地上の戦車・高射砲部隊が、グリゴーリに向けて砲撃を行う。
しかし、どの攻撃もグリゴーリに有効なダメージを与えることができず、逆にビームを食らい高射砲部隊は壊滅する。
「第6陣地、突破されました。…敵が進路を変えました!グスタフに向かっています」
報告を聞いたマンネルヘイムは、突然動きを変えたグリゴーリに焦りの表情をする。
「奴め、こっちの狙いに気づいたか」
その頃、桜井亜弥は壊滅した地上部隊の前線から後方の野戦病院まで手作りの橇で幾人もの負傷兵を乗せて、運んでいた。
「…ぐう……うぅ……」
「しっかりして下さい!!」
「…もぅ…だめだ……」
「っ!?だめです!!死んだら家族が悲しみます!!必ず生きて下さい!!」
亜弥は橇を引っ張り飛行しながら、負傷兵に励ましの声を掛けた。
野戦病院で負傷兵を降ろし、再び前線へ飛行、空に浮かぶグリゴーリを睨んだ。
「くっ…お父さん……みんな、頑張って………お母さん、みんなを見守って下さい…」
直接激戦区へ戦えない亜弥は、心の中で洋介たち502部隊の無事を祈った。
上空
孝美が単機でネウロイに突っ込んで飛行した。
「待て! 孝美!」
「おい! 孝美!」
直枝が必死に追いかけようとするがネウロイのビームのせいで前に進めない
「くっ…孝美!!」
「はやまるな、孝美!」
「隊長! 他に方法がないんです!」
「ばかやろう!」
「発動…絶対魔眼!」
孝美がそう言うと彼女の髪の色が、茶色から赤色に変化した。
彼女が言う絶対魔眼とは、通常の魔眼では捉えられない特異型や、複数のネウロイのコアを特定できる必殺の技だが肉体と精神の負担が大きく、シールドの能力も著しく低下するから援護なしでの使用は自殺行為な危険な技なのである。
絶対魔眼でグレゴーリのコアを探す孝美。
「真コアは…どこに…きゃっ…」
コアを探す中、グリゴーリは孝美に向けてビームを放つ。シールドで防ぐがそう長くはもたない。
すると無数のビームが孝美を襲う。すると502全員が孝美の前に出てシールドで孝美を守る
「どうやら間に合いましたね。少佐」
「そうだな、ぎりぎりだったがな」
「まったく、あいつと同じ無茶しやがるぜ孝美」
「ロスマン先生から聞いたよ、絶対魔眼の話」
「雁淵中尉ならきっと使うだろうって」
「だって、ひかりさんの姉でしょう?」
「一人で行くなんてずるいです。」
「皆でやりましょう。」
「はやまるなと言っただろう。」
「みなさん…ありがとう。」
孝美はみんなに礼を述べ伝え、そして
「絶対魔眼!」
再び絶対魔眼を発動させる。グリゴーリはビームを撃つが502のみんながシールドを張り孝美を守る。
「目標、最終補正。完全捕捉!真コア、グリットH58954…T87449…。」
孝美が通信兵にコアの位置を知らせると同時に彼女の魔法力が尽きたのか、そのまま落下する
「孝美ーーーー!!」
直枝はそう叫ぶ、しかしジョゼが間一髪のところで孝美をキャッチし、治癒魔法をかけるしかし…
「ジョゼ!孝美!危ない!!」
「っ!?」
グレゴーリは二人を目掛けてビームを撃つ。すると
「やらせるかーっ!!」
間一髪のところで洋介が間に入り、軍刀でビームを切り裂いた。
「なっ!?」
「うそ!」
「ビームを斬った!?」
その光景にみんな唖然とした。
「ジョゼ!早く孝美中尉を!」
「は、はい!!洋介さん!!」
ジョゼは洋介の言葉にうなずき、下におろすと同時にグスタフから、魔道徹甲弾が発射された。
しかしグレゴーリは再び黒い雲を発生させ、砲弾が当たる寸前に雲に遮られ砲弾はそこで止まりそして砕け散った。
そしてグレゴーリは、ドーラとグスタフを破壊し、そのままペテルブルグに向かう。
「そ、そんな…」
「まさか、あの雲がシールド代わりになっているのか!」
