ストライクウィッチーズ ~蒼空を舞う零の荒鷹~   作:鷹と狼

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洋介と亜弥が扶桑皇国、長崎でどんなことが訪れるのか


第37話 戦友への花束

 

 

九州 長崎 佐世保

 

 

桜井洋介と娘の亜弥は朝日が昇り、桜が咲く長崎の佐世保上空に到着した。

 

 

「凄い桜~♪お父さん、凄い長くて高い塔だね~!」

 

 

「あ、あぁ…桜前線が通過し……あれが日本……いや、扶桑で高い針尾電波塔だ。それに、命令を受けた場所へ行かねば……」

 

 

「あっ…待って!」

 

 

拙い言葉を口にした洋介はある施設に向けて、進路をとった。

 

 

 

 

佐世保航空予備学校 上空

 

 

 

「…ここも、ウィッチの学校なんだねお父さん」

 

 

「あぁ、規模は横須賀と甲乙つけ難いが、航空ウィッチを育成する施設だ。虎雄もこんな施設で育ったんかも知れんな~」

 

 

「虎雄…?」

 

 

「あぁ、ラバウルで共に戦った、父さんの戦ゆ…」

 

 

「そこで止まれ!!」

 

 

「「 っ!? 」」

 

 

零式ストライカーユニットを履き、海軍第二種軍服を着たウィッチが、二人の前に現れた。

 

 

「何者だ、お前たちは?ん…お前は…男…男のウィッチ…!?」

 

 

「扶桑海軍大尉、桜井洋介です!」

 

 

「えっと…一飛曹の桜井亜弥です!」

 

 

「……桜井…洋介……はっ、噂で聞いた世界初の男性ウィッチ…いや…ウィザード!?私は佐世保航空予備学校の教官、国崎橙子大尉です!!」

 

 

国崎は慌てながら洋介に敬礼、洋介と亜弥も彼女に対して敬礼をした。

 

 

「私は高野長官及び、坂本美緒少佐の命令により明朝、佐世保から欧州行きの飛行艇に搭乗せよとの辞令を下されたました!!」

 

 

「ご苦労様です!私が佐世保学校へご案内します!!」

 

 

国崎が二人を誘導、航空予備学校に着陸した同時に一人の職員が伝令として赴いた。

 

 

「国崎教官~!」

 

 

「なんだ!?……わかった。桜井大尉、当学校の校長室へご案内します。」

 

 

「校長室…?わかりました。お願いします」

 

 

「校長がなんのために呼んだんだろう…?」

 

 

亜弥は頭を傾げながら国崎に案内され、校長室に到着した。

 

 

「校長、国崎です。桜井大尉とその他1名をお連れしました!」 

 

 

「(はぁ……)」

 

 

オマケみたいな言葉を聞いた亜弥は、軽く息を吹き、校長室に入室した。

 

だが、当学校の校長は洋介が想像したよりも若く、その容姿を見た二人は驚愕した。

 

 

「「 失礼します…あ…っ!?坂本さん 」」

 

 

「ん、坂本…?」

 

 

「いえ、失礼しました!!私は扶桑海軍大尉、桜井洋介です!!」

 

 

「桜井亜弥一飛曹です!!」

 

 

洋介も亜弥は戸惑いながら、校長に敬礼した。

 

 

「佐世保航空ウィッチ予備学校へようこそ。私は学校の校長、北郷章香中佐だ。因みに坂本美緒は、私の教え子だ。」

 

 

「「 え…? 」」

 

 

その言葉に二人は内心驚いた。そして、洋介と亜弥は北郷の接待ソファに座った。

 

 

「君が世界初のウィザードか、ブリタニアとオラーシャの活躍は耳にしているよ。雁渕孝美とひかりの姉妹も、この教育学校出身のウィッチだからね」

 

 

 

「恐縮です!」

 

 

 

「へぇ〜!ここが孝美さんとひかりお姉ちゃんの学校なんだ…!」

 

 

 

「君の様な少女もだ、まだ幼い少女が、ネウロイと戦っていたなんて未だに信じられんな。年は?」

 

