

「桜井さん…そうですね。無理なら国に帰りなさい。このテストに合格出来なければ、出撃は認めません!」

 

 

上から洋介の言葉を聞いたロスマンは降りて戻った。

 

 

「どうする?」

 

 

「やります!!(そうだ、やってみなくちゃわからない!!やる前に諦めちゃダメだ!)」

 

 

ひかりはロスマンの手本通りに手足に魔法力を注ぎ、登ろうとしたが直ぐに落ちた。

 

 

「いててて…」

 

 

「取れたら持ってきて」

 

 

ロスマンは宿舎に戻った。そして、洋介も試しに魔法力を手足に注ぎ、塔に戻った。

 

 

「おぉ〜凄いな!今までなかった試みだ。もしかしたら…」

 

 

「えぇっ!?」

 

 

その場にいたひかり、遠くから陰ながら見ていたニパと直枝は驚いた。洋介は魔法力を両足に注ぎ、足のみで立っていた。

 

 

「忍法壁掛けの術!!はっはっはっウィザードさまさま〜!あらっ…」

 

 

「「「あっ!」」」

 

 

洋介は塔を登ったり降りたり、回っているところ足を滑らせ落下、地面に激突した。

 

 

「洋介さん、大丈夫!?」

 

 

「あぁ…痛てぇ〜…なぁひかり、この1週間頑張れよ!君の健闘を祈る!」

 

 

「はい!!それに、洋介さんも医務室に行ったらどうですか…?」

 

 

「あぁ、俺は失礼する…」

 

 

洋介がこの場を去った後、ひかりは日が暮れるまで繰り返し、特訓をしていた。夕食時、ひかりは特訓続きで痙攣を起こしていた。

 

 

「痺れる~」

 

 

「痙攣だな、今は慌てずゆっくり食べろ」

 

 

「食わねぇならおれが食おうか?」

 

 

洋介は心配しながら励まし、直枝は冷やかした。

 

 

「た、食べますよ!」

 

 

ひかりはスプーンでスープを掬った途端に手が震えて、直枝にスープが懸かった

 

 

「熱ちぃ~!」

 

 

「わっ!すいません!」

 

 

翌日、ひかりは今日も頑張って塔を登っていた。昨日より魔法力が安定、塔の中間部まで登りつめた。

 

 

「ひかり、頑張れよ!」

 

 

本日の洋介は、整備員からドラム缶を受領。ウィッチが使用しているサウナ場を隣接して脱衣室と浴場を構築した。

 

 

「洋介さん…うわっ!」

 

 

ひかりは足を滑らせ、地面に落ちた。

 

 

「痛った~お姉ちゃん……うぅ…ん…桜の御守り…?」

 

 

ひかりはスランプ気味になりかけた時、石畳の上に桜の御守りを拾った。

 

 

「あなた、どうしたの?」

 

 

ひかりの前に現れたのは、紺の外套を着た、長い黒髪で美しい扶桑人の野戦従軍看護婦だった。

 

 

「あなたは…?」

 

 

「私はこの通り、看護婦ですよ」

 

 

「看護婦さんが…なんで…?」

 

 

「悩みがあれば話なさい。心をケアンズすることも看護婦の仕事ですよ」

 

 

ひかりは看護婦に色々と悩みを相談した。

 

姉の負傷や自身の魔法力が弱いこと、仲間の足を引っ張っていることなど

 

 

「そうなんだ…でもさっき担当教官の言う通り、戦場で教科書通りにいく訳にいかない。例え強者で戦場に行っても敵の的になるだけだわ」

 

 

「っ……でも、私は戦いたい!お姉ちゃんのようなウィッチに!」

 

 

「でも、ひかりさん。私は魔法に関してわからない……人には完璧なところはないのよ。これだけは約束して、命はただひとつだけ、あなたの親愛する仲間や家族、お姉さんの為に戦い、生きるのよ!」

 

 

「…はい!…あの、看護婦さんも…」

 

 

「……そうね、私の親愛なる人も、幼かった頃、ドジなところもあり、強くて優しい。私が海に溺れた時や戦闘機パイロットなった時、空襲で助けてくれた…///」

 

 

 