「く、くっそー!!」
「失敗だ…」
直枝は拳を握り締め、言いようのない怒りを振り撒く。
ラルも、声を掠らせながら呟くき、平常心を保つラルも、今回ばかりは絶望した。
「魔導徹甲弾は予備共に破壊されました…」
「万策尽きたか…」
司令部内も、重い空気が流れる。
「そんな…そんな…くっ!」
失望した場面にいた亜弥は歯を軋り、飛行した。
作戦は失敗。上層部は作戦中止を決意、そして撤退命令を出した。
現時点でもうグリゴーリを攻略する術は失われてしまい、これ以上は軍隊の消耗だけになってしまう。
地上で見ていた兵士たちは、呆然としながらグリゴーリを見上げた。彼らの目には、もう希望が失われていた。
「お姉ちゃ――ん!」
その時、ウィッチ達のもとに聞きなれた声が聞こえる。全員が振り返ると、そこには信じられない人物が居た。
「ひかり!?」
まず最初に驚いたのは、直枝だった。そこには、カウハバ行きの列車に乗ったはずのひかりが走ってやってきた。
「ひかりちゃん?」
「ひかりさん…」
「ひかり…」
他のウィッチ達も、ひかりが現れたことに気づき驚くが、ひかりはその様子を無視して、孝美に駆け寄った。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん、しっかりして!死んじゃ駄目っ!」
ひかりは、目から涙を流しながら孝美に呼びかける。
彼女の目には、孝美が今にも死んでしまいそうに見えた。
「大丈夫だよ、ひかりちゃん」
「えっ…!?」
しかし、その様子をクルピンスキーがまず否定した。その言葉に、ひかりは思わず顔を上げて驚く。
「でも、お姉ちゃん、絶対魔眼を…?」
「絶対魔眼の弱点であるシールドの低下は皆で。肉体へのダメージはジョゼさんの治癒魔法でカバーしたわ」
「脈も体温も正常よ。安心して」
「だが、全ての攻撃を防ぎきれず、孝美に傷を負わせてしまった。すまん…」
ロスマンとジョゼが説明をし、ラルは自分たちの力が及ばなかったことをひかりに謝罪した。
しかし、ひかりはそんなラルの言葉に首を横に振った。
「皆さんがお姉ちゃんを助けてくれたんですね。ありがとうございます」
ひかりがそう言って、メンバーにお礼を言う。
その時、ジョゼの膝元で眠っていた孝美が目を覚ました。
「ひかり…」
「お姉ちゃん!」
「ごめんね、ひかり…倒せなかった…」
孝美は、自分のことを心配しているひかりの方を見ると、最初に謝った。
「そんな!何で謝るの!?」
「中尉は悪くありません」
「そうだよ!精一杯やったよ!」
そんな孝美の言葉を、ひかりは元より、隊員達も揃って否定した。
孝美は自分の身を削ってまで、グリゴーリのコアを特定したのだ。不運なことに、グリゴーリによってその思いは阻まれてしまった。
定子の目線の先には、自身の直下にある兵器を蹂躙するグリゴーリの姿が映っていた。グリゴーリはグスタフやドーラだけでなく、撤退をしていく連合軍兵士にも容赦のない攻撃を浴びせて行く。
「ああっ!?」
「このままペテルブルクが落ちるのを見てるしかないの…?」
ニパは思わず、目の前の光景に問う。
「真コアの位置がわかんないんですよね」
「残念だが、あれからコアの位置も移動している…」
ひかりの言葉に、洋介が答える。尤も、洋介も為す術のない状況でも、彼の目には絶望はせず、軍刀鷹狼を握っていた。
しかし、ひかりは洋介の行動を見て、メンバー全員を振り返った。
「…洋介さん……私に接触魔眼を使わせてください。私も戦います!」
「ひかり…?」
「気持ちはわかるけど…」
「列車砲も魔導徹甲弾も無い今となっては…」
「ひかり、俺もこの通りまだ武器がある。グリゴーリを倒さない限り、この世界の未来がない!」