 

「はい、9歳です」

 

 

「そうか、ふふふ…」

 

 

北郷は笑みを浮かべながら質問を変えた。

 

 

「君たちを調べたがどこの部隊は愚か、教育部隊についても名簿すら存在しない…何者だ…?」

 

 

「…わかりました。隠さずに伝えますが、私と亜弥は…ネウロイの極秘計画により、異世界から来た住人です…」

 

 

洋介はいつかのブリタニアとペテルブルグの尋問を脳内から思い出し、真実を呟いた。

 

 

「はははっ!そうか!ブリタニアとガリア以前にウィザードと弱冠9歳のウィッチが表れる事態大ニュースになっているぞ~!」

 

 

北郷の笑止する姿を見て二人はキョトンとした。

 

 

「君がいた世界ではどんな事があったのか、話して貰うぞ!」

 

 

「はっ!ですが、我々の内密にお願い申し上げます。」

 

 

「うん、かまわない」

 

 

洋介は、この世界に転移する前の世界について語った。

 

二人のいた世界はネウロイ処かウィッチは存在せず、共通する敵がいない相手は人類同士が争っていた。

 

自身はウィザードではなく、海軍を志願し、血みどろの戦場で戦った戦闘機パイロットであった。

 

戦争が終結、母国が敗戦。だが、一部の戦場で戦闘が続行。それを阻止するために再び戦闘機に搭乗、激戦で負傷して、ウィッチの世界に迷いこんだ。

 

亜弥は洋介の血の繋がった娘であり、元の世界で父親の洋介を待ちわびる中、ウィッチの世界に迷いこんだ。

 

 

「なるほど…要するに、二人はネウロイの実験に巻き込まれた被害者だな…」

 

 

「そう言うことになりますね…それに!」

 

 

洋介はソファから立ち上がり、扉を開けた。

 

 

「「「 きゃっ〜!? 」」」

 

 

洋介が扉を開けると、ウィッチ候補生の何人かが、次々と雪崩れ込んだ。

 

 

「世界初のウィザード、桜井洋介さんとお会いして凄く光栄です!!」

 

 

「桜井大尉は、ひかりと一緒に戦ったんですか!?」

 

 

「大尉は、ウィッチの恋人がいるのですか!?」

 

 

「あ…いや…その……」

 

 

洋介があたふたになっている時だった。

 

 

「馬鹿者!!お前たち、授業をサボるとはいい度胸だな、全員校庭を10周だ!!」

 

 

国崎が候補生たちに怒号を下し、候補生たちは蜘蛛の子を散らすように校長室から去り、それぞれの科目の教場へ向かった。

 

 

「すいません、桜井大尉。この様な事態になってしまって…生徒たちに代わって謝ります…」

 

 

国崎は洋介の前に頭を下げ、謝罪した。

 

 

「いいんですよ、国崎教官。彼女たちはまだ幼く、青春を犠牲に身を投じた少女たちですから、少しでも楽しい思い出が刻まれるといいですよ」

 

 

洋介は手を差し伸べて、制止した。そして、北郷があることを述べた。

 

 

「桜井大尉、君の年齢は21であるにも関わらず、シールドは張れるのか?」

 

 

「はっ!この通りです」

 

 

洋介は片手でシールドを出した。

 

 

「そうか、…君が羨ましいな…大尉。君が…いや…ウィザードの存在が…扶桑海事変でいれば…まっ…無い物ねだりはよくないな…」

 

 

「北郷校長…そうですね…」

 

 

北郷章香はどこか悲しい顔をしていた。

 

その後、洋介は国崎から聞いた話によると、彼女は扶桑海事変で負傷、魔法力があっても、もう二度と、ストライカーユニットを履いて、大空を飛ぶことはなかった。

 

 

正午を過ぎた頃、洋介は亜弥とウィッチ候補生たちに腕を引っ張られ、学校の食堂に赴いた時

 

 

「あっ洋介さん、亜弥ちゃん!」

 

