洋介の班はペテルザヴォーツク周辺の陸上型ネウロイを撃破。
「こちら、桜井班。ペテルバヴォーツクのネウロイを排除完了!」
「『了解!これより帰投して下さい。』」
「了解!」
洋介がインカムで報告した時、ロスマンから帰投命令が下された。
「定子、ジョゼ。だいぶ上達したな~!」
「いえ、洋介さんが戦いながら指示してくれるから、わたし達は強くなりました!」
「これで補給路が開通。洋介さん、基地に帰りましょう!お腹空きました~!」
「さて、基地に帰投する!今日の食事は何だろうなぁ~♪」
洋介たちはペテルブルグ基地に帰投。
しかし、洋介だけはラルの隊長室に赴く様に、指示を受けた。
隊長室 ー
「桜井、失礼します!」
隊長室にはラルの他に、ロスマンとサーシャ、クルピンスキーがソファに座っていた。
すると、サーシャが立ち上がり、ある資料を洋介に見せた。
「桜井さん、この兵器をご存知ですか…?」
「え……っ!?こ……これは……」
洋介が目を見開き、目の当たりにしたのはかつて、501部隊のブリタニア時代に駐屯していた時に導入された、ネウロイのコアを利用した血も涙もない冷徹の無人兵器『ウォーロック』の資料だった。
「ウォーロック……サーシャさん、ラル隊長!この資料をどこで…?」
「クルピンスキー中尉の手立てでハルトマン中尉が物資の中から送られてきた。」
「あのハルトマンが、クルピンスキー中尉と関わりがあるとは意外…」
洋介は腕を組んで感心した。
「ネウロイをもってネウロイを制す…そんな作戦が存在したとはな」
「だが、ウォーロックは作戦中に暴走をして、そのツケを俺たちが払わされた…今となっては思い出したくもない兵器だ…」
洋介はあの時の状況を思い出して嫌な顔をした。
ウォーロックのせいで501は解散させられ、そして暴走したら今度は501が倒すことになった。面倒なことを運んできたこの兵器に対して、いい思い出など一つもないのだ。
「倒せたと言っても、これを我々が再現するのは不可能です」
「だがこの資料から分かったことがある。ネウロイの数にも限りがある。倒し続けていれば、いつかは巣が空になる」
サーシャはその真実を聞き、自分たちがウォーロックを再現するなど出来るものでないと言う。そんな中ラルは、この資料からネウロイの巣の特性を理解し、巣の破壊につながる重要な手がかりとなる点を説明する。
それを聞き、ロスマンも顎に手を当てて考える。
「マンシュタイン元帥も、この情報を知れば火力を集中させて、ネウロイに消耗戦を仕掛けようとするでしょう」
「だろうな」
「ひょっとして!」
ラルの反応を聞き、サーシャは何かに気づいた。そして様子を、ラルは納得したように説明した。
「そうだ。ムルマンに向かっている物資の中に、グリゴーリ攻略の切り札が積まれているに違いない」
「ムルマン?」
洋介はラルの言葉に何のことかわからずに聞く。その質問を、サーシャが説明した。
「現在ムルマンに、ブリタニアからの大規模な輸送船団が向かっているんです」
「だから私たちに護衛を…」
ロスマンは事前に502に護衛の援軍要請が来ていたことについて、これで合点がいった様子だった。
そんな中、クルピンスキーは護衛船団の話を聞き食いついた。
「ぶどうジュースあるかな?」
「ない、それに桜井に扶桑から指令が下されている」
「指令…ですか?」
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その後、洋介達は食事の席でラルとロスマンからの作戦説明を受けていた。
「そのままでいいから聞け、作戦を伝える」
ラルがそう言うと、全員が手を止めて前方を見る。そしてロスマンが地図を立てると、説明を開始した。
「現在、ブリタニアからムルマンに大規模な補給船団が向かっています。その船団を護衛するのが今回の作戦です」
ロスマンが指し棒で示すと、現在の輸送船団の位置が指される。
そしてラルが付け加えて言う。
「今回の作戦に参加するのは五名。作戦指揮はクルピンスキー中尉、副指揮は桜井中尉が取れ」