ひかりの言葉で洋介も戦うと言うが、既に手段の無いウィッチ達の力では、どうにか出来るものでは無く、誰もその言葉に首を縦に振らなかった。
「俺もだ洋介!俺もまだ戦いてえ!」
なんと、ひかりと洋介の言葉に最初に頷いたのは直枝だった。直枝は拳を握り締めると、全員に主張した。
「俺はまだピンピンしてるぜ!魔法力だって残ってる。最後のカスを使うまで諦めたくねえ!弾がねえなら、この拳がある。俺がぶん殴ってやる!」
「ムリだよ。相手はグリゴーリだよ?」
直枝は大声で主張するが、ニパはどうやって倒すのだと言った様子で直枝に言う。
そんな中、今まで黙っていたラルは、何かを感じていた。
「…」
「隊長?」
コルセットを抑えるラルの様子に、ロスマンが疑問に思い聞く。
「さっきから、妙に古傷が熱い…」
「え?」
「向こうに何かを感じる」
ラルはそう言って、何かを感じる方向を見る。
そして、ウィッチーズがそこに歩いていくと、それはあった。
「これだ」
「魔導徹甲弾の砕けた弾芯のようですね」
そこにあったのは、グリゴーリの雲によって防がれた魔導徹甲弾の一部分だった。
「まだ魔法力を失ってないわ」
そして驚くことに、この弾芯は陸戦ウィッチの魔法力を残していたのだ。
『502の諸君。よく健闘してくれた。だが我々にはもはや反撃の術は残っていない。撤退だ…』
「撤退!?」
無線から聞こえるマンシュタインの言葉に、まさか撤退になると思わず、ひかりは驚く。
しかし、ラルはその言葉を遮った。
「待ってください、元帥。我々に策があります」
『何?』
ラルの言葉に、無線の向こう側のマンシュタインは思わず目を開く。
そして、ラルは直枝を見る。
「管野」
「?」
「望みを叶えさせてやる。殴って来い」
なんと、ラルは直枝に殴って来いと進言した。
「隊長?」
「本気ですか?」
「盛り上がってきたぜ!!」
サーシャとロスマンもラルに聞く。二人はラルが何をしようとしたか理解したようだ。直枝は拳を上にあげて一人盛り上がる。
「時間がない、始めるぞ」
そう言って、ラルは作業に入ろうとする。
司令部では、ラルの説明を聞いたマンシュタインが頷いた。
「そうか…わかった」
そう言って、マンシュタインは受話器を下ろした。
「出来るのか?そんなこと」
「今は彼女たちに希望を託すしかありません」
横に居たマンネルヘイムが聞くが、マンシュタインはこの件を全てウィッチーズに委ねた。もはや彼らに出来る事は何も無い。頼るなら、残りはブレイブウィッチーズだけだった。
「落下の衝撃でこんな状態ですが、魔法力はまだ宿っています」
「こんなバラバラなのにどうするの?」
サーシャの言葉にニパはどうしたらいいのか聞く。
「なるほど。隊長、魔法力を別のものに移せばいいんですな」
「そうだ。そしてそれを、管野の手に移す」
「えっ!?」
そんな二パの質問を、洋介とラルが説明する。しかし、膨大な魔力を手だけに移すなどとても出来る事でなく、定子はありえないと言った様子で驚く。
「正確に言うと、その魔法力だけを管野さんの手袋に移植します」
サーシャが説明の付け足しをしたため、ようやく定子たちも理解した。
右手の手袋を魔導徹甲弾の芯に向けて翳す。
すると、徹甲弾の魔力は直枝の方に移っていき、直枝の右手は青く光り輝く。
「うおぉ…!」
「すごい!」
その光景に、他のウィッチ達は驚く。
「あれっ…洋介さん…?」
「なにを…?」
「あっ!」
魔導徹甲弾の光がまだ輝きが残り、それを見た洋介は鷹狼を鞘から抜き、魔力が鷹狼の刃に移った。
「管野が失敗した時の備えだ!」
「桜井の刀と管野の右手は魔導徹甲弾そのものだ」
「おーい!」
その時、遠くから声がする。
「あった、あったよー!」
