ストライクウィッチーズ ~蒼空を舞う零の荒鷹~   作:鷹と狼

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第18話 極寒の再会 後編

 

 

 

 

 

 

その頃、戦車の中で暖を摂って眠っている少女は夢を見た。広島の呉郊外で父母と過ごした最後の1日だった。

 

 

 

 

 

1945年 7月23日

 

 

 

 

「よーしよし亜弥!お父さんだ!」

 

 

「ふふふ~♪」

 

 

母親は従軍看護婦、父親は軍刀を帯刀した特務士官、敏腕の戦闘機パイロット。二人は休暇で咽やかな道を家族水入らずで歩いていた。

 

 

「あなた、この戦争はどう思う?」

 

 

「もうすぐ戦争の終わりが近い、終わったら雪と亜弥の為に精一ぱ……」

 

 

「この非国民が!!」

 

 

家族の雰囲気を突如壊された。この先の道でガラの悪い警察官がリヤカーに荷物を引いた夫婦子連れの家族の主人を暴行していた。

 

 

亜弥がその恐怖で泣いた時、父親はその光景を目にして、その場所に駆けつけた。

 

 

 

「そこの警官、止めんか!!」

 

 

「何者だ!?」

 

 

「海軍少尉、桜井洋介だ!!」

 

 

「少尉…失礼しました!!」

 

 

警官は洋介が海軍軍人の身分であることに驚き、慌てて敬礼した。洋介は警官から事情を聞いた。

 

警官からは家族ぐるみで闇から食料の芋を入手したのを検問。だが、警官は家族の尋問の時に、父親が自身の子供に芋を食べさせた時に怒り、暴行。

 

 

「…なるほど…だが貴官は、家族が食糧を調達した場所、闇物資だと言う証拠を掴んだのか!?」

 

 

「…はっ、その…」

 

 

その時、戦場で戦い抜いた洋介は察した。

 

大した取り調べをせずに暴行、この時代で食糧が不足気味、尋問の行動を偽り、暴行、強奪しようとした。

 

洋介の言葉で警官は冷や汗を掻き、たじたじになった。

 

 

「…この家族が入手した行き先を取り調べ、私と共に捜査に向かうぞ!」

 

 

「な…なんの権利があって…」

 

 

「命令だ!!」

 

 

「はっはい!!」

 

 

警官は直ちに家族の父親から入手した住所を入手、洋介は警官とその住所先を捜査。気の毒でありながら、雪は亜弥と抱きながら家族を見張っていた。

 

 

「皆さん、申し訳ありません。軍人の妻として見張らして頂きます」

 

 

「いえ、あの…主人と子供たちを守って頂いたことでも感謝しています…」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「「 お姉ちゃん、ありがとう! 」」

 

 

家族の妊婦の母親と姉弟三人は旦那の代わりに感謝を述べた。

 

 

「あの、旦那さん…お怪我を、手当てをします。あたしは看護婦です」

 

 

雪は亜弥を妊婦に預け、常に所持している携帯用医療道具で消毒薬とガーゼを取り出し、手当てを施し終えた頃に洋介と警官が戻ってきた。

 

そして、家族は無罪に終わった。

 

 

「ありがとう、ありがとうございます軍人さん!」

 

 

家族一同、涙ながら桜井一家に感謝の言葉を述べられた。

 

 

「いえ、長い間戦場で戦ってきた感が働いただけです。それに、弱き者を助けるのが、私の役目です。最後に、これを譲ります」

 

 

洋介の図嚢から酒保で購入した希少なミルクキャラメル三箱を取り出し、三人の子供たちに譲った。

 

 

「やったー!キャラメルだ!」

 

 

「ありがとう!軍人のあんちゃん!」

 

 

「いやいや、君たち元気でな。では失礼します!!」

 

 

洋介は家族に敬礼、家族はその場を去り、呉へ帰投した。亜弥の僅かな記憶でありながら、正義感の強い父親の勇士を目の当たりにした。

 

 

三人は呉の旅館に宿泊。宿泊した家族水入らずの部屋で川の字で眠ったのも最後だったのかまだ分からなかった。

 

 

24日 蝉が騒ぐ中、何かに反応したのか、洋介は起き上がった。

 

 

「雪、空襲だ!急いで防空壕へ!」

 

 

「えぇっ!?…あなたは基地に…!?」

 

 

「そうだ、僕はこの軍港と君と亜弥を守るために飛ばねばならない!」

 

 

「…洋介さん…、この娘のために生きて還ってね…」

 

 