「っ!?空襲…?看護婦さんが愛した人はどこに…?」

 

 

「うふふ、今でも大空を飛んでいるわ。この世界を守る為に戦っているのよ」

 

 

「おーい、ひかり!」

 

 

「おめぇ、なにやっているんだ!?」

 

 

ひかりが看護婦との思い出話しを語っているところに、ニパと直枝が様子を見に来た。

 

 

「ちょっと休憩です。看護婦さんの指示で…」

 

 

「看護婦…?」

 

 

「どこに看護婦がいるんだよ…?」

 

 

「え…?」

 

 

ひかりが振り帰ると、看護婦の姿は消えていた。

 

 

「あれ…?確かに看護婦さんが…」

 

 

「おめぇ、頭大丈夫か…?」

 

 

「ねぇ、ひかり。サウナ行こうよ」

 

 

「サウナ…?」

 

 

ひかりは看護婦が何故いなくなったのか気になりながら、桜の御守りを握り締めながらポケットに入れた。

 

 

 

3日目 執務室

 

 

 

ラルとロスマンは紅茶が入ったティーカップを片手に飲みながら執務室から見物した。

 

 

「まだやっているぞ」

 

 

「昨日より上に行きましたね」

 

 

「もし、やり遂げたらどうする?…落ちた…」

 

 

執務室の扉から叩く音が聞こえ、洋介が入室した。

 

 

「失礼します!哨戒の報告書を提出に参りました!」

 

 

「ご苦労だ桜井。この502部隊に配属して助かっているぞ」

 

 

「はっ!では…あ...ロスマン先生」

 

 

洋介は報告書を提出後、執務室から退出しようとした時にあることを思い出してロスマンに尋ねた。

 

 

「御守りを知りませんか…?」

 

 

「御守り…ですか?」

 

 

「はい、桜の形をした」

 

 

「……いいえ、見ていません…どうして御守りを探しているのですか…?」

 

 

洋介は半ば困り顔になり、ロスマンが相談に乗った。

 

 

「雁渕ひかりが合格できるように、と…思ったのですが、無くしたみたいで…」

 

 

そう、1日目の時、洋介が塔で調子に乗って走り回っていた時に、滑った拍子にポケットから落ちたのであった。

 

そして、ひかりが洋介の桜の御守りを拾ってポケットに入れた。

 

 

4日目、ひかりは御守りを握りながらあることを考えた。

 

 

「そうだ!」

 

 

遠くから見物したニパと直枝は頭を傾げた時、ひかりは靴を脱いで登った。執務室から見ていたラルとロスマンが見物した。

 

 

「そうきたか…」

 

 

「落ちた…」

 

 

5日目、ウィッチたちが食事する中で、ひかりは絶食した。

 

 

「どうしたんだひかり、食べないんか?」

 

 

「えへへ、ちょっとでも軽い方が登れるのかなって…」

 

 

「お前は超弩級の馬鹿だな」

 

 

その後、ひかりは塔に登ったもののずり落ちた。

 

 

「ダメだぁ~…お腹が減って全然力が出ないぃ~…」

 

 

6日目、ひかりは昨日の反省を活かして、食物をたらふく摂取した

 

「やっぱ、沢山食べないと!」

 

 

彼女は今日も塔に登っている.毎日、ニパと直枝が見守っていた。

 

 

「流石に疲れてきてるね…」

 

 

「連日魔法力を使いきるようなことをしているんだ!普通じゃねぇ…」

 

 

「あ…止まった」

 

 

ひかりは塔の中腹辺りに止まり、落下した。

 

 

「う…わぁっ!!ひかりっ!!」

 

 

ひかりが地面に激突仕掛けた時、直枝がシールドを貼りながら受け止めた。

 

 

「寝てやがる…」

 

 

直枝とニパはひかりを自室まで運び、ベッドに寝かせた。

 

 

「ったく、世話掛けやがって」

 

 

直枝は廊下でロスマンにそのテストの意味を質問した。

 

 

「あんなテスト、なんの意味があんだよ…」

 

 

「彼女を心配してるの?」

 

 

「ちげーよ、でも…」

 

 

「塔の上の帽子を取って来れば、出撃させる約束です。あれぐらい出来ないのなら、出撃して死ぬだけです」

 