クルピンスキーとロスマンが揃ってやって来る。クルピンスキーの手には魔導徹甲弾の内部にあった弾芯によく似たピンク色の結晶があった。
「超爆風弾の弾芯よ。やっぱりバラバラに破壊されていたわ」
「使えそうなのはこれだけ」
「ちょうどいい」
超爆風弾の弾芯を、ラルは自動小銃に取り付けていたロケット弾に括り付けた。これにより、小型ではあるが、超爆風弾が完成した。
そしてラルは、直枝の方を向く。
「いいな?殴れるのは一度だけだ」
「へっ!一度で十分だ。な、ひかり」
「えっ!?」
直枝に突然振られたひかりは思わず間の抜けた返事をする。しかし、ここで直枝から思わぬ言葉が出る。
「えっ!?じゃねえよ。俺の相棒はお前だろ」
「管野さん…」
なんと直枝は、今まで否定していた相棒と言う言葉を堂々とひかりに向けて言ったのだ。
「大体、おめえの接触魔眼が無きゃ、真コアを殴りようがねえしな」
そう言って、直枝はひかりに向けて左拳を突き出した。
「はい!」
それを見て、ひかりも大声で返事をし、そして拳を打ち返した。
そして、ひかりはジョゼに抱っこされている孝美の方を見る。孝美は、ひかりのことを厳しい目で見ていた。
「お姉ちゃん…」
「失敗は許されないわ。ひかりに出来る?」
「えっ…それは…」
孝美の真剣な声に、ひかりは思わず言い吃る。
しかし、彼女の決断は早かった。
「でも、やってみなくちゃわかんない!」
「くすっ」
「ふふっ」
ひかりの言葉に、孝美は笑う。それにつられて、ジョゼも笑う。
「フッ」
「ふふっ」
「アハハ!言うと思った」
二人だけでなく、他のウィッチ達も笑いだす。ニパに至っては、ひかりの言う事をまるで分っていたかのように返す。ひかりは思わずキョトンとする。
「ひかり、チドリを使って」
「わかった」
そして、孝美は自分の使っていたチドリを、ひかりに譲った。
ひかりはチドリを足にはめると、魔法力を流し始める。ひかりの魔法力を受けたチドリは、勢いよくその回転数を上げる。
「さあ、奴をぶっ飛ばしにいくぞ!」
『了解!』
ラルの掛け声と共に、ブレイブウィッチーズは発進した。
負傷した孝美と、孝美の治療に魔法力を使ったジョゼは、洋介から外套と携帯糧食を預かり、出発したひかりたちを地上から見送った。
上空 ー
「グリゴーリから中型ネウロイ!!」
502がグリゴーリに向けて飛行する中、洋介がグリゴーリから2機の中型ネウロイが接近するのを確認した。
「…こんな時に限って……」
「奴らとの戦闘を何とか避け…」
ドカアアァン
ラルが指示を出したと同時に、中型ネウロイが空中で爆発した。
「なんだ…?」
「…ネウロイが…爆発した…」
「…いったい…っ!?…あれは…!」
定子の能力で、502部隊上空に一人のウィッチが急降下してきた。
「お父さーん!!」
零式54型ユニットを履き、十三ミリ機銃を所持した桜井亜弥であり、グリゴーリに向かう502部隊に合流した。
「…亜弥…お前…」
「お父さん!!わたしも、グリゴーリを倒す為に、戦わせて下さい!!」
「…亜弥……」
「ラルさん…お願いします!!」
洋介は、今の部隊でグリゴーリ討伐の戦力が不足気味だったが、娘の亜弥が加わることで五分五分だと見立てた。
亜弥は、父親の洋介と隊長のラルに戦闘参加の許可をする。
「お前が来るまで、我々は戦力不足だ。この臨時だが亜弥、付いて来い!」
「ラルさん、ありがとうございます!!」
11のウィッチとウィザードが厚い雲が覆うグリゴーリに接近した。
「雲の生成過程を全て記憶し、分析した結果、グリットH2223、T3358に層の薄い箇所が確認できました」
「了解」
サーシャの固有魔法、『映像記憶能力』によって記憶したグリゴーリの形状は、雲の薄い部分を作っていた。