洋介は黙りながら妻子を優しく抱き締めた。腰に帯刀していた短剣を妻の雪に手渡した。

 

 

「必ず、帰ってくる。それまでに、この誓いの短剣をお願いします。僕は愛する雪と、幼い娘の亜弥のために。じゃあ…行ってきます!」

 

 

洋介が二人に背を向けて出て行った後、空襲のサイレンが鳴った。

 

それが、妻子が見た最後の姿であり、まだ産まれたばかりの幼い女の子は徐々に父親の顔を思い出した。

 

 

「(…お…父…さん…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、洋介は夢を見た。

 

 

雪が舞う北海道の小樽、ある住宅の母親が危篤、知人らが囲む中、布団で横になっていた。

 

 

 

1954年 12月

 

 

 

「お母さん…!」

 

 

「………亜弥……わたしが何か…あった…ら……御守りと…短剣…をお願い…」

 

 

「…うん!…」

 

 

「…わたしの分も…お父さんと生きて…生きて……」

 

 

「…お母…さ…ん…お母さん!…お母さん!!」

 

 

その娘の母親がある言葉を残し、静かに息を引き取った。その娘は悲しみに暮れて泣いた。

 

 

「(…雪…そんな…)…雪…!!……夢……なのか……」

 

 

洋介は目を覚ました。密閉した戦車の中で偵察メンバーと一晩過ごしたのだった。

 

ひかりとジョゼは女の子を挟んで暖を摂り、定子に関しては互いに裸体で暖を摂っていた。

 

 

「おいおい…///、…下原さん…起きてください…」

 

 

「…う…うん…桜井…さん…?」

 

 

「…その…なんで君は…///…それは後に、…軍服を着用して状況の説明を…」

 

 

洋介は静かに定子を起こして、お互いに軍服を着用する。

 

 

ひかりとジョゼを起こし、洋介の携帯する乾パンで軽い朝食を摂り、お互いに戦況を報告、検討した。

 

 

「なるほど、…そんなことが…ひかりとジョゼの関係がよくなってホッとしたぜ…」

 

 

「桜井さんも、このペトロザヴォーツクの郊外に扶桑の少女を…」

 

 

「そうですね、…在留していた少女が引き返したにしても…なんで、狼と一緒なのか…」

 

 

幾つかの疑問で悩める中、洋介たちは戦車から出た。既に外は晴れており、吹雪が止んだという証拠だった。

 

 

「ペテルブルグの方は真っ暗、猛吹雪に包まれているみたいね」

 

 

「この吹雪がやんだってことは…」

 

 

「ネウロイが移動したのね」

 

 

定子の固有魔法、遠距離視により、ペテルブルグでの吹雪が観測される。そしてそれは、あのネウロイが移動したことを意味していた。

 

 

「じゃあきっと、基地の皆さんが気付いて出撃してますよ!」

 

 

「それはどうでしょう…」

 

 

ひかりが希望的に予測するが、定子はそれを否定した。

 

 

「ネウロイは雲に隠れてて基地からは見えないし、レーダーにも映ってないかもしれない…」

 

 

「それに、あの猛吹雪じゃ飛べないはず…と、考えるとネウロイのことを知っているのは多分、…私達だけ……」

 

 

ジョゼと定子の分析により、現状を知るのはこの4人だけという結論に至った。

 

 

「じゃあ、4人で倒しましょう!」

 

 

「そうだな、俺の四式半自動小銃と十四年式拳銃、軍刀はまだある。」

 

 

「でも、近づいたらまたあの冷気で凍っちゃう…」

 

 

洋介はひかりの言葉に提案して所持する武器を手にした。

 

大した武器も無く、ユニットを凍らせて来るネウロイの存在に対してなす術が無い。

 

 

「ウィッチに不可能は無い」

 

 

「「 えっ? 」」

 

 

突然、定子が言ったことに、二人は何を言ったのかと思い反応した。

 

 

「私の上官の口癖です…そうですね。やってみましょう!」

 

 

「そうと決まれば、早速準備に取り掛かるぞ!」

 

 

「「「 はい!! 」」」

 

 

そして、4人は準備を開始した。

 

4人はそれぞれ、ユニットを温め解凍する。ユニット凍防止対策のために周りにテープを巻く。

 

ガラスの熱割れの原理を利用したネウロイ攻撃を考えてる。そしてその材料に戦車の燃料を使い、その露出したコアを、洋介の図嚢に入っていた、たった一発のロケット弾を四式小銃の銃口に設置した。小銃を任されたのは、下原定子であったが、彼女は困惑した。

 

 