 

「孝美お姉ちゃん!」

 

 

「孝美さん」

 

 

佐世保学校で雁渕孝美と再会。彼女はオラーシャの戦いで、連合軍上層部から大尉に昇格した。

 

三人は同じテーブルを囲み、学食を食した。

 

 

「そうなんですか…孝美さんも再び欧州へ…」

 

 

「えぇ、そうなんです。佐世保から欧州へ派遣する前に、実家で休養を摂ろうと」

 

 

「そうですか…」

 

 

「洋介さんと亜弥ちゃんは長崎は初めてですか?」

 

 

「うん、初めてです♪」

 

 

「初めてですね、元の世界で鹿児島以外はどこも行ってません」

 

 

「なら、わたしが案内します」

 

 

「え、いいの?」

 

 

孝美の言葉で、亜弥は輝いた。

 

 

「お父さん、行こうよ!」

 

 

「そうだな、少しでも日本……いや、扶桑で少しでも時間を過ごしたいから、行くか♪」

 

 

亜弥を見た洋介は、賛同する。三人は食事を終え、学校を出た。

 

 

 

 

教場

 

 

 

 

「桜井大尉、雁渕大尉とどんな関係なのかな…?」

 

 

「あのオラーシャの戦いで、二人は共に戦った仲だって」

 

 

「もしかして、恋人同士なのかしら…」

 

 

「「 えぇっ!? 」」

 

 

「そんな~」

 

 

「あの亜弥って娘、桜井さんの娘ですって!」

 

 

「「 えぇっ!? 」」

 

 

「だけど、あの二人は親子の割に年が若いって言うか……合わないような…」

 

 

「孝美大尉……美人だから、桜井大尉と…もしかしたら……」

 

 

「うぅ…わたしも花嫁に立候補しようかな……」

 

 

「だけど、欧州に配属した三隅さん、気の毒だね~」

 

 

「うん、誰よりも桜井大尉に会いたがっていたしね~」

 

 

ウィッチ候補生たちは三人を見て羨ましく、色々と噂をたてていた。

 

出島やガラス砂丘、喫茶で休憩し、名物のカステラを頂いた。

 

 

「これが…長崎のカステラ……」

 

 

「美味しいでしょ、亜弥ちゃん。洋介はどうですか?」

 

 

「……あぁ…とても美味しいですよ………」

 

 

孝美の言葉で、洋介はボーッとしていた。

 

 

「長崎に到着してから、疲れてませんか…?」

 

 

「いぇ、長崎ってのは所々、僕の故郷の神戸に似てるなと…」

 

 

「そうなんですね。いつか、ネウロイの戦争が終わったら、洋介さんの神戸を案内してくださいね」

 

 

「えぇ。但しこの世界の神戸に、僕の実家はありませんが……」

 

 

「お父さん……」

 

 

「……洋介さん………」

 

 

二人の前で洋介は笑みを浮かべるが、亜弥と孝美はどことなく悲しんでいることを、わかっていた。

 

その後、眼鏡橋と大浦天主堂、などを回り、最後に稲佐山展望台へ登った。

 

 

 

「凄ーい!この展望台で長崎が見える!」

 

 

「えぇ。洋介さん、どうですか…?…え…」

 

 

「………沖田さん……幸吉……虎雄…」

 

 

「(…沖田さん…幸吉……虎雄…?)」

 

 

 

洋介は長崎の景色を見ながら涙を流し、ある人の名前を呟いた。

 

三人は展望台から降り、孝美は洋介と亜弥に今後を尋ねた。

 

 

「洋介さんと亜弥ちゃん。どこか宿泊先はありますか…?」

 

 

「佐世保からの飛行艇に搭乗する前日に到着する様に命令を下され、旅館に宿泊を……」

 

 

洋介が頭に略帽を被せ、すると孝美が洋介の手を繋いだ。

 

 

「じゃあ、私の実家で宿泊しますか…?」

 

 

「え…いいの孝美お姉ちゃん!?」

 

 

 