「はい!」
「えっ!?待ってよ、僕が行くの~?」
洋介はすんなり返事をしたが、クルピンスキーは乗り気ではなかった。
その反応を見越してか、ロスマンは一枚の写真を取り出して説明を加える。
「船団には非常時用に一人、ブリタニアのウィッチが同行しています」
そう言ってロスマンは写真をクルピンスキーに見せた。それを見てクルピンスキーは(可愛い…!)と心の中で反応した。
「行きます!」
「おい…」
クルピンスキーの早変わりの様子に洋介は呆れてしまう。
そしてラルは残りのウィッチを見た。
「残りのメンバーは中尉が選出せよ。また、現地で新型ユニットを受領し戦力強化後、護衛を行うように」
「新型!?行く行く!俺が行く!」
新型ユニットという言葉に今度は直枝が反応した。
「じゃあ残り三人は直ちゃん、ニパ君、ひかりちゃんで」
「えっ!?私もですか?」
「ムルマンか~…遠いなあ…」
ひかりは自分が指名されると思わず驚き、ニパはムルマンまでの距離を頭で想像して大変そうだといった反応をする。
勿論、この選出は洋介もある程度推測ができた。
「(管野、ニパ、ひかり…なるほど、最年少組への経験か)」
ウィッチは基本的に20歳であがりを迎えてしまい、殆どは魔力が無くなってしまう。そうなってくると、次世代のウィッチ達が今度は引っ張っていく番になる。それを見越してクルピンスキーが選出されたんだと考え、洋介はいつものあのクルピンスキーから考えを少し改めたのだった。
そして夜、洋介は軍刀の素振りや射撃の練習をしていた。生き残るためにも昔の感覚を思い出す必要があった。
洋介が射撃所で九九式13ミリ機銃、四式自動小銃の射撃練習をしている時
「おや?洋介君じゃないか」
「どうも、クルピンスキーさん。クルピンスキーさんも射撃練習ですか?」
「まあね」
そこに現れたのはSTG44自動小銃を持ったクルピンスキーだった。
それからしばらくは二人で射撃練習をしてると
「そういえば聞いたよ。君と亜弥君は、次のグリゴーリ攻略後、扶桑に転属になるらしいね」
「えぇ…」
ラルの指示で、扶桑政府から桜井洋介、亜弥の両名が扶桑皇国に赴く電報を受け取った。
しかし、ラルは洋介と亜弥を502に留まる書類を偽造して損ねていた。
「君が502にいなくなると基地も少し寂しくなるな」
「はは…そうですか。確かに少し名残惜しいところがあります」
「じゃあ、ここにいる?」
「それはちょっと無理ですね。扶桑がもう決まってしまったことですし」
「そうか~!」
そういうとクルピンスキーは少し寂しそうな顔をする。
すると
「珍しいわね。桜井さんはともかくあなたが隠れて特訓なんてね」
いつの間にかロスマンが後ろにいた。
「こんばんは。ロスマンさん」
「やあ、先生。また深夜にデートのお誘いかい?」
「桜井さん、話はラル少佐に聞きました。一時扶桑に転属になるらしいですね」
クルピンスキーの言葉をあっさり無視し、洋介のところに来る。
「はい、予定としてはグリゴーリを討伐した後です」
「転属続きで大変ね」
「いえ、向こうの世界でも転属ばかりでしたからもう慣れましたよ」
「へ~初耳だね〜、向こうではどんぐらい転属したんだい?」
「そうですね…まず、空母瑞鶴に半年。そしてアジア最前線であるソロモン諸島のラバウルに1年半、そして再び空母瑞鶴に配属、フィリピンに4ヶ月、その後内地で防空任務。大体5回くらいですかね」
「結構、異動してるね…」
「そういえば、桜井さんのいた世界では人同士の戦争でしたね…いつから戦っていたんですか?」
「17歳です、かれこれ3年間ずっと戦っていたな…」
話によると、ロスマンは1937年のヒスパニア戦線から7年。
クルピンスキーは1939年から5年間戦い続けている。それと比べると短いがそれでも洋介はベテランといってもいい経歴だ。
「そう、桜井さん。あなたは元の世界に戻りたいと思ったことはないの?」
ロスマンが質問する。
「そうですね…昔の俺ならそう思ったかもしれません。ただ、今は違います。俺にはこの世界で離れた家族と再会して、大切な人ができた。」