「あの…桜井さん、…なんで私が…」

 

 

「さっき言った上官の口癖は、坂本少佐のだろ」

 

 

「…っ!だったら…なんで…?」

 

 

「僕の右手と腕は落下の影響で曖昧になってしまった。それに下原さんは、坂本さんの部下なら直のことだ!プレッシャーを与えるかも知れないが、君なら出来ると信じている」

 

 

「わかりました!!………桜井さん、…この任務が終わったら、私と付き合ってください!///」

 

 

「…///…任務が終わったらな…定子…///……出撃!!」

 

 

「「「 了解!! 」」」

 

 

洋介はやや赤くなった。

 

洋介、定子、ジョゼ、ひかりはあの扇風機型ネウロイの討伐の作戦を練り、そして出撃した。

 

 

その出撃を戦車で待機した少女とエゾオオカミが静かに見守った。

 

 

「…お父さん…あのお兄さん、お姉さんたちを見守って……」

 

 

こうして、4人は離陸を開始した。そしてそのままネウロイの方向へ向かう途中、彼らは衝撃の光景を見た。

 

 

「見てください!ラドガ湖が!」

 

 

「カチカチだ…」

 

 

まだ凍らないと予想されていたラドガ湖が凍っていたのだ。

 

無論、この原因はあの扇風機型のネウロイによるもので、そして4人はそのままネウロイのいる雲に突入した。

 

 

「さ、寒い…!」

 

 

「桜井さん、定ちゃん、急がないと!」

 

 

ひかりは雲の中の寒さに身体を震わす。そして、ジョゼは既に凍り始めているユニットを見て洋介と定子に注意をする。

 

そして、ついに4人はネウロイの位置に到着した。洋介とひかり、ジョゼは定子から離れて攻撃の体勢を整えた。

 

 

「攻撃開始!!」

 

 

「「えいっ!」」

 

 

ひかりとジョゼは洋介の合図で戦車の中にあった薬莢に入れた即席の燃焼材を、ネウロイの上に思い切り投げた。

 

 

「そこっ!」

 

 

そして、洋介は燃焼材に向けて拳銃を乱射、拳銃弾が命中して誘爆。瞬く間にネウロイは火だるまになり、表面を削りコアが露出した。

 

 

「あっ、あそこにコアが!」

 

 

「えぇっ!」

 

 

ジョゼの指示で定子が四式小銃を構えて狙いを定める。

 

しかし、ユニットが凍り突如魔導エンジンの回転が停止、そして定子はバランスを崩して狙いが定め難かった。

 

 

「そんな、もう凍り始めてる!」

 

 

「私は下原さんを支えます!ジョゼさんはユニットを温めてください!!」

 

 

ひかりが定子のユニットを支える。しかし、ジョゼは困った様子で言う。

 

 

「駄目!誰かが怪我してないと、治癒魔法が使えないの!」

 

 

「えっ!?だったら…!」

 

 

突如、ひかりは定子のユニットに頭部を思い切り叩きつけた。その行動を見ていた3人は驚いた。

 

 

「雁渕さん!?」

 

 

「痛って…これでいいですか!?」

 

 

「う、うん!」

 

 

ひかりの突然の行動に困惑するが、自分の身を削ってまで戦うひかりを見て、ジョゼもすぐに治癒を開始した。そして、治癒魔法の熱はユニットに伝わっていき、少しづつ解凍をしていく。

 

 

「これで少しだけ飛べるわ!」

 

 

「ありがとう、2人とも!」

 

 

定子は感謝したものの、まだ不安が残り手が震えた。

 

そして、洋介は定子の肩に左手を支え、自身の波導を彼女の魔法に組み合わせた時に、定子の眼からロケット弾の弾道予測が見えた。

 

 

「落ち着け、定子ならできる!!」

 

 

「洋介さん、ありがとうございます!」

 

 

そして、四式小銃の先端に装備したロケット弾を放った。

 

 

「いっけぇ!!」

 

 

定子の念は届き、飛翔したロケット弾はネウロイのコアに直撃。

 

そしてついにコアを破壊したネウロイはその姿を破片に変えた。

それと同時に、周辺の雲も晴れた。

 

 

「やったー!やりましたね!!」

 

 

「やったね定ちゃん!!」

 

 

「よくやったな、定子!」

 

 

ひかりとジョゼ、洋介は定子の元に寄って来る。そんな3人の活躍に、定子も感謝の言葉を伝えた。

 

 

「ありがとう、2人とも。そして、洋介さんありがとう!///」

 

 

「わわっ!///」

 

 