 

ロスマンはその場から去った。満月の夜で、ひかりの部屋で看護婦が椅子に座っていた。

 

 

 

「看護婦さん、わたしはなんで部屋に…?」

 

 

「お疲れ、ひかりちゃん。塔に教官が待ってるよ」

 

 

「はい、ありがとうございます!行ってきます」

 

 

すぐさまひかりは部屋を出て、訓練課題をやろうとする。そして、塔に触れようとした時に、後ろから声を掛けられる。

 

 

「こんな時間からやるつもり?」

 

 

ひかりは声のした方向を向く。

 

 

「ロスマン先生」

 

 

「ちょっと付き合いなさい」

 

 

ひかりはロスマンから将来を聞かれたり、彼女の教官としての経験で、魔法力が弱いひかりのようなウィッチを育てたが二度と空を飛ぶことはなかったと、苦い話をした。

 

 

「戦場では能力がない者は、本人も悲しい思いをするのよ」

 

 

「…でも、その娘は悲しかったのかな?」

 

 

「 ! 」

 

ひかりの言葉はロスマンを驚かせた。その言葉は今まで彼女が考えたことのないものだった。

 

 

「先生!わたしも他の人の迷惑になるなら扶桑に帰ります。でも、ちょっとでも戦力になる見込みがあるなら、ここにいたいんです!」

 

 

「それなら…」

 

 

「わかってます!帽子を取るんですよね?最後の最後までやらせて下さい!」

 

 

ひかりは自分の思いをロスマンにぶつけた。そして、ロスマンは折れた。

 

 

「もう好きにしなさい」

 

 

「はい!」

 

 

そう優しく言うロスマンに、ひかりも返事した。そして、ひかりがいなくなった後、ロスマンは立ち止まりながら声を発した。

 

 

「盗み聞きとは関心しませんね、桜井さん」

 

 

「すみません、あまり眠れなくて…盗み聞きするつもりはなかったんですが、出づらい雰囲気だったので…」

 

 

洋介はそう言ってロスマンは歩きながら彼の所へ行く。横に並んだ二人はペテルブルグの無人の街を見る。

 

 

「いいんですか?止めることだと考えましたが…」

 

 

「あの娘の諦めが悪いからです。いずれ猶予は明日まで、それによって決まります」

 

 

「そうですか。僕も内地に帰国、一時教官を務めましたが大変ですよね」

 

 

「えぇ、桜井さんはネウロイがいない世界の戦争は……?」

 

 

ロスマンからの質問で洋介は戸惑い、言及した。

 

 

「…お国の為に言えども…母国の初空襲で1機の爆撃機の撃墜以来、僕の手は血に染まっています。幾つかの敵戦闘機や爆撃機の撃墜。味方の編隊や艦隊護衛、拠点の守備と母国の防衛…見たくもない屍を目撃しました…国や仲間を守るとは言え、多くの敵の命を奪ってきた」

 

 

「………そんな………」

 

 

「…人を助けるために、国を守る為に人を殺す。…戦いが進むに連れて、残虐非道で十死零生の作戦も…」

 

 

「十死零生…もしかして…!?」

 

 

「敵の艦艇や重爆撃機、拠点への体当たりでの自殺攻撃、特別攻撃隊こと特攻隊です」

 

 

「……特攻隊…!?」

 

 

「作戦の成功=死です…」

 

 

洋介の経験談を聞いたロスマンは口には出さなかった。

 

 

 

翌日、試験最終日。この日は生憎の曇りであり、強風が吹いていた。ひかりは決して諦めずに塔を登り続けている。

 

だが、不利な天候であるにも関わらずネウロイ襲来のサイレンが鳴った。

 

 

『東方から急速に接近する中型ネウロイを確認!総員緊急出撃!』

 

 

「ネウロイだ!管野、ニパ!」

 

 

洋介は走って格納庫へ行き、ユニットを履く。直枝やロスマン、ニパもユニットを履くが、彼女にはひとつ心残りがあった。

 

 

「一緒に出たかった…」

 

 

ニパはひかりと一緒に出撃したいと思っていたが、それは叶わなかった。

 