「それは、下原少尉のことと亜弥ちゃんのことですか?」
「えぇ、それに。501にいたとき、坂本少佐にも言ったことなのですが、あの世界での俺の役目は終わったと思っています」
「終わった?」
「ええ。俺がこの世界に来る前、もう戦争は終わりました。ですから俺がいなくても、次の世代連中と生き残った戦友が頑張ります。だから大丈夫です」
「そう…」
「ロスマン先生、一つ頼みがあります」
「え…?なんですか?」
「実は、亜弥にウィッチの飛行法を伝授させて下さい」
洋介はロスマンの前に頭を下げた。
対するロスマンは、洋介の言葉で何も言わなくなった。するとクルピンスキーは何か思い出したように呟いた。
「そういえば洋介君、亜弥ちゃんは今どこ?」
「どこって…俺の部屋で寝ているが…?」
「いや〜この前先生のところで一緒に寝ていたでしょ?だから今回もそうだったら忍び込んで寝込みをおそ…」
ゴンッ
ドガッ
「うぎゃー」
クルピンスキーがそう言った瞬間、クルピンスキーはロスマンや洋介に鉄拳制裁されるのだった。(洋介は少し手加減)
そして翌日、格納庫。
出撃メンバーはユニットを履いて準備をしていた。しかしそんな中、ニパのユニットと同時に黒煙が少し出てきていた。
「おい、大丈夫か?それ…」
「うーん…1000キロ持ってくれよ~」
「1000キロか、かつてのラバウルからガ島、鹿屋基地から千歳基地の長距離飛行を思い出すなぁ…」
直枝が聞くが、二パは大丈夫と言い切れず神頼みをする。
洋介はかつて南方の戦場と内地の長距離飛行を渋々思っていた。
そしてひかりは
「~♪」
昨日クルピンスキーからもらったリベレーターを紐を通して自分の首からぶら下げていた。
直枝はそれに気づきひかりに聞く。
「おめえ、それ持っていく気か?」
「いいでしょ~♪あげませんよ~」
「死んでもいらねえ…」
「仮にあげるとしたら、洋介さんにあげたいです!」
「そ…そうか…(…リベレーター拳銃…フィリピンのゲリラに悩まされたもんだ…)」
洋介は一時、陸戦隊としてフィリピンのジャングルにてアメリカ軍、フィリピンのゲリラに悩まされた苦い思い出があった。
嘘のお守りなど何が起こるかわからないため、直枝は欲しくなく、洋介は苦笑する。
「お父さん、ひかりお姉ちゃん達、気を付けてね~!」
「ありがとう、亜弥ちゃん!」
「おぅ、亜弥!ムルマンの土産、楽しみにしとけ!」
励ましの言葉でひかりと直枝は亜弥に向かって返事を返した。
「亜弥、ロスマン先生の指導する訓練、頑張るんだぞ!もし、無理だったらお父さんが進言するから…」
「お父さん、亜弥も決めたことは絶対にやり遂げる、みんなを守るウィッチになるから!」
「そうか…フッ…」
亜弥の真剣な眼差しで、洋介は微笑んだ。
そしてクルピンスキーは、先ほどから机の前で真剣な表情をしていた。
「むう…」
「指揮官に選ばれたから、さすがにクルピンスキーさんも真剣ですね」
「ニセ伯爵の真剣って、なんか碌でもなさそうなんだよな…」
ひかりはそんなクルピンスキーに感想を述べるが、洋介はその表情を見て嫌な予感をしていた。
「夜空の星…いや、大輪の薔薇…違うな~」
案の定、クルピンスキーはロスマンから渡されたブリタニアウィッチの写真を見てそんな事を考えていた。
「ねえ、ひかりちゃん」
「伯爵様?」
クルピンスキーはひかりに聞こうとするが、それを後ろから威圧のある声が止めた。
「ういっ!?先生…これは…その…ぐえっ!」
クルピンスキーは懸命に言い訳をしようとするが、その前にロスマンからの制裁を受けたのだった。
それを見て、洋介は「やっぱりな…」と呟いたのだった。
その後、洋介達は発進、ムルマン港に向かった。
そんな中、クルピンスキーは飛行しながらもブリタニアウィッチのことでいっぱいだった。
「早く会いたいな♪ブリタニアの子猫ちゃん♪」
「楽しそうですね、クルピンスキーさん」
ウキウキしているクルピンスキーにひかりが話しかける。この状態のクルピンスキーに話すのはひかりだけである。