定子は嬉しさの余りに、洋介に抱き着いた。

 

 

「おおっ!洋介さん、やるぅ~!」

 

 

「桜井さん、定ちゃんを盗ったら奥さんに言いつけてやる~」

 

 

「奥さん…?」

 

 

その言葉を聞いた定子は洋介から離れた。

 

 

「すまない下原定子、僕は元の世界では既婚者だ。今まで隠して申し訳ない…」

 

 

「…洋介さん…」

 

 

「さて、あの娘の元に…」

 

 

洋介が振り向いた時に、3種軍服の懐からなにかが落ちた。それを見たジョゼが掴み取ったのは扶桑海軍の短剣だった。

 

 

「桜井さん、あの娘を見つけた時に、治癒魔法を掻けた時こんな扶桑海軍の短剣を持っていました。あれ?鞘に小刻みした扶桑の文字が…」

 

 

「…短剣に扶桑語だって…?これは…?…な……なんてとこだ…」

 

 

洋介はその短剣を見て、身体が震えた。

 

 

「どうしたのですか?」

 

 

短剣の鞘には小刻みした文字に名前が彫ってあった。それは桜井洋介の名前だった。

 

 

「これは…僕の名前が彫ってある。…この短剣…もしや!!」

 

 

「あっ、洋介さん!!」

 

 

「洋介さんっ!?」

 

 

洋介は急いで戦車の元に戻って飛行、続いて定子たちも洋介の後を追い掛けた。

 

洋介は戦車の元にたどり着き、ユニットを脱いで戦車の中にいた少女の首から下げていた桜型の御守りを確認した。

 

 

「…っ!?お兄さん!どうしたの…?」

 

 

「首から桜型の御守り…君は……君は…もしや、亜弥か…桜井亜弥…」

 

 

その少女は困惑したが夕べ見た夢の記憶を思い出した。

 

あの戦時中で離れ離れになった父親の顔だった。少女、亜弥の両目から涙が流れた。

 

 

「…お兄さん…あなたは……もしかして、…桜井洋介…?…お父さん…?」

 

 

 

「くっ……」

 

 

お父さんと聞いた洋介は、戦車から出た時に定子たち3人が合流した。

 

 

「洋介さん!」

 

 

「洋介さん、もしかして…あの娘は洋介さんの親類じゃ…」

 

 

「そうだ…あの娘は…僕と妻の…娘だ…偶然にしても…恐ろしい…」

 

 

「…凄いですよ…奇跡ですよ!異世界からこの世界に、洋介さんの娘さんが来たんですよ!染みないで、運がいいじゃないですか!」

 

 

 

ジョゼが笑みながら進言した。だが

 

 

 

「そうなのか……」

 

 

「え…?洋介さんは、こんな可愛い娘さんと再会して嬉しくないのですか…?」

 

 

「ジョゼ…そうだろうか…はっきり言って嬉しくない……」

 

 

「…え…なんで…?」

 

 

「定子…ジョゼ…ひかり……ネウロイの秘密計画で巻き込まれたと言えども…僕は家族を置いて…いや、…捨てたと言っても過言ではない…僕は卑怯な男だ…あの娘の前で、父親と語る資格はない…」

 

 

「「「 !? 」」」

 

 

洋介は自責を感じながら、左手で軍刀鷹狼を抜き、刃を首筋に近づけた。

 

 

「洋介さん!」

 

 

「妻と娘に詫びて…死を…あっ!?」

 

 

 

 

ガルルルル

 

 

 

 

「やめて…死なないで…お父さん!!」

 

 

エゾオオカミが軍刀鷹狼を咥え、洋介の自決を阻止した時、戦車から亜弥が出てきた。

 

 

「…お父さん…亜弥は……お父さんがお母さんと亜弥の元に帰ってこなかったのを恨んだ……死んだら…許さない…一生許さない!!」

 

 

亜弥の言葉を聞いて、洋介は涙を流した。

 

 

「そうだ、…ぬちどう宝……ぬちどう宝………!」

 

 

「……お父…さん………うわぁぁーっ!!」

 

 

「ごめん…ごめん…亜弥!亜弥とお母さんを2人ぼっちにさせてごめん…!」

 

 

亜弥は父親の洋介に強く抱き着いて涙を流し、そして洋介も娘の亜弥を両腕で抱き着き泣いた。

 

 

傍で見ていたウィッチたちも貰い泣きをしていた。

 

 

「やっぱり奇跡ですね…こんな離れた戦地で……別の世界から父娘の再会なんて…泣けちゃいます…」

 

 

「えぇ…本当に…」

 