そして定子の固有魔法、『遠距離視』によって、グリゴーリの位置を特定する。
「グリゴーリまでの距離、12000!」
「今の進行速度だと、15分でペテルブルクが飲み込まれるわね」
「5分で片を付ける、行くぞ!」
『了解!』
ラルの言葉に、ウィッチーズ全員が返事をする。そして、グリゴーリの雲の薄い地点へと向かっていく。
グリゴーリは、雲から雷を発生させてウィッチに襲い掛かる。しかし、それは先頭に立っていたロスマンがシールドで防ぐ。
「そこだ!」
そして、ラルが後方で銃を構え、そこから超爆風弾の魔芯を括り付けたロケット弾を放った。固有魔法、『偏差射撃』を使ったロケットの軌道は、そのままグリゴーリの雲に突き刺さり、そして爆発する。
その爆発により、魔導徹甲弾を防いだグリゴーリの雲は穴を開けた。
「今よ!」
「フォーメーションアロー!」
そして、クルピンスキーを先頭に、雲の中にウィッチ達が向かう。グリゴーリは、突入させまいと再び攻撃を加えて行く。
「邪魔するな――!」
クルピンスキーがシールドを張り攻撃を防ぐと、そのまま穴の中へ入っていく。
そして、中へ侵入したウィッチ達は、内部に待ち構えていたグリゴーリと対峙する。
「ブレイク!」
サーシャの掛け声と共に、チームに分かれる。ひかりと直枝をグリゴーリまで送り届けるクルピンスキーと洋介、ニパと亜弥のチーム。そして、その護衛を行うサーシャと定子のチームに。
「なんとしても管野さんとひかりさんが本体に到達するまで耐えるのよ!」
「ユニットが悲鳴上げそう!」
「壊しても怒らない?」
サーシャの言葉に、ニパとクルピンスキーが言う。
「ちゃんと二人を届けられたらね!」
そんな言葉に、いつもは怒るサーシャが許した。
「右上、敵の攻撃が薄くなっています!」
「マジックブースト!」
定子の言葉を聞き、クルピンスキーは固有魔法、『マジックブースト』を使う。それにより、加速をしたクルピンスキーを先頭に、グリゴーリの触手をかいくぐっていく洋介達。
そして、ここで先頭が交代する。
「洋介君!」
「了解!」
先頭を飛んでいたクルピンスキーから、今度は洋介が先頭に立つ。そして、後ろに付いてくるひかりと直枝を今度は引っ張っていく。
「そこっ!!」
そして、洋介は波導を使う。それにより、景色はゆっくりと流れ出し、そしてグリゴーリの攻撃する未来が見える。
「右だ!」
「はい!」
洋介は指示をしながら、回避行動をしながら攻撃する。ひかりと直枝もそれについていくと、先ほどまでいた位置をネウロイの攻撃が通り過ぎる。
「よしっこれなら…っ!?あれは…!」
洋介は、その先に最後の関門が接近する三角型を確認した。
「…亜弥、ひかり、直枝!」
「お父さん!?」
「洋介さん!」
「洋介!!」
「あの獲物は俺が仕留める、グリゴーリのコアを叩け!!」
「洋介、済まない!だが、必ず勝て!」
「お父さん…くっ!」
亜弥、ひかり、直枝は三角型を洋介に託し、グリゴーリのコアを探索した。
「(こいつを討たない限り、未来と502が危ない…)そこっ!!」
洋介は小銃と機銃の照準で狙いを定めた。だが、銃弾が当たる寸前に三角型が4つに分離した。
「分離した…!(あのブリタニアで遭遇した型に酷似しているな…他は子機…1/4の確率でコアがある…ならば…)」
洋介は波導と魔法力を集中させ、コアを探した。
「いたぞっ!っと…邪魔するなっ!!」
ダダダダダダッ ドカアァン
「食らえっ!!」
洋介は3機の子機を撃破、本命のコアを持つネウロイに狙い打った。
「……装甲が厚い…」
銃弾が三角型ネウロイの装甲を弾いた。
その時、ネウロイがビームを発射、洋介は寸前に回避したものの、左腕と右脚を掠めた。
「…洋介さん!!今行きま…きゃっ!」