「ああ、当然ひかりちゃんと亜弥君も可愛いよ。でも、この子うちの基地には居ないタイプでさ~」
そんなひかりにクルピンスキーは手に持つ写真を見せる。ひかりは苦笑いしているしかできない。
そしてその会話を、前方で聞く三人は耐えていた。
「さっきからずっとあの調子だよ…」
「くそ~…殴りてえ…」
「我慢しろ…むしろ、今はひかりを讃えてやれ…」
「うん、洋介さん…」
三人は、クルピンスキーのマイペースに対して相手をしてあげているひかりを心の中で讃えた。
もしひかりが相手しなかったら、自分たちにそれが飛んでくるのだから。
ペテルブルグ基地
自身専用のストライカーユニットを持たぬ亜弥はエディータ・ロスマン曹長の指導を受けていた。
使い魔のエゾオオカミを発動、九九式機銃を抱えて基地周囲をランニングをした。ただ走るだけではなく、用意された障害物にぶつかった。
「亜弥ちゃん、あと5周よ!!」
「はい!!……はぁ…はぁ…(つらい…だけ…ど…戦場は怖いところで…お父さんたちは戦っているんだ!!……なってやる…)超一流のウィッチになってやる~!!」
亜弥は狼の如く、空に向けて叫んだ。
そして、洋介たちは途中数回の休憩を挟み、1000kmの長い道のりを越えて、ムルマン基地に到着したのだった。
「あ~、遠かった~…」
「やっぱり1000キロは疲れるな~」
ムルマン基地に付いた洋介達、クルピンスキーとニパは長旅の疲れを感じていた。洋介も黙ってはいたが、同じように疲労は感じていた。
そんな中、ひかりはまだ元気だった。
「私はまだまだ行けますよ!」
「お前はそのまんま飛んで扶桑に帰れ!」
誰よりもスタミナのあるひかりの言葉に反応して直枝が意地悪を言う。
それに対してひかりは両手の人差し指を口に持っていき、「いーっ!」と直枝に言う。
そんな風に五人は歩きながら、ムルマン港に積み上げられた物資を見ていた。
「いや~、凄い量の物資だね」
「これにまだ追加があるんですよね?」
「あぁ、これでもまだ一部だからな。今回の船団が大規模なのも頷けるな」
クルピンスキーとひかりは物資の量を見ておったまげたという感じに、洋介はこれだけの荷物に追加であるのだから、今回の作戦がいかに重要なものかを再認識する。
そんな中、ニパはあるものに気づいた。
「ねえ、何?あのでっかいの」
「すげえな、戦艦でも作ってんのか?」
直枝たちの視線の先には、物資の中に混じって置かれている巨大な機械があった。
それはパッと見、大口径砲の装填装置のようである。
「あれは…!」
と、クルピンスキーが何かに気が付いたようである。
「陸戦ウィッチのカワイ子ちゃん発見!いいねいいね~!」
「またかよ…」
しかし、それは先ほどの機械ではなく、その横に数名居た陸戦ウィッチの姿だった。体をくねくねとさせながら喜んでいるクルピンスキーを、直枝は呆れたように見る。
「へぇ〜!…あれが陸戦ウィッチか…初めて見るな」
洋介は今まで航空ウィッチしか見た事が無いため、陸戦ウィッチを初めて見た洋介はその姿を見て少し新鮮な雰囲気だった。
そして、五人はムルマン基地の大きな倉庫に向かっていた。そこには、補給船団によって運ばれた新型ユニットが置いてある。
そして様々な荷物が積みあがる倉庫に到着した後、彼らは中を歩いていく。
「確か、ここに補給ユニットが…あったあった」
そして格納庫内の奥まで歩いていくと、そこには固定台に固定された二つのユニットがあった。
直枝はそれを見てはしゃぐ。
「やったぁ!俺の紫電改だ!これさえあればネウロイなんてイチコロだぜ!」
直枝は自分の目の前に固定されている紫電改を見てそう豪語する。
実際、直枝が通常使っているのは零式であり、紫電改は新型である。
無論新型の方が性能向上が図られるため、こう豪語できるのも頷ける。
「ピカピカだ~」
「こっちのK型は僕のだね」
そしてクルピンスキーの言ったK型は、メッサーシャルフ社が開発した新型ユニットであり、クルピンスキーが使っているG型の性能向上型である。