そして3人は離陸するが、離陸をしてすぐ、直枝は何かを思い出したかのように言った。

 

「ちょっと忘れ物した!」

 

「お、おい管野?」

 

「行かせてやれ!」

 

そう言って戦列から離れる直枝。ニパはその行動に驚くが、洋介は察したのかそのまま行かせた。

 

そして、暫く洋介たちがネウロイの出撃地点に向かっている時、後ろから直枝が追い付いた。

 

 

「もういいのか?」

 

 

「あぁ…」

 

 

洋介が直枝に聞くと、彼女は返事を返した。

 

心なしか、その声には喜びを感じ取れた。その様子から、どうなったかを理解した。

 

そしてついに、洋介たちはネウロイを発見した。

 

 

「ネウロイ発見!」

 

 

「管野一番、出る!」

 

 

直枝が威勢よく言い先行していく。それに続くように洋介たちもついていく。

 

 

「前衛は攻撃、中尉たちは攻撃を!」

 

 

「「「 了解!! 」」」

 

 

「任せろ!」

 

 

サーシャの指示に従い、洋介はクルピンスキーと共に前衛を援護をする。

 

直枝は上昇した後、急降下を開始。そして高速で急降下しながらネウロイに向けて銃弾を放ち、そしてネウロイの前方を通過する形で急降下していく。

洋介は一連の動きを見て、直枝の類いまれなる才能を見る。

 

 

「(ふっ、重爆撃機を撃墜した戦術だな)」

 

 

波導で感じながら分析した。

 

嘗て洋介は本土初空襲でB-25。ラバウル時代の対重爆撃機対策としてB-17やB-24、B-26。本土が本格的な空襲でB-29を撃墜した戦術。

そんな直枝に、ニパが注意する。

 

 

「先行し過ぎだよ!」

 

 

注意しながらも、ニパは攻撃を続ける。

 

洋介はネウロイのコアがあろう地点を予測して引き金を引く。しかし、ネウロイは未だに破片に変わらない。その時だった。

 

 

「あれ?ひかりだ!?」

 

 

ニパが戦闘中、基地の方角から飛んでくる二つの影に気づく。一つはロスマンであり、もう一つはなんとひかりだった。

 

 

「ふんっ、遅せぇんだよ!」

 

 

「だが、よく来た!」

 

 

直枝がそう言うが、その言葉はどこか嬉しそうだった。そして洋介も、ひかりの登場に同じように言った。

 

そしてひかりはネウロイに向かって飛行する。無論ネウロイも攻撃を仕掛けるが、ひかりは攻撃を堅実に、そしてしっかりと回避、そしてネウロイに接近していく。

 

 

「前のひかりとは比べ物にならない程動きがよくなっている!」

 

 

「紫電改の動きがしっかり回っている!力を集中させているんだ!」

 

 

「あの訓練のおかげ?流石ロスマン先生!」

 

 

洋介は以前の艦隊上空やテストをしていたひかりとは全然違う飛行に純粋に驚き、直枝とニパはひかりを指導したロスマンを称賛した。

 

そしてひかりはネウロイに急接近をして引き金を絞る。弾丸は着実に飛来、その装甲を削る。

 

しかし、ひかりは側面に気を取られ、後ろに迫るネウロイの尾翼に激突する。衝撃によってはじき出されるひかりだが、ここで彼女は変化を感じた。

 

 

「コアが…見えた!」

 

 

ひかりの目には、ネウロイの弱点であるコアが見えた。そしてひかりはその位置に機銃を向けて発砲した。周りのウィッチたちは、ひかりがコアを見つけたのを知り、一斉にひかりが撃っている位置に向けて発砲した。

 

洋介も四式小銃で狙い撃っている時、波導で先の位置を感じた。

 

 

「…っ!ネウロイが左旋回するぞ!」

 

 

「「「 えっ!? 」」」

 

 

突然の洋介の言葉に周りは驚くが、その言葉通りにネウロイは左旋回を行った。

 

その景色が既に見えていた洋介はすぐさまネウロイの進行方向に先回りして13ミリ機銃で銃撃、進路を拒ませた時にメンバーがコアを狙い撃って破壊され、その姿を破片に変えた。

 

戦闘が終了、全員が集まる。

 