「そうですね、お言葉に甘えて頂きます(やれやれ…またかよ…)……///」

 

 

そして、洋介は旅館の宿泊を取り止め、孝美の呼びつけで士官が使用する高級車に、亜弥と乗車。

 

 

「お父さん、凄い車だね~!」

 

 

「あぁ…、俺は予科練出身の特務士官にしては、縁のない乗車だ…」

 

 

「ふふふ、遠慮はしないで下さい…」

 

 

「はい…それにいい景色だ…故郷の神戸が懐かしい…」

 

 

彼女とひかりの実家は緑と海が一望できる地帯であった。

 

 

雁渕家

 

 

 

「遅せーな、孝美ちゃん」

 

 

「またリバウや、オラーシャの話し聞きてぇな~」

 

 

 

近所の方々が、真鯛に入れたたらいを持ちながら孝美を待っていおり、車輛が実家付近に到着する。

 

 

「おぉ~、立派な車だ!」

 

 

「そりゃあ佐世保の英雄だもんな!」

 

 

孝美が先に下車。

 

 

「ただいま帰りました。」

 

 

「孝美、お帰りなさい……え…?」

 

 

続いて洋介と亜弥は車から降りた。

 

 

「ん〜!思ったよりも、いい景色だねお父さん。」

 

 

「そうだな、どことなく懐かしい雰囲き……?」

 

 

洋介は気配を感じて、顔を右に向けると、孝美の両親と近所の方々が出迎えに来ていたが、彼らの様子は目を見開いていた。

 

 

「…孝美……?」

 

 

「……孝美ちゃん……」

 

 

「その人…どこかで…」

 

 

「あっ!あの人、写真で見たことがある!扶桑のもう一人の英雄。世界初のウィザード、桜井洋介だ!」

 

 

「…た…孝美……も…もしかしてその人は…孝美の…」

 

 

「その…娘は……まさか?」

 

 

「もしかして、旦那さんと隠し子!?」

 

 

近所の方々から色々と誤解される中、洋介と孝美、亜弥の必死の説得で何とか説かれた。

 

その夜、洋介は孝美の実家で、彼女の父親の浩平と近所の人々と酒を飲み交わしていた。

 

 

「かははは~♪…洋介さん…あんた…かなりの飲みっぷりだなぁ~♪」

 

 

「はははっ~♪俺はウィザードです〜!こんな酒なんて軽い軽い~♪」

 

 

「洋ちゃん気に入った!飲め飲め~!」

 

 

「はい、頂くであります~♪」 バタッ

 

 

「孝美ちゃん、ウィザードの洋介ちゃんといつ付き合うようになったの!?」

 

 

「結婚の約束してるの!?」

 

 

「や…やめてください///…わたしは…その洋介さんとの関係が……///」

 

 

「亜弥ちゃんは、孝美ちゃんみたいな美人のお母さんがいいの?」

 

 

 

洋介が何杯か飲む内に酔いつぶれ、畳の上に倒れ寝込む、孝美は洋介と亜弥の関係で赤面する。

 

 

「それはわかりません………選ぶのは…お父さん自身です。…ふぅ…お父さん……」

 

 

質問を受けていた亜弥は呆れ、洋介を揺さぶっていると、目元から涙を流した。

 

 

「…沖田さん…幸吉…隊長…虎雄……晴香さん……勇介…」

 

 

「……お父さん……」

 

 

洋介は寝言で、あの大戦で戦い、散って逝った戦友たちと兄弟の名前を呟いた。

 

その後、亜弥は孝美と風呂に入った。

 

 

「そうなんだ…異世界からやってきた……あの洋介さんに悲しい出来事が……」

 

 

「うん、お父さんの弟…つまり、わたしの叔父さんと友人の妹さんがドイツ…いえ、カールスラントのベルリン…南方のシンガポールとフィリピンの戦いで…そして…長崎の爆弾で…」

 

 

「…長崎に爆弾ですって!?」 

 

 

亜弥は孝美と秘密の理由で、あの世界で起こった長崎の悲劇的な惨劇を口にした。

 