そんな中、ひかりは固定台の横にある箱が気になる。
「他の箱は何ですか?」
「ラル隊長とロスマン先生用だね」
クルピンスキーがひかりの疑問について説明する。
箱の中に入っているのはクルピンスキーに支給されたK型と同系のユニットが入っているのだ。
「いいなぁ、新しいユニット」
「じゃあ、ニパ君はこれを使って」
ニパは周りに新しいユニットが支給されていることを羨ましがる。それを聞き、クルピンスキーが提案した。
「ええっ!?でもそれクルピンスキーさんのでしょう?」
「ニパ君のは壊れちゃったから仕方ないよね」
ニパはクルピンスキーの提案を受けて驚くが、彼女のユニットがムルマン基地に到着した時に壊れてしまったため、現在ユニットが無い状態である。そのため、クルピンスキーはこの新型をニパに譲ろうとしたのだ。
そんな中、先ほどからずっと黙ってた洋介に周りが気付く。
「どうしたの、洋介さん?」
「…いや、俺宛の荷物もある」
「え…?」
洋介は箱の前に立ち、蓋を開けて中身を確認した。
「…零式戦闘脚54型…」
洋介の使用ユニット64型をベースに製造されたユニット。箱の中に同封された手紙を読んだ。
『桜井へ、お前の零式ユニットを量産するために、扶桑の技師に頼み込んだが、魔導エンジンの製造に関して、見たことがない部品ばかりで製造が難しく、機体に関してもかなりの手の込んだ造りになっていた。
我が扶桑の零式ユニットと、完成した魔導エンジンで組み立てた1機のみになった。これで、獅子奮迅の活躍を祈る! 扶桑皇国海軍少佐 坂本美緒 』
「坂本さん、ありがとうございます。ですが、54型のユニットは僕の娘の亜弥に使わせて頂きます」
『追伸、ユニットの胴体の国籍マークだが、お前の異世界の扶桑の赤い丸を施した。』
「あぁ、本当だ。しかし坂本さん、赤い丸ではなく、日の丸ですがね…おっと…」
洋介が坂本からの手紙を読み終えた時、直枝とニパのウィッチが受領したユニットを履いて飛行していた。飛行する突風にて、略帽が飛ばされるのを片手で抑えた。
すると、洋介はボトルを片手に飲むクルピンスキーを目の当たりにした。
「おいおい、クルピンスキー。この明るい時間でなに飲んでいるんだ?」
「ん~♪やぁ、洋介君。補給物資の中に、僕の大好きなブドウジュースを飲んでいるんだよ♪」
「どうだか……」
「洋介君も一緒に飲む〜?美味しいよぉ~♪」
「輸送船団の護衛任務を達成したらな、程々にしておけよ…!」
呆れた顔をしながら、インカムを片耳に装着した。
「おぅっ二人とも、調子はどうだ!?」
「『洋介さん、もう最高だよ~!』」
「『おれも最高だ!!おい、洋介!この新型ユニットを手に入れたから、再び模擬空戦に挑戦させてくれっ!!』」
「わかったわかった!だがな、この船団の護衛任務を終えたらな。(…亜弥、…どうしているか…?)」
新型ユニットを確保した直枝は、再び洋介に模擬空戦の挑戦を申し入れる時、洋介は任務を終えた後に承諾する。
夕焼けに染まるムルマンの港から、ペテルブルグの空を見つめる洋介だった。
ペテルブルグ基地
訓練で疲れた亜弥は定子に抱かれ、ベッドで一緒に眠っていた。
「…すぅー…すぅ…」
「亜弥ちゃん、お疲れ様。…洋介さん…船団の護衛任務が終わったら、帰ってきてくださいね…」
定子は亜弥の頭を撫でながら、洋介の無事を祈った。
翌朝
「ほらっ、そこ!」
「はぁっ!たぁっ!」
次の日、訓練用の銃を使わず、木刀を構えた亜弥は、指導するロスマンが投げつける雪玉を固有魔法、影分身を展開する。
次々と雪玉を叩き落とし、刀身を彼女の喉元に付けた。
「はぁ…はぁ…どうですか…先生?」
「え…えぇ、よくやったわ…亜弥ちゃん……でも、あなたのお父さんの強さまで、まだまだだわ!元の位置に戻りなさい!」
「はいっ!」
そう言ったにも関わらず、ロスマンの身体は震えていた。
「(気のせいなのかしら……亜弥ちゃん、まるで……以前、模擬空戦した桜井さんの相手をしているみたい…このまま成長すれば…)」