遠距離視で見ていた定子は、洋介の元に飛ぶにも、ワーム型ネウロイのビームに遮られていた。
負傷した洋介はシールドが貼れず、回避するだけでも精一杯だった為、ゴーグルを目元に掛け、魔導を込めた軍刀の鷹狼を鞘から抜いた。
「…落ちる訳にはいかん…奴を落とすまでは…みんなのためにも…落ちるまでは...! …愛機と鷹狼…俺の魔法力よ…燃え上がれ!!」
洋介の身体と鷹狼は淡く燃え、刃先を三角型ネウロイに向けて高速に飛行した。
「…魔導斬!!」 スパアアァン
洋介が三角型の本体を真っ二つに斬ったと同時に、グリゴーリが破滅した。
「やった……やったんだ…亜弥…ひかり…直枝……」
洋介は魔法力と力が尽き、地上に向けて落下した。
「お父さーん!!」
コアを破壊した組の亜弥が洋介の手を掴んだ。
グリゴーリの戦いで疲れた洋介は夢を見た。
「ん…こ…これは…!?」
洋介はストライカーユニットに変身する前に、いつもの愛機零戦64型に搭乗し、暗黒の空に居た。
「…亜弥…すまない…命を落とした僕を許してくれ……」
「…あ…あれは…?」
洋介機の周囲には、幾千幾人万の光が洋介を囲んだ。
『生きろ』
「……さん…お父さん!!」
「はっ…」
亜弥の呼ぶ声で、洋介は目が覚めた。
「お父さん…よかった…よかった…」
「亜弥…心配かけて…ごめん……」
「「「「 洋介さん! 」」」」
「洋介!心配したぞ、この野郎!」
「やぁ洋介君♪」
502のウィッチたちが洋介の周りを囲んで抱きついた。
「わわっ、みんな……」
「全くです桜井さん、心配しましたよ」
「そうですよ、あなたは命を粗末にしたから正座です!」
「す…すみません…」
ロスマンとサーシャに注意を受けて、冷や汗を流し苦笑する洋介だった。
「ここは…?」
「ここは野戦病院だ、桜井中尉。」
洋介が亜弥の頭を撫でている時、マインシュタイン元帥とマンネルヘイル元帥、ラル少佐たちウィッチ達が洋介のベッドを囲んでいた。
「君が雁渕軍曹とグリゴーリ撃破の貢献したことを心から礼を言う。」
「マインシュタイン元帥、マンネルヘイル元帥…私は、この502と未来の為に戦ったまでです。」
「桜井中尉、私からも礼を言う。君と亜弥も、502の勇敢な仲間だ。」
「はっ、隊長!」
「ラルさん!」
「戦場の魔術師に祝福あれ」
洋介と亜弥は、自身の上官に対して敬礼した。
1945年3月、オラーシャ地方のネウロイの巣、グリゴーリの完全消滅が確認された。
ノヴォホルモゴルイ港
雁渕ひかりが姉の孝美と港で別れる頃。
「では、ラル隊長。桜井洋介中尉と桜井亜弥はこれより、扶桑皇国に向けて移動します!」
「うん、502は君の居場所だ。いつでも戻ってこい。」
「はい!」
「亜弥もだ、元気でしっかりな。」
「はい、ラルさん!」
洋介と亜弥はラルと握手して、乗艦予定の空母に向かって歩いた。
「亜弥ちゃん!洋介さん!」
「定子…?」
「これ、私が作ったお弁当です。途中で食べてください」
「あぁ、ありがとう」
「ありがとうございます」
洋介と亜弥は、定子から弁当を受け取った時
「あれ…?下原さん、洋介さんと亜弥ちゃんにお弁当を!?わたしも作って」
「「 え…? 」」
「じ…実は…オレも…」
ひかりと直枝も洋介と亜弥のために、弁当を作ってきた。二人にとっては、初めての手作り弁当であった。
「まぁまぁ待て、三人の弁当を頂くよ!」
「お姉ちゃんたちのお弁当を、美味しくいただきます」
三人がにらみ合う時、洋介と亜弥が制止した。
第502統合戦闘航空団のウィザード桜井洋介と、小さなウィッチの桜井亜弥は、扶桑皇国海軍の空母に乗艦、扶桑に向けて旅立った。
502部隊と共にグリゴーリを撃破した桜井洋介と桜井亜弥。
これから扶桑皇国に向けて、新たなる任務を受けるのであった。