 

「ひかり凄い!」

 

 

「ビギナーズラックってやつか…」

 

 

ニパと直枝がそう言う横で、洋介はひかりに詰め寄る。

 

 

「よくやったなひかり、君はコアが見えたのか?」

 

 

洋介はひかりに聞いた。

 

 

「はい、見えました!前と同じぶつかった時に見えたのです!」

 

 

「(…ぶつかった時)」

 

 

ロスマンはひかりの言葉を聞いて、考える。

 

 

 

そして基地に帰投した後、ひかりはロスマンに連れられ隊長室に来た。そして、ロスマンは今回の戦闘で起きた現象を隊長のラルに話した。

 

 

「…確かなのか?」

 

 

「えぇ、どうやら接触することでコアが見えるそうです」

 

 

「噂に聞いたことがある」

 

 

ロスマンの説明を聞いて、ラルも過去に聞いたことを思い出す。

 

 

「雁渕ひかり、お前には『接触魔眼』の固有魔法があるようだ」

 

 

「接触魔眼!?」

 

 

「だが、絶対に使うな」

 

 

ひかりは自身に固有魔法があると聞いて嬉しくなるが、ラルが釘を刺す。

 

 

「え、何ですか?魔眼があれば…」

 

 

「無駄に命を捨てるな!」

 

 

ひかりは何故と聞くが、ラルの覇気のある言葉に口を止める。あの看護婦と同じ言葉を言われたことを思い出した。

 

 

「何のために、孝美はあの技を使ったと思っているんだ」

 

 

「あの技?」

 

 

「『絶対魔眼』だ、聞いていないのか?」

 

 

「心配掛けたくなかったのね…」

 

 

その様子をロスマンはそう解釈した。

 

 

「リバウの戦いで聞いた話しだが、通常の魔眼では捉えない特異型や複数のネウロイのコアを一瞬で特定出来る必殺の技だ」

 

 

「ただし、肉体と精神の負担が大きく、シールドの能力も著しく低下するから、援護なしでは自殺行為に等しいわ」

 

 

「お姉ちゃん…あの時そうだったんだ…」

 

 

ひかりは姉があの時に行っていた行動の正体とその真意を知り、瞳を揺らす。

 

 

「いいか、接触魔眼は禁止だ。いいな。」

 

 

「…わかりました。あと、わたしを励ましてくれた扶桑の長い黒髪の看護婦さんにもよろしく伝えてください。」

 

 

ラルは念を押すように言い、ひかりはそれに返事して隊長室から退室した。

 

 

「なぁ、エディータ…この基地に扶桑の長い黒髪の看護婦は配属しているのか…?」

 

 

「いいえ、いません……ひかりさんが見たのは……なんてまさか……」

 

 

「………………………」

 

 

ロスマンの言葉に恐怖を感じ、ラルは青ざめた。

 

 

洋介は川の水を満杯にしたドラム缶風呂に火を沸かしながら、ひかりが側で相談していた。

 

 

「へぇ~接触魔眼か…君のお姉さんと、俺の上官の坂本さんに匹敵する能力とは、凄いなぁ~」

 

 

「でも…隊長から禁止を受けたのですよ…」

 

 

「ラル隊長の言ってることは、それまで大事なところまで温存して置けってことだ」

 

 

「えっ!?」

 

 

「次に使える場面は必ずある。それまで保証するゼョ……」

 

 

「はいっ!あの、洋介さん…ドラム缶風呂が沸いたら入浴していいですか?」

 

 

ひかりの言葉を聞いた洋介は悩んだ。

 

 

「ん~そうだな…わかった、今日はひかりが善戦した褒美だ!」

 

 

「やった~♪一番風呂だ~♪…だけど覗かないでくださいよ~!」

 

 

「はいはい、軍曹(やれやれ、せっかく風呂場を築き、沸かしたドラム缶風呂をヒヨッコに一番風呂を譲らせるとは…)」

 

 

 

内心、一番風呂をひかりに譲り、ショックを受けつつ、釜戸に薪を積み上げれる洋介であった。

 

しかしこの後、扶桑出身の直枝と定子も入浴しに来た、自身が最後に入浴するのは、まだわからなかった。

 

 

 

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