8月6日の戦争末期、リベリオン=アメリカが広島に、そして9日に、忌まわしい光を放つ新型の原子爆弾が投下され、夥しい死者が出た。終戦以降、未だにタブーが続いている。

 

 

「そ…そんな…この長崎に……」

 

 

湯船に浸かっている孝美でさえも、手と身体が震えていた。

 

 

「…介さん…洋介さん…」

 

 

洋介を揺さぶったのは、孝美の母親、竹子であった。

 

 

「ん…?あ…すいません…竹子さん…あなたの娘さん、僕の戦友のひかりさんの武勇伝を…」

 

 

酔いがまだ醒めておらず、ぶつぶつと呟いていると

 

 

「洋介さん…わたしの娘の、孝美かひかりのどちらかを嫁に貰ってくれませんか…?」

 

 

「な…なんですと…///…わが…娘の亜弥が…」

 

 

「亜弥ちゃんはこの家の養女としても受け入れてもかまいません」

 

 

「……はぁ……考えさせて……ください……」

 

 

 バタッ

 

 

竹子から、孝美かひかりのどちらかを貰ってくれないかと、聞かれた洋介は再び眠りについた。

 

洋介が扶桑に来てからは、若きウィッチたちが自身を嫁候補として赴いた。

 

まさか、戦友の実家に赴いた洋介と亜弥の親子は芳佳と孝美、ひかりを嫁に貰ってくれとの言葉を聞き、更に亜弥を養女に迎え入れることで困惑した。

 

 

 

「(全く…これで何十人目だ…亡き……雪……に怒られる…)」

 

 

 

早朝

 

 

 

居間のちゃぶ台には欧州へ出立する三人の朝食の用意がされていた。

 

 

「亜弥、今日は日本…いや、扶桑を出立する日だから、しっかりシャバの飯を味わえ!」

 

 

「うん!」

 

 

「洋介さん、ご飯のおかわりしますか?」

 

 

「えぇ、孝美さんお願いします」

 

 

ちゃぶ台で共に朝食を食する孝美は微笑んでいた。

 

 

「ふふふ~♪(もしも、私に家庭を持つとすれば、この光景を見られるのかしら…)」

 

 

朝食を終え、洋介と亜弥は軍服とセーラー服を纏い、腰に軍刀と短剣を装備して最後に略帽を被った。

 

 

佐世保 浜辺

 

 

二式大型飛行水艇が留まる海岸の浜辺には、必要な物資と新型ストライカーユニット、欧州に配属するウィッチが待機していた。

 

 

「凄い物資の量だね」

 

 

「まぁな、この分だけでも数日分に過ぎん。欧州に配属するウィッチも屈強揃いだな…」

 

 

浜辺には、搭乗する桜井洋介大尉と亜弥一飛曹の他に小村定恵少尉と松田昌子少尉、新藤美枝少佐が搭乗する。

 

 

「孝美、再び欧州に行っても身体に気をつけるんだよ!」

 

 

「はい、お母さん。」

 

 

「洋介さん、亜弥ちゃん。孝美のことをよろしくお願いします。」

 

 

孝美の母親、竹子は洋介と亜弥の前でお辞儀する。

 

 

「「 はい…! 」」

 

 

「もう…お母さんたら…///」

 

 

孝美は洋介たちの前で赤面した。

 

整備員たちが物資を二式大艇に積み込む間、洋介は浜辺で花を摘んでいた。

 

 

「よし、こんなものか」

 

 

「桜井大尉、そろそろ出発だから乗り込め!」

 

 

「はっ!!」

 

 

新藤少佐の命令で洋介は二式大艇に搭乗、浜辺から佐世保の海軍軍人やウィッチ候補生、地元民が見送りに手を振った。

 

 

「雁渕大尉〜!頑張ってください!!」

 

 

「武運を祈ってますよ~!!桜井さぁ~ん!!」

 

 

「ウィッチのみんな~頑張って~!!」

 

 

二式大艇は水上を走り、離水した。

 