 

「あの娘……少女が……洋介さんの娘さん…」

 

 

亜弥を含む5人は502基地に帰投した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、洋介は隊長のラル少佐とロスマン曹長に報告した。

 

 

 

 

 

「ペトロザヴォーツクを襲来したネウロイの撃破をよくやった」

 

 

「はっ、私だけではありません。定子とひかりとジョゼの連携があったからこそです!」

 

 

「しかし、ラドガ湖が凍結されたことで、ネウロイ襲来は時間の問題です。それともう一つ、桜井さんの娘さんがなんで、このオラーシャに…?」

 

 

「わかりません、…俺の娘の亜弥を最後に見たのはまだ赤子でした…なぜ、あんな成長を…」

 

 

「お前の娘の訊問は近い内に行う。それまで面倒は桜井中尉を含む他のみんなに任せる。」

 

 

「「はいっ!」」

 

 

「もうすぐ食事だ、食堂にいくぞ」

 

 

洋介、ラルとロスマンは隊長室から出て食堂に向かい、テーブルに付いた。今夜の献立は日本食ならぬ扶桑食であった。

 

 

「やっぱり下原さんの料理は最高だね~!」

 

 

「美味しい!!」

 

 

「……日本食は久しいなぁ……///」

 

 

「……お母さんの味がする……」

 

 

ニパと直枝、洋介と亜弥が料理を舌打って堪能していた時、ロスマンは茶碗蒸しの中にある食材に気付いた。

 

 

「あら?…この茶碗蒸し……」

 

 

「はい、缶詰の底にキャビアが残ってたので使ってみました!」

 

 

「キャビアの使い方、よくわかっているわね~♪どこかの偽伯爵とは大違いだわ…」

 

 

ロスマンは定子を褒め称え、クルピンスキーに睨み付けた。

 

 

「キャビアなんて塩辛いだけで、どこがいいんだか…」

 

 

「だからあなたは偽伯爵なの!まだ桜井さんの方が伯爵よ!」

 

 

「ん…僕が!?」

 

 

ロスマンとクルピンスキーの論争の言葉で洋介は反応、その食卓に皆は笑い出た。

 

 

サーシャはその光景を見ながらラルに話しかける。

 

 

 

「食事の力って、凄いんですね」

 

 

「…美味い」

 

 

食事は戦場で戦う兵士の士気に関わることが心の支え。

 

 

「しかし、洋介くんが女の子を抱えて基地に帰投したのは驚いたねぇ~♪」

 

 

「そうそう、市街地から拐ってきたかと思ったぜ!」

 

 

「……人聞きが悪いよぉ管野、洋介さんに失礼だよ。この辺りの都市の住民は避難しているから誰もいないよ…」

 

 

直枝が冗談半分でからかう中、ニパが抑えた。

 

 

「…ねぇ、亜弥ちゃん~♪どうやって洋介くんの元に来たのぉ~?」

 

 

クルピンスキーが質問する時、疲れたのか食事しながら眠っていた。

 

 

「あら、眠っているわね」 

 

 

「そう言えば、この基地に配属したひかりちゃんも食べながら眠っていたねぇ~」

 

 

「えっ!?そうなんですか?」

 

 

皆が笑いあう中で食事を終え、洋介は亜弥を抱き抱えて自室に戻り、ベッドで眠っている亜弥を静かに見つめた。

 

 

「…亜弥…………ん…?…どうぞ」

 

 

夜遅く、洋介が自分が就寝するハンモックの準備する時に部屋の扉から叩く音が鳴り、入ってきたのは定子だった。

 

 

「洋介さん…」

 

 

「ん…定子か…僕を軽蔑してきたのか…?」

 

 

無言だった彼女は洋介を抱き締めた。

 

 

「…洋介さん…、あなたは私が恋したウィザードです。私は力不足かも知れませんが、この娘の…亜弥ちゃんの親になりたいのです!」

 

「…………定子……………」

 

「私は、…洋介さんと亜弥ちゃんの心を支える…家族になりたいのです!」

 

それが、定子から洋介への決断だった。

 

 

「定子……その…気持ちだけは受けとっておく…」

 

 

「…っ…洋介さん…!」

 

 

「……俺は、…亡き妻一筋だ…君はまだまだ若いウィッチだ、純粋な心でネウロイと戦うんだ…この世界の未来のためと、平和のために…」

 

 

 

洋介は心を鬼にし、定子に呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




父親の桜井洋介と再会した娘、桜井亜弥。


その娘はこのウィッチの世界で、この先の運命は如何に…?
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