あの観客席で居座った者たちはどんな視点であったのかを私のイメージで執筆しました。
では、どうぞ
12月26日 ペテルブルグ 502基地
昨日のサトゥルヌス祭が一夜明け、現地のウィザードの桜井洋介は、娘であり、ウィッチの桜井亜弥に彼の零式64型ストライカーユニットを履かせ、試験飛行をさせていた
基地 上空
『「左の旋回が大きい!!もっと小さく旋回しろ!!」』
「はっはい!!」
亜弥はインカムで地上で指示を出す洋介の教育を受けていた。
「これが空なんだね…お父さん……」
亜弥は洋介の厳しい指示を受けつつも、笑顔になって飛行していた。
地上
「ふん、亜弥め…笑顔になるのも今のうちだ…ネウロイとの実戦になれば、死ととなりあわせだぞ…基地の周りを10周!!」
洋介が言いつつも、口元は笑みを浮かべていた。
「亜弥ちゃん、精が出ますね!」
声をした方向を、洋介が振り向くと定子が赴いていた。
「定子か…」
「洋介さん…亜弥ちゃんがウィッチとして、戦場に赴くことは反対ですか…?」
「…半々だな…あいつの持ち前の頑固さは、亡き妻に譲り受けている…それに、…君の頑固もな…///」
「え…?」
「何でもない…」
「ねぇ洋介さん、今言ったのはなんですか…!?」
「おっと、隊長に呼ばれたから隊長室に行かねば!定子、あとは亜弥を頼む~!」
「あっ…洋介さん、教えて~!」
洋介の呟いた言葉に反応した定子にせがまれ、洋介は隊長のラルに用事があるがために離脱、彼女は必要に追い掛けた。
隊長室
「桜井、亜弥のユニットの操作はどうだ…?」
「わずかの日数ですが、ユニットを手足の様に操作しています」
「そうか、ウィッチに覚醒して目覚ましい報告だな」
洋介が亜弥に関して報告した時、ラルの顔は微笑ましかった。
「桜井さん、亜弥ちゃんのストライカーユニットの件ですが、亜弥ちゃんのはありませんよ…」
ロスマンがユニットの件で洋介は悩んだ表情を浮かべていた。
「う…それなんですよ…いくらウィッチがいても、ストライカーユニットが不足です」
亜弥が航空ウィッチになっても、肝心な専用ストライカーユニットがなかった。
洋介が頭を手で支えた時、デスクに置かれていた新聞記事を目に通した。
「ロスマン先生、その記事は…?」
「えぇ、これですか…?」
その記事の内容は、ネウロイから解放されたガリア共和国の首都パリにて凱旋勝利の発表だった。
今注目を浴びている『連盟空軍第72統合戦闘飛行隊兵站支援中隊航空魔法音楽隊』通称『ルミナスウィッチーズ』連盟空軍直轄の音楽隊であり、「歌と音楽」で人々の笑顔を守る部隊として設立された。
さまざまな理由で前線から離れざるをえなかった、戦いに向かないウィッチたちが活躍している。
音楽隊(Music Band)ではあるが、人員の編成上実際には器楽演奏は行わず歌唱・合唱を主とする歌唱部隊であると言える。
航空ウィッチが歌唱部隊員として所属していることを活かし、歌唱やダンスだけではなくアクロバット飛行による航空ショーも演目に加えた活動を特色としている(そのため、航空魔法音楽隊はその名の通り音楽隊だけでなくウィッチによる曲技飛行隊としての側面も持ち合わせている)。
9人のウィッチによる凱旋記念、歌唱コンサートだった。
「ガリアの記念コンサートか、いいなぁ~…」
「ですが桜井さん、出席するのは主に軍の上層部等ですよ」
「え…?そうなんですね…(ガリアにいる、ペリーヌとリーネ。見れたらいいな~…)ん…?」
ブリーフィングルーム
「へぇ~これがルミナスウィッチーズか~」
「8月末に、扶桑の東京でコンサートしたらしいですよ〜!…わたしは佐世保の訓練で行けませんでしたけど…」
「ケッ…行って見てないんかよ…」
「まぁまぁ直ちゃん、だけど可愛い娘ちゃんばかりでいいねぇ~♪」
「オラーシャの戦況で行けないけど、一目だけでもルミナスウィッチーズを見てみたいな~」
502のウィッチたちは新聞の写真を見て、ルミナスウィッチーズの話題でもちきりだった。
訓練を終え、休憩する亜弥は洋介に尋ねた。
「ねぇ…お父さんはルミナスウィッチーズのレコードを持っているよね!」
「あぁ、502に転属する前にルミナスメンバーのエレオノール・ジョヴァンナ・ガション軍曹と広報特別番組収録で会った…」
「ええっ!?洋介、ルミナスのウィッチに会ったのか!?」
