8月18日
北海道 海軍千歳航空隊
「桜井中尉、沖田少尉!ご武運を!!」
「てやんでぃ洋介、進次郎!必ず生還しろ!!」
「一平、トチローさんありがとう。桜井洋介、零戦64型、行きます!!」
「お互いに任務を遂行するぞ一平!沖田進次郎、発進します!!」
桜井洋介は愛機の発動機が唸る零式艦上戦闘機64型に搭乗し、僚機はソロモン海戦から戦ってきたラバウル六勇士のベテランパイロット、沖田進次郎少尉と共に北海道の千歳海軍航空隊の滑走路を走り、離陸した。
千歳基地の紫電のパイロット里見一平と秋山敏郎整備員たちと関係者が帽子を振り、見送った。
千島列島の中間上空を飛行中、東の海と空から朝日が昇った。
「……今、見られる空の朝日が最後だな…雪…亜弥……」
二機は一旦、幌筵島の飛行場に着陸、燃料を給油。完了次第、北方の島、濃霧が漂う占守島へ向かって飛行した。
離陸して3分後、島の竹田浜上空にソビエトロシア軍戦闘機ミグ10機がカムチャッカ半島から飛来した。
こうして、終戦直後で最初と最後の空中戦が始まった。
「そこっ!!」
ギュオオオオオオオオン ダダダダダダ ドウウン
「よしっ、最後の1機を撃墜!!」
ギュイイン
『「桜井さん、さすがは新型ですな!……64型がもっと早く戦場に出ていれば…」』
「言うな進次郎、…戦争は終わった………だが、今は火事場泥行為の露助の進行を食い止めて、守備隊を援護、戦死した幸吉の故郷を守らねば!!…っ!?…増援だ!」
上空の敵機が殲滅寸前の頃、地上の戦車隊が爆撃機1機の襲撃を受けて危機に瀕し、気付いた洋介は爆撃機を目標に急降下して銃撃した
ダダダダダ
「クソっ装甲が厚い、流石は空飛ぶ戦車シュトゥルモビク、後部銃座も厄介だ………」
シュトゥルモビクの防御で機銃では撃ち抜けず、洋介は翼にロケット弾の発射を準備、照準に捉え、射った。
「喰らえ!!」
バシュッ ドウウン
「やったか……ぎゃっ……」
ロケット弾でシュトルモビクを撃墜。だが、撃破した敵機の部品が飛び散り、風防の防弾ガラスに当たり、割れた破片が洋介の左目元を引き裂き、流血で意識が危ぶまれていた
『「桜井さんっ!!…桜井さんっ!!」』
「……ぐ………左……目……やら……れ…た…」
『「幌筵島の飛行場へ、俺が誘導します!」』
「…頼…む…………すま…な……い…(厚木隊長……沖田さん…虎雄…幸吉……トチローさん……トチコさん……父さん…母さん…志帆姉さん、勇介、……雪……亜弥…僕は…)……進次郎…………………」
『「桜井さん、…必ず、雪さんと娘さんの亜弥ちゃんの元へ帰って下さい!この空で死んだら、承知しませんよ!!」』
『…あぁ…必ず…雪と……亜弥の元へ……ザザ…ガガー……」
洋介の意識が朦朧していると突如濃霧が発生して、2機は進路を変えずに霧に突入、突き抜けたのは沖田進次郎少尉の零戦1機のみであった。
「……っ!?…中尉っ…桜井中尉……………桜井…さん………桜井さん……桜井さんっ!!…洋介さん…洋介さん!!」
進次郎は無線が切れた空域へ引き返し、空と占守島、海上を至るまで探した。だが、どんなところを探しても遺体どころか、機体の破片すら存在しなかった。
「……洋介さん…すみません…」
進次郎の零戦の燃料が危うく、北海道の千歳基地へ引き返した。
この時点で、米英露の航空機を108機を撃墜した日本海軍中尉、桜井洋介は千島列島上空で消息不明。
だが、桜井洋介は新たなる戦場へ飛び立ったのであった。
ラバウル六勇士のパイロット、桜井洋介はある空へ飛んでいた。
機械の箒を履く、魔女の空へ