大艇が長崎上空を飛行した時、洋介は操縦席に邪魔して、窓を開けた。

 

 

「うぅ…沖田さぁーん、幸吉いぃ〜!!安らかに眠れぇ~!!」

 

 

洋介は窓から浜辺で摘んだ花を投げ飛ばした。

 

それは、あの終戦の6日前、長崎の原子爆弾で命を落とした六勇士の沖田新一郎と金城幸吉に対し、涙を流しながら黙祷したことだ。

 

 

「……沖田さん、幸吉。俺は再び欧州へ行きます。この扶桑…日本の長崎に帰還したら必ずや、慰霊碑を建立します!……だから…俺たちを見守ってください!」

 

 

「お父さん…?」

 

 

「亜弥、…異世界であっても扶桑……日本を目に焼きつけろ!」

 

 

「うん!」

 

 

大艇は徐々に扶桑に離れて飛行する中、洋介と亜弥は目に焼きついた。

 

 

「(さらば、日本よ…今から旅立ち、必ず帰ってくる…)」

 

 

洋介にとって外地への配属は、戦時を含め5回目。彼は異世界の日本、扶桑皇国に敬礼した。

 

 

飛行する進路は佐世保から出発して3時間、正午過ぎに台湾に到着。

補給した後にシンガポールに進路を向けて飛行する中、太陽が西に沈むフィリピン海上空を飛行した。

 

再び操縦席の窓から水に活けられた花を投げ飛ばした。

 

 

「うぅ、厚木隊長~!!…隊長…あの世で妻の柚子さんと、娘の成美さんと安らかに過ごして下さい…」

 

 

待ち合い席にいた亜弥も、窓から投げ飛ばされた花を眺めながら手を合わせ、黙祷した。

 

 

もし、あの戦争がなければ、亜弥と成美が友人同士になっていたかも知れないと感じた。

 

 

二式大艇はマレー半島、シンガポールに到着。一晩現地で補給整備を受けるのであった。

 

 

「シンガポール…1年振りだな…」

 

 

シンガポールに足を踏み入れた時、染々とした。 

 

元ラバウル六勇士の一員、海軍大尉の大賀虎雄、海軍兵曹長の整備士秋山敏郎ことトチローの妹、秋山聡子ことトチコが配属していた場所であった。

 

 

燃料の補給、機体の整備を終えた二式大艇は早朝に発進、欧州に向けて出撃した。

 

本機体がマラッカ海峡上空を飛行した時、洋介は再び操縦席の窓から花を投げ飛ばした。

 

 

「虎雄~!!故郷の九州の花だ!必ずベルリンに行き、妹の晴香さんの慰霊碑を建てるから、安らかに眠れぇ!!」

 

 

涙を流しながら黙祷を捧げ、最後に敬礼をした。

 

洋介が仮眠室へ戻る途中、新藤少佐が赴いた。

 

 

「あっ…新藤少佐…」

 

 

「桜井大尉、長崎とフィリピン、マラッカ海峡に花を投げ落としたのは、その地で亡くなった友人への手向けか?」

 

 

「はい!」

 

 

こうして、戦場でラバウル六勇士の一員である桜井洋介は、戦場で散って逝った仲間たちの慰霊を終えた。

 

残るはドイツ、帝政カールスラントの首都ベルリンで戦いで散った弟の桜井勇介と、虎雄の妹大賀晴香に慰霊と花を供えることだった。

 

 

「桜井大尉、君の配属先は…?」

 

 

「第504統合戦闘航空団、アルダーウィッチーズです。短期間のみ配属予定であります少佐」

 

 

新藤美枝少佐、雁渕孝美大尉以下2名のウィッチは新設する第508統合戦闘航空団、マイティウィッチーズに配属するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロマーニャ 504基地

 

 

 

「目覚ましい活躍だな、桜井洋介。会うのが楽しみだ」

 

 

 

その者は星の国籍マークのユニットを履き、ロマーニャの空を飛ぶのであった。

 

 

 





第504統合戦闘航団、その人物は…
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