「聞きたい聞きたい!どんな話しをしたのですか、洋介さん!」
直枝とジョゼが洋介の話に食い込んできた。
「まぁまぁ落ち着け、…しかし…彼女が俺に違和感なことを質問されたんだ…」
「違和感…?」
洋介がまだガリア共和国のパリに滞在時、廃墟と青空の元で、501部隊でガリアを解放したペリーヌ・クロステルマン中尉、リネット・ビショップ曹長。
世界初のウィザード、桜井洋介中尉と共に、ルミナスウィッチーズの一員のガリア人、エレオノール・ジョヴァンナ・ガション軍曹ことエリーと広報番組の収録に出席。
だが、エリーは洋介を目を丸く見て色々と質問をした。
「え…?洋介さん、何を質問されたのですか?」
「それが…エリーさんと初対面だが、あなたはブリタニアにいるはずなのに、なんで…とか…名前が大木田虎三郎さんと呼ばれたんだ…」
「以前、洋介さんはルミナスウィッチーズと対面したことはないんですか…?」
「あぁ、聞いた話しによると、ルミナスさん方は3月に編成。そして俺は…」
「洋介さんは、4月にこの世界に…ブリタニアのドーバー海峡で飛来した…」
「不思議ダナ…それに、サーニャへの手紙も…」
サーニャとエイラが洋介に証言する。
そして、サーニャ宛の両親からの手紙の文章に、細かい内容が記載されていた。
『12月26日、ガリア共和国現地の日時より電波が発信されたのち、受信。そして、黒猫と白銀のオオカミと手を繋げ』
夕方 格納庫
「すまないなサーニャ、このペテルブルグ基地での夜間哨戒の任務を…」
「はい、大丈夫ですよ洋介さん。常に夜間の哨戒は大事な任務ですから」
「サーニャ、わたしもついて…」
「大丈夫よエイラ、今夜は何かいいことがあるから」
「あの手紙か…?だけどムリするナ…」
「サーニャお姉ちゃん、わたしが作ったお弁当。持って行ってね~」
「ありがとう、亜弥ちゃん」
そして、ユニットを履いたサーニャは滑走路を離陸、単独で夕暮れの空へ飛んだ。
洋介は娘の亜弥とウィッチたちと夕食を摂り、終えたあとはネウロイの襲来のない長い夜が始まった。
洋介は軍刀鷹狼の手入れを施す時、亜弥は睡魔に襲われ、ウトウトしていた。
「…亜弥…寝てもいいんだぞ…」
「だ…大丈夫…サーニャお姉ちゃんが帰ってくるまで起きている…」
「オーイ亜弥…サーニャに手を出すナヨ…」
「これこれエイラ、まだ子供で俺の娘だ。野暮なことを呟くなよ」
「ウゥ~」
エイラが亜弥に向けてうめき声を上げる時
「皆さ~ん、眠気覚ましのコーヒーです」
定子が炊場でコーヒーを淹れ、ウィッチたち一人一人に配った。
「ありがとう、下原」
「定ちゃん、ありがとう~♪」
「ありがてぇ~下原♪」
「ありがとうございます、下原さん」
「どういたしまして。…洋介さんもどうぞ」
「あぁ、ありがとう定子」
「亜弥ちゃんにも、砂糖入りよ」
「あ…ありがとう…あれ!?」
コーヒーを口にしようとした時、外から爆音が響いた。
「あっ、サーニャガ帰ってきた…!」
エイラがそう言うと、サーニャが予定より早く帰還した。
帰ってきたサーニャは、魔導針を発動したままブリーフィングルームに赴いた。
「ねぇ、みんな!これを聞いて下さい!」
「サーニャ…?」
「え…?こ…これは…!?」
みんなが耳を傾けると、魔導針から音楽が流れていた。
「こ…これが…ガリアで歌う、ルミナスウィッチーズの!?」
「いい歌だな~♪」
サーニャが受信する魔導針から、ガリア共和国で凱旋記念で歌うルミナスウィッチーズの歌唱だった。
洋介やウィッチたちが静かに聞いていると、亜弥は魔法力を発動させ、サーニャの手を繋いだ。
「なっ!?なんだこりゃ~!?」
「ウソでしょ!?」
「これは…ガリアの首都…パリの凱旋門!?」
ブリーフィングルームにいた13人の背景が、パリのシンボルである凱旋門の前で、観客たちの座席に居座っていた。
白き衣装を身につけた9人のルミナスウィッチーズが横列の編隊を組み、倒壊したパリのシンボルの一つ、エッフェル塔に向けて飛行し、赤、青、白の光りを放ちながら輝くガリア国旗を画き、エッフェル塔を成り立ちながらアクロバット飛行をした。
ガリア共和国の最高司令官、シリル・ド・ゴール将軍が拍手喝采した。
「これは…?」
「どういうことかな…私たちは、オラーシャのペテルブルグにいるはずなのに…?」
「まぁ、どうだっていいじゃない~♪歌う可愛いウィッチたちの観客で飲むブドウジュースも最高だよ~♪」
「…あなたねぇ…観客席で飲食は禁止よ…」
クルピンスキーがブドウジュースを飲む中、ロスマンが睨んみ、注意した。
二人のウィッチにせがまれて、リベリオンの軍服を着た指揮官がマイクの前に立った。
『えっ…えっと…私、航空魔法音楽隊のグレイス・メイトランド・スチュワード少佐です。本日は、ガリア解放記念式典に、及び私たちルミナスウィッチーズのステージをご覧頂き、誠にありがとうございます。 以下略 』
グレイス少佐の元にスポットライトが照らされ、彼女の美声による『永遠のよす処』を歌っていた。
彼女の歌唱を終えると、赤きステージ衣装に着替えたルミナスウィッチーズが出揃った。
一人一人のウィッチが観客に向けて挨拶し、客席の観客たちも歓声を上げた。
センターにいたエリーは、右端のヴァージニア・ロバートソン軍曹と交代、リーダー各のアイラ・ペイヴィッキ・リンナマー少尉が宣告した。
『今夜出会えたこの奇跡を、一緒に楽しみましょう!』
ルミナスウィッチーズたちは横列で手を繋ぎ、歌を再開した。
『みんなの世界』
『歌を歌おう』
『flyingSkyhigh』
ルミナスウィッチーズの歌うプログラムが終わり、コンサートが幕を閉じたと同時に、いつもの502基地のブリーフィングルームに居座っていた。
「いつものブリーフィングルーム…?」
「あの凱旋門は…夢…?」
「わたし達、集団幻覚になったんじゃ…?」
「信じられないな…」
「夢であることを、私は信じたいな…」
「隊長…?」
ラルは何処と無く気まずい顔をしていた。
凱旋門の観客席に503部隊、8人のウィッチも座っていた。
母国のカールスラント防衛戦までの戦友、副官のフーベルタ・フォン・ボニン少佐。
隊長はオラーシャ軍、ブロニスラヴァ・F・サフォーノフ中佐。だが、彼女はラルの顔を見ての笑みには、怒りのオーラを感じた。
早朝の新聞に、ある記事が掲載された。
『怪奇、世界各地で発生した謎の通信障害。解放記念式典の一部が、ガリアを中心に世界で観測される怪現象が発生か…?』
「そこはどうあれ、楽しい一夜だったよ!」
「そうだね~♪僕はあの娘たちのファンになっちゃったよ~♪」
「そっちかよおめぇら!…まぁそうだな。今までネウロイの戦いで歌を聞くのは、久しぶりだ…」
「そうね、歌を聞いて一時の安らぎを感じたわ」
ニパとクルピンスキー、直枝とサーシャは笑顔になった。
「さぁ、本日もそれぞれの任務を始めましょう!」
「「「 はい!! 」」」
ロスマンの合図でウィッチたちは自らの行動に移った。
炊事場
定子とジョゼが調理していると、手伝う亜弥は口ずさみながら歌を歌っていた。
「赤い~リン~ゴに~♪くちび~るよ~せ~て~♪」
「亜弥ちゃん、その歌はなんなの…?」
「うん…?えっとね…『リンゴの歌』わたしのお母さんが歌っていたの、昔の戦争が終わったあとに、ラジオで流れた歌と…」
「いい歌だね~」
「…リンゴ…聞いていたら食べたくなっちゃう…」
ジョゼはリンゴの言葉を聞いて、口元から排水していた。
隊長室
ラルはサーニャの夜間哨戒の報告を受けていた。
「リトヴャク中尉、昨夜の哨戒でネウロイが出現していなかったのは幸運だったな」
「いえ、それに他のナイトウィッチたちからの情報に関して、ネウロイの遭遇はありませんでした」
「不思議ですね…」
「もしかしたら、ルミナスウィッチーズの歌ならではのかもしれません…」
「桜井さん…」
「ふっ…そうかもしれんな…ん…?」
サーシャと洋介の言葉でラルが微笑んだ時、基地から歌声が聞こえた。
「(歌か…南洋のラバウルやトラック諸島…結婚式と千歳基地で仲間たちと歌いあったな…)」
洋介は、以前の世界にいた頃の懐かしく感じた。
1日の任務を終え、基地の塔の側に寄った洋介は、例の大木田虎三郎の手紙をポケットから取り出し、題名が『めぐりあい』、描かれていた歌詞を歌った。
「Believe! 人は悲しみ重ねて大人になるいま 寂しさに震えてる 愛しい人の その哀しみを胸に抱いたままで Believe! 涙よ 海へ還れ
恋しくて つのる想い そら茜色に 染めてく 」
例の歌詞はガンダムの『めぐりあい』です。
桜井洋介は、再び唄うことがあるのか…?